ドンキに続きニトリもチューナーレステレビに参入へ――。NHKと受信契約が不要だとされるチューナーレステレビを市場投入する企業が増えてきました。ドンキにしろニトリにしろ、現在のところはプライベートブランドが中心ですが、「売れる」のであれば、大手家電メーカーもハイエンド型のチューナーレステレビを市場に投入するのはおそらく時間の問題でしょう。NHK受信料制度は民放を道連れにして、放送業界全体を衰亡させていくのではないでしょうか。
目次
NHKという異常な組織
週末の『現在の日本に「非効率な仕組み」を維持する余裕はない』でも議論したとおり、当ウェブサイトとしては、現在の日本に前時代的で非効率な仕組みを温存しておく余裕はなくなりつつあると考えています。
とりわけ自由・民主主義の手続から逸脱し、不相応に大きな政治権力ないし社会的影響力を握り、日本社会を悪くしてきた勢力(たとえば財務省)については、その影響力を日本社会から駆除ないし排除していかなければなりません。
こうしたなかで、当ウェブサイトではこれまでさんざん議論してきたのが、NHKという異常な組織です。
テレビを設置しただけで、受信料を半強制的にNHKに支払わなければならないという仕組みの不合理さもさることながら、その問題点は、受信料の使途にもあります。
たとえばNHKは年間7000億円弱にも達する受信料を使い、1万人を超える職員に対し、少なくとも1人あたり年間1550万円の人件費を計上しています。また、連結集団内には年金資産を含め、金融資産だけで1.3兆円もの資産が蓄えられているのです。
正直、無駄というほかありません。
どうやって放送の公共性を担保しているのか
もちろん、公共放送という存在の必要性について、当ウェブサイトとしては無碍に否定するつもりはありませんが、このインターネット化社会において、いつまでも公共放送というものが必要なのかは疑問です。
また、百歩譲って「この社会には公共放送が必要だ」、という社会的合意が得られたとして、ではNHKがその「公共放送」の役割を担うのに相応しい組織なのかといえば、そこもまったく別の問題です。正直、現在のNHKの番組が、公共放送に相応しいものであるとはいえないからです。
というよりも、NHKを「公共放送」に位置付けるとした場合には、極めて大きな問題があります。
NHKの番組が公共放送に相応しいものであるかどうかを担保するための仕組みそのものが、そもそも存在していないのです。
NHKの番組は、放送されたあとであれば、何か問題があったらBPOという組織が審査と勧告をすることがありますが、これはあくまでも事後審査であって、事前に審査する仕組みではありません。また、BPOの権限も「勧告」であって「処分」ではないのです。
端的にいえば、BPOの存在は、社会的にはまったく意味がありません。放送業界の身内で固めた組織がおざなりな審査をしているにすぎないからです。
「特殊負担金理論」を冷ややかに眺める日本国民
ただ、それと同時に興味深いのは、一般の日本国民の賢さです。
X(旧ツイッター)などを含め、ネット上で見えて来る一般国民の意見は、総じてNHKの存在には冷ややかです。当ウェブサイトごときで論じるまでもなく、一般国民の多くはNHKの組織自体の欺瞞(ぎまん)を良く理解しているからです。
たとえば、NHK自身(あるいは総務省)は受信料の性格について「これはあくまでもNHKの存在を支える『特殊な負担金』であって、『放送の対価』ではない」、という説明を続けているのですが、これについてネット世論を納得させることは、もはや困難(というか不可能)になりつつあるのです。
これに加え、この「特殊負担金」理論を破綻させかねないパンドラの箱が、ネット課金です。
NHKは現在、テレビを持たず、インターネット環境でNHKのコンテンツを視聴しようとしている人から何らかの料金を徴収しようとしていますが、これ自体が受信料制度の「特殊負担金理論」と正面から矛盾することになるのです。
NHKとの関係という意味では、「テレビを持っているか、いないか」という軸と、「NHKの番組を好き好んで視聴しているかどうか」という軸で、世の中の人々を4つの象限に分類することができます。
- ①テレビあり、NHK視聴あり
- ②テレビあり、NHK視聴なし
- ③テレビなし、NHK視聴あり
- ④テレビなし、NHK視聴なし
従来の「特殊負担金理論」とは、上記②の「テレビは持っているけれどもNHKの番組を視聴したいとは思っていない人たち」を強引に納得させるためのものだったはずですが、NHKのネット課金は③、つまり「テレビは持っていないけれどもNHKの番組を視聴したいと思っている人たち」から料金を徴収するものです。
③の象限の人はそもそもテレビを持っていないのですから、③の人たちから料金を徴収する場合、その料金に「特殊負担金理論」は成り立ちません。一般的なVODと同様、「番組の対価」として収受するしかないのです。
そうなると、この③の人々に対するネット課金が実現すれば、③の人たちは「NHKのコンテンツに対して料金を支払っている」という実態ができてしまいますので、「NHK受信料は事実上の放送の対価である」と位置付けなければ、受信料制度そのものに対する国民のコンセンサスが成り立たなくなるのです。
だからこそ、当ウェブサイトではNHKネット課金は「特殊な負担金」としての受信料制度そのものを突き崩すきっかけになるものとして、歓迎したいと考えている次第です。
NHK利権を突き崩す「チューナーレステレビ」
もっとも、そこまで行かなくても、ほかの面からNHK利権が崩れる可能性が濃厚になってきました。
以前の『チューナーレステレビ爆発的普及のカギを握る中国企業』などでも取り上げた、例の「チューナーレステレビ」が、そのヒントです。
NHKとの受信契約締結を義務付けた放送法第64条第1項を改めて読み返してみると、NHKと契約締結義務が発生するのは、あくまでも「NHKの放送を受信できる設備を設置した者」に対して、であることがわかります。
放送法第64条第1項抜粋
協会の放送を受信することのできる受信設備<略>を設置した者は、同項の認可を受けた受信契約<略>の条項<略>で定めるところにより、協会と受信契約を締結しなければならない。<略>
ということは、テレビの外観をしていながらも、NHKの放送を受信することができない代物――、すなわちチューナーレステレビの場合は、この放送受信契約の締結義務が生じないはずなのです(※そうと断言まではできませんが…)。
テレビっぽい外観なのに、地上波テレビ放送を映し出すことができない――。
そんな奇妙な商品、ちょっと前であれば考えられませんでした。
しかし、人々のライフスタイルの変化にともない、ビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスが急速に普及し始めていること、民放各局が共同で『Tver』と呼ばれる見逃し配信のネット配信システムを立ち上げるなどしていることを受け、むしろ地上波が映らなくても問題ないと考える人が増え始めているのです。
ニトリもチューナーレステレビを発売
こうしたなか、『J-CASTニュース』が21日、ちょっと気になる話題を配信しました。
ニトリも「チューナーレステレビ」発売 テレビ番組はネットで見る時代、NHK受信料の将来は
―――2023年11月21日20時20分付 J-CASTニュースより
同記事によると2021年以降、チューナーレステレビを市場に投入する企業が増えてきており、ニトリも11月上旬からチューナーレステレビ「32S2」の発売を開始したと17日に発表した、などとしています。
ちなみにこの「32S2」は32インチハイビジョンで価格は税別19,800円、テレビ放送は視聴できないものの、スマートテレビ「Google TV」も視聴可能なのだとか。
また、J-CASTニュースは2021年6月10日付記事で、NHK広報局に対しチューナーレステレビの受信料に関し取材したところ、「各企業の製品については答えられない」としつつも「『放送を受信する機能がないモニター等については、受信契約の必要はありません』との回答があった」と報じています。
そのうえでJ-CASTはこう結論付けます。
「仮に今後、テレビ受像機を持つ人が減る一方、ネットで番組を視聴する人、それも『見逃し配信派』が増えていったら。そして視聴者が、NHKをスルーする事態になったとしたら――。そんな将来がもしも到来したら、受信料制度が大きく変わる可能性は、決して否定できないのではないだろうか」。
この記述、十分にあり得る話であるだけでなく、むしろ現実はそのさらに先を行っている可能性すらあります。
民放を道連れにするNHK
いちおう、総務省の調査などで判断する限り、以前として地上波テレビの視聴者は多いとは考えられるものの、足元では民放各局においても、視聴者離れ、広告主離れ、クリエイター離れの「三重苦」が続いています。
『視聴者や広告に続きクリエイターもTVを見捨て始めた』などでも取り上げたとおり、若くて優秀なクリエイターほどテレビ業界から真っ先に逃げ出し、外資系のVOD(ビデオ・オンデマンド)業者などのコンテンツ・ビジネスの門を叩いているのです。
現在のところ、チューナーレステレビに手を出しているのは、大手家電メーカーではありませんし、ドンキやニトリなどが取り扱っているものもプライベート・ブランドの製品が主体です。
ですが、古今東西、需要が出てくれば必ず供給が出現します。
現時点において、すでにテレビ業界はかつてのような「絶対的な社会的影響力」を持つ存在ではなくなってしまっていますので、テレビメーカー各社としても、テレビ業界に配慮してチューナーレステレビを発売しない、という必要性が薄れて来ているのです。
ここまでくると、どこかのメーカーが先陣を切り、ハイエンド型のチューナーレステレビを市場に投入するのも時間の問題ではないでしょうか。案外、あと5年もすれば、世の中で発売されるテレビの半数はチューナーレス、つまりNHKと契約が要らないタイプのものとなっているのではないでしょうか。
当然、こうしたチューナーレステレビは、「NHKとは絶対に契約したくない」と思っているユーザーからは歓迎されるでしょうが、その一方、チューナーレステレビが普及していけば、民放テレビ業界にとってもリアルタイム視聴者数のさらなる低下を招くことにもなりかねません。
その意味では、テレビ業界は現在、NHKにより道連れにされ、衰亡への道をひた走っているといえるのです。
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もしNHKが民放を道づれ(?)にしようとしたら、民放はNHKに対して訴訟を起こすのでしょうか。(前記のとおりにホタテ業者の不振が国や東電の責任なら、民放の不振も国やNHKの責任でしょう)
素晴らしい。オレの家内は外国人だからNHKからの請求書がとどいてもわからない。今はおれがいるけど、体調が良くない。脳幹出血と糖尿病が原因だ。おれが万が一のときテレビの解約かチュウナーレスなら心配入らない。それほど貧困層には負担が大きい。過日30年視聴料を払っていないとする人がいたが払わないのではない、払えないのだ。それ程このシステムは酷い。NHK職員の為にかつかつでくらしてるものだ。利権があるのだろう。議員どもがだれ一人触れていないのがそれを証明している。唯一旧N党(現みんながなんちゃら)が党是にしてたけど内紛ばかりで次の選挙では消滅必至だろう。いい加減にして欲しい。NHKはいらない。紅白歌合戦も惰性化している。
B-CASカードは、一般社団法人電波産業会(ARIB)規格に則り作成されたものです。
一般社団法人電波産業会の構成会員は、正会員だけでも通信放送電子機器など191社(団体)に及びます。オールジャパン体制ですね。
なので、チューナーレステレビは、その勢力圏に居ない社からゲリラ的に参入する形にならざるを得ないと思います。
或いは資金力があり、オールジャパンの範疇にいないグループ。そう、既に何とかCASTとかで参入機会を狙っている連中です。
彼らがホンキを出す決断をしたら、一気に形勢が傾くと予想します。
「チューナーレステレビ」、私はまだ見たことがないのだがパソコン売り場で売ってる「ディスプレー」とどう違うのだろうか。
ディスプレーにAmazonのFireStickをくっつけて売ってるようなもんだと思います。
パソコンで動画だけ見るのと同じと考えればいいです。
実際、NHKを除くTV番組は、殆ど見逃し配信を1週間やってますから。
TVは全く必要性を感じません。
パソコンは、10万円以上しますが、チューナーレスは、4万円位からではないですか?
チューナーレステレビにはLANケーブル端子があり、インターネット接続をすればサブスクリプション動画サービスを利用できる機能がある。
ディスプレイで同じようなことを再現するにはFireStickなどの外部デバイスを増設しないといけない、あたりが違いだと思います。
全製品に当てはまるわけではありませんが・・・・チューナーレステレビには各サブスクリプション動画サービスのボタンが組み込まれたリモコンが付いていたりします。
POSデータの分析をよく出しているサイトからです。POSデータを元にしているためかとにかく集計が出るのが早いのでたまに参照してます。
4月の記事で少し古いんですが。引用の引用で一部の数字は既出ですが、元記事は出ていないようでしたので。
チューナーレステレビ販売比率はごくわずか、興味ありは2割半ば
https://www.bcnretail.com/research/detail/20230418_324703.html
薄型テレビの市場(多分、額)に占めるチューナーレステレビの比率だそうです。3月時点で1.6%ですが、加速度的な右肩上がりです。
アンケート結果では興味を持つ人が1/4、その多くの理由は「受信料払いたくないから」とのことでした。
記事では大手メーカーが動けば市場は拡大する、と分析を付しています。
その分析が正しいかはわかりませんが、鶏卵でこのまま市場が大きくなるなら、手を出す大手が出てきても不思議では無いような気はします。
このサイト、チューナーレステレビでは度々記事を上げていました。興味ある方はどうぞ。大手メーカーへのインタビューもありました。
チューナーレス関連記事
https://www.bcnretail.com/search_result/?topics_keyword=%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%82%B9
自分も入手したいと思い、チューナレステレビとは調べてみると早い話が動画を見ることに特化した(PC+モニター)のようです。特化とは、
・PCは、ユーザーにはライセンス料不要のアンドロイドをOSにしてネット接続環境を作りTVer等のアプリをインストール済
・モニターは応答やリフレッシュレートを落としてコストを抑えている(つまり応答速度が要求されるゲームなどに流用するのは少し苦しい)
と言うことは、裏を返せば現在そこそこのPCとモニターを持っているのであれば、アプリをインストールすることにより同じ環境を作れるので、わざわざチューナレステレビを買うこともない、という結論になりました。また、インターネット回線速度に依存するため大画面、高精細画像を楽しむのには不向きと思います。
PCにアプリをインスト何やらやってとかを邪魔くさいと考える向きには、ネット回線やWifiさえ繋げれば見ることができるチューナレステレビの手軽さはあります。しかし、これが爆発的に売れて普及するかとなると、微妙です。スマホでも同じことが出来る筈ですし。
いずれにしても、NHKは見ないけれど、ネット動画や民放の配信は見たいという方々には朗報ですね。
>どこかのメーカーが先陣を切り、ハイエンド型のチューナーレステレビを・・
業務用ディスプレイ・テレビ[法人向け] ブラビア(SONY)
https://www.sony.jp/bravia-biz/gallery/
↑屋号を使って購入できる方(含む個人事業主)は、こちらの商品をどうぞ!
NHKの解約申請の書類の中にある「解約理由」に並んでいる項目のひとつに「アンテナの撤去」という項目があります。
ここにチェックを入れて郵送すれば解約ができますので、たとえ既存のTVでもアンテナがなければ、「受信設備」とはならず契約の義務はありません。
またワンセグやフルセグ搭載のカーナビであっても、フロントウインドウに貼り付けられているアンテナ線を剥がせば、同じく契約義務がなくなります。
ただ、NHKの事ですから、近い将来にはしれっとこの項目を削除して知らんぷりする様になると思います(聞かれた時だけアンテナ撤去でも可能と答える)。
民放は既にTVer限定番組とかやっているので、一部の地上波限定契約なコンテンツ以外は地デジより一杯見れるんですよねえ。放送カット部分とか
はるか昔、NHKの海外取材モノでどこかの自動車メーカーの車を使い、今で言うステマをして、製作をしていたNHKエンプラ21がお金をもらっていたと言う報道がありました。のちに会長になるエビジョンイル率いるエンプラはその他にも、NHK教育を使って素晴らしい収益事業を展開してましたね。たいていそこにはNHKから出向の形でプロデューサー職が来ていて仕切っていた。まあ、こんな歴史あるところですから、関連会社含めてお金の問題での事件は毎年、あるのが普通なのもわかります。最初は公共性という使命感があっても、本体がアレでは、オレたちは本体より待遇悪いんだから、本体並みにやって何が悪い、ってなるんでしょうな。子会社、関連会社の報道された不正データ集めた人がいて、それみたことあるけど、結構、ありますからね。マスコミ各社は、芸能事務所のことだけでなく、こちらも調べたら良いのに。