「不備があったから差し替えた」。それはわかります。ですが、差し替えた後のグラフにも不備があるようです。昨日の当ウェブサイトでも指摘したとおり、日経新聞が掲載した「斬新なグラフ」は左右の軸の起点が一致しておらず、あたかも日本の方が米国よりも高金利であるかの印象を抱いてしまうのですが、これはもちろん事実ではありません。いずれにせよ、日本を代表する大手新聞がこのようなグラフを平気で掲載するからこそ、新聞が廃れていくのではないでしょうか。
斬新過ぎるグラフ!
昨日の『日経新聞が掲載した斬新なグラフ』では、日経新聞に掲載された、こんな形状のグラフを紹介しました。
図表1 10年債利回り・日米比較(日経新聞記事の再現ベース)
(【出所】日米財務省データをもとに著者作成、以下同じ)
新聞社らしく、現物はもっと見栄え良く作成されていたのですが、グラフの要素としては「▼軸が合っていない、▼起点がおかしい(米国は3.5%、日本はおそらくマイナス金利スタート)、▼上下関係がおかしい」――などの特徴を満たしています。
正しいグラフは…!?
これについて、日米財務省のデータをもとに正しくグラフを書き直すと図表2のとおりであり、見栄えを重視して左右の軸を変える場合であっても、図表3のとおり、起点はゼロに合わせるか、それができない場合でもスケールをきちんと明示するなどの工夫が必要です。
図表2 10年債利回り・日米比較(軸とスケールを合わせた場合)
図表3 10年債利回り・日米比較(左右の軸とスケールを異なるものにした場合)
図表2、図表3ともに、図表1とは比べて、受ける印象がまったく異なるはずです。
日米ともに「利回り水準は年初来でじわじわ上昇する傾向にある」という「形状」は似ていますが、その金利の絶対水準がまったくことなることについては、どちらのグラフでも明確に確認が可能でしょう。
日本経済新聞社は不備を認めて修正し再投稿したが…
こうしたなか、昨日紹介した、X(旧ツイッター)にポストされた日経記事の紹介については、批判が殺到したほか、「コミュニティノート」が付くなどしたためでしょうか、日本経済新聞社はこのポストを削除。あわせて記事のグラフを差し替えたようです。
日本経済新聞社は「グラフに不備があったため、修正し再投稿しました」と注記しているのですが、差し替えた後のグラフも、やはり非常に奇妙です。日経新聞の記事のグラフを眺めていて気づくのは、左右の軸の使い方が恣意的である、という点でしょう。
図表1でも示した通り、著作権の問題があるので、グラフそのものを引用することは難しいのですが(だからこそ上記Xポストで代用している格好です)、やはり▼グラフの起点が合っていない、▼スケールが合っていない…、などの問題を抱えており、昨日のポスト同様、コミュニティノートが付けられています。
新聞が廃れるのも仕方がない…のか?
くどいようですが、異なるものをグラフで比較する場合には、左右で軸を明示することが必要です。この点、当ウェブサイトでは「起点がゼロではなく、左右の軸のメモリも異なっているグラフ」を多用していますが、少なくとも左右の軸については起点を明示しているつもりです。
いずれにせよ、日本を代表する大手新聞社がこういうグラフを平気で掲載するからこそ、新聞というものが廃れていくのではないか、などと思う次第です。
View Comments (10)
日本の金利変動の方が下に来るように訂正したんだから、これでいいだろ。
いちいち、細かいこと言うなよ。
by 日経新聞グラフィック担当
最近通販生活が彼らのカタログ雑誌における表現についてウクライナ戦争に関して出した謝罪?コメントなどと同じカオリがしまス
今般の日経仕草も、記事/表現が"報道"ではなく"主張"であったという証左に見えてしまいマスタ…
財務省の命令に従ったのでは?
日経は意味がわからないで、記載してみたってことじゃないかな?
✕日銀、金利操作を再修正へ
◯日経、印象操作を再修正へ
もっかいちゃんと全部直して?
下手な画策がバレて世間の非難にさらされたとき
素直にその画策を反省して二度としません
と謝るならば、許してもらえたでしょう
でも
反省せずに中途半端に言い逃れの修正版で
うやむやにしようとの姿勢には
あ こいつ、反省するどころか、
今度はもっと巧妙にやってやる と
思ってるようだなあと世間から
保護観察処分扱いになるだけなのにと
感じます。
マスコミがわずかでも責任を取る事はとても珍しく、そのレアケースですら
「嫌々」で「逆恨みしまくり」なのが丸わかりですね。
毎日新聞のWaiwai事件では「懲罰の意味を込めて責任者を昇進」させ、
第三者(笑)委員会ではネットユーザーへの恨みと恐怖をグチグチと吐いた。
朝日新聞は従軍慰安婦の件で植村隆を全力で擁護し、彼が裁判で負けまくった後も
手厚く保護した。訂正報道もものすごく嫌々そうに小さく取り扱っただけだった。
つい最近では通販生活がウクライナ大使館を怒らせ、抗議されて出した謝罪文が
「我々は悪くない、誤解を招いた事だけは謝る」と言った趣旨の物だった。
今回の日経新聞も多分「何とか上手く騙せ、騙せない奴はごまかせ、ごまかしが
通じない奴は無視しろ」とでも命令されているのでは?と疑いたくなります。
まあ、昔から「日経良く読むと破産する」と言いますから。
しかし、縦軸同じスケールで日米の二線を描けば良いだけだと小学生でもわかると思いますがね・・。
X、特にコミュニティノートの威力は凄まじいですね。いかにふだん、オールドメディアが身内の世界だけでやっていたかが、今回の出来事でよく分かります。
フェイクニュースで閲覧回数を伸ばしても、広告収入の対象にはしない事をXは明言しました。イーロン・マスク氏は常識人ですね。
日経新聞、、かつては購読していた。各種相場の点検の為にだ。それもインターネットの登場で即日相場が手に入る。解約した。新聞店は廃業したらしい。50年付き合ったけど一度も買い物にはこなかったな。
決定的な事を言います。
この記事、何かの価値がありますか?
こんな書かずもがなの事を、さも意味ありげに書いてしかも有料記事なんて事にしているから、読者がいなくなるのですね。
この記事のポイントとしている所の、日米の金利の変動を、無理矢理、関係あることにするから、その証左として、こんな馬鹿げたグラフを持って来なくてはならなくなるのですねぇ〜。
何故、日本の僅かなコンマ以下の利上げで、米国の金利が1%以上も上がるのか?
或いは、逆に、米国の1%以上の利上げに対して、日本がコンマ以下の利上げをして円安を止められる、というそんな効果の高いレバレッジの要素はあるのか?あるとすれば、そのレバレッジの要素は何なのか?
そのレバレッジがあるのなら、この「傾向」グラフは、その証明としての意味はあるかもしれない。
でも、それが無いことは有料記事を読まなくても分かる。そんな重要な事なら、ポイントに列挙するはずだから。