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「大型化」で生き残り図るパチンコは新聞業界の未来か

パチンコ・パチスロ業界が衰退しつつあるというのは、当ウェブサイトでもこれまでデータで示してきたとおりです。もしも年間800店舗ずつのペースでパチンコ店がなくなっていけば、あと10年ほどで日本からパチンコが姿を消す計算です。こうしたなか、信濃毎日新聞が「長野県内で大手が中小事業者からパチンコ事業を譲り受け、不採算店舗の閉鎖などを行っている」とする記事を配信しました。「パチンコ」を「新聞」に置き換えたら、そのまま近い将来、新聞業界でも似たようなことが起こるのかもしれません。

パチンコ業界の衰亡

パチンコ店が日本から姿を消しつつある、とする話題は、当ウェブサイトでは『30年で半分に減ったパチンコ店』などでも触れてきたとおりです。

このペースで減少すれば、パチンコ店は2038年6月にはゼロになる以前からときどき取り上げている話題が、パチンコ店の廃業状況です。パチンコ・パチスロは、誰がどう取り繕ったとしても明らかな賭博(ギャンブル)ですが、それと同時に近年、パチンコ店は順調に数を減らしていることもまた事実です。全日遊連のウェブサイトに掲載されている統計データを入手し、グラフ化してみたところ、近年、パチンコ店の減少ペースはさらに加速しているようです。パチンコはギャンブルですパチンコ(やパチスロ)は、誰がどう取り繕おうが、れっき...
30年で半分に減ったパチンコ店 - 新宿会計士の政治経済評論

たとえば「全日本遊技事業協同組合連合会」(全日遊連)という組織のウェブサイトに掲載されている『全国遊技場店舗数及び機械台数(警察庁発表)』というデータをもとに、パチンコ店の店舗数を集計してみると、1995年の18,244店と比べ、2022年では7,665店へ、ざっと6割減りました(図表1)。

図表1 パチンコ店・パチスロ店の店舗数

(【出所】全日遊連『全国遊技場店舗数及び機械台数(警察庁発表)』をもとに著者作成)

しかも、この「減り方」を見てみると、減少率がジワリと増加傾向にあることもわかります(図表2

図表2 パチンコ店・パチスロ店の店舗数の前年比増減
店舗数 増減数 増減率
2018年 10,060店 ▲536店 ▲5.06%
2019年 9,639店 ▲421店 ▲4.18%
2020年 9,035店 ▲604店 ▲6.27%
2021年 8,458店 ▲577店 ▲6.39%
2022年 7,665店 ▲793店 ▲9.38%

(【出所】全日遊連『全国遊技場店舗数及び機械台数(警察庁発表)』をもとに著者作成)

もちろん、この減少ペースが今後も続くのかどうかは、現時点ではよくわかりません。

パチンコ店が減少している要因としては、人口減少に加えて警察当局による規制強化などの影響もあるのかもしれませんが、ただ、万が一、毎年800店舗ずつパチンコ店が姿を消していけば、10年以内にパチンコ店は日本から姿を消すという計算です。

(※このあたり、規制官庁である警察当局としても、天下り先は確保したいでしょうし、あまりに規制を強化し過ぎてパチンコ業界自体を急速に衰退させることは、本望ではないのかもしれませんが…。)

パチンコは違法ギャンブル

いずれにせよ、当ウェブサイトの読者の皆さまもご存じの通り、パチンコ・パチスロは、違法ギャンブルです。

このように述べると、「いや、パチンコ・パチスロは違法ギャンブルじゃない」、などと強弁する人もいるかもしれません。というのも、現在の警察行政では、「三店交換方式」と呼ばれる手法を使うことで、「違法ギャンブルではない」というロジックを無理矢理作っているからです。

  • パチンコ店が「特殊景品」を客に渡す
  • 客がその「特殊景品」をパチンコ店近くの古物商に持ち込み換金する
  • 古物商は「特殊景品」を第三者に売却する
  • パチンコ店が第三者から「特殊景品」を購入する

…。

まったくバカらしい方法と言わざるを得ません。

ただ、この「三店交換方式」を使うことで、「違法ではない」とする屁理屈を強引に作ったうえで、出玉規制、換金率の規制などでパチンコ業界に深くかかわっています。いずれにせよ、パチンコと警察行政は密接な関係があると考えておいて良いでしょう。

このあたり、当ウェブサイトとしては、とくに都心部の一等地を占領しているパチンコ店については早期に廃業したうえで健全な商業施設などに転換すれば良いのではないかと考えていますし、実際に繁華街のパチンコ店がひとつ、またひとつと姿を消しているのは良い兆候であることは間違いないでしょう。

業界では大規模店舗化が進んでいる

ただし、パチンコ店もいろいろです。

規模が小さい店舗もあれば、比較的大型の店舗もあります。

業界が消滅するときにはたいていの場合、小型の業者から順次、倒産・廃業・閉店していくものですが、パチンコ業界にもこれとまったく同じ現象が生じています。図表3は、日本にあるパチンコ・パチスロの総台数をパチンコ店の数で割ったもの(つまり「店舗当たりの台数」)ですが、これが見事に右肩上がりなのです。

図表3 店舗当たりの台数

(【出所】全日遊連『全国遊技場店舗数及び機械台数(警察庁発表)』をもとに著者作成)

なるほど、書店にしろパチンコ店にしろ、衰亡する業界は体力がないところから順次姿を消していくものだということが、よくわかります。

あれ?「パチンコ」を「新聞」に置き換えたら!?

こうしたなかで目に付いたのが、信濃毎日新聞が17日に配信した、こんな記事です。

「パチンコ離れ」が加速 業界「もう昔に戻ることは…」ホール数はピークから6割減

―――2023/10/17 06:20付 Yahoo!ニュース配信【信濃毎日新聞配信】

同紙は「長野県内でパチンコホールが減少している」としたうえで、こう述べています。

パチンコ事業から撤退する企業が相次ぐ一方、事業を引き継いで広域的に店舗を展開する『再編』の動きが県内でも進んでいる」。

このあたり、この記事を地方紙が配信したというのは、じつに印象的です。

「パチンコ」を「紙媒体の新聞」に置き換えれば、そのまま新聞業界自体の議論にも成り立つからです。

信濃毎日新聞によると長野県内で大手が複数の事業者からパチンコ事業を譲り受けて広域化を進める一方、不採算のホールを閉めてきた業者の事例が紹介されているのですが、さしずめ新聞業界でいえば、最大手のY社あたりが地方新聞社を合併し、不採算の媒体を廃刊にするようなものでしょうか。

いずれにせよ、こうした読み方をすれば、いつにもまして説得力があると思わざるを得ないのは、決して気のせいではない、などと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (26)

    • むかし、まだオレが元気だった頃。駅前に立派なビルが建ったんだが、パチンコ屋とは露知らずビルの駐車場に停めたことがある。ふむふむ、、これがパチンコ屋かぁ、、てなわけで20分位かな。見学したことがある。知らぬが大バカで20分で三万円の駐車料金である。そりゃそうだ。違法駐車だもんな。だけどオレはフロントに事情を話し只券をもらってビルをでた。パチンコ屋、、恐るべしである。それからオレは一度もパチンコ屋にはいかなんだ!で、倒れた!くそぉ、、、である。

  • どんな事業であれ、永遠に続くものはありません。変わらないと淘汰が待っています。
    「娯楽」としてのパチンコというビジネスモデルの寿命が尽きつつあるのでしょう。競馬や競輪などの「娯楽」も同じ運命だと思います。
    さて、カジノはどうなるのでしょうかね。

  • 地元のローカル局が、深夜にパチンコ・パチスロの番組を放送している。たぶん、日本中で似たような番組をやっていると思う。
    昔は、パチンコは公序良俗に反するとしてCMも流さなかったのに、今は番組まで作ってゴリ押し。ただ、それでもパチンコをやる人が減っているのは喜ばしいこと。

    • >地元のローカル局が、深夜にパチンコ・パチスロの番組を放送している。

      ジェジェ! どこの地方ですか? 大昔、和田が深夜にパチンコ番組やっていたのは記憶していますが、現在の福岡ではさすがにマンマのTV放送は有りませんが、10年くらい前パチ屋のコマーシャルでおかしな人形(最初は米国のサンダーバードの完全パクリでしたね) 完全に犯罪なので、犯罪ギリギリのところで勝負している彼らですから、無難に回避し今ではすっかり様変わりの人形劇です

      でも、完全中毒の人達の人達はスイッチ入るみたいです(失笑)。 福祉としてフェードアウトして欲しいですね。 なんかルールが変わり換金率が減らさてるみたいですよ。

      でも、プロ野球の球場に「MARUHAN」とかいいかげんにしてほしい!(怒り) 母国でマルハン・ホークスとかいろいろやって欲しい。 

  • パチンコ利権があるンだろうな。警察上層部と一部政治家、、、。一説によると北朝鮮にもカネが流れているという。パチンコ屋の経営者には朝鮮人が多いと云う。ホントなら日本人の一部はカネを韓国なり北朝鮮におくっているわけだ。パチンコ屋があるのってフィリピンもタイも中国も台湾もないもんな。コロナ前までは、、、。

    • もろ利権ですよね。
      遊技機の型式試験を行ってる団体は警察の天下り先になっています。
      https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%89%E9%80%9A%E4%BF%A1%E5%8D%94%E4%BC%9A
      警察は賭博を摘発する側の組織なはずなんですが、逆に業界を維持することが警察のメリットになってるんですから、いつになっても根絶できるわけないです。

      昔のドラマなんかに出てくる、客がタバコや缶詰を景品に持って帰るパチンコ屋なら問題ないと思いますけど、今のパチンコがギャンブルではないというのは屁理屈すぎます。

      • ちょっと覗かせてもらった。凄いビルだ!日本競馬中央会も凄いビ
        ルですよ。あとは生命保険会社も立派です。
            めたぼん様  拝

    • パチンコ規制は、北への送金を止める目的と過度依存症対策として始めた、と昔週刊誌が書いていました。

  • せっかく働いて得たお金をギャンブルで使ってしまう心理がわかりません。
    ゲームでも買った方が数ヶ月遊べて良いような気がしますが。

    • 恐らくは「勝てる確率がある」のが目の前の人参になってしまうのでしょう。
      ゲームだとプロゲーマーか人気実況者でもない限り儲かりませんからね。

      それと、大した操作を求められないパチンコと物によっては青天井レベルで
      知識と努力を必要とするゲームでは、”楽さ”が違うのも一因かと。

      • 金銭的な実利はゲームではありませんからね。
        格ゲーで初めて勝てた時は、飛び上がるほど嬉しかったことを思い出しました。

  • 半島南では法律で禁止されている
    韓流経営玉入れ遊戯パチンコについては
    巨額の金が日本から半島に流れて行ってます。

    その点では、
    韓流カルト宗教統一教会も同じであり、
    日本のためにはならないことから
    韓流からのデトックスが望まれているものの一つです。

  • 私が高熱で、ある病院に入院した時、天理大学の柔道部のキャプテンをしていた男が入院していました。その男は岡山から天理高校に柔道部枠で進学したそうです。学費も、宿舎まで全て学校が負担していたそうです。学部ではOBがことあるごとに来て、焼き肉を奢っていたそうです。柔道は、国体なんかに数多く参戦しある程度成績を残し、そのOBは警察官が多く、その男が卒業したら警察で柔道の指導する仕事に就いていたそうです。しかしながら焼き肉がたたって血管コレストロールに罹っていました。仕事は警察からパチンコ店に変わっていました。
    警察がある限りパチンコ店はなくなりません。必要枠かな?漫画みたい。

  • パチンコ屋は、日本人がやると上手く行かなくて潰れる。所が、南北人がやると上手く行く。結果、パ業界の経営者はの9割は南北人になった。そして、北人の金を受け取りに、定期的に万峰号が新潟港にやって来ていた。万札が詰め込まれたダンボール箱が幾つも運び込まれた。そして、その金は、日本にミサイルとなって返って来た。
    所が、日本のパチンコ規制が強くなると、万峰号は、やって来なくなった。
    万札と同時に、鶴の恩返し、という童話本も、ダンボール箱に入れて置くべきだった。

    このパチンコに関するアナザーストーリーを、君は知っているか?
    何か、ドキュメンタリー風になってしまいました。

  • パチンコというものは違法ギャンブルで、なぜなら三店交換方式が…といった、典型的な説明の仕方は現在では古いということを、まず事実関係として知っていた方がよいと思います。
    新宿会計士さんの主張はよく分かるんですが、もはやパチンコ業界自身もパチンコはギャンブルではない、遊技です的な説明をしていませんよ。
    業界の今の説明の仕方は「パチンコはギャンブル?その通りですよ。ただし、合法ですけどね。三店交換方法はずるい?ならばおたくの業界も努力して権利を勝ち取れば良いのでは?」といった感じですね。
    気に入る気に入らないは別にして、現に厳しい規制の下、合法で運営しているのが事実関係です。
    そこは念頭に置いておかないと某ひろゆき氏と言動が変わらなくなってしまいます。

    • >気に入る気に入らないは別にして、現に厳しい規制の下、合法で運営しているのが事実関係です

      「それってあなたの感想ですよね?」(笑)

    • いろいろツッコミどころだらけですね。
      本件については『日本語力不足?パチンコを「合法」と言い張るコメント』でウェブサイトのネタに利用させていただきました(記事公開は本日10時30分の予定です)。もし反論があれば同記事を熟読したうえで、「なぜパチンコは合法なのか」を、「具体的な法律の名前を挙げて」、説明してくださいね。

  • >このように述べると、「いや、パチンコ・パチスロは違法ギャンブルじゃない」、などと強弁する人もいるかもしれません

    野暮を言ってはいけません。同様に

    「自衛隊は軍隊ではない」とか「ソープランドは
    売買春」ではないというのもあります。
    でも、これらの小学生すら真面目に信じないような
    お題目でも公の席では「信じてる」フリをすることは
    現代日本を生きる日本人に課せられた義務であり伝統
    です。

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