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年内解散はあり得ない話ではない

本稿はちょっとしたショートメモです。共同通信は土曜日、「年内の衆院解散は困難になった」とする趣旨の記事を掲載しました。日程がタイトだというのがその理由ですが、正直、解散総選挙が困難だという理由にはなっていません。その意味で、ミスリーディングです。

年内衆院解散・総選挙はあり得るのか――。

これについては以前の『解散総選挙の可能性を日程で読む』でも指摘したとおり、年内解散は日程的にタイトではあるものの、絶対にあり得ない話ではありません。

そもそも戦後、衆院選は27回実施されていますが、このうち約半分の14回は10月から12月までの3ヵ月間に行われています。これに対し、1月から9月までの9ヵ月間については、13回しか選挙が行われていません。とりわけ3月に選挙が行われた事例は皆無です。

過去の衆院選が秋口に行われることが多い理由は、おそらく、政治日程にあります。例年、1月以降は通常国会が始まることが多く、とくに3月は予算の成立期限でもあるため、衆院を解散している日程的な余裕がないのでしょう。

この点、報道等によれば、岸田内閣はまずは補正予算案の成立を急ぐ考えだそうです。

つまり補正予算案を迅速に成立させることができれば、そこから年内解散・総選挙、というシナリオもないわけではありません。

ただし、現実に解散してから総選挙が行われるまでには、だいたい3~4週間前後のタイムラグがあります。

そして、総選挙が行われるのは通常日曜日ですので、12月の選挙日程が10日、17日、24日のいずれかに行われるとして、解散から総選挙まで23~25日程度の期間が必要だとしたら、現実的には解散する日付は、逆算して11月16日、22日、30日のいずれかです。

  • 11月16日までに解散→12月10日総選挙
  • 11月22日までに解散→12月17日総選挙
  • 11月30日までに解散→12月24日総選挙

補正予算は自民党の党内で議論し、衆参両院の承認を取る必要があるため、どんなにに急いでも11月16日までに成立させるのは少し難しいかもしれません。ただ、11月22日に間に合えば12月17日総選挙、11月30日に間に合えば12月24日総選挙、という可能性が出てきます。

その意味で、日程的にはタイトではあるものの、「補正予算案を成立させて年内解散総選挙」という可能性は決して非現実的なものではないのです。

こうした文脈で、共同通信が土曜日に配信したこんな記事を読むと、ちょっと首をかしげてしまいます。

衆院解散、年内困難に 首相、補正予算成立優先

―――2023/10/07 06:01付 Yahoo!ニュースより【共同通信配信】

共同通信は、「岸田文雄首相が20日召集の臨時国会で、経済対策の裏付けとなる2023年度補正予算成立を優先させる方針を固めた」ため、「衆院解散・総選挙の年内実施が困難な情勢になった」とやや断定長に報じました。

ちなみに情報源は、「複数の政権幹部が6日、明らかにした」、とあります。

ほかにも12月上旬にはさまざまな国際会議、24年度予算編成なども控えている、といった事情もあるとのことですが、正直、あまり理由になっていません。

ちなみにメディアが「政権幹部が明らかにした」と報じるときは、それを「明らかにした政権幹部」の個人的な願望であることも多いと考えられますが、共同通信のこの報道は、ややミスリーディングでもあります。

いずれにせよ、現時点において「年内解散はあり得ない」と断定できるものではないことは間違いないでしょう。

新宿会計士:

View Comments (7)

  • 年内解散はありえないとおもう。
    理由は、岸田総理が決断力に乏しく、優先順位を見誤るからです。要はずるずる現状維持しかできない。自民党派閥であれこれ揉めて政策自体はっきりしない。
    今年もあと2か月と少し、今まで何をしたのかWEBで検索したが何も出てこなかった。

  • とにかく選挙をしたい。
    現職総理大臣の落選を見たい。
    増税とバラマキしか脳が無い総理なんて国が滅びる基。
    次の心配も有るがこれ以上悪い奴が出ることは無い?だろう。
    とにかく子供を産むことが出来ない、生もうと思えない国は国では無い。

    • トリガー条項や減税には難色を示すのに
      広島サミットを成功させるためにLGBT法案に行動力を発揮するのは呆れましたね。
      これぞ無能な働き者!!

    • 河野とかセクシーなら普通にそれ以下やらかしそうなんですよねえ・・・

  • 選挙となれば、自民党も公明党もあまりの不人気ぶりに落胆はかくせない。くわえて小渕優子の選挙対策委員長や松川るいの再起用など、人事も不評では勝てる要素は何もない。おれは岸田は解散は打てないんではないかとおもう。代わりの人材がいないといわれるが菅義偉前総理大臣当たりの再評価がたかまっている。氏が決断すれば菅義偉第二次政権もあるのではないか。ただし小泉進次期、石破茂、河野太郎の起用は国民的にはどうだろうか。黄金の三年間といわれていたが拙い政権運営で見事瓦解した。ざまぁみろ!である。

  •  衆院解散・総選挙は首相の専権事項ですので、岸田首相がやると言えば出来るので、その意味では全くない話ではない、と言えます。
     しかしながら、内閣改造・党役員人事をしても支持率上がらず、減税話を吹かしても国民にその意図を見抜かれ、の状態で、自公が過半数ギリギリに追い込まれ、レームダック状態になるリスクを覚悟しても、僅かな勝利の可能性にかけたい、と岸田首相が思わない限り、ないでしょうね。そして岸田首相はそのような決断ができるタイプではありません。
     年明けまでに期待できる”神風”は何かありますかね。もともと財政再建論者と思われてきた岸田首相が、この後に及んで所得税減税?いやあ「何をやりたいのか分からない政権」もほどほどにしてもらえませんか?

  • 岸田君は嫌いではないけどもうダメでしょう。早稲田出身の総理はみな短命だ。石橋湛山がその千例をつくった。アーメン。上川新外相が誕生しるでしょう。