X

その会話の一体何が悪かったのか

女性「旅行に行った」→男性「へー。どこに?」→女性「沖縄」→男性「何食べた?」→女性「ゴーヤーチャンプルー」。この会話のいったいどこがどう問題なのでしょう?真剣に理解できません。SNS上でとあるユーザーが投稿していた内容を読むと、これは会話の「悪い例」なのだそうです。なんだかよくわかりませんが、いずれにせよ世の中にはさまざまな人がいらっしゃるものです。

SNSにはいろんな人が!

X(旧ツイッター)などのSNSを眺めていると、正直、話題は尽きません。「興味深い」、「参考になる」などの感想を持つポストも多数あるからです。

ただ、すべてのポストに対し、必ずしも「興味深い」、「参考になる」という感想を持つ必要はありません。なかには「あれ?おかしいな?」と思うようなものもあるかもしれないからです。

というよりも、そもそも人々の意見は多様なものであり、それらを知ることで、私たちは「世の中にいろいろな人がいるのだ」ということを知ることができるわけです。その意味では、SNSなどの空間では、自分にとって賛同できない意見にも、積極的に耳を傾けることに意義があるのではないでしょうか。

「会話の最初に質問してはいけない」

こうしたなかで発見したのが、「会話の最初に質問してはいけない理由」と題した、マンガ風の絵です。

とあるユーザーがXに、「来月で結婚してまる1年になる」としつつ、「(この)画像を夫に見せたら『これは日本の全男性見た方がいい』と言われた」と称して投稿したのが、こんな趣旨の画像です(著作権を主張されると困るので、いちおう、原画は使用せず、また、内容も微妙に変えています)。

『会話の最初に質問してはいけない理由』

(【出所】SNS投稿をもとに著者再現。ただし内容は微妙に変えてある)

どうやら点線の上半分が「悪い例」、下半分が「良い例」だそうです。

このうち「悪い例」は、女性が男性に対し、「旅行に行ってきた」と話を切り出したところ、男性がこれに「へー どこに?」と聞き返し、これに女性がムスッとして「北海道」と答え、男性が「何を食べた?」と尋ねて女性が「ジンギスカン」とぶっきらぼうに答えて会話終了、だそうです。

(※上記図表では再現できていませんが、原画では旅行の行き先と答えたあたりから女性の表情が明らかに不機嫌になっています。)

おそらくこの女性が本当に話したかったのは、「旅行で素敵な人と出会い食事をして連絡先を交換した」という自慢話(?)なのだと思いますが、男性が「どこに旅行に行ったの?」と返したがために、自分の意図せざる話の展開になったことに怒っているのでしょう。

「良い例」はさらに意味不明

これに対して「良い例」は、女性が男性に「旅行に行ってきた」と切り出すところは同じですが、男性がこれに「いいね!」と返し、女性が「ホテルが最悪だった」と応じ、男性が「口コミと一番違ったのは?」と促すと、これに「スタッフが~」、「ゴハンが~」とグチグチ返す、という展開です。

少なくとも山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士の場合、この「悪い例」のどこが悪いのか、さっぱり理解できません。会話はキャッチボールのようなものであり、(その人との関係性にもよりますが)相手が「旅行に行った」と言ってくれば、常識的には「どこに行ったの?」と聞きたくなるのが人情ではないでしょうか。

それに、「男性が」、「女性が」と決めつけるのも個人的には違和感を覚えますし、世の中の女性がすべてこの漫画に出て来るようなタイプとも思えません(もちろん、世の中は広いので、なかには「私の話を聞きなさいよ」、というタイプの人がいることは否定しませんが…)。

一方で「良い例」の方を眺めていると、女性の「旅行に行った」に対する男性の理想の反応がまず「いいね!」なのだそうですが、これもなんだか偏見に満ちているように思えてなりません(実際、SNSでは「妻に『いいね!』で返したら、妻から『ちゃんと話聞いてよ』と怒られた」、といった反応もありました)。

ただ、それ以上に理解に苦しむのは、下の「良い例」の会話、眺めていてちっとも楽しそうじゃないところです。

この設例の女性、「旅行に行った」けれども、「ホテルは最悪だった」、「スタッフが~」、「食事が~」、と、要するに愚痴を聞いてほしいだけだったのかもしれません(どうでも良いのですが、「悪い例」に出てきた「素敵な人と出会って食事をして連絡先を交換した」は、いったいどこに行ったのでしょう?)。

会話のキャッチボール

あくまでも個人的な感想を申し上げるならば、「旅行に行った」と話を切り出されたら、その人が話したい内容は「旅行のこと」だと判断してしまいますし、また、こちらも「どこに旅行に行ったの?」と条件反射的に相槌を打ってしまうでしょう。

それなのに、これを「悪い例だ」などと言われてしまうならば、そのような相手とは会話自体が成り立たない気がします。

おそらくこの人が一番言いたかったのは、「旅先で何を食べたか」ではなく、「旅行先で素敵な人と出会って食事して連絡先を交換した」ことだったのだと思いますが(そのわりに「良い例」では愚痴ってばかりいますが)、そうならば、最初から、「旅行で素敵な人と出会ったの」、とでも言えば良かったのではないでしょうか。

いずれにせよ、この原画を描いた方とは面識はありませんが、世の中にはいろいろな人がいるものだと思う次第です。

(※なお、「この会話は典型的なカウンセリングではないか」、といった趣旨の引用リポストが、昨晩時点で1万件を超える「いいね」を集めていたことについては、ここだけの話です。)

新宿会計士:

View Comments (31)

  • この件いおいて「日常会話において、女性は自身の主観的な感想を伝え共感を得る事を目的とし、男性は客観的状況を伝達する事を目的としているという違いで善悪とは関係無い筈である」という主様の感想には共感出来ます。 (あれっ?)

  • この記事を読んで、どこかで聞いたような話だなと思ったら、

    「話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く 」
    という本が2000年頃にベストセラーになったことを思い出しました。
    当時は、ほんとに話題になりました。

    会話が女同士なら、下のような順序で進むんでしょう。
    男同士なら、上のような順序で進むんでしょう。

    当時と違うのは、

    >「(この)画像を夫に見せたら『これは日本の全男性見た方がいい』と言われた」

    多分、この(初心な)夫には、地球外生物にでも出会って会話した位の驚きで、こりゃ皆に知らせなきゃいけない、と思ったほどの新発見だったのかもしれない・・・、ですね。

    確か、「男と女の間には深くて暗い川がある」という演歌もあったような・・・。
    それ位に、男脳と女脳は、違うらしい、です。

    2000年の、件の本のベストセラー以降、女性の話は良く聴き(流し)ましょう、と心がけた男が増えたことは間違いない!
    何故なら、脳の構造が元々違うのだから。
    そして、女性も、男の話は聞き流しているているに違いないから。

    • 付け加えますと、

      >この会話は典型的なカウンセリング

      という大袈裟なこととは違うと思います。
      男脳、女脳、のお互いの違いを知って付き合うことが大切だろうという、「お互いの違いを理解することで理解し合える」という逆説的真理?の問題ではないかと思います。
      「あいつはそういうヤツだ」とお互いに知っていれば、お互いに付き合えるということは結構あります。
      それには、カウンセリングが必要だと言われればそれまでですが。
      それよりも、先述の本を読んだ方が手っ取り早いかもしれません。

  • 女性が伝えたかったのは北海道に旅行に行って本場のジンギスカンを食べておいしかったことなのかもしれませんし、そのように伝えたい人もいるかもしれません。
    素敵な云々はSNS投稿された方の思い込みで、思い込みから女性が怒っているように脚色したのかもしれません。
    本当だとしても人それぞれで何が良くて何が悪いのかは結果論でしかありませんね。

  • 知り合いの女性が、これは個人の癖なんですが、上機嫌で話をしだすと、細かい脱線をしながらも「ほんでね」と話題をインターセプトして、話題を言いたかった本筋に戻します。
    会話が楽しそうだな(2者対面では無く私はその他大勢で聞いていた)と思ったので、次から「ほんでね?」とこちらから相槌の一つに答えてみました。これは今のところ上手く行ってると思います。「what’s the point?」ととは微妙に違うのが今のところ良い様です。

  • 伝えたいことは相手に促すことではなく、自分から提示して会話を続けないとな。
    この件の「良い例」は自己満足でしかない。
    ほぼ、社会生活で苦労するだろうよ。

  •  投稿内容は無茶苦茶ですが、これを「全男性に見せるべき」とまで共感して見せてあげた夫(が実在ならば)は、投稿主を相当うまく御せる稀有な方か、日常的に虐げられているかどちらかだなぁと。
     もうひとイライラしたい方は、
    「バッテリー女」
    「リンゴをどこで買った」
     で検索検索。

     にしても、いらすとや有能。

    • 男「3個のリンゴをどこで買ったか聞いてほしいんだろ?で、残り2個のリンゴを一緒に買いに行ってほしいんだろ?」
      女「不正解。3個と2個を足したら5個でしょ?」

  • 男性が会話に求める事は「情報交換」と「問題解決」だと思う。
    男性は、会話の中から有益な情報を自己にインプットし、目の前にある問題をいかに解決するかを常に模索しているのだと思う。

    女性が会話に求める事は「共感」だと思う。
    女性はとにかく自己が主張することを否定されたくない。どんなネガティブな事もその問題の解決を求めているわけでもなく、ただ聞いて感じて欲しいだけだと思う。

    私が思うのは、女性は、「話していないと死んでしまう病」にかかっているのではないかと思うほど、常に何か話しているように思う。井戸端会議でおばちゃん3人集まって、3人が別々の話をしているのに会話が成立しているというホラーを聞いた事がある人も少なくないと思う。

    会話の目的が違うのだから、男女の会話はやはり難しいものだと言わざるを得ないと思います。

    (※女性を侮蔑するつもりは一切ありません。あくまで私の考えです。)

  • まあ、ポリコレ的主張に違和感を感じることがままあるのは、要するにこういうことなんでしょう。自分の意図を100%汲むことを要求するけど、他人の意図なんぞ知ったことではないということですね。

  • 僕と女友達との会話の場合
    女友達「旅行に行った」
    女友達「北海道に行ってさ」
    女友達「ジンギスカン食べに行ったんだけど~」
    女友達「それがさ〜聞いてよ!」
    女友達「口コミと違ってさ~」
    〜~
    女友達「〜〜!〜w〜!!」
    僕、一言も発していない模様。会話は楽しいな!

1 2 3