内閣改造を受けてでしょうか、いくつかのメディアからは緊急で内閣支持率調査が出てきました。といっても、支持率が急伸した共同通信の調査結果を除けば、基本的には支持率・不支持率ともに横ばいです。もっとも、重要なことは岸田改造内閣が良い仕事をするかどうかであり、それを受けて私たち有権者としてもその仕事ぶりをきちんと評価し、次回選挙では賢明に行動することです。
メディアの支持率調査は「藪医者の健康診断」
「メディアが実施する内閣支持率調査は『藪医者による健康診断』のようなもので、そこそこの傾向は掴めるかもしれないにせよ、そもそも全幅の信頼を置くべきものではない」――。
当ウェブサイトでは常々、そのように指摘してきたつもりです。
実際のところ、内閣支持率調査で支持率が急落していたにも関わらず、時の政権が果敢にも解散総選挙に踏み切り、与党が勝利を収めたという事例も過去にはあります。「もりかけ」問題が大騒ぎされていたわりに、蓋を開けてみたら自民党が大勝利を収めた2017年10月の衆院選など、その典型例でしょう。
(※ただし2017年10月の選挙は最大野党だった「民進党」の自爆、という側面が非常に強く、小池百合子・東京都知事が主導して作った「希望の党」に民進党側が「抱き着き」を図ったところ、小池氏が「排除の理論」を持ち出し、それで排除された左派が立憲民主党を作った、という経緯もありますが…。)
また、メディアが実施する世論調査については、一説によると何らかの「補正」がなされていることも多いらしく(たとえば回答者の年齢などの属性に応じた補正など)、酷い場合には客観性そのものに疑義があり、そのメディア自身の希望的観測が織り込まれているフシがあるものも見受けられます。
当ウェブサイトではおもに6つの世論調査(読売新聞、朝日新聞、時事通信、共同通信の4社の調査と、産経・FNN、日経・テレ東の2つの合同世論調査)を「定点観測」的に追いかけていますが、当ウェブサイトでは基本的に引用しない某社の調査は、正直、客観性が疑わしいところです。
(※かといって、6つの世論調査を「全面的に信頼している」というものでもありませんので、ご留意ください。)
最新で3つの世論調査:共同通信除き「横ばい」
さて、またしても前置きが長くなりましたが、本題です。
岸田文雄首相が13日、内閣改造に踏み切りましたが、これを受けて、とりあえず確認できた限りにおいては、日経・テレ東と共同通信、読売新聞が14日までに世論調査を実施し、結果を公表しています。
図表は、2023年8月に実施された6つの調査と、今回公表された3つの世論調査を一覧にしたものです(したがって日経・テレ東、共同通信、読売新聞の3調査については、重複して登場します)。
図表 内閣支持率(2023年8月~9月)
メディアと調査日 | 支持率(前回比) | 不支持率(前回比) |
時事通信(8/4~7) | 26.6%(▲4.2) | 47.4%(+8.1) |
共同通信(8/19~20) | 33.6%(▲0.7) | 50.0%(+1.4) |
朝日新聞(8/19~20) | 33.0%(▲4.0) | 54.0%(+4.0) |
産経・FNN(8/19~20) | 41.5%(+0.2) | 53.5%(▲0.9) |
日経・テレ東(8/25~27) | 42.0%(+2.0) | 50.0%(▲1.0) |
読売新聞(8/25~27) | 35.0%(±0) | 50.0%(▲2.0) |
日経・テレ東(9/13~14) | 42.0%(±0) | 51.0%(+1.0) |
共同通信(9/13~14) | 39.8%(+6.2) | 39.7%(▲10.3) |
読売新聞(9/13~14) | 35.0%(±0) | 50.0%(±0) |
(【出所】各社報道をもとに著者作成)
これで見ると、全体的な傾向として、支持率は下げ止まり、不支持率も頭打ちとなっている傾向が確認できます。敢えて今回の結果に「理由」を付けるとしたら、岸田政権が福島第一原発のALPS処理水放出を毅然と実行したことでしょうか。
日経・テレ東の調査、読売新聞の調査だと、支持率、不支持率ともにほぼ横ばいです(また、読売調査によれば自民党支持率は前回比+1ポイントの31%、日本維新の会が前回比横ばいの6%、立憲民主党が前回比+1ポイントの4%でした)。
共同通信の結果には不自然な点も!
しかし、とくに共同通信の調査だと、前回と比べて支持率が6.2ポイントも上昇した一方で、不支持率は一気に10.3ポイントも下落しています。結果、支持率と不支持率はほぼ拮抗しました。
ただし、このうちとくに共同通信の最新版調査には、不自然な点もあります。産経ニュースの次の記事によれば、今回の共同通信の調査では、内閣改造・自民党役員人事については「評価する」が37.6%、「評価しない」が43.9%だったのだそうです。つまり、「評価しない」人の方が多かったのです。
岸田内閣支持39・8%、6ポイント上昇 共同通信世論調査
―――2023/9/14 19:57付 産経ニュースより
評価しない人の方が多いのに、前回と比べて支持率が6ポイント以上も上昇し、不支持率が10ポイント以上も下落し、支持・不支持が拮抗しているというのは、なんだか自然に考えて理解に苦しむ現象です。
もっとも、内閣改造・党役員人事の直後には、人事の刷新感が出るためか、内閣支持率は上昇する傾向が見られるものです。何となく新しい内閣に期待する雰囲気でも出るためでしょうか(もちろん、「支持率が信頼に値するならば」、という当前提条件もつきますが)。
そして、本当に注目すべきは、おそらくは内閣改造ではなく、解散総選挙でしょう。
解散総選挙:過去の事例は?
私たち一般人が岸田文雄首相本人に、ご自身の胸中を直接尋ねることはできませんが、想像するに岸田首相の頭のなかは、1年後の自民党総裁選で占められていることでしょう。
たとえば、木原誠二・内閣官房副長官を交代させたのも、一部メディアの(なかば冤罪じみた)スキャンダル報道が選挙に影響を与えることを恐れたためかもしれませんし、河野太郎、高市早苗両氏を閣内に留め置いたのも、自民党総裁選に出馬しないよう牽制するという意図のあらわれと見るのが自然でしょう。
ただ、一般論としていえば、自民党総裁という立場にある者が総裁選での再選を狙う場合は、自身が衆院解散を仕掛けて選挙を戦い、ある程度の手堅い勝利を得たいという希望があるはずです。
たとえば自民党総裁として三選された故・安倍晋三総理大臣の場合も、偶然でしょうか、総裁選の前年には解散総選挙を仕掛け、自民党を大勝させています(※ただし、2003年9月の自民党総裁選後、同年11月に総選挙を実施した小泉純一郎元首相のような事例もありますが…)。
このあたり、岸田首相にとっては、やはり「安倍型」のパターンを踏襲し、総裁選までになんとか解散に持ち込みたいと思っているのかもしれませんが、ずるずると解散できないままという可能性もあります。
こう考えた場合、河野、高市両氏を閣内に、茂木敏充氏を幹事長職に留めたのは、自民党総裁選までに解散ができなかった場合の「保険」なのかもしれません(自民党の慣例上、総裁選に出馬する場合は閣僚や党四役などの役職に就いていないことが条件とされているそうです)。
いずれにせよ、国内外に課題が山積するなか、最も重要なことは、岸田改造内閣が良い仕事をするかどうかであり、私たち有権者としてもいつ解散総選挙があっても大丈夫なように、岸田政権の仕事ぶりをきちんと評価し、次の選挙では賢く行動することが必要であることは言うまでもないでしょう。
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所詮、人間というものは、相手の仕事ぶりでなく、(本心では)相手が好き嫌いかで評価するのではないでしょうか。つまり、嫌いな相手なら「もっと上手く出来たはずだ」ということです。まあ、他の人の「こいつ、何を言っているんだ」という目があれば、建前は整えますが。
蛇足ですが、今の時点では、岸田改造内閣は、好き嫌いでしか評価しようがないのではないでしょうか。
>重要なことは改造内閣の仕事ぶり
全くその通りなのだが、組閣以前に、仕事ぶりが期待出来る政治家が皆無な事が思い出されてしまう見出しが寂しい。
林大臣の任期期間中、マスコミがあからさまに大臣を批判してたと言うようなことは知らない。むしろよくやっているというような評価はあったかもしれない。
それでも大臣を交代させたのはさすがの岸田もネット世論の評価を気にしていたということだろうか。もしそうなら、オールドメディアよりネットの影響力が大きくなっているということかもしれない。
よいことだ。
次の課題は、いつ解散総選挙に打って出るか、ですよね。理屈は後から付いて来るでしょうから。私は、来年年明けと予想します。それで自公が過半数を維持(勝ちも負けもしない、維新躍進、立民凋落)し、岸田再選の流れ、かな。百田新党は間に合いますかね?
ツイッター登録者がどんどん増えていますね。なんと自民党を追い抜きそうです。
候補者が各ブロックで揃えば比例で国政政党の基準をクリアできるかもしれませんね。年明けだったら間に合うのではないかと思料します。
権力争いが大好きな自民党、あら探し専門反対提言なしの内向き立憲民主党、自党の問題議員を処分しない維新の会、中国大好き「南無妙法蓮華経」公明党、連立はいるか入りませんか悩む国民民主党、、、なんのことないただの内ゲバばっかしじゃん。江戸時代が終焉をむかえ、明治の黎明期に命を賭して奔走したたぎる志しをもった「憂国の士」が居ないいまの日本。中、露、北、韓の敵だらげでこの難局をどうのりきるのだろうか。核保有は?自衛隊は?高騰するエネルギーは?尖閣諸島は?竹島は?北方諸島は?台湾有事は?パフォーマンスばかりの岸田文雄ウルトラスーパースペシャル大バカ総理は大事な問題は何一つ解決しない。
改造内閣ですが、重要閣僚の財務相、官房長官は留任なので、今後の期待値は推して知るべし、といった所でしょうか。外相は未知数ですが、宏池会なので親中親韓でしょう。今の中国は米国の攻勢で低迷期に入った感もありますが、油断はできない。中国の動向は日本の経済や社会問題に関わる事なので、今のように国土を平気で売り払う、技術を平気で盗まれる(与える?)、まさに売国奴的な現状の政策が改まらないか注視したいです。防衛相は安倍首相が評価していた人物とのこと。期待してます。財務相は評価以前の問題です。増税カウントダウンが始まってる。これは首相が代わるしか回避する方法は無い。
>重要なことは改造内閣の仕事ぶり
私も全く持ってそのとおりだと思います。
が、岸田内閣には何も期待していません。ボンクラ総理が変わらない限り、内閣の仕事ぶりが劇的に変わって、、、、、なんてことは起こらないと確信しています。ボンクラはボンクラのままです。