自社の製品・サービスを宣伝するときに、ライバル会社の製品・サービスの罵倒ばかりする会社というものは、あまり聞いたことがありません。しかし、政界だとそのような政党が存在するようです。最近の支持率調査では、現在の最大野党である立憲民主党は野党第2党である日本維新の会に、支持率で逆転されることも増えてきました。こうしたなか、産経ニュースによると、立憲民主党が最近、日本維新の会に対する批判を強めているのだそうです。
目次
自社の宣伝≠他社の批判
ビジネスを営んでいると、ライバル企業の動向には気を配ることが多いのではないかと思います。
ときとして同じ業界として協調することもあるかもしれませんが、やはり熾烈な競争をしているなかで、価格、製品、サービス等で日々、差別化を図り、少しでも自社を選んでもらうべく努力するのが、自然な流れではないでしょうか。
こうしたなか、著者自身の主観ですが、いくつかの業界について眺めていて、「他社を公然と貶める」という業界は、さほど多くありません。
この点、「比較広告は国によっても差がある」、「米国では同業他社を名指しした比較広告が一般によく見られる一方で、日本の場合、あまり露骨に自社製品と他社を比較する広告は多くない」、などとする意見を見かけることもありますが、この点については正直、個人的にきちんと検証したわけではありません。
ただ、ひとつ間違いないことがあるとすれば、通常、自社の製品・サービスを宣伝する際には、「自社の製品やサービスが同業他社のそれと比べて優れているポイント」を中心にアピールすることが一般的であり、他社の悪口をメインにすることはあまりない、という点でしょう。
たとえば携帯電話会社の場合、自社のサービスのつながりやすさ、通信の速度や安定度合い、値段などをアピール点として強調することはあるかもしれませんが、他社のサービスに対し「つながりにくい」、「通信が安定しない」、「サービスが悪い」などと強調するような広告を打つことは、ちょっと考えられません。
(※もちろん、目を皿のようにして探せば、なかにはそんな事例もあるのかもしれませんが、少なくとも個人的に、そのようなものを見た記憶がありません。)
ストレートに自社製品の宣伝をしたら良いのに…
考えてもみれば、当然です。
他社の製品、サービスを貶めたところで、必ずしも自社の優位性を宣伝することにはつながるとは限らないからです。
たとえばA社、B社、C社と3社ほどが存在する業界があったとして、最大手のA社に対し、業界2位のB社が「A社の製品の品質は劣悪だ」、とばかり宣伝していたとしても、それがB社自身の製品のファンを増やすことに、自動的につながるものではありません。
もちろん、B社の「A社製品は酷い」という宣伝が事実に基づいていたとしたら、なかにはA社からB社に製品を乗り換える人もいるかもしれませんが、「A社製品が酷い」という事実が存在しなかった場合はどうでしょうか。
A社製品のファンはむしろA社の製品をますます愛用し、B社のことを嫌うようになるかもしれませんし、また、A社製品からC社製品に乗り換える人もいるかもしれませんが、B社の顧客を積極的に増やすという保証はありません。
B社が自社の顧客を増やすためには、やはりストレートに、自社の製品の優位性を宣伝するのが手っ取り早いのではないでしょうか。
立憲民主党は最大野党だが…批判ばかりしていませんか?
なぜこんな事例を挙げたのかといえば、「公然と他社をけなす」ことが定着している「業界」が、ひとつ存在するからです。
そう、政界です。
立憲民主党といえば最大野党ですが、現時点での勢力は衆議院(定数465議席)で96議席(共通会派ベース、副議長を除く)、参議院(定数248議席)で40議席(社民含む、副議長除く)であり、議席占有率でいえば衆議院で2割少々に留まり、参議院だと2割を切っています。
すなわち、野党第1党にしては、議席占有率が低すぎるのです。
少々厳しい言い方かもしれませんが、その理由は何なのかと問われれば、やはり立憲民主党自身のスタンスに求められるのではないでしょうか。立憲民主党自身が自党の優位点をアピールできていないからです。
立憲民主党といえば、総務省の内部文書と称する怪文書をもとに、高市早苗・経済安保担当相に辞職を迫った小西洋之・参議院議員に代表されるように、どうも国会議員の仕事を「政府閣僚や与党議員のスキャンダルを追及すること」だと勘違いしている議員も目立ちます。
しかし、国会議員の本来の仕事は、あくまでも「立法」であり、追及ではありません。
与党だろうが野党だろうが、国家の発展と安全のために必要な法律の成立に尽力し、そうでない法律を成立させないために努力すべきなのですが、立憲民主党議員らのなかにはこの本分を忘れ、あたかも自分たちの「議員としての生活」を最優先にしているかのような人たちも多く見かけるのです。
今度の矛先は日本維新の会=産経
こうしたなかで、立憲民主党を巡って、産経ニュースに6日、こんな記事が掲載されていました。
立民、強める維新批判 支持率で下回り危機感…
―――2023/09/06 19:15付 産経ニュースより
記事のなかで産経は、立憲民主党の今度の批判の矛先が、最近、日本維新の会に向いていると指摘します。
「両党は今春まで対政府・与党でスクラムを組んだ仲」だが、「(立民は)2025年の大阪・関西万博に焦点を当て、維新への批判を強めている」。
産経の見立てによると、両党は憲法などの基本政策の違いから袂を分かって以降、次期衆院選で野党第1党の座を争う「ライバル関係に変わった」ことに加え、最近の各種世論調査では維新の支持率が立民を上回る傾向が続いていることから、立民の「攻勢は危機感の表れ」、ということなのだそうです。
(ちなみに「袂を分かつ原因」を作ったのは、小西洋之氏ですが、これについては以前の『小西問題で共闘凍結の維新・立憲、入管法対応で亀裂も』などもご参照ください。)
「サル・蛮族」発言などで知られる小西洋之・参議院議員は、じつは、日本にとって大変良い仕事をしたのかもしれません。立憲民主党と日本維新の会の共闘を凍結させたからです。こうしたなか、例の「入管法改正案」を巡り、維新が現実路線を歩む一方、立憲は「対決路線」に回帰したようです。時事通信によると両党内では共闘の解消を求める声も漏れているそうですが、その可能性は高いでしょう。小西問題小西洋之・参議院議員が総務省の内部文書(小西文書)をもとに高市早苗・経済安保担当相を追及した問題、衆院憲法審査会メンバーを... 小西問題で共闘凍結の維新・立憲、入管法対応で亀裂も - 新宿会計士の政治経済評論 |
もちろん、この「立民の攻勢は危機感の表れ」との見方は産経の独特のものですが、それと同時に、両党のいざこざについてはさまざまな伏線があることも事実でしょう。維新の馬場伸幸代表が立民や日本共産党について挑発的な発言をしたこと(『維新・馬場代表が立憲・共産発言「撤回・謝罪しない」』等参照)もその例です。
自民党がLGBT法などで保守層の失望を買っているのではないかとする仮説を持てば、当然、日本維新の会が自民党に失望した保守層の受け皿となる効果が生じることが予想されます。こうしたなか、維新の馬場代表は立憲民主党を「いても何も良くならない」、日本共産党を「日本からなくなったら良い政党」などと述べた件に関連し、26日、記者団に対して、発言の謝罪や撤回をする気は「まったくない」と断言したようです。支持率は続落中先日の『読売の調査でも支持率続落…維新・立民逆転状態も拡大』でも取り上げたとおり、読売新聞の調... 維新・馬場代表が立憲・共産発言「撤回・謝罪しない」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
これについて、産経の記事によれば、立民の泉健太代表は6日夜のBS番組で、馬場氏の7月の「(立民が)いても日本は何も良くならない」、「(共産党は)日本からなくなったら良い政党」などの発言に「苦言を呈した」のだそうです。
また、岡田克也幹事長も先月29日の記者会見で、「頭から他党の存在を否定するような言い方は容認できない」として、馬場氏の姿勢を問題視した、などと記載されています。
とりあえず生暖かく見守ってみる…?
しかし、正直、「他党を批判する姿勢」が目立つという意味では、むしろひどいのは立憲民主党の方ではないか、との疑念は払拭できません。
もちろん、著者自身を含め、日本維新の会が自民党や立憲民主党を上回るほどに「素晴らしい政党」なのかどうか、という点については、疑問を抱く人も多いでしょう。
ただ、自民党のLGBT法強行や岸田政権の理不尽ともいえる対韓譲歩以降、「岩盤保守層」を中心に自民党に不信感を持つ人が増えているなかで、維新の「第二自民党」発言は、同党が自民の「受け皿」となり得る可能性を示した、という点には注意が必要です。
結局のところ、選挙というものは「無条件に素晴らしいよりどりみどりの候補者群から、さらに優れた人物を選ぶ」という手続ではなく、むしろ時としてゴミのような人物・候補者のなかから、最もマシなゴミを選ばなければならない手続でもあるのです。
こうしたなかで、立憲民主党が「他人を批判するだけの政党」なのか、それとも「なにか前向きな提案をすることができる政党」なのかが厳しく問われている局面にあることだけは間違いありません。
早ければ今秋にも行われるかもしれない衆院解散・総選挙で、泉代表の進退ラインである「150議席前後」まで勢力を伸ばすことができるか、それとも維新にすら逆転されて野党第2党に転落してしまうかについては、今後の展開に要注目、といったところでしょう。
(※「わざわざ注目しなくても、結果は見え見えじゃないか」、といったツッコミは、とりあえずナシで、生暖かく見守ってあげることをお願いしたいと思う次第です。)
View Comments (24)
相手を批判しようと思えば、そのネタは必ず見つかる、ということでしょうか。
>ストレートに自社製品の宣伝をしたら良いのに…
たぶん新宿会計士様が勘違いしてるんだと思うのです♪
立憲民主党にとっての自社製品は「政策」だと思っていませんか?
きっと彼らにとっての自社製品は「政府や他党への批判」なんだと思うのです♪
国家や国民の安全とか繁栄をどうやって確保しようかなんて、どうでも良いのです♪
他者を貶しめて舌鋒鋭く批判する爽快感。それを視聴しときには街角で一緒に行動することでの一体感。
そういったものこそが、お客である支持者に提供する彼らの商品なんだと思うのです♪
パンとサーカスのサーカスだと思うのです♪
サーカスやなくてカスやな
昔、悪いことしたら
サーカスに売り飛ばすよ‼️
って、
親によく言われました。
おれは嘘は泥棒のはじまりっていわれた。
こちら関西では「吉本に売り飛ばす」と言われるw
>きっと彼らにとっての自社製品は「政府や他党への批判」なんだと思うのです♪
自社製品ではなくてマスゴミや週刊誌から仕入れてる転売商品ですけどねw
>ライバル会社の製品・サービスの罵倒ばかりする会社
マクド愛好家であられる新宿会計士様の敵ともいうべき企業があるではないですか。
https://togetter.com/li/2113905
https://inspiration-hack.com/burgerking-ad/
立憲と違ってこちらは嫌いではありませんむしろもっとやれ。
まぁ、ハンバーガー評論家の立場としては、「うまい」が正義だけどねw
正直、それにコスパの問題も出て来る。マクドvsバーキンの戦いはこれから。
あぁ、バーキンが「不味いくせにマクドナルドの悪口に全力投球している」わけでは全くないので、同列では無かったですね。
田舎にも出店してくれぇ……うちは宅配ピザすら圏外なんや……
マクド・ナルドの魅力は何といってもHappyセットを含めたバーガー以外のラインナップの豊富さ。ちなみに最近の一押しはメロンフロート+倍ビッグマクド+ポテナゲ大盛りのセットだが物価上昇の折コスパの良さではエグチを毎週のように服用
この辺の歴史をきちんと勉強したわけではないので間違ってるかも知れませんが、五・一五事件や二・二六事件の前、政党政治家たちにもパフォーマンス的な足の引っ張り合いの様子があったと聞きました。
普通選挙制度の宿命なんでしょうかね。
建設的な主張がネタ切れとなれば批判しか手段がなくなってしまうのはわかるけども、そこは努めて維持すべきところと思います。
批判ばかりしていることを是とする一定数の有権者がいることも大きいのでしょうが。
*アンチからの更なる変遷。
「政策アンチ」くらいならまだしも、スキャンダル追及は「労働者の利益」に全く寄与しないんですよね。
政策理念が残りかす(ウ○ン○チ)のような組織は、連合も ”見限るべきとき” ではないのでしょうか?
>日本の場合、あまり露骨に自社製品と他社を比較する広告は多くない」、などとする意見を見かけることもありますが
日本の場合は、通常「当社比」という表現で、以前の製品よりここがこれだけ良くなりましたという広告が多いように思います。
立憲民主党の場合は、何も改善できていないので「当社比」が使えないのでしょう。
はるちゃん様
イヤイヤイヤ、
「品数豊富に取り揃え」という
絶好の「売り文句」があるじゃないですか。
いつ「一部の商品は欠品となりました」のお詫びを出すか、
知れたもんじゃない、
というのは、言わないお約束(笑)。
まあ、動物園も真っ青になるくらい色々な種類の人がいますからね。
でも、立憲動物園は可愛い動物が居なくて、大きな声で吠えたり、すぐに噛みつくのが多いので行きたくありませんね。
立憲食堂とはよくいったもので他店のメニューにはケチをつけるが自分の所のメニューはもっと酷評された。そんな感じかな。最近蓮舫シェフと辻元シェフが大人しい。陳くんも大人しいし目立つのは小西の追い回し見習いとフランケン克也のイオン位か?社長は存在感ゼロだし他店の店長からは「なくてもいい食堂」といわれる始末だもんな。たしかに立憲食堂は不味そうだよなぁ。自民食堂も味は落ちたし、公明食堂は中国料理だけど「南無妙法蓮華経」ばっかりシェフが呟いてるらしい。4000年も歴史ないもんなぁ。そうそう自民食堂の千葉支店の小僧が客から賄賂もらって逮捕されたらしい。なんでも3000万!腕がいかったのかねぇ?
>ちなみに「袂を分かつ原因」を作ったのは、小西洋之氏ですが、
当の本人は現在関東大震災時の鮮人虐殺に血道を上げているようで。
本当にしょうもないゴミみたいな人間ですね。
「自社製品をアピールしつつ他社製品をけなす」
こんな広告の例があるかな?と脳内をめぐってみた所、一つだけ該当する物がありました。
1990年代のアメリカのゲーム雑誌で、Final Fantasy 7の広告で
「プレイステーション専売。これは良い事なんですよ。カートリッジだったら
1500ドル以上しますからね」と当時のゲームハードで唯一カートリッジ式だった
ニンテンドウ64を強烈にあてこすった広告でした。
「うわっ、攻めた広告だなあ」と印象に残っているのですが……
今ではもう現物は見られないかなあ。ネット上のどこを探してもさすがにみつからないかな?
まあ、広告文化も国によって違う、と言う事でひとつ。
立憲(共産なんかも同じ)は他の批判ではなく、まじめに自分のところのメニューをアピールすると周辺国のメニューだらけになってしまうのではないでしょうか。