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    Categories: 金融

資産効果や輸入代替効果を無視する「円安貧困」論の怪

円安貧困なる表現が出てきました。ちょっと驚きます。円安で輸入購買力が低下することは間違いないのですが、それと同時に円安は輸出競争力を押し上げ、外貨建て投資に含み益を発生させるなど、現在の日本にとっては、まさに歓迎すべき現象だからです。本稿では円安と円高のメリット、デメリットを整理するとともに、『FLASH』なる週刊誌が報じた「円安貧困」のデタラメぶりについて、指摘しておきます。

今度は「円安貧困」、だって!

久しぶりに、ちょっと驚く記事を発見しました。

家計負担20万円増! 「年内に1ドル=150円」説も出る超円安で相次ぐ値上げ「円安貧困」地獄にあえぐ国民

―――2023/08/31(木) 15:13付 Yahoo!ニュースより【FLASH配信】

写真週刊誌『フラッシュ』が31日付で配信した記事で、タイトルからもわかるとおり、「円安で日本が貧しくなっている」などと主張する記事です。たとえば次の通り、円安が日本経済にとっていかに悪影響をもたらすかについて、滔々と説いているのです。

円安になれば、輸入価格はあがる。その最たる例がガソリン価格である。<中略>8月28日に185.6円となり、最高値を更新。政府の補助金がなければ、販売価格は約195円とも推計される。わずか0.5円の差だが、その内容は大きく異なるのである

この「円安になれば輸入品物価が上がる」という点については、たしかにその通りではあります。

そのうえで『フラッシュ』の記事では、こう述べます。

年内に1ドル=150円を突破すると予測するエコノミストもいるなかで、『円安貧困国』にならないための効果的な政策が求められている」。

「円安貧困国」(!)…。

正直、初めて聞く単語です。ただ、それと同時になかなか怖い表現でもあります。日本は果たして、円安により貧困国になりつつあるのでしょうか。

円安、円高にはそれぞれメリットとデメリットがある

さっそくに本題に入りましょう。

普段から当ウェブサイトで指摘している通り、円高、円安といった為替相場の変動は、日本経済にプラス、マイナス双方の影響を与えます。しつこいようですが、いつも提示している一覧表を、本稿でも提示しておきましょう(図表1)。

図表1 円高と円安のメリットとデメリット
区分 円高 円安
輸出競争力 ×輸出競争力は下がる 〇輸出競争力は上がる
輸入購買力 〇輸入購買力は上がる ×輸入購買力は下がる
国産品需要 ×輸入品に押され需要減 〇輸入代替効果で需要増
製造拠点 ×海外で作った方が有利になる 〇国内で作った方が有利になる
海外旅行 〇海外旅行に行きやすくなる ×海外旅行に行き辛くなる
国内旅行 ×海外旅行に押され需要減 〇海外旅行の代替で需要増
訪日観光客 ×外国人は来づらくなる 〇外国人が来やすくなる
外貨建資産 ×為替評価損が生じる 〇為替評価益が生じる
外貨建負債 〇為替評価益が生じる ×為替評価損が生じる

©『新宿会計士の政治経済評論』/出所を示したうえでの引用・転載は自由

これについては、わかりやすくいえば、フロー面とストック面に分解することができるでしょう。このうちフロー面は輸出、輸入、旅行収支など、ヒト、モノ、カネの流れを示す指標であり、ストック面は外貨建ての資産や負債などの円換算額がどう動くか、という指標です。

輸入競争力は低下するのだが…

まず、フローという観点から最も注目が集まっている指標のひとつは、輸入物価でしょう。ご承知の通り、輸入購買力は円高になれば上昇し、円安になれば低下します。「経済が苦手」なことで知られる某自称経済紙でも「悪い円安」論というものを目にする方は多いと思います。

たとえば、海外で「ビッグマクド(仮)」なる商品が、1個5ドルで売られていたと仮定します。

輸送コストや関税などの議論を無視すれば、1ドル=100円のときに、この「ビッグマクド(仮)」は1個500円ですが、これが1ドル=200円の円安になれば1個1,000円に上昇し、1ドル=50円という円高になれば1個250円に値下がりします。

海外で5ドルで売られている「ビッグマクド(仮)」の値段
  • 1ドル=200円ならば;1個1,000円(=5ドル×200円/ドル)
  • 1ドル=100円ならば;1個**500(=5ドル×100円/ドル)
  • 1ドル=*50ならば;1個**250(=5ドル×*50円/ドル)

為替相場が変動するだけで、ここまで値段は大きく変わるのです。

この事例において、1ドル=100円から50円の円高になれば、私たち日本人の購買力は2倍になり、逆に1ドル=200円の円安になれば、私たち日本人の購買力は半減します。

もちろん、実際には輸送コストの問題や関税の問題などもあり、私たち日本人が気軽に米国に出掛けられるわけでもありませんから、日々の為替変動がリアルタイムに私たちの日常生活に直接の影響を与えるというものではありません。

しかし、少なくとも昨今に関していえば、円安の進行はあまりに急速でもあり、これが「短期的には」、日本経済にとっては悪影響を与えていることは間違いありません。

実際、日本の貿易高は、2022年の実績で216兆0581億円(うち輸出が98兆1842億円、輸入が118兆1635億円、貿易収支は20兆1271億円の赤字)でしたが、この貿易赤字自体、石油などの資源価格高騰もさることながら、円安も影響したと考えられます。

国際決済銀行(BIS)のデータによれば、2022年1月に1ドル=115円程度だったドル円(USDJPY)相場は、同年10月21日には瞬間的に1ドル=151.69円と、150円の大台を突破するという局面も見られました。

その後は12月の日銀によるイールドカーブ・コントロールの柔軟化などの影響もあってか、1ドル=131.88円で年内の取引を終えているのですが、それにしても、米利上げなどを受けた円安の急速な進展が日本国内の物価水準を押し上げるのに寄与したことも事実でしょう。

だからこそ、「円安悪玉論」が出て来る、というわけです。

円安による輸出振興効果は大きい!

ただ、改めて苦言を呈させていただくならば、議論がここで終わるのは、経済評論家としては三流も良いところです。

「円安で日本人は貧しくなった」、「だから円安は良くない」、「だから円安の原因となっている日本銀行の金融緩和はすぐにやめるべきだ」…。

これはたしかに「わかりやすい議論」ですが、それと同時に極めて不正確です。先ほど示した図表1をもういちど眺めていただきたいのですが、この「円安悪玉論」は、円安、円高などの為替変動が日本経済にもたらす影響の、ほんの一部分しか説明していないからです。

じつは、「円安で輸入品物価が上昇する」ことは事実ですが、輸出入フローという観点からは、ほかに少なくとも2つの要因を考える必要があります。それが「輸出競争力の上昇」と、「輸入代替効果の発生」です。

このうち「輸出競争力」については、先ほどの輸入購買力の議論の裏返しの議論です。

たとえば、日本国内で「ビッグマクド(仮)」なる商品が、1個500円で売られていたと仮定します。

輸送コストや関税などの議論を無視すれば、1ドル=100円のときに、この「ビッグマクド(仮)」は1個5ドルですが、これが1ドル=200円の円安になれば1個2.5ドルに下落し、1ドル=50円という円高になれば、1個10ドルに上昇します。

日本で500円で売られている「ビッグマクド(仮)」の値段
  • 1ドル=200円ならば;1個*2.5ドル(=500円÷200円/ドル)
  • 1ドル=100円ならば;1個*5.0ドル(=500円÷100円/ドル)
  • 1ドル=*50ならば;1個10.0ドル(=500円÷*50円/ドル)

つまり、円安局面では、外国人から見たら日本国内の物価は本当に安くなったように見える、ということです。

もし本国だと1個5ドルもする「ビッグマクド(仮)」の価格が日本国内だと1個当たり2.5ドルと半額だったとすれば、この人は嬉しくなって、500円の「ビッグマクド(仮)」を2つ注文してくれるかもしれません(この場合、2個で1,000円=5ドル、すなわち本国でいう1個と同じ値段です)。

だからこそ、輸出産業にとっては、円建てで見て同じ値段で売っているつもりなのに、円安になっただけで、商品が飛ぶように売れてしまうため、「笑いが止まらない」、という状況になります。

輸入代替効果が日本経済を助ける!

ただ、話はそれだけにはとどまりません。

同じ性能でも、外国製品を買うよりも、国産品を買う方が安くなる、といった事態も生じるのです。

ちなみに『7月の貿易収支は再び赤字に転落も…赤字幅は大幅縮小』でも引用したとおり、日本の貿易赤字額はここ数ヵ月、縮小傾向にありますが(図表2)、これについては(あくまでも仮説ですが)輸入代替効果が生じている可能性もあると指摘しておくことにしたいと思います。

図表2 輸出、輸入、貿易収支の状況

(【出所】財務省税関『普通貿易統計』データをもとに著者作成。以下同じ)

この点、日本がたとえば「モノづくり大国」である中国から輸入している品目は、PC、スマートフォンといった、比較的値段が高い「組立系の製品」に加え、衣類、雑貨といった労働集約的な製品が中心です。百均や世界的に有名な衣類店●●●●などで売られている製品がその典型例でしょう。

しかしながら、中国の通貨・人民元は米ドルと密接な関係性を持っていることで知られています。そして、円が米ドルに対して下落するなかで、じつは円は人民元に対しても下落しており、1元=20円を超えそうになっているという状況です(図表3)。

図表3 USDJPY【左軸】およびCNYJPY【右軸】

(【出所】The Bank for International Settlements, “Download BIS statistics in a single file”, US dollar exchange rates (daily, vertical time axis)  データを参考に著者作成。データは8月29日まで.。また、2003年以前のデータがおかしいが、これは人民元のデータがBISデータベースに収録されていなかった、などの可能性があるため。)

グラフは上方向が円安、つまり円の価値が下落していることを意味しています。

日本円は米ドルに対してもちろん円安状態になってしまっていますが、人民元に対しても同様に円安であり、これに伴い中国製品の日本における輸出競争力が損なわれていると考えられます。円安がそれなりに進行すれば、「安かろう」の中国製品の相対的な魅力が落ちるのは、ある意味当然の話でもあるのです。

外国人が大挙して日本に旅行しに来る+資産効果も!

そして、話はそれだけには終わりません。

さきほどの図表1に記した通り、フロー面で見れば、円安は「日本人が海外旅行に行き辛くなる」、言い換えれば「海外旅行ではなく国内旅行を選ぶ人が増える可能性がある」のに加え、「外国人が日本旅行に来やすくなる」、言い換えれば「より多くの外国人観光客が日本に旅行にやってくる可能性がある」のです。

つまり、冒頭に示した「円安貧困国」云々に関しては、「輸入品物価が上昇する」というデメリットのみに注目し、「輸出競争力が上昇する」、「輸入代替効果が発生する」などのメリットを、いっさい無視してしまっているのです。

なんとも困った話です。

ただ、円高、円安のメリットやデメリットを論じるに際し、以上の議論では明らかに不十分です。なぜなら、ストック面の懸賞が抜けているからです。

図表1にも示した通り、円高になれば外貨建資産には為替評価損が、外貨建負債には外貨建評価益が生じます。したがって、外貨で資産、対外債権などを所持している人にとっては、円高は脅威、円安は含み益を大きく改善する追い風となります。また、負債ポジションについてはこれと逆の現象が生じます。

このため、「外国からたくさんおカネを借りていて、対外債権をあまり持っていない国」にとっては、自国通貨の値段が上がれば上がるほど有利、というわけであり、「外国からほとんどおカネを借りておらず、巨額の対外債権を持っている」という日本のような国にとっては、自国通貨の価値が下がれば、外貨建資産の価値が上昇します。

これが、「資産効果」です。

日本の金融機関、年金基金、生損保、政府の外為特会(外貨準備)などは、巨額の対外証券投資を保有していますが、これらの価値が日本円に換算したら大きく伸びているのです。

「円安悲観論者」の皆さんが、こうした資産効果にまったくと言って良いほど言及しない理由は、よくわかりません。

いずれにせよ、円安になったら「悪い円安」、円高になったら「悪い円高」などと条件反射的に主張するのはどうかと思いますし、ましてや円安に伴う購買力の低下を、あたかも日本経済全体の成長率を押し下げる要因であるかのように論じるのは、議論がアンフェアというほかありません。

そして、現在の日本の場合は、対外債権国かつ輸入代替効果なども生じて来るなかで、円安は間違いなく、デメリットを大きく上回るメリットをもたらすものであるといえるでしょう。

その意味では、FLASH』が報じた「円安貧困」は、正直、議論としては決して聖地ではないと考えて良いと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (47)

  • 安いニッポンと日本国と読者をけなすことには熱心な自称経済新聞社の書くことなど信用に値しないのと同じ論法と思います。

  • FLASHの読者層に資産効果で得をする層がどれだけ居るのかなーって思いました。

    ゼロではないんでしょうけど。。。

    円安で貧困になっていく非上級国民達に資産効果で得をしている上級国民達の情報を与えると、社会が不安定化するのを危惧しているのかも?!

    • FLASHの読者層は具体案にはわかりませんが、その読者を騙してバカにするような雑誌なんだなという事はわかりました。

      • ぬい様

        FLASHという雑誌は、ゴシップネタと美女の水着、ヌードがウリの風俗誌という認識でいたのですが、こういう「らしくない」記事を載せるようになったということは、その路線では先がないと見越したのかも知れませんね。

        まあ、起用できるライターの質など、「慣れぬことに手を出した」感がある間は、簡単に読者に論破されてしまうリスクを抱えての転身になるのは、ある意味仕方がないでしょうが、それでも、新宿会計士さんの論評をいただけるくらいまでのレベルの記事を掲載できた点は、大いに評価できるのではないかな(笑)。

        今後の大化けに期待しましょう。

      • 騙してるつもりはないかも。

        不十分な情報を掲載する半端者な雑誌なだけかと。

  • この手のマスコミさんには「円安の資産効果なんて庶民には関係ない!」とでも言われそうですが、庶民でも十分恩恵を受けられる、比較的手堅くて少額から始められる投資方法はいくらでもありますよね。ネットに親しむ若い方はよくご存知です。
    円安で購買力が低下するなら、過去最高税収の政府が減税などで庶民に還元すればいいと思います。

    • マスコミは日本人の給料をUS$に換算してこんなに安いと言いますが、外貨建て資産の方は触れなかったり触れてもうまくごまかします。
      この手のごまかしがうまい一人が辛坊治郎さんです。この方は福島の原発の排水の件でも「ダメ」という印象を抱かせるような、巧みな言い方をします。うまく印象操作をします。嘘は言ってないが故に巧みです。
      もちろん普通に納得できる件もありますが、金・円安、原発・太陽光発電、韓国関係については要注意です。

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    FLASH:「もし円高になったら、円高貧困論を書きます」
    蛇足ですが、もしかしたら、FLASH内部では「円安でFLASH経営が苦しい」ということになっているのではないでしょうか。つまり貧困になったのはFLASHなのです。

    • 毎度、ばかばかしいお話しを。
      FLASH:「円安で経営が苦しいので値上げします」
      つまり、値上げの口実つくりなのです。

  • FLASH
    >日本は「円安貧困国になる」(経済界関係者)という指摘がある。
    >一部報道では、2022年度から2年間の円安による家計の負担増は、20万円に迫るともされている。

    「経済界関係者」こういう引用初めて見る。たぶん経済関係者とは自分、または自分のまわりの人じゃないか。
    「一部報道では」これもあやしい。出所を明らかにしていない。

    要するに読むに値しない「アオリ記事」

  • 常識的に考えたならば、
    「為替の影響はプラマイゼロ」
    「過渡期には混乱する」
    「変動相場制(=市場原理)以外でうまく続いた例はない」

    FLASHさん、アホですな。
    もし、アホではなくてわかっていて書いてるとすれば、FLASHを買って読む人たちが
    「マゾ」
    なのだと思いますよ。

    アンタたち、好きねぇ。

    円安のダイレクトな影響で、例えば日本国内が好景気(失業率低、稼働率高、設備投資マックス)に沸いてますが、各家庭の負担増と差し引きしてどちらを取るか?の話。

    共産党や立憲民主党などを支持する
    年金生活の老人たち
    にとってだけ、デメリットが多いんですけどね。

  • 総論では円安メリット【大】なのですが、喫緊では物価高がしんどいのもその通りなんですよね。もっと目に見える物価対策をお願いしたいですね。
    ・・・・・
    「国民をバカにしすぎ」鈴木財務相「トリガー条項発動すると買い控え起きる」発言に巻き起こる国民の怒り(FLASH)
    https://news.yahoo.co.jp/articles/bc51899881722e46319ecc05db401e5f012eb41dr

    ↑同じくFLASHの記事から

    >トリガー条項が存在するにも関わらず、発動しない理由について、鈴木財務相が「買い控え」を上げたことに、SNSでは怒りの声が巻き起こっている。

    *あらゆるコストの根幹を為す物流費。その最たる燃料費。

    鈴木氏は、ご自分で車を運転されたりしないのでしょうね。
    買いだめならともかく、買い控えって論はあり得ないのに。

    • 物価高による消費税の増収などで税収が大幅に増えています。
      賃金は物価高に追い付かず、実質賃金は低下しています。
      特に低所得者層で子持ち所帯は大変かと思います。
      このような現状では、減税が適切な対策だと思います。
      天然ガスの高騰で生活が苦しくなっているドイツは、補助金の支給ではなく減税するようですが。
      岸田首相の頭の中には、減税という選択肢はないのでしょうか?

      • >岸田首相の頭の中には、減税という選択肢はないのでしょうか?

        彼にとっての聞くべき ”they say(税制?)” は、いつだって官僚の声であり、
        国民(生活者)の声ではないのです。 一連の言動で底が知れたし割れました。

  • 民主党政権時代に円高を容認していたことが理解出来ました。
    左翼脳には目先のことしか考えないからですね。
    金の卵を産む親鳥を豊かにしたり増やすという発想はなく
    金の卵を産む親鳥に餌を食べさす余裕があるならその餌を我々によこせ!!何なら親鳥を食べさせろ~
    というような発想ですね。

    •  民主党政権が超円高にして莫大な貿易黒字をもたらしてあげた大韓民国、大笑い。

       アメリカのドル独歩高にドル高/ウォン安よりも日本の凄まじい独歩安、
       その結果
      【円安/ウォン高】の大韓民国、民主党政権時と逆で 涙 涙 涙

      計算上ですが
       民主党政権の 円独歩高で
      2万ドルした日本車が、
       自民党政権 ドル独歩高/円独歩安の今
      1万ドル!

       今の倍の値段で売らなきゃならなかった日本の企業、それが民主党政権!

  • 何事もメリット、デメリットがありますから片方だけにフォーカスしてマスコミが拙い知識で報道するためおかしな風評となってしまうように思います。それとお盆前にASEANをぐるっと出張しましたが欧米、特に米顧客から中国工場生産品から他国生産品への切り替えの依頼が多数来ておりASEAN内の工場への移管が決まったというお客様が多数ありました。加えて日本国内に工場を回帰させる際には一部、国方らの補填を受けられ制度を使用した日本メーカーが多数あります。結局、上記補填申請は枠が全て埋まったと聞きます。円安ドル高となっている状況下、どうなるかは言わずもがなですね。
    日本メーカーの中国工場はどうされたのかですが撤退は絶対しないということでした。有形無形資産の没収、承認までの期間とコストを考えると細々と国内市場向けの製品製造を継続する方がマシということでした。一部、作業員には退職金を割増で支払って退職頂き、遊休設備は売却し、スリムな状態で細々生産活動を継続させるというものでした。ASEAN諸国への移管、日本国内への生産回帰と為替だけではない政治も複雑に絡む事情なので為替だけの話、メリット or デメリットどちらか片方だけの話というのは聞くに値しないです。

    • 悪徳セールスマンは、いい側面ばかり述べたポジショントークをし、
      悪徳メディアは、悪い側面ばかり述べたポジショントークをする。

    • 中国国内で得た利益は容易に国外に持ち出せないと聞きます。なんでそんな国でビジネスをしたがるのでしょうか?
      深入りしてしまった企業は、今さら損切りもできないのかもしれませんが。

    • 元駐在員様

      >有形無形資産の没収、承認までの期間とコストを考えると細々と国内市場向けの製品製造を継続する方がマシということでした

      現地現場でのリアルな情報を教えて頂きありがとうございます。こういう情報が一番勉強になります。
      所で、上記引用文の内容についてより詳しく教えて頂けませんでしょうか?
      先ず、国内向けとは、中国国内という事でしょうか?
      次に、有形無形資産の資産とは、中国国内の資産という事であれば、事業規模を縮小した中で、そのような資産を持っていても実質上の価値は無いように思われます。であれば、早く損切りした方が良いように思うのですが、それをやると、企業全体のある年度の決算数値が悪くなるからでしょうか?
      更に、承認と期間とコストについても詳しい情報をお待ちでしたら、教えて頂けませんでしょうか?
      中には、これらの幾多の障害があっても、完全撤退をする企業もあるのでしょうか?

      • 中国では煩雑な手続き、特に5万ドル以上の外貨送金は外貨管理局の許可が必要になりますが必要書類(董事会議事録、会計監査書、会社登記書、定款、納税証明書等だったと記憶)を銀行に提示すれば銀行が外貨管理局に審議を仰ぎ許可を入手できれば直ぐに日本本社に配当金を送金できますので特に面倒だったとは思いませんでした。ただ、これは独資の場合であって合弁、合資の場合は面倒かも知れません。

        有形無形資産は中国国内のものという意味でして有形資産は設備、備品、車両、社屋を意図しています。無形資産はノウハウ、データ、工程プロセス、工程設計図、工程内設備の設定手順書、品質管理データ等を意図しています。メーカーさんの場合、有形より無形資産の没収を嫌がる傾向が強く、撤退までに如何に意図を行政に気付かれず定款を徐々に変更し上記資産をプロテクトするかが肝だと思います。その上で無形データを日本 or 第三国に移し、知識とデータというメーカー技術の損害を最小化する事です。経済誌やニュースに騙されて進出した企業と同じぐらい撤退した企業を見てきましたが本当に悲惨でした。某大手テレビ工場は申請から承認まで3年9ヶ月要し邦人1名だけ残られていました。酷いのはその方は一時帰国するのも行政の許可が必要で許可を得るのも3〜5ヶ月と仰っていました。私ならノイローゼになってたと思います。

        いずれにしても撤退、縮小を決定後は社内外に気付かれず長期的にほんの少しづつ縮小していき、10年後、気がついたら工場から工場(コウバ)になっていたというのがベストです。恐らく、このようにされているメーカーさんは多いと思います。特に大手は10、15年という歳月をかけて縮小されるはずです。事実、人減らしが進んでいます。大手メーカーさんはコウバにする事は難しいはずですが縮小はできますからね。

        • 予想以上です。有形無形、完全損切りした方がいいように思いますが。

          • そう思うお気持ちも良く理解できますが、従業員、お客様、撤退に伴う風評被害、業績に与えるインパクトを考えると雇われ社長(日本本社)も次世代に先送りするのかも知れません。

          • 元駐在員様

            いろいろとリアルな情報と状況を教えて頂きありがとうございます。
            大方の社長はそうするでしょうね。大方の社長は、トップとは何か、トップにしか出来ない仕事とは何か、トップがやるべき真の仕事とは何か、を知らないでトップになっていますからね。
            つまり、トップになりトップである覚悟とは何かも知らなければ、トップの最高権限を使う勇気もありませんからね。これは、日本企業に限った事ではないですが。育てる事が一番難しいのが、スーパーゼネラルです。
            あと、ビジネスで難しいのは、事業からの撤退ですね。撤退のタイミングと撤退方法です。
            尤も、これは戦争でも同じで、アメリカ軍も上手いとは言えません。ベトナムやアフガンからの撤退を見れば分かりますが、犠牲になるのは、いつも現地現場の最前線にいる人達です。
            元駐在員様の説明でも、現地の駐在員の人達の苦労とリスクが分かります。
            これも、トップが、適切な時に適切な決断していれば、余計な過酷な状況もかなり回避できるかも知れません。
            一番困るのが、トップの優柔不断と先延ばし癖です。

          • >有形無形、完全損切り
             で
             きないのですよ、相手は資本主義ではないのです。
             私的所有制度のない中華人民共和国共産党であり
             中華人民共和国の法の上にある中華人民共和国共産党でありチャイナセブンなんですから。
             中華人民共和国共産党は、気に入らなければトヨタの工場でもなんでも即座に没収できるのですよ、所有権もその他物権もなにもない共産主義国なのだから。

             なお、所有権・物権の制度がないのだから借地権・借家権などありようがない。

    • 「郵政民営化論争」を思い出させますね。あの頃だって、賛成論者は民営化のメリットだけを強調し、反対論者はデメリット(リスク)だけを言い募ってました。郵政事業の民営化なんて、一大変革であることには間違いないので、メリット、デメリット双方があるのは、ある意味当然であり、その双方を並べて結局のところどちらの選択肢の方がメリットが多いかを判断しなければならないはずですが、私が記憶している範囲では、そのようなアプローチを試みている論者はついぞ見かけませんでした。その意味では、郵政民営化問題において「論争」などは存在せず、ただの怒鳴りあいで、声が大きい方が勝った(ような気になる)というだけのものだったと思います。実に野蛮ですね。

      その後にあったいくつかの問題でも、基本的な構図は同じでした。どちらか一方の主張がよほど不合理な内容でもない限り、「論争」ではなく「怒鳴りあい」に終始するものばかりであったように思います。昨今、欧米を覆っているお花畑思考の蔓延を見る限り、必ずしもわが国だけではないようにも思いますが、少なくとも我が国では政策課題に関する「論争」は存在しえないのではないかとすら思います。残念なことですが。

  • 学生時代の記憶です。漠然と知的なイメージがあった編集業界ってどんな世界なのかという好奇心で某雑誌編集部でアルバイトしたことがあるのです。
    まぁ雑用仕事しかしていないので大した事は言えないのですが、知的雰囲気漂う場ではないなぁ、鉄火場という感じなのかも。長居するところではないなぁ。と感じ短期で終わりました。
    時代錯誤かもしれませんが、そういう雰囲気は今でも変わらないのかも、と思いました。
    こういう業界はインターン制度やってるのかなぁ?

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