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日テレ「立憲民主党が金曜日に不信任案を提出で調整」

じつは、自民党と立憲民主党は、一種の「出来レース」でもしているのかもしれません。岸田文雄首相が解散総選挙に踏み切るのかどうか、情報は錯綜していますが、その一方で15日には「立憲民主党が16日にも内閣不信任案を提出する方向で調整に入った」との報道もありました。泉健太代表が「150議席を割り込んだら代表を辞任する」と公言するなかではありますが、日本維新の会の選挙準備が整う前に解散総選挙をするという意味では、自民、立民両党の利害は一致していることもまた事実でしょう。

結局、解散はするの?しないの?

なんだか情報が錯綜しています。

岸田首相、不信任案なら即日解散「表明検討」=FNN』でも紹介したとおり、FNNは14日、もし不信任案が提出された場合には、岸田文雄首相がその日のうちに「解散を表明することを検討」している、などと報じました。

ただ、これに対して日経電子版は岸田内閣で不祥事が相次いでいることなどを受け、「与党内では今国会の解散見送り論が浮上してきた」、と報じています。

与党、今国会の解散見送り論 内閣支持率は下落の兆し

―――2023年6月14日 11:30付(2023年6月15日 1:14更新) 日本経済新聞電子版より

いったいぜんたい、解散総選挙はあるのかないのか。

解散風が吹き始めているなかで、土壇場で「やっぱり解散、や~めた」、で首相の求心力がもつものなのかどうかは、よくわかりません。自然に考えたら、ここまでメディアなどに「解散」を煽られた以上、ここで解散を辞めてしまうというのも難しい気がしますが…。

早期解散の自民党、立憲民主党にとってのメリット

ところで、「数字の上では」、今すぐに解散するというメリットが、自民党にはあります。

数字で読む「衆院選・自民過半数割れはあり得るのか」』でも触れたとおり、「今すぐに」解散総選挙が行われた場合、立憲民主党に代わる最大野党となり得る候補のひとつである日本維新の会は、まださして躍進することはできません。

果たして、自民党は次回衆院選で大敗を喫するのか――。その精緻な予測を出すことは現時点では困難ではありますが、前回の選挙結果やいくつかの報道で見る限り、その可能性はあまり高くなさそうです。ただ、なぜそんなことを述べるのかといえば、ウェブ評論サイト『現代ビジネス』が14日夜、今選挙をすれば自民党が過半数割れを発生させる、といった趣旨の記事を配信しているからです。これについて、これまでの当ウェブサイトにおける「数字を使ったシミュレーション」も交えつつ、検討してみましょう。解散総選挙の可能性初めに:おこ...
数字で読む「衆院選・自民過半数割れはあり得るのか」 - 新宿会計士の政治経済評論

その理由は、小選挙区での候補擁立が間に合っていないからです。しかし、言い換えれば、解散総選挙の時期があと倒しになればなるほど、自民党が議席を減らす可能性が増える、ということです。だからこそ自民党にとっては、「維新の躍進を防ぐ」という意味において、早期解散のインセンティブがあるのです。

そして、「早く解散してほしい」という事情は、立憲民主党も似たようなものかもしれません。

野党利権は終焉へ?末期状態の「活動家政党」が迷走中』などでも説明したとおり、日本の憲政において、「最大野党であること」には絶大な利益をもたらします。

「利権は怠惰や強欲で自壊する」。これは当ウェブサイトなりの持論ですが、この法則は立憲民主党にも成り立つようです。衆院法務委員会は金曜日、入管法改正案を可決したのですが、この改正案に、立憲が提案した「第三者機関に関する附則」などは盛り込まれませんでした。産経によると、立憲の寺田学氏らがせっかく与党に働きかけて譲歩を勝ち取りかけたものの、党内の「活動家」の反対を受け、立憲民主党執行部がこれを蹴ってしまったようなのです。利権の3法則と立憲民主党普段から当ウェブサイトで説明している通り、利権とは、い...
野党利権は終焉へ?末期状態の「活動家政党」が迷走中 - 新宿会計士の政治経済評論

とくにこれといった芯がなく、所属議員の多くが「国会議員であること」自体を目的としているような「選挙互助会」的な政党にとっては、最大野党としての地位を喪失することは、政党としての「死」に直結しかねません。

とくに新聞、テレビなどのオールドメディアと結託し、国会で格好よく(?)政府・与党の不祥事を「追及」(?)している姿を取り上げられることで辛うじて当選してきたような人たちは、所属政党が「最大野党」ではなくなった瞬間、メディアへの露出が激減し、次回以降の選挙で消えていくことになるかもしれないからです。

どうせ立憲民主党は再び体制が変わる

もっとも、泉健太代表が「150議席を割り込んだ場合は代表を辞任する」などと約束してしまったがため、もしも「早期解散総選挙」からの「立憲民主党150議席割れ」の暁には、2021年11月に発足した泉健太体制が終焉し、立憲民主党は再び執行部が入れ替わることになるでしょう。

というよりも、前回の選挙でも96議席(比例39議席、小選挙区57議席)にとどまったのに、また、それ以降もどんどんと政党支持率を低落させているのに、泉氏はどうやって「150議席以上」を達成するつもりだったのでしょうか?

あるいは、「マトモな政策論争がやりたい」のならば、現在の立憲民主党ではそれが不可能だということに気づいていて、それでわざと「150議席割れで辞任」などと言いだしたのでしょうか?選挙後に立憲民主党を割って国民民主党に再び合流するのでしょうか?

謎は深まるばかりです。

ただ、一つ明らかなことがあるとすれば、解散総選挙が先延ばしとなったところで、立憲民主党が大きく議席を伸ばす見込みはない、ということでしょう。むしろ維新の選挙準備が整えば整うほど、議席をより減らす可能性が高まります。

だからこそ、もしも立憲民主党が「野党利権」を維持しようと思っているのであれば、多少議席を減らすことになったとしても、ギリギリで最大野党の地位を維持したいのであれば、早期解散に踏み切ってもらった方が有利であることは当然のことでしょう。

日テレ「明日不信任案を提出」

こうしたなかで、今度は日本テレビが「立憲民主党が内閣不信任案を16日に提出する方向で最終調整している」と報じました。

立憲民主党、内閣不信任案あす提出で最終調整 財源確保法案採決は容認で“対決”鮮明に

―――2023/06/15 11:44付 Yahoo!ニュースより【日テレNEWS配信】

岸田首相が「不信任案なら解散総選挙(を検討する)」と表明しているなかで内閣不信任案を出すということは、解散総選挙を覚悟のうえのことでしょうし、泉氏も自身の職を賭けていることでしょう(じつは泉氏が代表職を辞めたがっているのではないか、といった可能性もないわけではありませんが)。

あるいは、「早く解散総選挙に持ち込んだ方が良い」という意味において、自民党、立憲民主党の両党の利害は一致しているという見方もできますので、もしかすると今回の動きも、一種の「出来レース」のようなものなのかもしれない、と見るのは穿(うが)ち過ぎでしょうか?

いずれにせよ、解散があるかどうかは、まずは16日の動向次第、といったところでしょう。

新宿会計士:

View Comments (14)

  • まあ、存在感の無いイズミが不信任案を出して、真面なことは何も決められないけど意固地にだけはなるキシダがそれに応じて解散に一票ですな。阿保らしい税金の無駄遣いです。

  • まあ、延命を図りたいのでしょうね。
    連合にまだ見捨てられていない今のうちに。
    旧社会党や民社党の残党と手を切らない限り、この政党に未来はないと思いますけどね。

  • 素朴な疑問ですけど、素人の新宿会計士に「立憲の内閣不信任案は、自民党との出来レース」と見透かされているなか、(もちろん、実際に内閣不信任が出される前提ですが)国民民主党や維新に、どう思われるのでしょうか。

    • 産経新聞によりますと、「岸田総理は、会期内解散を見送った」そうです。
      >https://www.sankei.com/article/20230615-TBEEFIL5BVPB7KMZGZJJ4P3AMI/
      それでも、立憲は内閣不信任を提出するのでしょうか。

  • 解散総選挙が近いうちに実施されるのかどうか不明ですが、考えを整理するために、岸田政権の事績について、プラス評価するかマイナス評価するかの対象となる項目を並べてみたいと思います。
    それぞれについて、言っただけで実行が伴ってないとか、見る人によって、プラス評価もマイナス評価もあるかと思います。
    その評価結果で、さてどこに投票するかという問題もあるかと思います。
    それでも、考えを整理するために、思い出すまま、並べてみたいと思います。

    ・戦略三文書閣議決定
    ・原発再稼働方針
    ・安倍総理国葬儀決定・実施
    ・防衛増税発言
    ・「新しい資本主義」発言
    ・「異次元の少子化対策」発言
    ・自称「徴用工」への損害賠償容認の大法院の国際法違反判決を放置したままの自称「解決策」を容認評価
    ・韓国の「旧ホワイト国」化に向けての輸出貿易管理令別表変更の動き
    ・広島サミット開催
    ・日本学術会議法変更先送り
    ・出入国管理及び難民認定法変更
    ・韓国海軍の自衛隊哨戒機に対する火器管制(FC)レーダー照射事件の不問
    ・LGBT法衆議院可決
    ・韓国との通貨スワップ締結に向けての報道

    困りました。普通、嫌なことは書き出してみると感情が落ち着くものなのですが、どうしたものかと悩みが深まるばかりです。

  • 強まる解散圧。
    内容の濃かった G7 サミットと連日の株価上昇は岸田政権信任存続への追い風であるはずでした。
    しかしメンタルストレスを受けるとなぜか逆噴射行動をする首相。
    みずから選択肢を狭めていく「したたかさのなさ」が常在逆風として政権へボディブロー級ダメージに作用する可能性は大と当方は考えます。

  • >速報:岸田首相、解散をしないと明言
    不信任案がでれば即否決する(FNN)

    なぜ?ガッカリ。

  • やっぱり岸田氏は何時もチョイスを間違える人だネ〜。不信任案が野党から出たら、解散すれば良いのでは?総選挙はしたく無いのか。長期政権になればなるほど貴方のようなボーッとした昼行灯政権は、辞め際が難しいゾ。もう一期やりたいのだろうが、G7広島と親韓姿勢ぐらいしか脳裏に無いですが。あと子息のBokeと(失笑)。

  • もし不信任案が提出されるのでしたら、LGBT法案反対派の方々が乗っかってくれれば解散できるのですが。
    岸田さんは総理続ける気満々ですね。てか昨日まで解散検討とか言っていたのに、否決指示とか何様や。

  • 岸田首相は日和ったようですね。
    解散がなくなったので、立憲民主党は安心して不信任案を出すでしょう。
    多分秋の選挙になりそうですので、時間の余裕が出来た維新がますます有利になりました。
    もうすぐ7月ですので秋といってもあまり時間はありません。
    面白くなってきましたね。

  • サミット以降は自民の岩盤支持層が離反しそうな話題が多く、解散すると予想以上に惨敗すると見ているのかもですね。

    マスゴミの世論調査の数字がここ数年は特にアテにならないことは選挙結果からも肌身で感じているはず。

    惨敗ならその責任を負う必要があるので、総理再登板できないのであれば、少しでも在任期間を伸ばしたいという感じなのかも。

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