ブーメランが大好きなのは「国民性」なのでしょうか?韓国メディアで最近、福島第一原発のALPS処理水海洋放出に関する「安全性」に関する記事が多々掲載されますが、それらの多くは、「科学的には安全だけれども心理的には不安感がある」といったものであったり、酷いときには科学的根拠なしに「汚染水の海洋放出を止めるべき」というものであったりします。ただ、「不安だ」「海洋放出を止める代案を出すべきだ」とおっしゃるのなら、まずは韓国国内の「不都合な事実」を直視したうえで、自国でそれを実践する方が先ではないでしょうか。
「汚染水検証」?それとも「単なる視察」?
日本政府が福島原発のALPS処理水を海洋放出することに関連し、岸田文雄首相は今月の韓国訪問の際、韓国から「視察団」を受け入れることで尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領と合意しました。
ただ、この「視察団」の性格を巡って、西村康稔・経済産業大臣は「処理水の安全性について評価や確認を行うものではない」と牽制(『薄氷上を歩む日韓:早速出てきた「汚染水視察団」論争』等参照)したためでしょうか、結局、「視察団」の「検証」は実現しない見通しとなりました。
これに不満があるからでしょうか、韓国メディアには連日のように、「汚染水」(※原文ママ)の「検証」に関する記事が掲載されているようです。その典型例でしょうか、18日には韓国の「保守メディア」とされる『中央日報』、「左派メディア」とされる『ハンギョレ新聞』(いずれも日本語版)に、揃ってこんな記事が掲載されました。
【時論】福島汚染水放出、徹底検証が先だ=韓国
―――2023.05.18 09:46付 中央日報日本語版より
韓国視察団、汚染水の検証はできずとも…これだけは確かめよ
―――2023-05-18 09:02付 ハンギョレ新聞日本語版より
ハンギョレ新聞の方は東京特派員が、中央日報の方はソウル大の原子核工学科の教授が、それぞれ執筆したものですが、大筋としては、どちらも処理水のことをわざと「汚染水」と誤った用語で記載したうえ、その海洋放出の影響を「検証せよ」と要求する、というものです。
なかなかぶっ飛んだ記事
このうち中央日報の方の記事では、福島原発から1年間で放出されるトリチウムの放射能は「韓国の雨水中のトリチウム量の5分の1ほど」で、これに加えて韓国国内の最近の研究では、海洋放出により韓国の海域に流入する濃度は1リットル当たり約100万分の1ベクレルだと指摘。
「東京電力が発表した計画さえ徹底的に守られれば、科学的な観点でみて福島貯蔵水の放出は憂慮する水準ではない」、といったんは結論付けます。
ただ、ここから先の論理展開が、なかなかにぶっ飛んでいます。
「しかしロシアのことわざに『信頼するものの検証すべき』(trust but verify)というものがある。国民の安全に関する問題には政府が格別に留意しなければいけない」。
そのうえで、この教授は日本の処理水放出を巡って、「この問題を眺めながら引っかかる理由」は「人間が作った廃棄物を自然に排出する行為が与える倫理的な点のためだろう」とし、こう言い放つのです
「すなわち福島貯蔵水放出問題は安全の問題と見るよりも倫理的な問題に近いとみられる。ある行為が倫理的かどうかを判断する黄金律は『自分がされたくないことを他人にするな』だ」。
ご自身の国こそ、「自分がされたくないことを現在進行形で他人にやっている国」ではないか、といったツッコミどころが出て来るのはさておき、要するに、「科学的には安全だけれども心理的には不安」だから「検証させろ」、ということでしょう。
これだとまるで日本のどこかの新聞の「科学を振りかざすな」といった主張とそっくりです。
ここまで酷い記事は久々
科学者でさえこうなのですから、新聞記者が執筆したハンギョレ新聞の方の記事は、さらに印象的です。
ハンギョレ新聞では韓国の「視察団」が試料採取などを通じた「汚染水の安全性の独自検証」の道は閉ざされたと批判しつつ、今回の「視察団」が現場を見て回ることで、「韓国が日本の汚染水放出を黙認した」という「誤ったメッセージ」が国際社会に伝わる恐れがあるなどと主張。
「福島産の水産物を輸入することになるという『最悪の結果』へもつながりうる」、などとしたうえで、以下、延々と強烈な主張が繰り返されます。
とくに、日本側が「ALPSによる浄化を繰り返し(放射性物質含有量を)法定水準以下に抑えた水が入っているタンク」に「視察団」を案内する可能性が高い、などとしつつ、これを「日本が見せようとするごく少数の『安全な』水のタンクで終わらせるべきではない」と批判します。
はて。
処理水のタンクに案内することの、いったい何が問題だというのでしょうか。
日本が海洋放出するのは「汚染水」ではなく、安全性が高い「処理水」ですので、「視察団」を処理水のタンクに案内することは当たり前の話でしょう。
また、トリチウム量を巡る安全性に関しても、この記者は環境保護団体「グリーンピース」が主催した記者会見で、とある生物学者がその危険性を強調したことなどを引用し、やはり生物に対する影響の観察・追跡方法についても「調査を徹底すべき」と主張します。
さらには、トリチウムについては、日本の民間シンクタンク「原子力資料情報室」の共同代表による「海洋放出だけが唯一の方法ではない」との発言を引用し、「このような声も幅広く受け入れ、汚染水の放出を止める生産的な代案を提示すべきだ」、などと結んでいる、というわけです。
ここまで酷い記事を見たのは久々です。
不都合な事実を直視し、まずは自国で実践すべき
ちなみに、中央日報の記事を執筆した大学教授の方と、ハンギョレ新聞の記事を執筆した東京特派員の方が、そろって無視している事実があります。月城原発を含めた韓国の原発、原子力施設では、毎年莫大な量のトリチウム水が海洋放出されているのです。
【参考】世界の主要な原発におけるトリチウムの年間処分量
(【出所】経済産業省)
「信頼するものの検証すべき」(trust but verify)、「自分がされたくないことを他人にするな」を徹底するならば、まずは「不都合な事実」――、すなわち自国の原発で海洋放出されている「汚染水」の問題を検証する方が先でしょう。
また、韓国は是非とも「汚染水の放出を止める生産的な代案」を提案し、韓国の原発で実践していただきたいものです。
いずれにせよ、ブーメランが大好きな国民性というのも興味深いと言わざるを得ないでしょう。
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これ、個人的には韓国を責める気にならんですね。
韓国&韓国人は因果関係を理解することが苦手・不得手なように見受けられます。
彼らに理解できてるのは、
「強くネジ込んだら、日本は金を払う。」
というイジメっ子としての何十年間もの勝利体験ですよ、きっと。
何十年間もイジメられっ子として理不尽な支払いに応じてきた、日本&日本人の上の世代が、悪い。
僕からすれば父や祖父の世代ですが、ほんまアホかと。
あの世代はイジメられっ子のメンタルとして、自分で自分の事をイジメられっ子だとは認めたくありませんから、
「僕たちはいいことをしたんだ」
と自己欺瞞してるようですが、情けない。
エサを与えなければ、野良犬はそのうち居なくなりますから。
CRUSH 様、その通りですね。
日本はゴネ得許してモンスターを育て上げてしまいました。
安倍総理のおかげで、やっとまともな大人の関係を築けるかと思いましたが、岸田がすべてを昔の大人と子供の関係に戻してしまいました。
残念ながら野良犬はまだまだ居座りそうです。
その野良犬は内ゲバが大好き。手に入れたエサを巡って醜い内輪もめは日常茶飯事なんですから。
慰安婦問題の時のように。
日本は餌付けしてしまっていますので、エサを貰い損ねた野良犬はまた日本に餌のお代わりを要求してきます。
バイデンの指図でまた新たな餌をやり始めた岸田首相は、日韓関係の「改善」が進んでいることを広島で嬉々として報告しています。
良い歳をしてこの方は何を考えて生きてこられたのか謎です。
麻生さんが最後の砦になってくれれば良いのですが。
ただし、こちらも心許ない限りです。
やはり、自民党を牽制できるもう一つの保守が必要であることを痛感します。
>「 福島産の水産物を輸入することになるという『最悪の結果』へもつながりうる 」
→「科学的根拠なき規制」を撤廃したうえで、嫌なら買わなければいいだけのことです。
>ある行為が倫理的かどうかを判断する”黄金律”は『自分がされたくないことを他人にするな』だ
→翻せば自分達がしてる行為はされてもいいということ。相変わらずの”オウンゴール率”なのです。
(中韓以外の他国に)影響を及ぼす国際的プロパガンダ以外相手にする必要無し
特に韓国メディア及び韓国メディア日本語版には反応してはいけない
ブーメランは韓国人の伝統芸ですから、自分たちはどうだということに関心がないのでしょう。
日本を=「悪い国」と決めつけ、「正しい自分たち」こそが正しい結論を持っていると考える民族ですから、科学的根拠だとか論理だとか、彼らの考え方にはありません。正しい結論を持っているのは常に自分たちだと考えます。これが韓国人です。話が通じるはずがありません。
彼は何がどう正しいのか考えません。自分たちの言うこと・自分たちの言うことはみな、最初から「正しい」のです。これが韓国人が持つ「性善説」です、生まれながらにして「結果がいつも正しい」ので、論理的にとか科学的にとか彼らの考え方にはありません。
韓国紙の(特に日本語版)は左派だろうが右派だろうが、「日本の弱点を探し日本を貶めるネタを探して記事にする」ことを目的にしてますから、記事というよりプロパガンダ紙です。もうそういう民族であるのはバレバレなのに韓国の記事をたまにトップコラムで紹介するヤフージャパンも中身はお察しの会社でしょう。「国際」というカテゴリーで、韓国紙日本語版の記事を置いておくのも勘弁してほしいです。韓国ってそんなに日本にとって大事な国ですかね、まだまだ紹介してほしい海外の記事はたくさんあります。
素晴らしい!同感ですわ。
>>名前さんへ
そうなんですよね、だから「対等に付き合う」ということが不可能な民族なんですよね。
見にくる奴等は結局は「お墨付き」を与えるしかない、って何でわからないんでしょう。
それともまた「後頭部を殴られた」って言うんでしょうかね。
中央日報やハンキョレの記事に対する直接のコメントじゃないのですが、福島からのトリチウムの放出についての「科学的」と称する解説に、日頃からおかしいと思っていることがあるので、ちょっと書いてみます。
それは問題にしているトリチウムというのは、水に溶け込む一般の放射性物質ではなく、トリチウム水という「水」そのものだということを、理解していない記事がやたらに目に付くことです。
太陽からの放射線の影響を受けて、大気圏でトリチウムが生成され、これが酸化されてトリチウムから成る水蒸気となり、雨となって海に陸に降り注ぐ。これは太古から続いてきた地球の営みの一部で、近年はこれに主に原発からの放出という人為的要因も加わりますが、いずれにしろこれらは水は水。陸に海に降下したトリチウム水はいずれ水蒸気となって大気に戻り、また雨となって遠く離れた地に降る。大気中の水蒸気をも含めた全球の水圏に入り込み、多少のローカルな揺らぎはあっても、大気循環によって地球全体で平均化されて、どこに特別多くが行くなんてことはあり得ないのです。
福島で処理水の放出を遣れば、その分地球のトリチウム量は増えるんじゃないかというのも、情弱の発想。トリチウムは半減期12年で減衰しますから、トリチウム濃度が増加すれば、その分減衰量も増えるので、平衡に達する濃度と言ったら、元と大して変わらない。
だから、福島沖に放出されたトリチウム水が、2年経ったら10万分の一の濃度にまで希釈されて、韓国沖に達するなんて議論は、そもそもがナンセンスなんです。敢えて理屈で言うなら、現在地球に存在する全トリチウム水のうちの福島由来の部分が、地球の全表面積のうち韓国の国土と経済水域を併せて占める部分に、降水量に応じて降り注ぐとでも言えば良いでしょうか。まあそういう言い方をするなら、自国原発から放出したトリチウム水によっても、同じだけの報いは受けるということでもあるのですが。
こんなことを書いてみたところで、おおよそ理解できない、ないしは頑なに理解しようとしないことが、お約束となっているのが韓国の国民性、民族性だというのは、分かってはいるのですがね。
一応韓国の原子力科学者は問題なしと言ってたんだよな。問題ありにしたのが、阿呆のムンジェインだからな。その科学者は左遷か解雇されたよ。
検証できないから何でも好きに言えていたのに、検証どころか視察だけでも科学的な危険性を明示することができないどころか安全のダメ押しにしかならない(と関係者は最初からわかってはいた)ので、なんとかチェミョンを糊塗しながらフェードアウトを目指している……というふうに感じます、最近の連中の言動。無理っぽいけど。
韓国社会の考え方は「韓国が善であり、日本は悪」「だからこそ、日本は韓国の言うことを聞く必要がある」という結論が先にあるからこそ、日本人から見れば屁理屈レベルでも良いと考えているように見えるのだよ。
韓国語の「ネロナムブル」とは「私がすればロマンスだが、他人はすれば不倫」の意味で、要するにダブルスタンダードなのだけど、このような言葉が氾濫するほど、自分に甘く他人に厳しい体質なのだろう。
まして「悪の日本」ならば、なおさら厳しくなるのは当然なんだろうね。
まあ、日韓関係なんて近しい関係よりも、傷つけ合わない程度に適切に遠い距離を保つ方がお互いにとって幸せだろう。
この話題の初期の頃、『科学的には何の問題もないが、観測の国民感情を慮って日本は謝罪(と賠償を)すべき』と、韓国の科学者の方が言っていたと記憶しています(脳内ソースで申し訳ありません)。徹頭徹尾そういうことなのでしょう。