本稿は、ちょっとしたメモ書きです。韓国の通貨・ウォンの動きが、またぞろ怪しくなり始めました。ここ10年ほど、1ドル=1100~1200ウォンの間で動いてきたUSDKRWが、昨年、1ドル=1300ウォン・1400ウォンの大台を超え、そこから今年、再び1200ウォン台に戻ったものの、再び1300ウォン、というわけです。韓国の債券市場では金利水準が高止まりしていることも不気味ではあります。
韓国ウォンの怪しい動き
韓国の通貨・ウォンが、またぞろ、怪しい動きを始めているようです。
韓国というのは興味深い国で、GDPで世界10位圏を伺うほどの「経済大国」(?)でありながらも、現実には同国の通貨は国際的に見て通用度が大変に低く、したがって、韓国の企業は生産活動などを行ううえで、どうしても国際的に通用する通貨(いわゆる「ハード・カレンシー」)を必要とします。
これこそが、金融面から見た、日韓の最も大きな違いです。
ちなみに日本円は世界でもかなり通用度が高く、たとえばSWIFTの国際送金シェアランキングでは、米ドル、ユーロ、英ポンドに続く第4位の地位を守っています(ランキングによっては英ポンドを抜くこともあります)。IMFの統計上も、外貨準備の組入資産としては米ドル、ユーロに次いで3番目に多い通貨です。
日韓通貨の奇妙な連動性
それはともかく、米FRBが昨年を通じ、金融引締めを行う局面では、日韓ともに通貨が大きく売られました。図表1は、左軸に日本円、右軸に韓国ウォンをとり、それぞれの米ドルに対する為替レートの推移を示したものです。
図表1 USDJPY/USDKRWの推移(2019年5月以降)
(【出所】BISウェブサイト “Download BIS statistics in a single file”, US dollar exchange rates (daily, vertical time axis) データを参考に著者作成)
ちなみにコロナ禍が深刻化し始めた2020年3月に円がドルに対して大きく買われ、1ドル=100円近くにまで達していますが、同じ時期に韓国ウォンは1ドル=1250ウォンを超えていることがわかります。
ただ、米FRBの金融引締めが始まって以降は日本円も米ドルに対して売られ、最もウォン安が進んだときには同様に円安も進んでおり、一時、1ドル=150円近くにまで達しました。その後も、ドル円とドルウォンはほぼ連動しているかにも見えます。
ちなみに円・ウォンレートは奇妙なほどに安定しており、リーマン・ショック直後こそ1円=12~16ウォン程度でしたが、2013年頃から現在まで、1円=9~12ウォン程度の範囲内で推移していることがわかります(図表2)。
図表2 JPYKRW
(【出所】BISウェブサイト “Download BIS statistics in a single file”, US dollar exchange rates (daily, vertical time axis) データを参考に著者作成)
余談ですが、このチャートなど、「韓国の通貨当局が為替相場をちょうど日本円に対して安定するように操作していた証拠ではないか」といった疑いも、著者自身は持っています。
再びウォンが下落
それはともかくとして、ウォンが再び米ドルに対して弱含みで推移し始めています。
図表3は、韓国ウォンの米ドルに対する相場(USDKRW)です。
図表3 USDKRW
(【出所】韓国銀行)
これによるとリーマン・ショック直後の2008年末頃や2009年3月ごろに、1ドル=1500ウォン台に乗せているのですが、その後はおおむね1ドル=1100~1200ウォンで推移。
しかし、今度は2022年以降、1ドル=1300ウォン、1400ウォンを一気に突破して1500ウォン直前まで売られ、その後はいったん1ドル=1200ウォン台に戻したものの、またぞろ1300ウォンを超えるという、非常に激しい変動が生じていることがわかります。
また、これをもう少し細かく見ると、今年1月ごろにはいったん1ドル=1250ウォンを割り込んだものの、その後は再び1ドル=1300ウォンを超えるなどして、徐々に米ドルに対して売られている様子も確認できるでしょう(図表4)。
図表4 USDKRW(直近1年分)
(【出所】韓国銀行)
このあたり、『税制優遇・子会社配当吸い上げで経常黒字確保した韓国』でも説明したとおり、韓国では2023年1-3月期に巨額の経常収支赤字を計上するなど、隣国を巡る資金フローに偏重が生じていることも間違いなさそうです。
韓国の3月の経常収支が小幅な黒字となりました。これに関し、韓国メディアの報道によると、税制優遇で海外子会社からの配当金を吸い上げる動きが所得黒字を押し上げ、貿易赤字を相殺したという側面が強いのだそうです。もっとも、今後の貿易収支動向、あるいは「配当金で巨額の資金流出」が生じる4月のデータ次第では、韓国では経常赤字が常態化する可能性も出ているのだとか。「貿易立国・韓国」私たち日本の隣国・韓国といえば、経済・金融評論的には大変に興味深いモデルの国です。ろくに資源も文化もない小国でありながら、また... 税制優遇・子会社配当吸い上げで経常黒字確保した韓国 - 新宿会計士の政治経済評論 |
金利水準も高止まり
ちなみに韓国の債券・金利市場も、一時期と比べればかなり金利が高止まりしています(図表5)。
図表5 韓国の債券・金利市場
(【出所】韓国銀行)
一般に、通貨防衛をするときには、中央銀行が国内の金利を引き上げることが多いのですが、金利が高止まりしている中で、韓国銀行がさらに利上げをする余力は少なそうです。
その意味では、ある時点でいきなり、為替相場が大きく動くという可能性には、注意が必要なのかもしれません。
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通貨崩壊・経済崩壊崖っぷちの
韓国ウォン救済の処方箋は
韓流の見栄のために膨らんだ
サムスン現代など財閥の海外工場投資を
売却して通貨防衛にあてて
通貨・経済崩壊での国民の惨禍を
防ぐしか無いところまできています。
サラ金借りて外車とロレックスで見栄を張っても
返せなくなったらまずは売り払うのが常識です。
ただ、やっかいなのは、
韓流思考ではそうした自らのふしだらを
かつての巨額売国野田スワップのように
日本になすりつけようとしている点です。
そんなの二度とは騙されない
当たり前にアウトなのですが
弱小派閥でも総理の座にしがみつきたい
岸田さんが今まさに
半島とウッシッシ路線をまっしぐらなので、
韓国の見栄っ張りからの浪費のツケを
まじめな日本が擦り付けられるという
韓流偏向オールドメディアが
日韓友好?とごまかす中での
犯罪まがいの擦り付け行為が
行われないかがとても心配です。
今麻生さんが韓国に行ってますよね。
何を話しに行ったのでしょう。凄く心配です。
麻生さんだからきっしーよりはマシだと思いたいが・・・
韓国は韓国民の日本観光を制限した方がいい。
そのせいで益々国の赤字も増えている。
一人当たりGDPが日本とほぼ同じなのに何故通貨が安定せず、又貿易赤字なのか?
やはり、海外に製品を安く売っているんですね。それと、国民が借金をして海外旅行に行くから。更に、財閥が自分の資産の安全の為にドル預金をしたり、海外で不動産を買っているから。
全部、説明が付きますね。だから、その反対の事をすればいいだけ。
自分達が、好き勝手に理不尽な事やっていながら、その尻拭いを日本にやれって?未解決の歴史問題があるからと。
そんな理不尽な難癖つけられて、未だ気が付かない日本の政治家はどうなっているの?
韓国にとって貿易収支赤字、経常収支赤字は絶対まずい。原子炉から水が抜けていくようなもの。必死になって海外子会社からの配当送金でしのいでいるようだが4月には外国人株主に配当を支払わなければならない。さらにコロナ終了で大きな旅行収支の赤字もでているはず。
大きな経常赤字がでているのではないか。
麻生さんの訪韓はなにか関係あるのだろうか。