ロシアが例年、華々しく祝っている対独戦勝利記念日に関し、今年はパレードに参加した戦車が第二次大戦中のT34という旧式たった1台だったことにくわえ、上空での飛行が中止となったことなどが話題となっています。ウクライナ戦争が1年以上継続するなかで、ロシアが置かれている状況が決して楽なものではないことだけは間違いなさそうです。
ロシアで行われた対独戦勝利記念日パレードの様子が、インターネット上でちょっとした話題となっているようです。パレードに登場した戦車は、第二次世界大戦中に旧ソ連が製造した旧式のT34がたった1台のみであり、上空飛行も中止になったのだそうです。
これに関するツイートが、なかなかにシュールです。
例年だと戦車が列を作り、上空でも飛行がなされていました。しかし、今年は旧式の戦車1台。正直、こんなパレードはやらないほうがマシだったのではないか、などという気もしますが、これについては「余計なおせっかい」なのかもしれません。
【参考】ロシアの戦車
(【出所】ロシア大統領府。なお、写真は2022年5月9日の様子)
ちなみに英メディア『BBC』などは、「軍事パレードは安全保障上の理由から縮小された」、などと報じていますが、縮小されたのは「安全保障上の理由」なのか、それとも単純に「パレードに参加できなかったから」なのかについてはよくわかりません。
プーチン氏、ロシアの未来はウクライナ戦争にかかっている 対独戦勝記念日で演説
―――2023/05/10付 BBC NEWS JAPANより
また、ロシアのウラジミル・プーチン大統領は現在、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状を請求されている「容疑者」の立場でもあります(『ICC逮捕状受けオーストリア「プーチン逮捕」を明言』等参照)。
国際刑事裁判所(ICC)は今年3月、ロシア大統領であるウラジミル・プーチン容疑者の逮捕状を発行しました。ICC加盟国は2016年11月時点で世界124ヵ国に及びますが、プーチンはこれらの諸国を訪れることがますます難しくなった格好です。こうしたなか、ウクライナのメディア『ウクルインフォルム』(日本語版)は11日、「もしもプーチンがオーストリアを訪問した場合、オーストリアとしてはプーチンを逮捕するだろう」としたオーストリアの閣僚の発言を報じました。ICCがプーチンの逮捕状を発行国際刑事裁判所(The Internatio... ICC逮捕状受けオーストリア「プーチン逮捕」を明言 - 新宿会計士の政治経済評論 |
したがって、万が一、プーチン「容疑者」がICC参加国に足を踏み入れたら、その途端、身柄を拘束されることになります。プーチン容疑者は今後、ICC参加国に赴くことは難しくなりそうです。
また、『「ロシア分裂」なら東アジアは?複雑化する政策方程式』では、「ロシアが41の共和国に分裂し、ロシア・ルーブルが瓦解し、千島列島と南樺太が日本に帰属する」というストーリーを取り上げました。
G7で「ロシア分割」議論を!「ロシアが41の共和国に分裂する」。こんな地図が出てきました。これは、「ポストロシアの自由国家フォーラム」なる組織が発表したものです。これに関してジャーナリストの長谷川幸洋氏はウェブ評論サイト『現代ビジネス』で、「ロシアの内部分裂」の可能性とそれに伴う新たな問題点を挙げることで、「政策の方程式が、半世紀前よりもはるかに複雑になっているのは、間違いない」と指摘します。ロシアが41の共和国に大分裂…!?最近、一部では「ロシアの崩壊」が議論され始めているようです。ジャーナリス... 「ロシア分裂」なら東アジアは?複雑化する政策方程式 - 新宿会計士の政治経済評論 |
この「41の共和国」の出所は、亡命したロシア人政治家やジャーナリストらで構成する “FREE NATIONS OF POSTRUSSIA FORUM” 、すなわち「ポストロシアの自由国家フォーラム」が公表した、こんな地図です。
【参考】北ユーラシア2023
(【出所】 Free Nations of Postrussia Forum, “Map of the Free States of Postrussia” )
いずれにせよ、ウクライナ戦争が1年以上継続し、戦線が膠着し、情報も錯綜するなかではありますが、ロシアが置かれている状況が楽なものではないことだけは間違いないでしょう。
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パレード縮小のニュースを見てすぐ連想したのが、「クレムリン爆発自作自演説」です。パレードに出せる戦車や兵隊がないから、国内危機管理のため縮小しますという口実を作るためにちょこっと花火をブチ上げたのかも。国内世論も引き締まるし。
T-34は名車ですよ
大戦中のドイツ戦車や自走対戦車砲が恐竜的に進化していった原因がこれ
生産性、操縦方、頑強さ、防御力と
まさに傑作戦車ですね、
このT34の前身にあたるBT戦車、
ノモンハン事変で日本の戦車はコテンパンにやられましたが、
このBT戦車、
実は日本にも売り込みに来ていたとか、
歴史にifは禁物ですが、
もし、
日本陸軍がこのBT戦車を採用していたら、
太平洋戦線で、
史実よりはいくらかましな結果になっていたかも。
鬼戦車健在なり
https://twitter.com/DarthPutinKGB/status/1655946975836262400
しかし、思いきったもんですね。
中途半端に戦車並べず、さすがに戦線に出せない旧式1両だけと。
露宇戦争の前線では旧式T-55までは確認できるそうですが、T-34はいつ出てくるんでしょうかね。
流石にT-34まで行くと戦車としての戦闘力は無理でしょうから、各種車両に改修してじゃないですか?
横転映像とセットの冗談のつもりでしたが、2019年までラオスで現役だったそうですね。
https://trafficnews.jp/post/105164
実際のとこは、改修してまで使う価値があるのかどうか・・・
アメリカのM4はかなりの台数が東京タワーになっちゃったらしいです。
M4といえば、
東宝特撮映画の、
地球防衛軍にて、
宇宙人の攻撃を受けて、
飴のように溶ける場面が印象的です。
今回の戦争の収穫は:
ロシア得意の戦車を前に歩兵が進むという戦術が通用しなくなっていること。
番長(ロシア)強いと思ってたけどあんまり強くないじゃんということ。旧ソ連邦、その他周辺国はロシアのいう事聞かなくなるぞ。
北朝鮮への影響は? ロシアには北にかまってる余裕ない。
T-34が21世紀の戦場に姿を表したら胸が熱くなるな。
映画の『T-34』大好き。
私感ですが、
ロシアや北朝鮮・中国などの独裁国家は、独裁者の軍事力を誇示することは、民衆を抑える必須条件とも言えると思うので、それすら出来ないと言うのは割りとロシアの手詰まり感の指標になる気もします。
追記すれば、事実上のロシア軍別働隊とも言える民間軍事組織ワグネルの指揮官が、ロシア政府・幹部の批判を公言している事(弾薬がない・撤退するetc)も組織マネジメントの低下の現れのような気もします。
※関係ないですが、ワグネルが有名になって、ワーグナーもずいぶん悪名が上がっちゃった気もしますw
ワーグナーもハイデッガーも作品として好きなのだけれど、あの当時のドイツならナチス協力は仕方ないとも思えるのですけどね
対独戦勝イベントなんで、T-34は毎年出てるそうですが…
実際にも一線級の戦車はじめ重装甲戦闘車輌は足りてないのでしょうが、今回居なかったのは前線の露軍&対宇強硬派対策(「見せびらかしとらんで前線に送れ!」輿論を警戒)て見方もあるようで
ぶっちゃけT-14なんかも元々 ハリボテみたいなモンで戦力化できる見込みもナイ(出来具合?数?)から対宇戦に投入されとらんらしい(伝聞)ですし有る分でパレードランくらいは出来そう(推論)ですが、プーチン自身が長年国民に対しては"最右翼よりは中道寄りの冷静賢明な指導者"キャラで支持を集める様にフリ付けしとるそう(伝聞)ですから、今後の動員なりを見越してイベントの規模を調整したんちゃいますか~
パレードごと中止ではいよいよ苦境を認める事になり、最新のT-14や見栄えのする数の戦車を前線の苦境を横目にお祭りで遊ばせるわけにもいかず、T-34はまさに対独戦勝の象徴なので、おそらくロシアとしては一番マシな落とし所かと思います。どちらをとってもどこからかは批判と疑念が出る選択を強いられているという時点で、情況が良いようには思えませんが。
クレムリンへのドローン攻撃(?)も似たような情況となっています。(自演でないとすれば)正直ショボイ攻撃でしたが、あんな小型ドローンと小爆弾ということは、モスクワ近辺から発進したことになり、であれば首都近郊まで敵に浸透されていることになる。ウクライナからどうにか飛ばしたものだとしたら、長々と防空網を突破されたことになる。そんなことは無く防衛は完璧だというのであれば、自演でないと説明がつかない。しかも当のウクライナは関与を否定している。やけくそアメリカの陰謀のせいになんてしようものなら第三次世界大戦になってしまう(ので、かえってアメリカのオイタってことはあるかもネ)。
実はロシアは勝っている説を最近見ませんが、さすがに優位に立っている軍事大国が晒すような醜態とはとても思えません。これらも全部ニセ情報ならそれはもう天晴痛快。
実はロシアは勝っていた説。
今、ロシアには、1,000機以上の空軍機が「温存」されていると言われていて、無気味な沈黙と言われています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0e2eaf008d08f320687728f600b6b6eb368c0a2
これは、どうやら、温存ではなく使いたくても使えないらしいです。
ウクライナの防空体制が、完璧になってしまったので。
本来、これだけの空軍力があれば、侵攻の先ず始めに、空軍でウ全土を滑走路を含めて空から完全に叩いて、その後、戦車群が侵攻するのが、現代戦の定石らしいですが、ロシアはそうしなかったのですね。
侵攻の始め頃のニュースを聞いていて、素人でも空軍の攻撃が淡白過ぎる事にオヤッと思ったものです。
ロシアが現代戦の定石を知っていたら今頃どうなっていたかと考えると、恐ろしくなります。
世界の中露の覇権の確立に近づいていたかもしれません。
自己レスです。
1カ月以内にキーウを制圧して、傀儡政権をつくるつもりだったから、空からの完全破壊をするつもりは無かったのですね。
完全破壊してしまったら、あとで一から作られなきゃならならないから。
ウクライナ戦争の長期化によってプーチン大統領はどうやら苦境に立たされそうですね。
傭兵軍隊ワグネルのプリゴジンがロシア軍に対する批判を始めました。
また、先日のドローンによるクレムリン攻撃は、どうやら国内の反プーチン勢力によるものという判断が優勢です。
ロシア軍がウクライナの占領地を奪還された場合、プーチンはますます苦境に立たされることになると思います。
プーチン大統領は、国内の反戦派と核兵器使用もやむなしという強硬派双方からの圧力を受けることになります。
加えて、ロシアにために利用されてきたスラブ系以外の民族がロシアからの分離独立活動を始める可能性もあります。
この調子ですと戒厳令もあり得る状況となって来ました。
習近平国家主席もどこまでプーチンに付き合うのか、多分迷い始めているのではないでしょうか?
日本としてはロシアの内紛、あるいは内戦状態勃発という事態にどのように対応するのか、そろそろ真剣に検討を始める時期かと思います。
このパレードの後には、オチがあります。youtubeの5/10の真・防衛研究チャンネルで見ることができます。まさに、今のロシアを象徴している内容です。