「反日国のG8入り」。なんとも恐ろしい話です。ですが、尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領の「積極外交」を侮るべきではありません。世銀データによると、2021年のGDPで見て、韓国は中国、インドとともに世界10位圏に入っているからです。自称元徴用工判決問題がいっさい解決していないにもかかわらず、あたかも「日韓関係が改善された」かの状況を演じた岸田文雄首相の行動が仇とならないことを祈るばかりです。
目次
米国人「韓国は拡大G8に入るべき」
尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領が4月下旬、韓国大統領としての12年ぶりの「国賓訪米」を終えて30日、韓国に帰国しました。これについては正直、「予想通り、米国が中韓分断を図った」というものだと考えて良いと思うのですが、これに関連し、むしろ興味深いのが韓国国内の反応です。
韓国メディア『中央日報』(日本語版)に先週、こんな記事が掲載されていました。
「韓国は格上げされた地位を実感、G7拡大してG8に入るべき」(1)
―――2023.04.28 11:05付 中央日報日本語版より
「韓国は格上げされた地位を実感、G7拡大してG8に入るべき」(2)
―――2023.04.28 11:08付 中央日報日本語版より
記事を執筆したのは米国人ですが、おそらく記事タイトルのもとになった記述は、次のものでしょう。
「米国は韓国が国際的により大きな役割を遂行しようとする意志を歓迎し、これを奨励しなければいけない。例えば韓国の『クアッド』(日米豪印)活動参加を奨励し、韓国を含む『クイント』(Quint)も考慮するのがよい。G7加盟国はG7をG8に拡大して経済規模世界8位の韓国を含める案も検討すべきだろう」。
これだけを読むと、米国人が韓国を「G8」や「クイント」に付け加えるべきだと主張しているようにも見えます。
個人的には、韓国メディアに対してはもっとダイレクトに、「米国は韓国の米中二股外交を許さない」と明言すべきではないか、という気がしてなりませんし、こんな記事を韓国メディアに寄稿してしまうと、「米国人の口からG8、クアッドという単語が出てきた」という反応が出てきそうな気もします。
真意は「そろそろ西側諸国としての義務を果たせ」では?
念のためツッコミを入れておきますが、記事の全体を読むと、「韓国のG8入り」が記事の主眼ではありません。
著者自身の文責でおおざっぱに要約すると、「70年にわたる米国の庇護下で、韓国は先進的な自由・民主主義国に変貌した」のだから、「そろそろ西側諸国としての義務を果たせ」、というものではないでしょうか。
著者は、26日の米韓首脳会談で米韓両国が北朝鮮の脅威と対応に焦点を置いた核・戦略企画を議論する新たな「核協議グループ」(NCG)を設立したことに注目し、これが北朝鮮の核開発を牽制するものとしての期待を提示。
その一方で、米韓間でもうひとつ、緊張を招く分野である半導体協力に関しては、「ジョー・バイデン大統領はこの問題に言及したり、解決策を提案したりすることはなかった」と指摘しています。
要するに、安保面では核協力を含めてガッツリと米国側に引き寄せる一方で、半導体などの分野では、依然として米国は韓国に対する最後通牒を突き付けている状況にある、というわけです。
そのうえでこの論考では、「中国・ロシアなどが権威主義的な支配に有利に国際秩序の修正を追求する時期に、韓国は自由主義勢力に核心的な支援をしながら浮上している」と指摘。記事タイトルにある「G8」だ、「クイント」だという主張につながる、というわけです。
このような文脈で記事全体を読むと、この著者の方は韓国に対し、「中国・ロシアといった権威主義国の側ではなく、米国・日本といった自由・民主主義国の側に来い」と主張していることは明白です。米国が何もなしに韓国に「G8」だ、「クイント」だっといった恩恵を与えることはないでしょう。
朝鮮日報「尹錫悦大統領の外交の最終目標はG8進出」
もっとも、この「G8」が最近、やたらと韓国メディアに出て来るようになりました。韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)に掲載されたこんな記事は、その典型例でしょう。
G7控える尹錫悦外交…最終目標はG8進出
―――2023/05/01 10:31付 朝鮮日報日本語版より
朝鮮日報によると、今月19日から21日のG7広島サミットに向けて、尹錫悦政権は「G8の地位確保という目標に向けて積極的な外交を展開する考え」なのだそうです。
じっさい、広島サミットに合わせて多くの外国首脳が来日しますが、朝鮮日報によると、それらのうち数名が韓国を訪問する可能性があるというのです。
「韓国政府は、G7首脳の相次ぐ訪韓を、韓国のG8進出に向けた足がかりにする方針だ」。
韓国がG8入りを果たしたとして、いったい何をするつもりなのかという視点がないのも興味深い点ですが、それ以上に「先進国」という単語にここまで反応するというのも注目に値する現象でしょう。
ただ、今回のこの「G8構想」自体、侮れないものがあります。これまでだと、「ま~た始まった」、などとネタにする人も多かったのですが、そもそもGDPだけでみたら、すでに韓国はGDP10位圏内入りを伺う経済大国です。
実際、世界銀行(世銀)のデータで見ると、2021年におけるGDPの上位10ヵ国は、G7諸国と中国、インド、韓国です。
トップが米国で23.3兆ドル、2位が中国で17.7兆ドル、3位が日本で4.9兆ドルですが、以下ドイツ(4.26兆ドル)、インド(3.18兆ドル)、英国(3.13兆ドル)、フランス(2.96兆ドル)、イタリア(2.11兆ドル)、カナダ(1.99兆ドル)と続き、韓国は1.81兆ドルで10位です。
この20年で韓国のGDPは3倍以上になった
2001年と比べたら、中国、インド、韓国の経済がどれだけ伸びたか明白でしょう(図表1)。
図表1 GDP比較(2001年→2021年)
国 | 2021年 | 2001年 |
1位:米国 | 23兆3151億ドル | 10兆5819億ドル |
2位:中国 | 17兆7341億ドル | 1兆3394億ドル |
3位:日本 | 4兆9409億ドル | 4兆3747億ドル |
4位:ドイツ | 4兆2599億ドル | 1兆9458億ドル |
5位:インド | 3兆1763億ドル | 4854億ドル |
6位:英国 | 3兆1314億ドル | 1兆6487億ドル |
7位:フランス | 2兆9579億ドル | 1兆3777億ドル |
8位:イタリア | 2兆1077億ドル | 1兆1680億ドル |
9位:カナダ | 1兆9883億ドル | 7390億ドル |
10位:韓国 | 1兆8110億ドル | 5477億ドル |
(【出所】世界銀行データをもとに著者作成)
この20年間で、中国のGDPは13.24倍、インドのGDPは6.54倍になった格好ですが、韓国も3.31倍とかなりの成長を遂げています(ちなみに日本のGDPは1.13倍にしかなっていません)。念のため、棒グラフでも示しておきましょう(図表2)。
図表2 各国GDP比較(2001年vs2021年)
(【出所】世界銀行データをもとに著者作成)
韓国のG8入りは現実の脅威
こうした状況を見るに、東アジアのことをよく知らない国は、さすがにG7と基本的価値を共有しているとは言い難い中国、インドの両国のG8入りには賛同できなくても、「韓国のG8入り」については支持してしまう可能性もあるかもしれません。
地理的に離れた欧米諸国から見て、韓国といえば日本の隣国であり、また、アジアの国でありながら自由・民主主義が根付いた日本は、いまや欧米諸国から信頼し得る自由・民主主義国ですが、それがあだとなり、「その日本の隣国ならば信頼できる」とシンプルに勘違いする可能性もあるからです。
政権が変われば再び反日(に名を借りた反米)を推進する可能性が高い国を、G8だ、クイントだといった枠組みに引き入れることが正しいのかどうかについては、冷静に考察する必要があります。
いずれにせよ、自称元徴用工問題の根源となっている2018年の違法判決問題がいっさい解決していないにもかかわらず、岸田文雄首相が3月以降、あたかも日韓関係が「改善」されたかのごとくふるまってしまったことが、「反日国のG8入り」という、日本にとって取り返しのつかないことにつながらないことを祈るよりほかありません。
いちおう、警戒しておくべき論点のひとつでしょう。
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やはりいかに、緊縮デフレがダメかよく分かりますね
円安ガー!物価高ガー!弱い円ガー!と言ってる人達は給料(=GDP)を上げる気がない売国奴の老害と言われてもしょうがないよ
逆に言えば、ようやく日本は夜明けが近いということ
是非、新宿会計士様には円安のポジティブな面を取り上げてもらいたいですね
G7のメンバー国で、ノーベル賞、フィールズ賞、プリツカ―賞の受賞者(国籍別基準)がゼロの国はありません。韓国はゼロ。
一方、「パラサイト 半地下の家族」はアカデミー賞4冠でしたが、韓国系航空会社では機内上映ができず。https://n.news.naver.com/mnews/article/025/0002975692?sid=101
まずは基礎科学を発展させ、二極分解した社会経済構造と政治状況を変革することが先では。頑張ってください。
追記
国格などという儒教的価値観が蔓延っているかぎり、おそらく無理でしょうが。
フィールズ賞は去年1人とった。これには驚いたが韓国人があまり大騒ぎしていないのはなぜか。
想像だが
一つは価値がわからない。
二つ目は受賞者の韓国人がしきりに広中先生のおかげと連呼するのであまりとりあげたくない。
「国籍別基準」なので、ゼロです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%B1%E5%9F%88%E7%8F%A5
ご懸念には及ばない、と考えます。
理由の第一は、 会議というものは、参加国が多ければ多いほど、意見集約が面倒なもの。また既にメンバー入りしている国にとっては、その価値を希薄化する以外の意味はありません。この程度の国をメンバー入りさせたい、と思う国はありません。そして、韓国は、現在こそ右派が政権取っていますが、いつまた左派が取るか判らない国です。米国がそんなリスクを冒すほど愚かとは思えません。
第二は、韓国は少子化が急速に進んでおり、その経済的地位は、現在をピークとして、徐々に低下していくと予想します(日本も残念ながら同様の傾向)。
まあ日本も「ジャパンアズナンバーワン」と言われていた頃(1980年頃)がピークでしたが、
韓国も「G8入りかもと言われていたなあ」と40年後懐かしむのでは、ないでしょうか。
韓国はG7に招待されるたびにG8病を発症してますが、それは保革問わずみたいですねw
トランプだったかボリスだったか、D10とかいう構想を口に出したことがあって(確かG7に韓国とかオーストラリアとかを加えたもの)、そのあたりから韓国のG8病が酷くなったように記憶してます。識者が主張したとかじゃなく実際にG7メンバー国のトップが口にしたわけですから。でもこの話もいつの間にか消えてましたね。
まあ、G7加入の基準って経済規模やらGDPやらだけじゃないみたいですし…。というか、韓国ってすでにGDP12位くらいまで落ちてませんでしたっけ?将来的に日本より酷い少子化になることを考えると、そのGDPも尻すぼみになっていく可能性が高いですし(少子化に関しては日本も笑えた立場ではありませんが)
実際のところ半島が平和的に統一でもしない限り、無理だとは思いますが、ユンさんは(ムンさんに比べたら)侮れないというのは同意します。なにせ当の日本政府がすでに骨抜きにされつつあるわけですから。
あれ、すみません。
単独投稿したつもりが、taku様への返信になってしまいました。
日本もそうですから、中国はさらにそうでしょうね〜(出生率1切ってる説濃厚)
うわー、「匿名さん」だらけの中での投稿。そろそろ対策とったほうがいいですよ、「匿名さん」が増えても、掲示板のレベルが下がることはあっても上がることはないでしょうから。
G8になんか入りたそうな韓国ですが、ほんと、何もしない国家ですよね。確か日本人拉致被害者について、韓国や在日と協力関係をとっているはずですが、彼らが何かしてくれたというのを見たことも聞いたこともありません。
今まで電車にタダ乗りしてたのが、金が入ったからと義務を果たすはずはなし。
永遠の薩摩守ですな。
韓国のG8は、おそらく「夢見たよ〜」で終わると思います。G7の人達、つまり米国、英国、仏国、独国、伊国、加国、EUらは韓国の事をよく知らないんですよ。所詮他所ごと。ま、少し知っている人でも「日本が嫌っている国」とか「韓国自体、反日がひどい」ぐらいでしょう。
もし、8番目のメンバーになったら「借金だらけの国民が大勢居て、何かとプライドが高い」割に出資金はサボる。「対中戦略には恐々で、何かあれば必ず中国に事後報告する情けない国」と言うのが理解できるでしょう(爆笑)。国体があと何年もつやら(笑)。
あまり心配は要らないかと思います。確かに遠い欧米の国の一般国民は
国際政治やスポーツ関連の醜聞への興味がない限りは
「韓国?ああなんか日本の隣にある国ね。サムソンとかヒュンダイとかあるね」
程度の認識で、GDP以上の関心は持たないでしょう。
しかしこれが実際にやり取りをする羽目になる政治家や外交官だとどうか?
甘い汁をすすれる立場の者なら味方のフリをするのがせいぜいで、
実務的に関わらざるを得ない立場の者なら「なんてめんどくせえ国だ…」と
うんざりしているか、それを知っていて近寄らないかの二択かと。
韓国のG8入りはノーベル賞獲得よりさらに難しいと思います。
G8入りしたら、日米からお情けで外交してもらっていたものから卒業しなければならない、世界に対して責任を負い支援する側になる(建前だけど)、という意識があれば良いのですが。
「我はG8様ぞ、日本はもっと譲歩しろアメリカはもっと尊重しろ、G8以外はひれ伏せ」くらいの事しか考えていなさそうで。
早いうちにどころか一度もノブレスオブリージュを経験していない民族だしなぁ。
日本をも超える韓国の急激な少子化とそれによる急激な高齢化・人口減少や,共産チャイナが韓国から輸入していた中間財などの内製化を進めた結果として韓国の対中輸出がどんどん減少し続けて韓国は貿易赤字が定着して,これら韓国の経済情勢は今後も悪化することはあっても改善への具体的な方策は少なくとも現時点では全く見えていません.
この事実を考えると,韓国のGDPは今後10年以内に(恐らくは5年程度で)頭を打ち,その後は減少する一途となるのは確実なので,G7への韓国の追加を数年間阻止しさえすれば,サミット構成国への韓国の正式加盟の可能性は消えるということです.
ウォンの国際化を怠り共産チャイナ=宗主国様以外への海外投資を余り行わなかった結果として欧米諸国や日本(つまりG7諸国)のような対外資産形成が出来ていない韓国は,恐らく数年以内に恒常的に経常赤字の国となって,ウォンの外為レートが現状よりも更に大幅に下がった水準で定着してしまうことになるでしょう.
そうなれば,国際的な意思決定に参加する資格としての経済力が韓国という国には欠落しており将来的にも韓国が必要な経済力を有する可能性が皆無であると,誰の目にも明らかになると予測します.
そして私のような素人でもここ数年の韓国の出生率の変化や中韓貿易の数字から論理的に予測できた以上のような初等的な事柄は,(日本政府はいざ知らず)日本以外の欧米G7諸国の情報機関ならばとっくの昔に把握しているでしょうから,仮に超の付くお人好し(つまり只のバカ)岸田政権が韓国をG7に追加しようとG7で推薦しても,他の欧米諸国から(数年内に没落が確実な国を推薦するなんて馬鹿じゃないの?と内心で日本も馬鹿にされて)無視されて終わりだと思いますよ.(それとも欧米諸国のインテリジェンスを私は過大評価し過ぎでしょうか?)
>じっさい、広島サミットに合わせて多くの外国首脳が来日しますが、朝鮮日報によると、それらのうち数名が韓国を訪問する可能性があるというのです。
各国首脳の「韓国脱出グランプリ」が開催される訳ですね。