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入管法改正案で「子供在留資格検討」はとんでもない話

自民党は国民に支持されていない立憲民主党にどうしてそこまで配慮するのか

朝日新聞の報道によると、改正入管法の審議が進む衆議院で、政府・与党が立憲民主党の主張に配慮し、「在留資格がない子どもらに『在留特別許可』を与える方向で検討を始めた」ことが「関係者への取材でわかった」のだそうです。なんだかよくわからない内容ですが、事実ならばとでもない話です。せっかく検討している法制にわざわざ穴を開けることになりかねないからです。

民主党政権が開けた入国管理制度の穴

日本に不法に入国し、「難民認定」の申請を繰り返すことでずるずるといつまでも日本に滞在する、というケースがあります。

産経新聞社が運営するウェブサイト『zakzak』に元内閣参事官で嘉悦大教授の髙橋洋一氏が今から5年前に寄稿した次の記事によると、難民申請6ヵ月後から一律に就労許可が得られる仕組みが、民主党政権の手によって2010年以降に導入されたそうです。

難民認定制度、厳格化の背景に…民主党政権下の就労許可制度 正しいルールで外国人雇用を

―――2018/01/19 00:00付 zakzakより

ただ、こうした扱いについては、自民党・安倍晋三政権下で、とりあえず「借金逃れなど明らかに難民に該当しない事情を述べている申請者には就労を認めず、在留期限後に退去強制の手続を取る」という運用に変更されています。

法務省のウェブサイトに掲載されている『就労制限の対象となる難民認定申請者について』と題したPDFファイルによると、18年1月15日以降、「本来の在留活動を行わなくなったあとに難民申請した人」などに対しては「D分類」となり、就労も制限されています。

送還忌避者は1年で1000人増え4000人を超えた

もっとも、そもそも論として現行の入管難民法では、さまざまな問題点が指摘されています。

法務省『入管法改正案について』によると、在留が認められない外国人であっても、現行法制上、退去を拒んだ人物(送還忌避者)が問題となっており、とくに難民申請を繰り返せば、入管法制上は送還手続が一律で停止されてしまうのです。

ちなみに送還忌避者数は2022年12月末において4,233人で、前年と比べて1,009人増えており、しかもこれらの送還忌避者のうち「仮放免」の制度を利用して収容所を出たまま行方不明になった逃亡者が2022年12月末時点で1,410人と、前年と比べ811人も増えているそうです。

このため、政府は現在、難民認定申請が3回目以降となる者や3年以上の実刑に処された者、テロリストなどを強制退去させることを可能とする入管難民法改正案を提出し、衆院で審議されているのです。

在留資格ない子供に特別許可!?

もっとも、これに関連し、朝日新聞デジタル日本語版がこんな記事を報じました。

在留資格ない子どもに特別許可 入管難民法改正案、政府・与党が検討

―――2023/04/25 5:00付 Yahoo!ニュースより【朝日新聞デジタル配信】

朝日新聞によると、政府・与党は立憲民主党の要求を踏まえ、在留資格がない子供らに対して「在留特別許可」を与える方向で検討を始めたのだそうです。

朝日新聞によると、「在留資格がない子どもは収容を一時的に解く仮放免の立場となる」のだそうですが、この場合、親だけ強制送還し、子供を国内にとどめ置く、ということでしょうか?それとも子供だけ在留を許すわけにはいかないため、親に対しても在留許可を与える、ということでしょうか?

ちょっと意味がよくわかりませんが、いずれにせよ、もしこれが事実だとすれば、とんでもない話です。

せっかく入管法改正を審議しているのに、審議段階で法案に穴を開けようとするのは、明らかに国民に対する背任でしょう。

このあたり、朝日新聞の記事では、入管法改正案を巡り、「日本でしか暮らしたことがない子どもも一緒に送還されかねない」として、立憲民主党が「在留特別許可を柔軟に与えるよう求めている」と報じているのですが、正直、これも理解に苦しみます。

どうして自民党はそこまで立憲民主党に配慮する必要があるのでしょうか?

立憲民主党は国民に支持されていない

そもそも現在でも立憲民主党は「最大野党」ではあるものの、その議席占有率は極めて低いのが実情です。

衆議院では97議席(※2月13日時点)、つまり定数465議席に対して約20%に過ぎませんし、参議院に至っては統一会派を組む社民党と合わせてたった40議席(※4月24日時点)であり、定数248議席する割合はたった16%に過ぎません。

しかも、先日執行された国会議員の5つの補選で、立憲民主党の獲得議席はゼロでした(『補選ゼロ議席の立民・岡田幹事長、執行部の引責を否定』等参照)。

国会議員の補選で立憲民主党候補が全滅したことを巡り、立憲民主党の岡田克也幹事長が、執行部の責任を否定したそうです。「負けてもトップが責任を取らない」というあたり、なんとなく日本共産党とメンタルが似ています。もっとも、立憲民主党は選挙のたびに少しずつ議席を減らしている政党でもあります。岸田首相は早期解散には否定的だと伝えられているものの、この調子で議席が減り続ければ、近いうちに最大野党から転落するという展開もあるかもしれません。小西問題は組織マネジメントの失敗例『「小西問題」は立憲民主党「組織...
補選ゼロ議席の立民・岡田幹事長、執行部の引責を否定 - 新宿会計士の政治経済評論

もちろん、選挙の争点は「入管法」だけではありませんし、選挙区によっては自民党候補者が薄氷を踏むような辛勝だったというケースもあるのですが(『自民党が4議席制するも、うち3議席で「薄氷の勝利」』参照)、それでも立憲民主党が国会の「少数派」であることは間違いありません。

このように考えていくと、一部のメディア、特定野党などが執拗(しつよう)に求める「入管法改正案に穴を開けること」を、国民が支持していると考える方が不自然でしょう。

いずれにせよ、自民党議員の皆さんには現行の入管法制の「穴」も踏まえ、慎重な対応をお願いしたいところです。

新宿会計士:

View Comments (26)

  • 「親だけ強制送還し、子供を国内にとどめ置く」
    日本は、こんな非人道的な事を、行ってはならない。
    しっかり、難民親子で帰国させるべき。費用は、相手国もちで。
    そうしないと、何かの時にK国の難民が押し寄せるかも。

    • 私も同意します。ひとさらいと同じだ。住みにくい日本で無理に暮らしを強要しないで母国に返すべきです。

  • サムライアベンジャー(「匿名」というHNを使うことは在日の通名を使うのと同じ行為) says:

     我々は心を鬼にしてでも、日本に滞在する・日本で働く外国人の規制を緩めることに絶対反対の立場を貫くべきです。

     一人入れれば100人が、100人入れれば1000人が「入れろ入れろ」と言ってきます。緩い移民政策の戦期は国家の衰退です。

     移民に甘い国家のアメリカ人が幸せに見えますか?GDPが上がってもそれが国家の幸せを約束してはくれません。アメリカ人が「I Love USA」というTシャツを着るのも実はアメリカという国を信用していないことの裏返しだったりします。私は移民国家のアメリカがどう見ても、幸福な国に見えません。もしそう見えないのなら、ごく一握りの成功者ばかりを見ているからです。

     またかつて話題になった強制送還されることになった日本在留のフィリピン人少女、その騒動の時バックでうごめいていた弁護士なり活動家であったりしたのは「いつもの人権派」でした。もちろん人権人権といえば、在日コリアンと深いつながりがあります。フィリピン人少女の人権ではなく、最終的には自分たちコリアンの人権の特権を享受しようとしているだけです。

     人権うんぬン「の動きの裏には、いつも在日コリアンがうごめいているといいでしょう。そういえばジャーナリスト(笑)の伊藤詩織さんも、在日コリアンの活動家に囲われてズブズブですね。あそこまで簡単にズブズブだとわかる人物もめずらしい。「人権」という語が出てきたら、在日コリアンが裏で動いているとまず疑うほうがいいでしょう。日本は彼らに相当侵されています。

    • 日本国内の外国人労働者の人権を、そろそろインドネシア人(男性)とベトナム人(男性)に切り替えても良い時期かもしれませんね。 基本ダメダメの東南アジア男性ですが、真面目にやってる子も多く見ます。 でも、それなりの極悪犯罪をやるグループが存在しているのも事実ですが・・・。 元締めが韓国だったら(可能性大)、 差別だぁ~っ! の大合唱でするんでしょうね(笑) 

      反面、女性はかなり優秀だと思うねです・・・。 過酷な語学試験の合格者なんて、看護界ではエリート中のエリートでは? よく分かりませんが・・・。

      かつて、日本に来てスナック労働者として明るく演じていた彼女達もステキ!です。 関取のお母さんとかもそれなりにいます。
      昭和の頃とんでもない優秀(才能・外見)な朝鮮人が来日し、それなりのに成功していますが、そろそろ選手交代ですね。 

      • 福岡在住者 様

         返信ありがとうございます。

        >基本ダメダメの東南アジア男性
        まさに直球!素晴らしい評価ですね、南国の男って、ダメダメなんですよね。

        >インドネシア人(男性)とベトナム人(男性)
         これもど真ん中直球の例え!私は個人的に、東日本震災の時に結構東南アジアからの義援金があるのを知って独自にコミュニケーション取りました。ダメダメな南国人の中でも、結構芯があるというか骨があるのってインドネシア人やベトナム人と思いました。色々調べるとやっぱり、「独立戦争」がキーワードなんじゃないかと。
         異民族に守られてきた国って、戦争弱いんですよね。韓国も、あと残念ながら台湾も。あ、日本もそうでした。

  • 立憲民主党の皆さんは、難民を多数受け入れたドイツの治安状況がどうなのかを調べたらどうでしょうか?
    その上で、難民申請者の大いなる味方である立憲民主党の議員の皆様には、難民申請者を自らの家に一緒に住まわせて、身元保証人にもなってという実績をお示しになって、しかる後に、個人の力では限界があるので制度を整えたいと主張なさっては?

    •  アフリカからの難民が、毎日数千人単位で押し寄せるイタリア。
      『#86 今まで話さなかった数々のイタリアの悲惨な現状、まとめて話します』
      https://www.youtube.com/watch?v=khLxWVXdTdU
       妊婦は勾留されないのをいいことに、妊婦にスリをさせるジプシー。
       国内にアフリカ人やジプシーのスラムが出来ている。
       本当にシャレにならないイタリアの現実。

  • 不法滞在を助長する法律をつくる議員にききたい。
    見ず知らずの赤の他人が勝手に自分の家で生活してるのに、強制退去出来ないと困らないのか?
    不法滞在とはそれと同じだと思います。
    強制退去に反対する人権派弁護士が彼ら全員の生活の面倒をみるというなら、そういう法律にしてほしい。
    米国では共和党の知事が不法滞在者をバスでニューヨークに送ったといいます。
    人権派弁護士の家を不法滞在者の一時的収容所にしたらいいのに。
    彼等は口当たりのいい事を言うが責任を行政に丸投げなのがいけない。

  • 子供をネタにして 不法滞在を認めさせる手段は アメリカでも横行しているようです。
    不法入国でもアメリカで出産すれば 子供はアメリカ国籍所得。そして親は子供の効果で 永住権を獲得なのです。

    こどもの人権を盾に 不法滞在の親にも在留許可を許容せよという輩が 溢れ出すのは必須です。

  • 絶対に反対。
    民主党が開けた大穴を、小野田さん達の地道な活動でやっとまともになりつつある中、また蟻の一穴になりそうな事をするな、と言いたい。
    ホントやめてください。自民党さん。
    どうしても検討するなら1000年くらいかけてくれてもいいです。

  • 高市早苗氏の足を引っ張る為に奈良県知事選挙を捨てた岸田文雄が、えりあるふぃあを推しに指定してゴリ押しあやめして当選させたのは、この為だったんですかね?

    やっぱ、岸田文雄は駄目だ。

    • >クロワッサン様
      岸田文雄が、えりあるふぃあを推しに指定してゴリ押しあやめして当選させたのは、この為だったんですかね?

      えりアルフィア氏ってそんなダメなんですかね?私は移民法改正に反対してるってソースは見つけられなかったし、まぁ立場政策的に反対だろうけど、その一点でダメだしするのも全体俯瞰的にどうかとも思うのですが。安保や軍備、憲法や原発、対米中韓外交などは同意見なので

      本人のHPとかみたり、各政策に関する回答まとめNote(纏めたのは好意的な人ですが、回答は本人の引用)
      https://note.com/like_pulp/n/ndb89b384f4b8

      とか見ても、政策面で同意する部分が多く、帰化人であること以外に叩かれる要素は少ないと思うのですけど・・
      (私は帰化すれば日本人で、法律上問題なければ政治家でも政策内容で判断すべきとの考えです。
      蓮舫氏は国籍離脱日を明確にせず旗幟不鮮明なのと政策内容で大問題と思いますが、政策内容は生粋の日本国籍の政治家にも多いのでまた別問題

      ※寧ろ帰化人であるがゆえに、変な日本人よりも日本に対する理解や危機意識や愛情があるとすら私には思えます。これは私見ですが

  • 不法滞在者という犯罪者のゴネ得を許してはいけない、絶対にだめです。皆んな知ってるでしょごね得で居座ってる民族がいる事を!

  • 大昔から子供をダシにするのは小悪党の常套手段。例えば子供を路上に立たせて無理やり物乏いさせたり貧しい国ではよく見られる光景。
    悪い大人の都合に振り回されるのは子供の常。そんな大人は陰で子供を虐待している可能性すらある。人道的な対応を本当に考えるなら親子ともども国外退去させるべき。子供をダシに利用出来ないと思い知らせるほうがよい。

  • 不法滞在者向けの制度の”悪用”の事例が積み重ね続ければ、いつかは”反動”が来るでしょう。
    「グローバリズム」は「正義」並に使いにくい単語扱いされるのも遠くない。

    「合法、不法問わず滞在者のトラブルへの対処費用はその国の大使館が請求される」
    なんて時代が来るかも知れない、と少々極端な予想すらしています。
    そうなると海外旅行すら”免許制”になるかも知れませんね……我ながら本当に極端な予想だ。

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