ウェブ番組『虎ノ門ニュース』が復活したようです。当面は週1回の配信となるようですが、運営スタッフによると、スポンサーやメンバーシップ次第では配信回数が増えるほか、さまざまな出演者による出演も念頭に入れているようです。同番組が今後、視聴者をさらに獲得して拡大することができるかどうかは番組次第ですが、ネット論壇がますます多様化するという意味では、個人的には今回の番組復活を歓迎したいと思う次第です。
オールドメディアvsネットメディア
新聞、テレビを中心とするメディアのことを、当ウェブサイトではしばしば「オールドメディア」と呼称します。
『TBS社長「番組制作の現場は委縮していない」と発言』などでも指摘したとおり、このオールドメディア、「第四の権力」を自称しているわりには、数が限られているのに加え、利権に守られ、その「中の人」(新聞・テレビ記者など)を選定するのに私たち有権者が関わっていないなどの問題点を内包しています。
日本のオールドメディアの大きな欠陥
- 参入障壁が高く、メディアの数が非常に少ないこと
- 各種利権(記者クラブ制度、新聞の軽減税率、電波利権、NHKの受信料利権など)が存在すること
- メディア記者らは国民から民主的に選ばれた存在ではなく、監視の目も行き届かないこと
(【出所】著者作成)
マスコミは第四の権力、というか「独裁者」でした。国民の監視の目も行き届かず、オールドメディアの記者選定に国民が関わることもできなかったからです。この構図が、ガラガラと音を立てて崩れ始めていることの象徴が、例の「小西文書」だったのではないでしょうか。おりしもTBSの社長は29日の会見で、番組制作の現場は「委縮していない」と明言したのだそうです。マスコミ=第四の権力「マスコミは、第四の権力である」。これは、巷間でよく聞かれる説明です。マスコミ、あるいは新聞、テレビを中心とするオールドメディアは、人... TBS社長「番組制作の現場は委縮していない」と発言 - 新宿会計士の政治経済評論 |
ただ、これに関してはインターネットの出現により、状況が大きく変わり始めました。ネット側でオールドメディアと競合するサイトが急増しているからです。
そもそもネット側には参入障壁が極めて低く、たとえばウェブ評論活動であれば誰にでもすぐに始めることができますし(当ウェブサイトがその証拠です)、カメラなどの初期投資があれば、動画配信も可能です。YouTubeやニコニコ動画など、使い勝手の良い動画配信サイトが増えたためです。
しかも、オールドメディアと異なり、ネットメディアの場合は、配信者が無数に存在します。それぞれの配信者はページビュー(PV)や再生回数などを稼ぐために、厳しい競争にさらされており、必然的にそれなりにちゃんと勉強しなければ、すぐに人々から見放されてしまいます。記者クラブや税制優遇などの利権もありません。
日本のオールドメディアと比べたネット空間の特徴
- 参入障壁が低く、競合するウェブサイトの数が非常に多いこと
- 記者クラブ制度や税制優遇などの利権はほとんど存在しないこと
- ネット記者は厳しいPV獲得競争などにさらされていること
(【出所】著者作成)
著者自身の私見ですが、オールドメディアの報道と異なり、ネット側で人々に支持されているコンテンツには、それなりのクオリティがあります。たいていの場合、コンテンツ作成者の専門性も非常に高いからです。専門性も知識も低いオールドメディアの記者らが、人気のネットメディアに太刀打ちすることなどできません。
虎ノ門ニュースの番組終了
もっとも、ネットメディアの側は「新興勢力」でもあるためでしょうか、コンテンツ配信者の都合でメディア自体が消滅することもあるようです。
その典型例が、『真相深入り!虎ノ門ニュース』というウェブ番組なのかもしれません。
『虎ノ門ニュース』は株式会社DHCテレビジョンが前身の「DHCシアター」時代から製作していた番組で、もともとは衛星放送で配信されていたものだそうですが、2017年4月以降は配信先がYouTubeなどネットに特化していたものです。
ただ、この『虎ノ門ニュース』自体、昨年11月18日の放送をもって終了してしまいました。
その理由としては、DHCテレビの親会社だった株式会社DHCの株式をオリックスが買収すると発表したことと関係があるのではないか、などと噂されているようですが、その真相についてはよくわかりません。DHCテレビの公式ホームページについては事実上閉鎖されているからです。
このあたり、著者自身はこの『虎ノ門ニュース』に対し、いろいろと思うところはあるのですが、ただ、「ネット論壇」という観点からは、間違いなく日本の言論に歴史を刻んだはずです。
事実、『虎ノ門ニュース』の出演者らは現在、大きく分けて百田尚樹氏と有本香氏が『ニュースあさ8時!』を、MCだった居島一平氏が須田慎一郎氏、井上和彦氏らが『闇鍋ジャーナル(仮)』を立ち上げるなど、「保守論壇」はむしろ多様化しています。
あるいは、『虎ノ門ニュース』にかつて出演していた人たちに関しても、上念司氏は数年前から個人で『上念司チャンネル ニュースの虎側』というチャンネルを運営しており、自民党の参議院議員でもある青山繁晴氏も『青山繁晴チャンネル・ぼくらの国会』を運営しています。
図表 『虎ノ門ニュース』元出演者らが運営するチャンネルの事例
チャンネル名 | 運営者 | 登録者数 |
上念司チャンネル ニュースの虎側 | 上念司氏 | 55.7万人 |
青山繁晴チャンネル・ぼくらの国会 | 青山繁晴氏 | 43.3万人 |
闇鍋ジャーナル(仮) | 居島一平氏、須田慎一郎氏、井上和彦氏 | 18.5万人 |
ニュースあさ8時! | 百田尚樹氏、有本香氏 | 15.5万人 |
(【出所】著者作成)
これらのチャンネルのすべてが「保守論壇」なのかという点は脇に置くとして、ここで重要な事実があるとしたら、いずれもチャンネル登録者数が10万人を超えているということではないでしょうか。
虎ノ門ニュース復活!
もちろん、現在でも新聞、テレビを中心としたオールドメディアの社会的影響力はずいぶんと大きいのですが、ネット上の「保守」論壇が多くの視聴者を獲得していることは間違いなく、こうした傾向が続けば、いずれ世論に対する影響力においてもネットとテレビの完全逆転が生じるのではないかとも考えています。
さて、こうしたなかで、「ネット番組」という観点からは興味深い現象がありました。その『虎ノ門ニュース』が「復活した」というのです。
ツイッター上で旧『虎ノ門ニュース』の公式ツイッター・アカウントが昨日、何やら興味深いツイートを発信しました。
これをうけ、YouTube上の『虎ノ門ニュース』の公式チャンネルを確認すると、たしかにチャンネル名が『帰ってきた 虎ノ門ニュース』に変わっており、また、ライブ動画も確認できます。31日に第1回の配信が行われたようです。
いったいどういう経緯があるのでしょうか。
当面は週1回配信とのこと
初回の出演者は竹田恒泰氏とケント・ギルバート氏、MCを務めるのは元フジテレビのアナウンサーでもある田中大貴氏です。
これに関し、動画自体を視聴すると、冒頭(00:05:31)以降で「元DHCテレビジョンの従業員」だと名乗る番組のスタッフの方が3名登場し、『虎ノ門ニュース』のYouTubeチャンネルとスタジオを正式に継承し、『帰ってきた虎ノ門ニュース』として番組を再開することにしたと説明。
あわせて当面は「週1回の配信となる」としつつも、メンバーシップやスポンサーを集めることで、以前のとおり毎日の配信を目指すと表明しました。
想像するに、とりあえずスタッフの方々がスポンサーなしで「手弁当」で番組を復活させたのでしょう。
また、竹田氏が旧DHCテレビの幹部との関係などをスタッフの方に質問したところ、スタッフの方は「山田(晃・元)社長はいま、闇鍋ジャーナルで頑張っていらっしゃいますので…」、「吉田(嘉明)会長はお元気だと思います」、などと述べるにとどまりました。
要するに、旧DHCテレビの幹部は、この『帰ってきた虎ノ門ニュース』の運営には関与されていない、ということなのでしょう。
いずれにせよ、この『帰ってきた虎ノ門ニュース』が今後、視聴者を獲得していけるのかどうか、あるいは逆に番組が終了してしまうのかについては、同サイトの運営次第ではあります。ただ、スタッフの方々は新たな出演者にもオファーをする方針を示しており、なかなか野心的です。
なにより『DHCテレビ』改め『帰ってきた 虎ノ門ニュース』の番組チャンネルは、登録者数85.2万人のままで引き継がれており、プラットフォームとしてはこれが大きな強みとなるでしょう。
いずれにせよ、ネット論壇がますます多様化するという意味では、個人的には今回の番組復活を歓迎したいと思う次第です。
View Comments (5)
なんか「帰ってきたウルトラマン」チックなロゴだなぁw
最終回のウルトラ5つの誓い、を
言える人が何人いるやら。
貴重な情報ありがとうございました。朝8、ネタがちょっと浅くなってきたような気がしていたところでした。
「帰ってきた虎ノ門ニュース」 の中でケント・ギルバート氏も言ってましたが、日本ではケーブルテレビでさえ 「1地域1事業者」 の原則があって、新規参入のハードルが高いんですよね。
役所が無意味に許認可の権限を握り続けていると、公共部門が肥大化して税金も高くなるし、役人の力が強くなりすぎて、政治家の足を引っ張ったり、天下りなどの癒着・利権の温床にもなります。
日本にも 「減税+規制緩和=小さな政府」 を主張する政治勢力が必要だと思いますね。
突然のご連絡、失礼いたします。
一般社団法人ひまわり 幹細胞クリニックの永田と申します。
貴社サイトでの発信情報が、弊社が運営するクリニック事業(https://kansaibou-clinic.or.jp/)との親和性が高く、相互リンクする形でご掲載していただけないかと思い、ご連絡いたしました。
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