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メディアの「高市氏逃げ切り」報道巡りヤフコメで批判

いわゆる「小西文書」問題は、高市早苗氏が先週金曜日に公表した文書により、ほぼ決着がついてしまったというのが当ウェブサイトの現時点における認識です。ただ、これを巡って時事通信が昨日、「放送法文書」を巡って「高市氏が逃げ切りか」などと題した記事を配信したところ、記事に1300件を超えるヤフコメが殺到し、その上位10件のうち8件はメディアの報道姿勢を批判する者だったのです。

小西文書問題は高市氏の全面勝利

いわゆる「小西文書」問題に関しては、『【資料】高市が公表した「参院予算委に提出した資料」』や『勝負あり:高市氏が小西文書「捏造」を説明してしまう』でも取り上げたとおり、高市早苗氏の全面的な勝利に終わったと考えて良いでしょう。

この「小西文書」、もともとは立憲民主党の小西洋之・参議院議員が公表した全78ページの資料ですが、当ウェブサイトとしては、「安倍晋三総理大臣の時代に政治主導で放送法の政治的公平性に関する解釈に踏み込んでいた」とする疑惑に火を付けようとして失敗した問題だと考えています。

そもそも78ページのうち、高市早苗氏に関する記述がある資料は4枚しかなく、そのうちの3枚は作成者も不明で内容の正確性も裏付が取れなかったという代物であり、残る1枚に関しても高市氏が先週金曜日に公表した資料により、ほぼ全面的に否定されたと考えて良いでしょう。

というよりも、この手の怪文書で国政を停滞させるという手法には、かなりの無理があります。

国会を開くだけでも莫大なコストが必要ですが、そのコストは国民の税金で賄われており、そして、物価高・資源高に加え、安保情勢が厳しい現在の日本において、「そんなこと」を国会でグダグダ議論している余裕などありません。

しかも、追及する側は高市氏の発言の揚げ足取りばかりであり、ひとつの論点が論破されれば次々とゴールポストを動かし、やれ「文書自体が捏造だったかどうか」、やれ「大臣レクがあったのかどうか」などに論点を動かし、総務省側の答弁を歪曲したうえで「高市は辞任しろ」とやるわけですから、始末に負えません。

これはオールドメディアの問題でもある

ただ、この問題は特定野党の問題に矮小化されてはなりません。

やはり、「報じるべきをきちんと報じない」という意味では、オールドメディアの問題でもあるからです。

そのことを痛感させるような記事が昨日配信されていました。

放送法文書、高市氏逃げ切りか 野党に手詰まり感

―――2023/03/27 20:33付 Yahoo!ニュースより【※時事通信配信】

記事タイトルの時点で「おかしい」と思う人も多いでしょうが、内容も強烈です。最初の一文が、これだからです。

放送法の政治的公平性の解釈見直し問題で、総務省文書の記述が正しければ閣僚・衆院議員を辞すると明言した高市早苗経済安全保障担当相は逃げ切れそうだとの見方が与党内で出ている」。

そもそもこの問題自体、「放送法の政治的公平性の解釈見直し問題」と呼ぶべきではありません。「小西文書問題」と呼ぶべきでしょう。文書の内容の信憑性はさておき、一応は「行政文書」である文書が(おそらくは違法な手段で)持ち出されたのですから、それ自体が何らかの犯罪に該当する可能性があるからです。

しかも、この問題、総務省による精査結果や高市氏らの反論をまとめるならば、文書に記載された内容に捏造が含まれているという可能性が強く示唆されているのですが、時事通信のこの記事では、こうした重要な論点が無視されたうえで、「予算が成立すれば野党の追及機会が激減する」などと報じているのです。

2023年度予算案が28日に成立すれば、野党による追及の機会が激減するからだ。野党が本丸と位置付ける新解釈の是非に関する議論もうやむやのままだ」。

時事通信はまた、立憲民主党側が「政治的公平性の新解釈の撤回を目指した」としつつも、「予算委で議論が深まったとは言い難い」と指摘。「立民内には手詰まり感が漂っている」と結んでいるのですが、正直、「手詰まり感が漂っている」のはオールドメディアも同じではないでしょうか。

ヤフコメ上位に記事への賛同意見は皆無

ちなみにこの記事のもっと面白いところは、昨日の深夜時点で1300件を超える読者コメントが寄せられていながら、そのうちの上位コメント10件を確認すると記事に賛同するものは皆無である点でしょう。

このうち8件にはメディアの報道姿勢を批判する内容が含まれており、残り2件は立憲民主党の姿勢を強く批判するものと、今回の文書の記載内容自体が総務省における「重要行政文書の管理体制と総理と大臣の通話内容の入手経緯」を「国の根幹を揺るがしかねない大問題」と指摘するものです。

いずれにせよ、今回の「小西文書」問題には、官僚機構が(おそらくは)大臣に無断で勝手な文書を作成していた問題、特定野党が怪文書片手に国会質疑をスキャンダル追及で潰してしまう問題、そしてオールドメディアが実態を適切に報じない問題などが凝縮されています。

その意味では、これも『【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』などでも論じた、官僚組織とオールドメディア、そして特定野党議員といった「腐敗のトライアングル」が、音を立てて崩れ始めているという現象のひとつの表れといえるのではないでしょうか。

社会のネット化が進展して、一番困る人たちは新聞・テレビを中心とするオールドメディア産業関係者であることは間違いありませんが、それだけではありません。官僚・役人や野党議員なども、かなりの割を食うことが予想されます。いったいどういうロジックでしょうか。ここで考えておきたいのが「腐敗トライアングル」という重要な論点です。腐敗トライアングル昨日の『騙せなくなる日本:「自称徴用工」年内妥結は困難に?』では、自称元徴用工問題に見せかけて、当ウェブサイトなりのちょっとした「問題意識」を展開しました。それが...
【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」 - 新宿会計士の政治経済評論
新宿会計士:

View Comments (18)

  • 逃げ切ったなどと小西文書の正当性を認めるかのような認識じゃあ駄目ですよね。

    高市氏は不当な批判に真っ向勝負して勝った訳ですし。

    ただ、議員辞職を掛けるなら小西氏にも議員辞職を求め…いや、議員としての格を鑑みると、泉代表の首も一緒に賭けないと釣り合いが取れないですね。

    発言の重みが軽過ぎる小西氏と、発言の重みは軽いけれども立場は一応重たい泉代表の議員辞職なら、まぁ釣り合いが取れていなくもない、と。

    • これで「腐敗のトライアングル」がなんのリスクも負っていないとしたら、これも「ゼロ対100理論」の1つでは?

  • 切り取り報道の実況中継が見られました。 昔と違うのはSNSの副音声の方が視聴者が多くて、リアルタイムに炎上することです。 最近のサンデーモーニングは、上念司さんの副音声をつけながらか、副音声だけを聴きます。

    • TBSも、サンデーモーニングに上念司氏の副音声をつけて放送すれば、視聴率があがるということでしょうか。

  • もうマスゴミに政治的公平性とか無理なものは要求しないし、好きなように切りはりして報道していいから、すべての優遇措置や既得権益を剥奪してほしいものです。

    • 賛成。

      オールドメディアでも、今のTVは少なくとも双方向通信できるんだから、視聴率はリアル受信器数を示すようにし、視聴者の声もそのまま画面に全部載せて出すようにしたらいい。視聴者自身で、アンケートを立てて、その場で賛成反対を投票できるようにするべき。なぜ、恣意的な一方通行の捏造放送を見せさせられないといけないのかな?

  • 私が見た限り、
    ①新聞やテレビでサンケイ以外報じていない国際親善ニュース:
    ---日米、硫黄島で合同慰霊式 遺族「後世に語り継ぐ」
    ②地方紙のみがくやしまぎれに報じている経済安保ニュース:
    ---JAXA、技術漏出管理で4段階。米・欧が一番。韓国は二番。中国は三番。四番はロ・北朝・ベラルーシ。---個人の感想:JAXAの管理はこれでも甘いが、まずまずの朗報。JAXAは技術分野にしゃしゃり出てくる文系(学術会議やあちら系マスコミのこと)の横やりに何とか耐えた模様。
    ・あいかわらず自分のことは棚にあげ良いことでも文句を言うnhk
    ----9時ニュース;京都への文化庁移転に関し、賛否両論併記のつもりだろうが「新幹線代がかかる」ことを非難。あんたんとこが大した用もないのに台湾に出張する費用よりははるかにましと思いますが。

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    時事通信:「高市早苗女史、オールドメディアの、いちゃもん追及から逃げ切りか」
    これって、笑い話ですよね。

    • すみません。追加の笑い話です。
      時事通信:「たとえ小西文書が捏造であっても、朝日新聞が「高市早苗議員は辞任しろ」と言っているのだから、高市早苗議員は辞任すべきだ。(後々、問題になっても、辞任を要求していたのは朝日新聞であって、時事通信でない。そして、時事通信は、記事を買ってくれるところが書いて欲しい記事を書くところだ)」
      これって、笑い話ですよね。

  • 岸田さんも高市さんも敵が詰めが甘いから何とか助かっただけでは、という感じがします。
    韓国、小西に対しては相手の土俵に乗るべきでなかった。どうせ騒ぐことしか出来ない連中だし。
    この2人心配になることばかりですが、
    河野とかいう強引で立憲共産党と仲良く思想が類似な奴より遥かにマシなのです…。

  • 時事通信は「高市氏逃げ切りか」と、高市早苗大臣がさも疑惑のかたまりでドロンしたような論調で書いている。大多数の市民は、そんなスタンスに反感を覚えます。だからコメントは反論ばかりになる。無かったことにしようとするのは、立憲民主党と小西議員だ。

    重要な国会審議を止めて、くだらない捏造の犯人らしき者の吊し上げをやっている時じゃないだろう。高市早苗氏に関する残り1枚に関しても高市氏が先週金曜日に公表した資料により、否定されました。

    国会期間中、莫大なコストをかけて小西議員は時間、カネの浪費をした。私はそんなの税金で払うのは嫌だ。小西ひろゆき議員と立憲民主党が迷惑料込みで政府に10億円払え。

  • 国会開かなくても予算は今日「自然成立」する。
    大臣レクはあったが「放送法」のレクじゃない。
    捏造の認識はないが「記憶」がない。
    行政文書だが「作成者」が不明。
    放送法の解釈は既に総務大臣が変更していないと答弁している。
    これで予算が成立しても無駄な税金を浪費する責任は野党にある。
    行政文書という「公文書」に嘘文書を差し込んだ「怪文書」を駆使し、「ゴールポスト」を動かす立憲の有象無象こそ議員辞職するべき。
    支持率は正直です。
    大事なことだから2度言います、支持率は正直です。

  • ネット普及前夜の20年前であれば、政治により放送の中立性が曲げられようとしていると聞いただけで、怪文書の真偽や入手経緯などおかまいなく発狂してしまう人々が多々おり、国を揺るがす大問題になったであろうと思います。
    しかしネットの普及によりマスコミの化けの皮が剥がれつつある昨今において、「放送は政治的に公平である」という前提からして、そっちの方がかなり怪しい、つまり多くの放送が政治的に偏っているのが巧妙に隠されているを多くの人が知ってしまったので、小西怪文書は世間の支持どころか、冷たい視線しか集められなかったのではないかと考えています。

    世界中、日本中の出来事についてマスコミを介さない発信が直接手に入るようになって、出自不明の怪文書片手に国会を空転させるより、もっと優先させる事案は山ほどあるだろうと考えるニュートラルな人がもっと増えることを期待しています。

  • メディアの政治的公平性に問題がある事が露呈した結果になりましたね

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