米国で銀行破綻が相次いでいるようですが、「金融評論家」としては、正直、わが国に与える影響は限定的と考えています。ただ、こうした米国発の経済ショックに敏感な国が日本のすぐ隣にあります。通貨・ウォンが国際的なソフト・カレンシーである韓国がそれです。そんな韓国のメディアに13日付で掲載されたコラム記事を読むと、米国が軍事面だけでなく、金融面でも韓国の命綱を握っていることがよくわかります。
米国で銀行破綻が相次いでいるようです。
米シリコンバレー銀行の破綻について知っておくべきこと
―――2023.03.13付 Forbs JAPANより
米銀29位・シグネチャー銀行も破綻 預金全額保護
―――2023年3月13日 8:26付 日本経済新聞電子版より
経営破綻したのはカリフォルニア州のシリコンバレー銀行(10日)、ニューヨーク州のシグネチャー銀行(12日)です。
このうちシリコンバレー銀は昨年12月末時点で総資産約2090億ドル、預金は1754億ドルで、米国で16番目に大きい銀行だったそうです。また、シグネチャー銀は同じく昨年12月末で総資産約1104億ドル、預金は約886億ドルで、全米29位とのことです。
「全米16位」だの「全米29位」だの、「総資産規模2000億ドル超」だのといわれても、金融評論家としては「あぁ、そうですか」という印象しか持ちません。たしかに「米国版地方銀行」クラスとしてはそれなりの資産規模ではありますが、世界的なG-SIBsなどと比べれば、正直、大した影響はないからです。
しかも、調べてみると、経営破綻に至るまでの経緯は単純です。
シリコンバレー銀の方はコロナ禍で集まった非安定預金を長期債に投資した結果、FRBの利上げで資産側に含み損が生じ、また、預金流出が発生したことを受けて資金繰りに窮したというものだそうであり、正直、銀行経営としてはお粗末です
また、シグネチャー銀に関しては暗号資産関連の取引で知られ、同じく暗号資産関連エクスポージャーが多かったシルバーゲート銀行が3月8日に自主清算を発表したことに加え、シリコンバレー銀が経営破綻したことで、預金流出が加速したもようです。
正直、これが歴史教科書を書き換えるほどの金融ショックだとも思えません。
日本の場合だと2025年3月以降、完全適用されるバーゼルⅢ自己資本比率に加え、流動性に関するLCR/NSFR、バランスシートの規模に関するレバレッジ規制、デリバティブに関するCVAチャージ、金利リスク管理に関するIRRBBなどのルールにより、金融機関経営の健全性は頑強です。
(※というよりも、やや頑強すぎるくらいです。「岩盤コア預金」を抱える日本の金融機関は、たかだか超長期債の利回りが上昇したくらいで大騒ぎする必要もないと思うのですが。金融庁さん、聞いてますか?)
ただ、これがソフト・カレンシー国だと、そういうわけにもいかないようです。
韓国メディア『中央日報』(日本語版)に13日付で掲載された次の「コラム」記事によれば、北朝鮮による武力挑発に加え、米韓金利差拡大、経常収支赤字にともない、ウォン安への警戒が述べられているのです。
【コラム】最悪の為替危機防ぐのは韓米同盟
―――2023.03.13 11:13付 中央日報日本語版より
執筆したのは「国際外交安保ディレクター」の方で、コラム記事全体で何が言いたいのかいまひとつよくわからない部分もないわけではないのですが、ざっくりと言えば「通貨危機を防ぐためには米韓同盟をしっかりと構築することが必要」、といったところでしょう。
「このところ韓米の金利差に経常収支赤字により為替相場の心配が大きいが為替相場急騰の危機は経済だけでなく安保にもある。1998年に為替相場が1ドル=1900ウォン台を付けた通貨危機は国が経済的に大きく揺れる時だった。やはり安保が揺らぎ国の存続の危機がきてもウォンは紙切れになる」。
このあたりの感覚、私たち日本人にはなかなか理解できないものです。
ですが、北朝鮮の安保危機だけでなく、しばしば発生する経済危機のたびに、韓国の通貨・ウォンが急落してきたという事情を踏まえると、ちょっとした外的ショックに韓国のメディア人らが神経を尖らせてしまうのも、ある意味では仕方がないのかもしれません。
ちなみに現在のところ、米銀の破綻で韓国ウォンが暴落しているという兆候はありませんが、韓国では常にそのようなリスクにおびえているようにも見受けられます。実際、このコラムのなかでも、こんな記述も確認できるからです。
「為替相場に関してはいまは金与正の口よりはパウエル議長の口がもっと怖い」。
米韓同盟さえしっかりしていれば通貨危機が発生しないというものではないとは思いますが、少なくとも米国にとっては、韓国の通貨・ウォンが不安定であるという状況は、軍事面だけでなく金融面からも、韓国の命綱を握っているようなものだといえるのかもしれません。
View Comments (7)
日本の金融株は3月10日と13日に大きく下げてるね。
三菱UFJは9日993.6円 10日932.7円 13日900.3円
2日間で約9.4%の下落。
予想通り這い出してきましたw
「韓日関係雪解けムード?で韓日通貨スワップ再開の声も(笑)」
https://s.japanese.joins.com/JArticle/301944
首脳会談でキシダさんスワップ30億ドルならいいでしょと締結しそう。
その後、ウォン大暴落でいつのまにか500億ドルへ増額、イ大統領が竹島上陸までがシナリオですかね。
4月に統一地方選挙があるから大丈夫だと思いますが・・・。
そもそも脆弱通貨ウォンが
国際経済の足を引っ張らないためには
当時なかった二国間通貨スワップでなく
多国間通貨スワップのCMIM
(チェンマイ・イニシアティブマルチ)
が存在しています。
ただ、CMIMは、
3割を超えて恩恵に預かるときは
モラルハザード防止策の
IMFの指導が条件なので、
過去から外貨準備高水増ししたい疑惑で知られる
韓国さんには痛いところでしょう。
それにひきかえ韓日通貨スワップは
もし日本騙して締結できたら
悪用し放題でウォン崩壊の恐怖から
開放される以上にウォン安通貨誘導で
日本製品を海外市場から駆逐して
まさに悪夢の民主党政権下と同じように
日本の企業と国民が塗炭の苦しみ受けさせる一方で
韓国製造業ウッシッシの再来が実現できるのです。
岸田が恨流パンドラの箱を開けてしまった今
「今こそ韓日スワップで友好ニダ」(笑)の画策は
手を変え品を変え日本を騙しに押し寄せると
思います。
明日3/14夜の米2月CPI(消費者物価指数)や、3/15夜の米2月PPI(生産者物価指数)が注目されているようです。市場予想を上回る物価指数が出ると、米インフレ加速懸念→FRBによる金融引き締め再開→米金利上昇→米ドル買い→ウォン急落再開?。シンパイです。
>このうちシリコンバレー銀は昨年12月末時点で総資産約2090億ドル
韓国でほぼ同規模の外貨を委託運用してるKIC(韓国投資公社)の昨年度投資実績が同様の理由?で燦々たるもののようですね。
とくに韓国銀行の外貨公表値のうち、為替換算の生じないドル建部分にかかる評価損については、そのまんま ”含み損” ってことなのかと。(取得価格主義なんてやめればいいのに。)
・・・・・
韓国ファンド「KIC」8月まで40兆損失、収益率-14%(朝鮮日報)
https://www.chosun.com/economy/stock-finance/2022/10/20/XT6QFVYXPZH6HDTQQVZIDBH43E/
>ジン・スンホKIC社長は19日、国会企画財政委員会の国政監査で「今年8月末現在、284億ドル(約40兆4000億ウォン)の投資損失が発生した」と明らかにした。
昨日、今日株式市場が大変なことになっている。
アメリカの次の利上げはなさそう。
ということは円高か?