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【日本外交の敗北】林外相は韓国政府の対応を「評価」

当ウェブサイト的に最も恐れていた事態が実現してしまいました。林芳正外相は韓国が国際法違反の状態を是正せず放置することを決めたことに対し、「評価する」と述べました。また、日本企業に対しさらなる損害を与える可能性がある「財団への寄付金」構想についても、「国内外の自発的な寄付活動について特段の立場をとることはない」とも述べたようです。「日本の損害割合を100ではなく10に抑えた以上、日本の大勝利だ」、といった寝言を述べる人にこの際ハッキリと申し上げておきますが、国際法違反状態の是正に失敗し、日本企業に将来生じるかもしれない損害を回避できなかった時点で、これは日本外交の敗北です。外務省の大失態は、まさに解体処分に値します。

韓国政府の解決策

自称元徴用工問題を巡り、韓国政府は6日、いわゆる「解決策」を公表したようです。

ここでは韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)の報道を紹介しておきましょう。

<韓国政府の徴用賠償問題解決策全文>

―――2023.03.06 12:11付 聯合ニュース日本語版より

聯合ニュースによると、韓国政府は「1965年の韓日国交正常化以来構築されてきた両国間の緊密な友好協力関係」に基づき、日韓関係を「未来志向的により高い次元に発展させていこうという意思を持っている」などと主張。

2018年の「日帝強制占領期の強制徴用事件に対する大法院判決」(※原文ママ)以降、「2019年7月に日本の輸出規制(※原文ママ)が発表され」、同8月には「我々はGSOMIAの終了を通知した」などと指摘。

このような状況で2022年5月に尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権が発足し、「政府は強制徴用被害者側(※原文ママ)の意見を尊重しながら、韓日両国の共同利益に合致する合理的な解決策を策定するため努力してきた」と述べます。

この記述の時点で、正直、事実誤認ばかりであり、日本国民としてはとうてい看過できず、許せない発言ではありますが、この点についてはとりあえず脇に置き、続きを読みましょう。

韓国政府が発表した案は、次の通りです。

  • 「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者等支援に関する特別法」制定以降に設立された行政安全部傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が強制徴用被害者・遺族支援および被害救済の一環として2018年の大法院による3件の確定判決の原告に判決金と遅延利子を支払う
  • 同財団は現在係争中の強制徴用関連の別の訴訟が原告勝訴と確定した場合、同判決金と遅延利子も原告に支払う
  • 同財団は強制動員被害者の苦痛と痛みを記憶し、未来世代に発展的に継承していくため、被害者追悼や教育・調査・研究事業などをさらに内実のあるものにし、拡大していくための案を積極的に推進する
  • 財源に関しては民間の自発的な寄与などを通じて賄い、今後財団の目的事業に関連する可用な財源をさらに拡充していく

…。

韓国政府の要求

つまり、日本が絶対に譲ってはならなかったはずの、2018年10月、11月の大法院判決を未来に向けて無効にするという措置はいっさい含まれておらず、あくまでも国際法違反のこれらの判決を「肩代わり」方式で履行するという、明らかに日本国民を舐めたような解決策です。

そのうえで韓国政府は次の通り、日本に対して要求を突きつけます。

  • 韓日両国が1998年10月に発表した日韓共同宣言を発展的に継承し、過去の不幸な歴史を克服し、和解と善隣友好協力に立脚した未来志向的な関係を発展させていくため共に努力することを望む
  • 最近の厳しい朝鮮半島や地域・国際情勢の中で普遍的価値を共有する最も近い隣人である日本と共に韓日両国の共同利益と地域、世界の平和繁栄のため努力していけることを望む

なかなかに強烈な要求です。

林外相の会見

一方でこれに対し、林芳正外相がやはり6日、談話を発表しました。

「元徴用工」韓国政府が解決策 林外相が記者団にコメント

―――2023/03/06 12:44付 Yahoo!ニュースより【日テレNEWS配信】

このなかで林外相は、次のように述べました。

本日韓国政府により発表された措置を、2018年の大法院判決により非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価します」。

なるほど。

林外相は韓国が国際法違反状態を是正しなかったことを「評価」した、というわけですね。

林外相はまた、「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて韓国と連携する」、「日韓共同宣言を含め歴史認識に関する歴代内閣に関する立場を全体として引き継いでいることを確認する」とも述べています。

さらには、また、日本企業に対しさらなる損害を与える可能性がある「財団への寄付金」構想についても、「国内外の自発的な寄付活動について特段の立場をとることはない」とも述べたようです。

日本外交の敗北

正直、文在寅(ぶん・ざいいん)政権下での日韓慰安婦合意破り、2018年12月の火器管制(FC)レーダー照射事件などについて何ら解決していないのに、「FOIP実現に向けて韓国と連携」など、冗談ではありません。

当ウェブサイトでこれまで何度も何度も述べてきたとおり、韓国を含めた無法国家が好むのは「ゼロ対100理論」です。

今回の日韓政府の発表を「韓国は事実上、日本企業からの寄付がない時点で、日本の事実上の勝利だ」などと述べている者もいるようですが、これは大きな間違いです。

そもそも論として、自称元徴用工問題は、「日韓双方が譲歩すべきもの」ではありません。当ウェブサイトで普段から指摘する通り、この問題は「ゼロ対100」で全面的に韓国側のみに責任があるからです。利得割合でいえば、韓国が100、日本がマイナス100です。

このゼロサムゲームにおいて、韓国がいう「韓日双方が譲るべき」とは、韓国の利得割合を100ではなく80、70、60などと減らしていくことを意味していますが、これは同時に日本からすればマイナス80、マイナス70、マイナス60などに減ることを意味します。

「今回は日本のマイナス割合が100ではなく10だったから日本の大勝利だ」などと述べているのだとしたら、その時点で「ゼロ対100理論」の罠に嵌っているようなものでしょう。岸田「宏池会」政権の「脇の甘さ」は危惧したとおりだったようです。

いずれにせよ、著者自身、外務省は解体処分に値する失態を犯したとみている次第です。

新宿会計士:

View Comments (166)

  • 日本の国益を毀損したくてたまらない遺伝子が刻み込まれてる団塊世代がいなくなるにつれて、よくなってると捉えるしかないでしょうね
    1989年には宮澤喜一が中国を外交舞台に復活させたり、今からしたらひっくり返るようなことしてますから
    しかし、SNSなどで今回のことは叩き続けるのはマストでしょうな

  • 何というか、正式な文書を確認してからでなければ断定的なことは言えませんが、『ほら!言っただろ!』感が一杯ですね。

    最も大きな責任は岸田さんにありますが、安倍さん、菅さんにも責任があります。
    それは『打つべき手を打たず、惰眠をむさぼっていたこと。』です。

    青山さんのブログで米国からの圧力があるという事でしたが、ウクライナ支援関連で、米国は背に腹を変えられず”条約を守らない、嘘つき、コソ泥推奨”国の要求を日本に飲ませたという事だと思います。本来の目的から考えて矛盾する無理筋の要求に対して、上手く対応できなかったという事だと思います。

    今すぐやるべきことは、被侵略国への武器輸出を可能とすることです。
    髭の隊長もやらなくても良い質問をしている暇が有ったら、議員立法でもやってほしい。

    0:100で言いがかりをつけてきたら、その粗相を厳しく咎めなければ、『認められた』と考える未開人に対しては、200:0でお仕置きをしなければ成りません。その上で、お互いに100づつ譲って100:0にするのが外交というものでしょう。

    • 早速米国から歓迎のコメントが出てますね。
      要するに米国の要請で韓国が動き、日本も評価しなければならなかった、という事でしょう。
      対中で日米韓の結束が大事という事なのですかねえ。
      片足は中国に突っ込んでいる韓国でも、表立って中国派を宣言されれば、ハレ―ションは大きいですから、分からなくもありません。
      それならそれで、相応の交換条件を出せば良いのですが、安倍氏ならともかく、岸田風情にそこまで出来る訳もなく・・・。

      これで輸出管理の緩和なんて、トンデモ無い事です。

      • 慰安婦問題の再燃といい、アメリカは内政に干渉するなら責任を取れと言いたいですね。
        日頃アメリカびいきのコメントが多いヤフーニュースでも、アメリカに対する懐疑と怒りが高まっているように感じます。
        青山議員が言うように、これを契機に日本人のアメリカ離れが進むかもしれません、バイデン政権の意向を受けた岸田首相の最近の数々の施策は、決して日本の国益に寄与しないと思います。
        安倍さん時代の、日米同盟を基軸とした自主独立の多極外交は二度と戻ってこないのでしょうね。

        エマニュエルドット氏が主張する、日本は核保有し自主独立外交を目指すべき論の賛同者が増えそうです。

  • シンシアリーさんのブログでは次のような評価のようです。
    「韓国各メディア、日本の 「ワンスン(完勝)」という表現が目立つ・・『国内問題』として解決案がまとめられたのが理由か」

    確かに、相手国の最高裁が国際法違反なのかもしれませんが、主権国家の間で「お前の司法は間違っている」なんて言えるものではありません。今回の目的が韓国の国内問題にすることで、先方がそのように解釈しているのは確かです。

    今回はっきりしているのは、アメリカ政府の歓迎声明が早かったことから、最初からアメリカが間にいて、日韓に対してきつく解決を求めていたということです。日本は先延ばししても不都合はなかったのですが、アメリカ政府が先延ばしを許さなかったのでしょう。

    • 同感です、岸首相のやつれた顔がそれを示しているのかもしれません、防衛費増額の急決定とバイデンさんへの手土産時の表情と酷似しています。

    • >主権国家の間で「お前の司法は間違っている」なんて言えるものではありません。
      これはおかしな考え方だと思います。
      司法機関の国際違法行為によって生じた国家責任について、対外的に国家を代表する行政府は解除義務を負います。
      たとえばドイツ・イタリア間で争われた主権免除事件では、ドイツはICJに対して、イタリア破棄院判決が一般国際法違反を構成することを判断し、イタリアが自ら司法機関の判決を無効にするための措置を講じる作為義務があること及びイタリア司法が同様の訴訟を認めない不作為義務があることを宣告することを求めています。
      主権の平等という概念から、本来なら他国の司法機関の判断に口を差し挟むことはあってはならないことですが、逆にその判断自体が他国の主権を侵害する場合は話は別です。

      そもそも文明国の司法機関というのは、ある条約が違憲か否か判断を求められるような場面において、たとえば統治行為論を採用して行政機関の専権である外交事項に深入りせずに判断自体を回避するとか、あるいは合致の推定によって国際法に沿うように国内法の解釈を行うとか、自身の判断が国際違法行為とならないようそれなりに気を遣うものです。
      実際に徴用工訴訟においても、2012年に大法院判決によって覆されるまで、一審二審と、審理の細かな内容はともかく、原告敗訴の常識的な流れだったことからも、そのことが窺えるでしょう。

      日韓請求権協定は事項的ではなく時間的に請求権を限定する内容であり、ある一定期間内の事由に基づく請求権について処理したものですから、2018年大法院判決の言うような「不法な植民支配および侵略戦争の遂行と直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権」は別腹論法の入り込む余地がないため、その判断には明らかな誤りがあります。

      明確な国際違法行為について指摘すること自体になにも問題はないでしょう。
      もちろん国家責任の解除は韓国の裁量で行われることなので、韓国司法の判断は国際違法行為だからという理由で、判例変更を行えだとか、立法措置により無効化しろだとか、日本政府が具体的に口を出すことではないですが。

      しかし、どうやら日本政府は判決をそのままに政治的解決を図ると・・・
      やれやれですな。

      • とおる 様

         おっしゃること99%同意です。
        しかし、
        >もちろん国家責任の解除は韓国の裁量で行われることなので、韓国司法の判断は国際違法行為だからという理由で、判例変更を行えだとか、立法措置により無効化しろだとか、日本政府が具体的に口を出すことではないですが。

        にかんして、”日本政府が具体的に口を出すことではない”は注意が必要と思います。

        少なくとも、日本国に係ることなので、
        ・判決は認めない
        ・朝鮮半島は、時の朝鮮半島における合法な政府からの懇願により大日本帝国に併合救済されたことを認めよ
        ・国際法違反状態を解消しない限り制裁を課し続ける
        は妥当だと思います。

  • >これは日本外交の敗北です。外務省の大失態は、まさに解体処分に値します。

    外務省=リン外相=キシダ首相

    様々な思惑や外堀が埋められるなどの事情があったにせよ、すべてはキシダの責任。
    就任まもなく、この坊ちゃんを見限ってはいましたが、何度騙されれば目が覚めるのか…まったくこの大たわけ者が。

  • 全くの微力ですが、兎に角、首相官邸の意見募集欄に林外相コメントの撤回と対応立て直しを求める意見を出しました。

    • 私もコメントしておきます。
      批判が殺到するのが、本来あるべき姿だと思いますので、微力ながら国民の責務を果たします。

    • 星のおーじ様、情報ありがとうございます。

      自分も官邸と内閣官房宛に、それぞれ意見を送信しておきました。まあ少々、キツ目になってしまいましたが。

  • 危惧したことが実現しました。他の案件と同じで、表面は保守の言うことに分かっていると言いながら、いざとなったら掌返し。官僚の言うがまま。
    打倒宏池会!

  • 「評価します」・・・オワタ。
    林外務大臣、何を血迷い事を言うか!絶対に譲ってはいけない「日本企業の自発的な募金は認める」と取れるコメントは、断じてしてはいけないのに。韓国は袈裟にかかって波状攻撃してくるぞ。

    今後、元自称徴用工がワンサカ出て来る。海自哨戒機レーダー照射も無視、嘘慰安婦の財団も一方的に解散、福島県東北の水、海産農産物汚染でっち上げ、佐渡金山反対、竹島不法占拠中、、キリがないわ。

    もう岸田内閣は結構だ。親韓派め!外務省め!さっさと降りてくれ。今日は仕事もう辞めた(爆笑)。

  • 日本企業の中から寄付をするようなのが出てこなければ、今回の問題は韓国の中で完結した韓国の国内問題ということになるのではないか。

    韓国大法院の仰天判決――それに基づく損害賠償請求――それを韓国政府が自国企業の寄付を財源に支払う。終わり。
    そもそも廬武鉉政権時代までこの問題は解決済みというのが韓国政府の立場だったはずだから元に戻っただけ。

    さあ次は何がでてくるかな?

    • もともと韓国政府が払うからその分の金もくれ、ということで基本協定が成立している訳で、時期遅れとは言え韓国政府(配下の財団)が支払う事になったと思えば良いのでので、韓国内の法的処理なんてどうでも良いと思うのです。
      しかし、これで金主は誰であれ、カネが貰えることになったのですから、我も我も都自称徴用工が現れますわねえ。
      税段の財布が無尽蔵なら良いのですが、そのうち二ホンにも奉加帳が回って来るでしょうよ。

  • やはりというか、なんとも残念な結果でした。それにまだ続きがあるでしょう。G7招待、ホワイト国復帰、財団設置、談話の再発表etc、etc…。ここからが始まりです。
    ちなみに他の韓国ネタのサイトでは良かった良かったとやってる。もともと100:0なのにね。
    今ここにある日韓関係の危機を外務省は回避したつもりでしょうが、どうせ半年後くらいには慰安婦でギクシャクしだすでしょう。韓国の日本批判は未来永劫収まらない。宗教だもの。すぐに今と同じような状況になる。そしたらまた譲るのかな、日本が。

  • またしても、韓国の嘘を事実にしてしまったようですね。
    これで、世界中に徴用工像が立つようになるでしょう。
    もちろん、在釜山日本国領事館前にも。
    日本の国益よりも赴任先の名士になりたがる外交官。
    外務省は、外国のエージェントの巣窟なのでしょう。
    もはや、倒閣あるのみです。

    • そうなんですよ、
      そんな外交官に誰がした?
      あほな政治屋がした。
      そんなあほな政治屋を誰が選んだ?
      アホな国民が選んだ。(広島、山口の県民の皆さんよく考えてください。)

      なので、自民党にお灸をすえなければなりません。

      先ず、統一地方選で人物本位が基本でしょうが、日本維新>国民民主>自民の優先順位で候補者に投票すべきと思います。仮に自民に投票する場合でも、本件に関してどう思うか問いただすべきでしょう。そして衆議院議員に批判を伝えよと。

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