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円安なら「悪い円安」だが円高なら「悪い円高」=日経

ちょっとしたネタです。日経新聞さんにとって、円安は「悪い円安」であり、円高は「悪い円高」なのだそうですよ。いったいどうすれば良いというのでしょう。

悪い円安

著者自身にとっての昨年の「マイブーム」は、「悪い円安」でした。

米FRBによる旺盛な利上げの影響もあってか、円が米ドルに対し30年来の安値水準に沈むなか、「円安によって輸入品物価が押し上げられ、庶民の生活は苦しくなる」といった論調が、いくつかのメディアでさかんに唱えられていたのです。

これについては当ウェブサイトでしばしば申し上げている通り、円安、円高といった為替変動が日本経済に与える影響は、シンプルなものではありません。円安にも円高にも、それぞれ日本経済に対するメリット、デメリットがあるのです。

これをとりまとめたものが、図表です。

図表 円高・円安の日本経済に対する影響
区分 円高 円安
輸出競争力 ×輸出競争力は下がる 〇輸出競争力は上がる
輸入購買力 〇輸入購買力は上がる ×輸入購買力は下がる
国産品需要 ×輸入品に押され需要減 〇輸入代替効果で需要増
製造拠点 ×海外で作った方が有利になる 〇国内で作った方が有利になる
海外旅行 〇海外旅行に行きやすくなる ×海外旅行に行き辛くなる
国内旅行 ×海外旅行に押され需要減 〇海外旅行の代替で需要増
訪日観光客 ×外国人は来づらくなる 〇外国人が来やすくなる
外貨建資産 ×為替評価損が生じる 〇為替評価益が生じる
外貨建負債 〇為替評価益が生じる ×為替評価損が生じる

(【出所】著者作成)

円安も一巡:原発再稼働を

本来であればわざわざ図表にまとめるほどもない話ですが、いずれにせよ、円安、円高について議論する際には、現在の日本経済の姿を見たうえで、多面的に議論することが必要です。

このあたり、著者自身の持論ですが、現在の日本にとっては円高よりも円安の方が、より好ましいといえます。「▼製造業の国内回帰が進む、▼外貨建資産の円換算額が増える、▼インバウンド需要が増える」――、といった具合に、メリットが多々あるからです。

もちろん、エネルギー価格の高騰は日本経済に大きな打撃を与えるものですが、これについては原発再稼働を通じて、ある程度はカバーできる話でもあります。

ただ、最近だと1ドル=130円の大台を割り込むなど、再び円高が進み始めています。行き過ぎた為替変動が是正されるのは仕方がない話かもしれませんが、FRBの金融引締めが一段落するとの見通しもあり、「円安バブル」は短い期間で終わる可能性も出てきました。

いずれにせよ、現在の日本にとって、為替変動は政策的にコントロールできるものではありません。重要なことは、エネルギー供給を安定させることで、円高になろうが円安になろうが、日本経済がうまく回るように政府が適切に政策を講じることにあります。

一体どうすれば良いというのでしょう

こうしたなかで、なかなか興味深い「ネタ」を見つけました。

日経新聞さんにとっては、円高も円安も「悪い」ものなのだそうです。

尾を引く「悪い円安」 物価・景気、来年も不安なお

―――2022年11月22日 19:44付 日本経済新聞電子版より

実質金利上がる「悪い円高」、国債バブル揺るがす

―――2023年1月13日 15:01付 日本経済新聞電子版より

…。

いったいどうすれば良いというのでしょう(笑)

記事タイトルだけでツッコミどころは多々ありますが、わずか1ヵ月半で「悪い円安」から「悪い円高」に論旨が変わるというのも面黒いメディアだと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (33)

  • 毎度、ばかばかしいお話しを。
    日経:「円安なら円安で困る人がいる。円高なら円高で困る人もいる。(だから、どの人からも恨みを買わないように、円は対米ドルで固定相場にしよう)」
    これって、笑い話ですよね。

    • 円安になって困ることっていうのは国民誰でも被るけど、円安で喜ぶことっていうのは一部の人だけだと思うんだよな。
      円安で国民全員が得になることってあるの?
      輸出競争力なんてほとんどの国民には関係無いし
      輸入購買力が下がったら、エネルギーなど国民の誰もが負担増だけど。
      海外資産なんて持ってない日本人のほうがずっと多いし。

      • やっぱり円安は悪いと思う。円高の方がまし。さま
        >円安で喜ぶことっていうのは一部の人だけだと思うんだよな。
        円安で得をする人より損をしたと思う人、円高で得をする人より損をしたと思う人の方が問題なのです。

      • 「やっぱり円安は悪いと思う。円高の方がまし。」
        さんのような意見は
        隣国メディアでは まったくの主流です(笑)

        なんせ、半島とウッシッシをして
        日本の企業と労働者に塗炭の苦しみをもたらして
        あっという間に叩き出された
        韓流政党民主党政権の円高ウォン安誘導を見ても
        その効果は絶大です。

        脆弱通過国ゆえにウォン安為替操作できず、
        しかも日本を騙しての通貨スワップも
        もはや結べない韓国さんにとっては
        「韓国にとって悪い日本の円安」論(笑)は
        あちらのメディアで顕著です。
        https://japanese.joins.com/JArticle/289751

  • ため息しかでません・・・かつて、こんな新聞毎朝読んでいたなんて。
    「悪い日経」or「ゴミ情報発信紙」と認識して、お笑いの対象にするとか。

  • 相手を批判するために都合よく立ち位置を変える典型ですね。
    こういった振る舞いも、最近は「タテの検証」すぐ暴かれてしまいますね。

    ・全ての人を納得させる難しさ(イラスト)
    https://togetter.com/li/1436121

  • 自己否定する事でなんとか心の平安を保とうとする典型的な症例としか言いようがない。

  • 「円安」も「円高」も悪いと言うことは、為替レートが動かずに固定されてる状態なら、「良い」ってことだと思うのです♪

    それはそうとして、素朴な疑問なんですけど・・・・

    「円高」「円安」といったとき、なんか基準となる価格、例えば120円/ドルとか1年前の価格とか、があって、それよりも高い安いってことなのでしょうか?
    それとも、ここのところ円の価値が上がってきてる/下がってきてるって、為替レートの動きの方向性みたいなものなのでしょうか?

    個人的には後者であって、動きの激しさこそが、良い悪いの現況かなって思うのです♪

    • 七味様
      円高、円安は後者の方と思います。
      うろ覚えで恐縮ですが、昭和50年代後半、
      1ドル240円が急激に180円くらいまで行きました。
      「これからはドルではなく円の時代だ」と新聞テレビの評。
      で、しばらくするとあっという間に1ドル220円くらいまで戻ったような。
      次に覚えているのがプラザ合意です。同じく急激に1ドル160円とか。
      94年頃1ドル79円とか、色々とありました。
      そもそも、ドルの価値が上がったから、ドル高円安、下がればドル安円高、
      で素直に考えた方が良いのです。
      どちらにしても、困った層に取材に行くマスコミが混乱の元と考えます。
      ドル安円高の時に輸出業者へ取材に行き、円高ドル安の時は北海道のビニールハウス農家へ行く。結論ありきとしか思えませんし、
      一体どのあたりがドル円の適正水準なのか、日経新聞に問うてみたいものです。

  • 彼らが自負してる使命は、弱者の味方の体で政権を叩くこと。
    物事の本質に目を向けて、事実を報じることではないのです。

    • 円安で得をする人達って弱者とは違うことは確かだと思いますけどね。

      輸出競争する人? 国民の何割?
      それ以外でも列記されてる人たちって何割?
      消費購買力で考えれば一目瞭然ですけど?

      • 損をする人が弱者だとすると、得をする人は強者か。
        円安で、損をする弱者と得をする強者が生じる。
        円高でも損をする弱者と得をする強者が生じる。
        マスコミはいつも弱者の方にいって、困った困ったと言い立てる。

        国全体の富は自国通貨安の方が大きくなりがちで、通貨安競争というものが生じる。故意に通貨安に誘導すると周りの国から袋だたきに遭う。今は周りの国が勝手に自国通貨高に行っている。これは千載一遇のチャンスのはずだ。

  • 円安・円高,それぞれ困る人・喜ぶ人がいるのです。金融庁は円高による銀行の自己資本割れを本格的に心配しているはずです。そのうち,銀行再編などで成績表が出てくると思います。銀行の体力が弱ると,融資に頼っている多くの企業も資金繰りに困ります。
    円安はコストプッシュインフレを引き起こすので,庶民の財布がそれなりに傷みます。大企業のいくつかには有り難いと思います。日本経済総体としては円安のほうがいいでしょう。内需の効果は小さいので,日本人が商品を買えなくなっても,投資資産効果や輸出振興のほうが大きいです。でも,給与にはあまり反映されないでしょうから,低所得化は進むでしょう。
    投資家は,正しい方向を予想できる人なら,どちらの方向でもいいので,大きく動いてくれるのが嬉しいでしょう。大損する人もいるでしょうけど。
    日銀本体は,為替より金利政策の失敗で,市場の国債の大半を買い取るはめになりそうですし,株のETFの処分にも困るかもしれません。
    財務省は国債発行量を減らしたいですから,円高支持かも。

    • >投資家は,正しい方向を予想できる人なら,どちらの方向でもいいので,大きく動いてくれるのが嬉しいでしょう。

      確かにそうなのなんです。

      >正しい方向を予想
      そんなモンありゃしないので、ギャンブルなのです。
      1年以上前「日本株をほとんど現金化し他へ移動」とかおっしゃっていませんでしたか? 新しいほうやら古いほうの区別がつきませんがね、日本株を維持している私は(当然銘柄は入替します) 税引き前で配当を含め利益10%以上を維持しています。  

      まっ、初心者ですのでベテランさんから見たら、「そんなことしたら大損するぞ!」を思うのは分かります。 でも、日本の年金等社会保障やらを見ると自然とわかりますよね。

      これを10年後維持しているかは分かりませんが、ここ5年くらいは面白いですよ。 期待しても良いと思っています。 アッ、素人です。

      大切なお金を、ここに入れることが大きなマチガイです。

  • やっぱり、『日経よく読むアホになる』と言うことが真実のように思えます。
    こちら『朝日、毎日、東京よく読むプロ市民活動屋になる』はどうなんでしょうかね?

  • 日経「そういうツッコミを入れてくる連中はお客様なのではなく敵なので」

    シンプルに、こういう精神状態なんだと思います。

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