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    Categories: 文芸

「王子様」が18歳で自ら改名するに至った理由とは?

当ウェブサイトで以前から追いかけている、いわゆる「DQNネーム」問題を巡って、興味深い記事を発見しました。「王子様」と名付けられた人物が、今から3年前の18歳のときに自分の意志により改名した、とするものです。

以前の『「輝星(べが)君の改名問題」について考える』や『難読ネームランキングの傾向と対策・2022年9月版』を含め、これまでに当ウェブサイトで何度も取り上げてきた話題のひとつが、「難読ネーム問題」です。

「輝星」と書いて「べが」君。「美音」と書いて「りずむ」ちゃん。この手の名前を見ていると、個人的には違和感を禁じ得ません。社会通念、常識から大きく逸脱した名前を「キラキラネーム」、あるいは「DQNネーム」などと呼ぶそうですが、どうせ書くのであれば、いっそのこと「金星」と書いて「まあず」と読ませるくらいの破壊力があっても良いのかもしれませんね。【参考】「金星(まあず)」君弁護士ドットコムが面白い!自宅で喫煙の60歳教頭、15日の停職に!?『弁護士ドットコム』というウェブサイトがあります。当ウェブサイ...
「輝星(べが)君の改名問題」について考える - 新宿会計士の政治経済評論

とある名付けサイトによれば、2022年9月における男の子のトップは「柊李」、女の子のトップは「結凪」――。これらをすんなり読めるという人がどの程度いらっしゃるのかという論点もさることながら、こうした名付けが本当に一般的なのか、個人的にはやや疑問でもあります。難読ネーム問題については、もう少し調査が必要かもしれません。難読ネームの傾向以前の『「輝星(べが)君の改名問題」について考える』などを含め、当ウェブサイトにおいてしばしば取り上げている話題のひとつが、「難読ネーム」です。タイトルにもあるとおり、...
難読ネームランキングの傾向と対策・2022年9月版 - 新宿会計士の政治経済評論

「輝星」で「べが」くん、「美音」で「りずむ」ちゃん、「七音」で「どれみ」ちゃん、「光宙」で「ぴかちゅう」くん、「癒」で「ほいみ」ちゃん。「難読ネーム」というよりも、一般社会通念に照らして人名として適するかどうかよくわからない代物、と申し上げたほうが正確でしょうか。

個人的には「金星」で「まあず」くんという名前の破壊力がツボに入っているのですが(いちおうマジメにツッコミを入れておくと、金星はラテン語で美と愛の女神を意味する「ウェヌス」であり、「マルス」は軍神で火星です)、ネットではこうした傾向の難読ネームを「DQNネーム」などと呼ぶこともあります。

こうした難読ネームには、一定の傾向があるようです。

①同じ読みの漢字を繰り返す、読まない漢字を入れる

例:「昊空」で「そら」、「萌咲」で「さき」

②漢字の読みを途中でぶった切る

例:「心愛」で「ここあ」、「結愛」で「けつあ」、「萌咲」で「さき」

③名前を無理やり漢字に当てはめたもの

例:「巌惰夢」で「がんだむ」、「光宙」で「ぴかちゅう」

④無理やり漢字の意味を当てはめる

例:「七音」で「どれみ」、「男」で「あだむ」、「虹」で「らるく」

⑤漢字の意味を当てはめようとしたものの知識不足で誤った読みを当ててしまったもの

例:「金星」で「まあず」、「皇帝」で「ぷりんす」

⑥存在しない読み方を勝手にでっちあげる

例:「月」で「らいと」

⑦上記の複合形

例:「緑夢」で「ぐりむ」、「新一」で「こなん」、「癒」で「ほいみ」、「朔月」で「さくら」、「望月」で「のーら」、

そういえば、とあるサイトに基づけば、今年の名づけランキングは男の子の1位が「柊李」(読み方は「とうり」ではないのだそうです)、女の子の1位が「結凪」(読み方は「けつなぎ」ではないのだそうです)だった、という話題もあります。

ただ、この手の「DQNネーム」、名付ける側の心理状態ではなく、どちらかというと「名付けられる側」の気持ちについても知りたいところです。

こうしたなかで、『文春オンライン』がクリスマスイブに配信した、こんな記事を発見しました。

「『キラキラネーム=頭が悪い』という偏見が…」18歳で「王子様」から改名した男性の現在

―――2022/12/24 11:12付 Yahoo!ニュースより【※文春オンライン配信】

「名前を決めるのは親だけど、その人生を歩むのは子ども」キラキラネーム「王子様」から改名した男性(21)が、親の“名付け”に思うこと

―――2022/12/24付 文春オンラインより

リンク先は、「王子様」と親に名付けられた男性Aさんが、18歳でみずから改名したとする話題です(※なお、この方の姓名についてはリンク先記事で実名が表示されていますが、当ウェブサイトではこれについて引用するのは控え、「Aさん」と表記します)。

これによるとAさんは改名するに際し母親に相談せず独断で手続を進め、改名が完了した際に事後報告したところ、「案の定号泣された」のだそうですが、そのAさんのもとの名前「王子様」は母親が父親にすら相談せず、独断で付けたものだそうです(ご両親はAさんが2歳のときに離婚済み)。

ちなみにAさんによると、改名申請をした際に家裁職員から「この理由であればおそらく通ると思いますよ」と告げられるなど、改名の手続自体はすんなりと進んだのだそうですが、こうした体験について次のように述べたそうです。

子どもの名前は基本的に親が決めますが、親の名前ではなく子どもが一生背負っていくものなのできちんと将来のことまで考えて決めてほしいと思います。名前って第一印象に含まれるので、その人がどんな人なのか、ある程度判断する材料の一つになると思うんです」。

あとは名前に意味を込めすぎると、それはそれで子どもにとってプレッシャーになることもあるので、気をつけてほしいです。僕の場合は、母が『私の大事な息子という意味だよ。私にとっての王子様だから』ということでつけたみたいですが、それは母親の思いであって、僕には僕の人生があるので」。

なんとも大人びた認識だと思います。

そして、こうした認識を持っているからこそ、ご自身の意志で改名を成し遂げたのでしょう。

いずれにせよ、

新宿会計士:

View Comments (21)

  • 改名事後報告→
    名付母「なんでなの?(号泣)」
    別離父「やっと変えたんだね。よかったね」

     うーんこの……

     御本人の資質によるところが大きいでしょうが、「名前でいじめられたことはない」というのが良かったです。毎日顔を合わせる級友などであれば、名前など最初にギョっとしてもじきに馴染むのでしょう。
     しかし本人特定の容易そうな話題です。ある程度承知の上でしょうが……なんというか、御本人は祝福に囲まれそうなのですが、余計なお世話ながらお母様の方が心配です。冒頭触れておいてなんですが。

  • 「月」で「ルナ」はあったような…。でもね、
    "lunatic"はメンタル的におかしい人の意味ですからね。

    「運がよくなるように」と名づけられた女の子は、
    改名が認められたと、昔読んだことがあります(納得)。

    •  まぁ大本がラテン語の月、Lūnaは女神ですし、西洋人が狼男とか気にしすぎな結果できた語なので、名付けとしてはまぁ良いのではないでしょうか。運の子は可哀想ですが、ツキのある子で月子なら良かったのにね。

       Luna-ticでまずいのなら、隣国で偉大な爪痕を残した(現在絶賛化膿中)文さんが英訳時にmoonと名乗るのもヤバイのでは。moon-ingでクレヨンしんちゃんのアレになるので。(そういえばこの星人も象さんも攻撃描写も無くなってしまったそうで……)

  • キラキラネームは
    愛でなく、個性でなく、虐待である。と
    それが分からないDQN親に届くよう周知すべきだと思います

  •  >【キラキラネーム=頭が悪いという偏見】
     子供にDQNな名付けをする人は
    低学歴が多いというデータがあると
    ひろゆき氏が言っていた記憶がありますが、
    親が低学歴=子供の教育にも無頓着である
    というイメージでしょうか。

     相関関係と因果関係は分けて考えるべき
    なんですどね。

    •  そもそも名前は相手から見て読める読めない
      読みやすい読みにくいという問題があるので。
       その辺りを考えず難読ネームをつけるのは
      やはり想像力や客観的視点の欠如に繋がると
      いうことでしょうか。

  • 「結」を「けつ」と読むのは悪意があるような(ー_ー;)
    「ゆい」か「ゆう」でよいのではないですかね。
    「ゆうなぎ」ちゃんなら呼びにくいですがないこともない…か?

  • 「地獄先生ぬ~べ~」というオカルト系漫画に「以津真天(いつまで)」という妖怪が登場したことがあるが、そのひどい当て字に作者のオリジナルキャラクターだろうと考えていたのだけれど、かなり後になってこの妖怪が鳥山石燕の画集にも描かれた由緒のある?ものだと知った。

    何が言いたいのかというと、
    (子供に変な名前をつけることを許容するものではないが)
    日本人は昔から変な当て字が好きだったということです。

  •  更新ありがとうございます。

     名付けは難しいところもあります。

     親御さんの気持ちが込められているのでしょうが、当人が大きくなってからのこともあるので、安易に語感や当て字で決める風潮もどうかと思います。

     また個人的なことで恐縮ですが、昔は画数などで、父母と祖父母で意見が異なることもありました。今なら親権者の意見が優先されるべきだと思いますが、当時はまだ家のしがらみや、本家と分家などの意識も残っていたようです。

     父母は漢和辞典や国語辞典から将来なって欲しい意味を持つ漢字を選びました。祖父母は字画の良い昔ながらの名前を、結構な金額を払って選んでもらったそうです。高度経済成長中だったためか、父母と祖父母の名前に対する認識が異なっていたのでしょう。

     結果的に父母の意見が通ったそうです。

     内容的には違いますが、キラキラネームはその遠い派生系かも知れませんね。

  • 大学受験予備校講師の林 修氏は、このようなことをおっしゃってます。
    「固有名詞は、ある1つのものを特定して指示する機能があるんです。とすると、特定できない、指示できない名前を付けることが、果たして固有名詞の在り方に則しているのか。」と。

    結婚して子どもを授かると、二人の願いは一つになります。
    子どもの健やかな成長です。
    良い思い出をたくさん作ってもらって、心豊かな人間に育って欲しいとも。
    思い出を作るのは子ども自身ですから、親ができることは思い出を作るチャンスを与えてあげることです。
    林氏がおっしゃるように、名前と言う固有名詞に、生まれたばかりで定まってもいない個性を表現するのはよろしくないように思う次第です。

    • 出世魚でも名前が変化するのに最初から光宙と名付けられたら、雷宙に進化出来ないので可哀想ですよね。(ちなみに平塚雷宙とかいう名だと格好いいです)

      そのうちリザードンさんやニドリーナさんが面接を受けに来る時代も近いと思いますが、皆さん強制されても面倒臭いので呼びたい名前でその人を呼ぶと思います。

  • 「王子様」ではなく「王子」なら許容範囲内だったんじゃ?と思って記事を読んでみたら、やはりAさん本人も同じように述べられてますね。
    記事内でも触れられてますが、病院などでは「様」付けで名前を呼ばれる機会もありますし、「『王子様』さま」ほどではないにせよ周りから注目は集めるでしょうが、それでも名前自体に「様」が含まれるよりダメージは少なかったでしょう。

    しかし挙げられてる例のどれもがなかなか強烈ですが、自分だったらどれが一番ダメージをくらうか想像しながら見ると、「『巌惰夢』で『がんだむ』」というのはかなり来るものがありますね・・・

  • 月でライトと読むのはデスノート連載当時、こんな名付けする奴いないだろうとの考えから、独善的な悪人として描かれる主人公が現実の子供と名前が被ってイジメに発展するかもしれないと危惧した作者があえて現実ではありえないであろう名前にした、と聞いた覚えがあります。
    実際は、創作に現実が追いつき追い越してしまった感がありますが・・・。

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