昨日の沖縄県那覇市長選では、自公が推す知念覚氏が、「オール沖縄」側が推す翁長雄治氏を1万票以上の差で下して当選しました。これについては例の「ひろゆきツイート」騒動における沖縄の2紙の反応などが、結果的に「フレンドリーファイヤー」になってしまった可能性はないのでしょうか。
ひろゆきツイート騒動
西村博之氏といえば、匿名掲示板「2ちゃんねる」の元管理人であるとともに、「ひろゆき」の愛称でも知られる人物です。
正直、西村氏の発信する情報に対しては、個人的には全面的に賛同できるというものではありません。(とくに専門外の情報に関しては)内容の適切性に関して疑問に感じざるを得ないものも含まれているからです。
ただ、それでも西村氏が今月3日にツイッターで発信した、こんなツイートについては、なかなかに興味深いと思います。
これは沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前に掲げられている座り込み日数を数えるボードの前で、西村氏が写真付きで、「座り込み抗議が誰も居なかったので、(ボードの日数を)0日にした方がよくない?」とつぶやいた、というものです。
琉球新報の記事を「タテ検証」!
これについては活動家らとしては完全に「痛いところ」を突かれたらしく、沖縄のメディア(琉球新報や沖縄タイムス)、あるいは左派の活動家らを中心に、西村氏に対する反発が広がっている、というものです。
ただ、西村氏がツイートしたとおり、西村氏が訪れた時点でその場では誰も座り込みをしていなかったことは事実ですが、この点について素直に釈明した記事などは、ほとんど見当たりません。
たとえば、琉球新報の次の記事によると、ゲート前の座り込みは「当初は24時間態勢だった」ものの、「ゲートからの資材搬入の時間がおおむねパターン化する中で、それに対応して座り込みを継続している」、などとする釈明が行われています。
辺野古の座り込み、当初は24時間体制、現在は搬入時に実施 変化の理由は? 米軍ゲート前以外での活動も 沖縄
―――2022年10月9日 07:30付 琉球新報より
琉球新報はまた、7日にゲート前の抗議に参加した読谷村の男性(72)が西村氏の投稿について、「遊び半分で県民の戦いを愚弄する行為で許せない」、「わびてほしい」となどと憤った、としていますが、これにも少し無理があります。
同じ琉球新報の2015年7月6日付の記事によれば、「夜間に資材が搬入された15年1月以降、現在も24時間態勢での座り込みが続いている」、などと記載されているからです。
新基地阻止運動広がる 辺野古座り込み、あすで1年
―――2015年7月6日 06:35付 琉球新報より
つまり、同じ琉球新報の記事を「タテ検証」すれば、この琉球新報の言い分がおかしいということには、だれでも簡単に気づくのではないかと思う次第です。
琉球新報取材ドタキャン事件
繰り返しですが、西村氏のツイートの要諦は、「そもそも座り込みが24時間継続しているわけではないのに、あたかも24時間態勢での座り込みがもう何日も続いているかのごとく宣伝するのはおかしいのではないか」、といった疑念にありますし、その疑念を多くの国民と共有したことにあります。
この件、活動家らがどう取り繕ったとしても、沖縄の反米軍基地運動自体が極めて怪しいものであるという点を隠すのは難しくなってしまったというのが実情ではないでしょうか。
しかも、話はそれだけにとどまりません。
琉球新報は「本紙は5日から、ひろゆきさんにツイッター上で投稿の意図などを質問しているが、8日午後11時現在も回答はない」、などとしていますが、琉球新報が西村氏に取材を申し込んだものの、直前でこれを撤回しのです(『現在進行形でいままさにネットに駆逐されつつある新聞』等参照)。
ネットという新たなテクノロジーでさまざまなトラブルも発生していますが、だからといって「ネットをなくせ」という議論にはなりません。便利だからです。そして、自動車が普及して馬車が駆逐されたのと同じく、ネットが普及してまっさきに駆逐されるのは、おそらく新聞です。こうした視点から例の「琉球新報vs西村博之氏」という論点を眺めなおしてみると、これなど、いままさに新聞がネットに駆逐されつつある証拠なのです。一般人が痛感するネットの威力ネットの出現が私たちの生活を根底から変えるインターネットの出現は、本当... 現在進行形でいままさにネットに駆逐されつつある新聞 - 新宿会計士の政治経済評論 |
自分で取材を申し込んでおきながら、自分でドタキャンするというのも、なかなかに面白いメディアです。
ウェブ配信されるのを嫌がったのでしょうか?
オール沖縄は市長選で7連敗
こうしたなかで、昨日は那覇市長選が投開票されましたが、無所属新人で自公が推薦する知念覚(さとる)氏が、「オール沖縄」側が支援した翁長雄治(おなが・たけはる)氏(35)=立憲民主党、日本共産党、れいわ新撰組、社民党、沖縄社会大衆党推薦=を破って当選を決めました。
那覇市長に自公系の知念氏 オール沖縄に打撃
―――2022/10/24 00:24付 産経ニュースより
知念氏は64,165票で、54,125票だった翁長氏に1万票以上の差で勝利しました。しかも、オール沖縄側は、名護、南城、石垣、沖縄、宜野湾、豊見城の各市長選に続き、7連敗を喫した格好です。
7月の参院選と9月の知事選ではオール沖縄側が勝利を収めましたが、産経ニュースによるとオール沖縄側では「有力者の離脱が相次ぎ、組織の立て直しを迫られている」のだそうです。
また、沖縄タイムスは翁長氏の敗因について、「知念覚氏側の組織力を前に(支持が)浸透しなかった」との見方を示しています。
那覇市長選を制した自公推薦の知念氏、勝因は? 「オール沖縄」が推した翁長氏の敗因は?
―――2022年10月24日 07:56付 沖縄タイムスより
沖縄タイムスの調査によると、那覇市有権者に対するウェブアンケート上、重要争点として「辺野古の新基地建設計画への姿勢」は17%にとどまっていたのだそうであり、これについて沖縄タイムスは、34%に達した「経済政策」と比べれば「最大争点にはならなかったとみられる」と述べています。
フレンドリーファイヤー
ただ、むしろ沖縄の2紙の取材・報道姿勢が、結果的に「フレンドリーファイヤー」、すなわち「オール沖縄側」に対する逆風として働いたという可能性はないのでしょうか。
(※「フレンドリーファイヤー」とは、もともとは「戦場において後方に位置する味方の銃撃を食らうこと」、「自軍・友軍の同士の誤射による被弾」を意味します。)
さすがに「その場に誰も座り込んでもいないのに日数がカウントされている」という写真を見て、多くの人々が違和感を覚えたであろうことについては、間違いありません(※西村氏のツイートについている「いいね」の数がそれを物語っています)。
もちろん、今回の西村氏の騒動が市長選に何らかの影響を与えたのかどうかについてはよくわかりませんし、じつは今回当選した知念氏も、落選した翁長氏の父親でもある故・翁長雄志元知事が那覇市長を務めていた時代の「元側近」でもあります。
したがって、この手の地方選にはありがちですが、「オール沖縄が負けた」、「自公が信任された」という図式に単純化してしまうと、物事の本質を読み誤る可能性もあるため、注意は必要でしょう。
ただ、大きな流れで見れば、やはり今回の市長選についても、「ひろゆきツイート」に始まる一連の騒動との関連で眺めるべきだと個人的には考えていますし、とくに「若年層に対する新聞による世論支配力の低下」という要因も大きいのではないかと改めて思う次第です。
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コメントします。
折角なので基地反対派を庇ってみようと思います。老いる沖縄がなんか哀れなので。
自称座り込みの正当化については、百年戦争とかの例に倣うのはどうでしょう?歴史詳しくありませんが、別に百年間毎日休まず戦闘、殺し合ってた訳では無いと思います。
兎に角沖縄の日本国からの独立を求め、自らを正義と思い込み、異端と異教は苦しめて殺したい様に視える基地反対派(というよりサヨクさん全般)は昔のキリシタンに似ています。正義、信仰の為には違法行為や殺人も厭わないし、イスラムみたいに金払って屈服するなら異教徒のままでも許しちゃる(タリバン等の過激派は除く)という寛容さも無い。
なのでサヨクさんは昔の残酷で不寛容なキリシタンこそが我らの理想!と訴え、これからも正当なる暴力=権力の自由化を体現(勝手に検問したりするそうですから。昔の日本ですと山賊や僧兵でしょうか?)し続ければ宜しいと思います。素晴らしき反面教師です。法治や民主主義、宗教的寛容の有難味が身に沁みます。
戦争ではなく抵抗運動でしょ?と言われたらイベリア半島の歴史に倣うのも良いかも知れません。イスラムに支配されるも700年以上抵抗し続け、異端審問も頑張りながら勝利した凄まじい歴史がございます。昔のキリシタン怖い。
https://www.y-history.net/appendix/wh0603_2-064.html
創作で異世界転生というのが流行り続け、一つのジャンルになっている様ですが、
「現代転生!中世でキリシタンやってたボク達が、正しい信者を集めて今度こそ宗教戦争(異教徒殲滅)の勝者になります!!」
とか誰か書いてないかな?
沖縄県という狭い範囲で琉球新報と沖縄タイムスの2紙が成り立っているというのが疑問です。昨今の若年層の新聞離れは沖縄も同様のはず。1県1紙でさえ青息吐息なのに、2紙も存在しているとは何かあるのでは。まさか某国が支援してはいないだろうか。新聞の影響は弱くなる一方なら、某国の策は失敗だったかも。やはりハニトラが確実か?
石垣には八重山日報があります
現実に中国漁船の脅威にさらされている石垣住民からみたら
沖縄本島の政治と新聞は異常に見えるらしいです
oinko さま
>現実に中国漁船の脅威にさらされている石垣住民からみたら
東京では、沖縄の現状が分からない。那覇では石垣島の現状がわからない。
ということでしょうか。
ご指摘の通り、オール沖縄の敗北とは言い切れませんが、彼らのオール沖縄という看板が不適切だ、ということは言えるかなさすがに。
そもそも民主主義選挙において「オール○○」などと名乗れる神経がわかりません。そこまで自分たちの政策方針が絶対無謬だと思い込むのは危険思想ですし、同調しない貴様らは○○には含まれないぞという恫喝でもあります。立憲共産れいわその他泡沫あたりなどは、戦時中に戦争に非協力的な人に向かって「非国民め」と罵ったとされる風潮を非難する立場かと思っていましたがね。
>「オール○○」などと名乗れる神経がわかりません
パヨクは数字に弱いからでしょう。奴らの性癖たる「参加人数水増し大本営発表」も「盛ってる」のではなくマジで計算が出来ない故の所業でしょうね。
毎度、ばかばかしいお話しを。
①どの政党が推薦しても、沖縄県民が選んだのならオール沖縄である。
②自民党に負けたのではない。西村博之の情報工作に負けたのだ。
③西村博之は、米軍基地前で座り込んでいる透明人間を見ていない。
さて、みなさんは、どれが気にいりましたか。
すみません。もう2つ。
④座り込んでいる米軍基地が、沖縄にあるとは言っていない。
⑤座り込み開始が、西村博之が見に行った日から、3011日前からとは言っていない。
③。
有名な寓話のようにきっと愚か者には見えない人間なのですね。
西村博之氏の影響もあったでしょうが、最大の原因は前那覇市長の城間幹子氏が、知念覚氏側に回った事でしょう。
翁長雄治氏が女性に対して「AV女優」と言った事が尾を引いているのかもしれません。
女性を敵に回していなかったら翁長氏が当選していたかもしれません。
城間氏は、オール沖縄に「市民福祉の向上を最優先すべき市町村行政にまで政治的対立を招いているのではないか」という正論を突きつける御仁なので。
首長選の連敗は、住民の地方自治に対する考え方がまともになってきたのが、一番大きいでしょう。
ま、復帰から 50 年、復帰後世代が大勢を占め、沖縄の政界も変わってくるでしょうし。
ひろゆきさんの指摘に活動家が痛いところを突かれたというよりは、ひろゆきさんが活動家の揚げ足を取っておちょくったら活動家や地元紙がこれをまともに受け止めてマジ切れした、という感じの方があってるのかなぁと思います。
活動家や地元紙の方々が、ひろゆきさんの煽りにうかうかと乗せられて自らの欺瞞を糊塗しようと足掻いた結果、自滅したという流れなんじゃないかなぁと思います。
この件が那覇市長選におけるオール沖縄候補敗北に関係したのかどうかについては、正直自分はよくわかりません。しかしながら、ネットという手段によって、活動家や地元紙の欺瞞の姿が誰にもわかるように可視化されて膨大な人々の目に触れるようになったのは確かだと思います。
反基地運動は最初はガチで24時間の座り込みをしていました。
それがしばらくして24時間はやめてしまう。
そして現在では土砂搬入に合わせて座り込み。
ひろゆきがこの経緯を知っていたかは知りませんが、活動家から見れば一番隠したかったところを正確に突かれたと言えます。
あれだけ発狂すのも無理はないでしょうw
https://twitter.com/ABETakashiOki
本件におけるMVPは間違いなく沖縄タイムスのアベタケシ記者。
例の写真からひろゆきに絡むもことごとく不発に終わる。
沖縄反基地運動、琉球2紙の異常性を幅広く知らしめた。
彼のツイッターには選挙結果への感謝の気持ちが書き込まれ続けている。
イソコに続いて新聞社から新たな活動家が登場したと言える。
沖縄での市長選で与党が7連勝。
県内11市でオール沖縄市長は宮古島の1市だけ。
まず市町村長、市議会議員、県議会議員を取る。
続いて衆院議員、参院議員を取る。
仕上げに県知事を取る。
ただでさえ中国の動向がキナ臭い。
沖縄県を浸透勢力から確実に解放する必要がある。
過激派の安倍晋三元首相が生きてたら安倍のせいだ、と有耶無耶にできたかもしれないね。
でも彼は天国に旅立たれたし、岸田首相は毒にも薬にもならんような人だし、単純に左派の異常行動が目立つようになったのもあるかも。
市長選ではなく、知事選の前に、この騒動があったらなぁ・・・。
台湾有事の時には、普天間の基地は無くなっていてほしいので。
「ブーメランを用いた援護射撃の結果としてのフレンドリーファイヤー」に一票。