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「韓国外相、徴用工で代位弁済を日本に提案」=韓国紙

自称元徴用工問題を巡り、韓国の朴振(ぼく・しん)外交部長官が日本の林芳正外相に対し、何らかの「解決策」を提案したのかどうか、韓国メディアの評価も割れているようです。ただ、韓国側から漏れ伝わる「解決策」とやらが「解決策」になっていないこともまた事実であり、このように考えるならば、日本側もそろそろ「次のステップ」に移っていくべきでしょう。

韓国が議論する「強制徴用解決策」

とても当たり前の話ですが、自称元徴用工問題を巡っては、①2018年10月と11月の大法院判決自体が日韓請求権協定に違反する法的状態を作り出しているという点に加え、②韓国側が主張する「違法な強制徴用と強制労働」が事実ではない、という意味での二重の問題が存在します。

したがって、この違法な自称元徴用工判決の存在を日本が受け入れるようなかたちでの「解決策」は、そもそも「解決策」にはなっていませんし、日本にとっては受け入れることはできませんし、受け入れてはならないものでもあります。

ただ、韓国国内で「議論」されていると思しき「解決策」とやらは、残念ながら、日本にとって受け入れ可能なものはほとんどなさそうです。

というのも、「韓国政府が『強制徴用被害者』(※自称元徴用工)らに『代位弁済する』」、「日韓両国企業が参加するかたちで基金を作る」、「日本企業が謝罪する」、といったものばかりであり、どれも「2018年の大法院判決を無効にする」という最低限の要件すら満たしていない代物だからです。

日韓外相会談で矛盾する報道

こうしたなか、昨日はニューヨークで日韓外相会談が行われました。

昨日の『ニューヨークでの日韓外相会談、諸懸案で完全に平行線』でも取り上げたとおり、公式発表ベースでは日本側が(若干危なっかしい面はあるとはいえ)韓国側に「従来の立場を伝えた」とされるものであり、正直、自称元徴用工問題を含めた日韓諸懸案を巡った進展はまったく見られなかったと考えて良いでしょう。

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ただ、この公式発表後も、韓国メディアにはさまざまなリーク記事が出て来ているのですが、報じるメディアによってはその内容が正面から矛盾しているように見受けられるものもあります。

たとえば、『聯合ニュース』(日本語版)に昨日掲載された記事では、韓国の外交部当局者が20日、この外相会談を巡っては「(日本側に)国内の各界で提起されたさまざまな意見を説明した」としつつも、「日本による植民地時代の徴用被害者への賠償問題の解決策は伝えていない」と述べた、などと報じています。

韓日外相会談 徴用問題の解決策は伝えず=韓国外交部

―――2022.09.20 17:00付 聯合ニュース日本語版より

聯合ニュースはそのうえで、朴振(ぼく・しん)韓国外交部長官(※外相に相当)自身が自称元徴用工と面会した内容や4回の官民協議会で出たさまざまな意見を林芳正外相に対して具体的に説明し、意見交換したとしつつも、次のように結論付けています。

国内で意見集約を続けているため、韓国側が最終的な解決策を示したわけではないとみられる」。

中央日報は「代位弁済案を日本に提案」

ただ、この聯合ニュースの記事と真逆の内容が、『中央日報』(日本語版)に今朝掲載されています。

韓国外交部長官「韓日企業が財源作って強制徴用を賠償」 日本に提案

―――2022.09.21 06:43付 中央日報日本語版より

中央日報によると朴振氏は林外相に対し、いわゆる「代位弁済案」(両国企業が自発的に拠出した財源で自称元徴用工らに返済する案)を提案したとしたうえで、次のように報じています。

官民協議会で提示された意見を紹介するかたちをとってはいたものの、事実上、徴用問題解決のための政府次元のドライブが始まったという分析だ」。

この「~という分析だ」、「~とみられる」といった、韓国メディアに頻繁に見られる表現に対しては、正直、「誰がそう分析しているのか」、「誰がそうみているのか」というツッコミを入れたくなるという人も多いでしょう。

また、林外相もわざわざ55分間もそんな「提案」とやらに付き合わず、「韓国がウソをつかないことと国際法を守ることが大切だ」とピシャリと言い捨てて席を立つくらいのことをしてほしいものだ、という気持ちを持つ日本人も、また同様に非常に多いのではないかと思います。

日本もそろそろ「次のステップ」へ

ちなみに中央日報によると、「ある外交消息筋」は次のように述べたとも伝えています。

韓国政府は官民協議会がいかなる結論も下したことはないと言うが、事実上、大半の意見は両国企業の自発的参加で財源を用意し、これを被害者に支給するもの。朴長官もこれを林外相に伝達して次のステップの首脳会談へ移ろうとしている」。

正直、お話にならないというほかありません。

中央日報によると、この代位弁済案自体、「肝心」(?)の自称元徴用工側が反発しているのだそうですが、問題はそれだけではありません。

自称元慰安婦問題を巡り、2015年12月に日本政府が韓国政府と取り交わした日韓慰安婦合意を、韓国政府自身がまったく守らず、それどころか完全に破ってしまった問題についても、未解決のままで残されています。

このように考えていくならば、日本もそろそろ「次のステップ」に移っていってほしいとも感じます。

やはり、日本政府におかれてはインバウンド観光振興を目的としたコロナ防疫解除(たとえばビザ免除措置の復活)の対象から韓国を意図的に外すくらいのことはやっていただきたいと思いますし、また、日本企業におかれては国際法順守などの観点から、韓国拠点の整理を急いでほしいと思う次第です。

もっとも、経済安全保障の観点に加え、ここもとの韓国の金融システムの混乱などの要因、さらには台湾が日本企業にとってビジネスパートナーとして急浮上しているなどの事情も踏まえるならば、日韓関係は自然と疎遠なものになっていくのかもしれませんが…。

新宿会計士:

View Comments (18)

  • 韓国側のプレリリースによる記者質問での返答として日本側は韓国側の意見を聞いてより真剣な態度になったのだそうで。

    真剣に韓国離れを考えたのでしょうかね?それとも踏み込んだ経済制裁の手法を考えたのかな?

    • あの髭議員が昨年末に韓国への対抗措置の検討に入り、この夏にも中間報告するっ!ってドヤ顔で発表していましたが、その後、何もなし。どうせ、あの口先だけは勇ましい髭議員のこと、何かあれば、伝家の宝刀「外交部会の議題とする」で終わるんでしょうね。外交部会で議論するの後に何か動いた記憶はほとんどないですから。

      • 引っ掛かったオタク@髭さんソロソロ期待値使い果たしまっせシランケド says:

        市井の議論は認識を深める為にで留まるも有り有りでしょうが、政治家の議論は決断に繋げる結論を得なければ単なる時間潰し以下、カモシレ??
        まー政治屋にとっちゃあ時間潰しでイイんかシレンですがナ、某党のナンチャラわーきんぐちーむミタイに

  • >いわゆる「代位弁済案」(両国企業が自発的に拠出した財源で自称元徴用工らに返済する案)を提案

    ”自発的な財源拠出”というものは、法的責任が否定されない限り成立しないものです。
    1円でも拠出すれば、『法の裁きを追認』したことにされてしまうんですものね・・。

  • 1. 日本に対しては、永遠に過去の悪行についての難癖を付けて謝罪を求め、謝らせればそれにつけ込んで集りを続けねばならない(絶対的公準)。

    2. しかし、アベの野郎が甘ちゃんの日本社会の常識をガラッと変えてしまったから、下手な手出しをすれば、報復を招きかねなくなってしまった。それは絶対的に避けなければ(公準の相対化)。

    3. ゆえに、三菱、日鉄等の差し押さえ資産の現金化は絶対的に避けなければならない(相対化された公準から導かれる定理)。

    4.しかし、法治国家(情痴国家?)のプライド(さもしさ?)にかけて、大法院判決の効力は死守しなければならない(相対化される以前の公準から導かれる定理)。

    5. これらの要件のすべてを満たすべく、採りうる最適解を探るなら、うんチャラかんチャラ…(ンなもん、あるわけないじゃん)。

    絶対的公準って、敢えて例えれば、ユークリッドの第五公準みたいなものかな?

    こんなしょうもないものに例えたら、古代の偉人には失礼なのは承知の上で、固定観念を打ち破らねば、新しい知的空間は拓けないという意味で。

    まあ、そっからどうしても離れたくないと言うんであれば、「中世以前の蒙昧の時代にずっと止まってなさい」というしかないですね(笑)。

    • > 「中世以前の蒙昧の時代にずっと止まってなさい」というしかないですね(笑)。

      だから、韓国は擬制近代国家であって、内実は古代国家なのだと......

  • 韓国政府関係者は 自身の責任回避の為に場当たり的にウソをついています
    さらに取材する韓国マスコミも自分達の妄想や願望を混ぜるのが現状でしょう
    その結果、韓国発の情報は 政府発の情報でも 韓国国民向けのエンターテイメントであって、
    日本から見れば 滑稽で飽きさせない素材に見えるのでしょうね

    30年前まではコレが、あの国の中だけで完結していたから問題なかったのですが・・・・

  • 韓国政府にしろ、韓国メディアにしろ、
    「一貫した立場」を伝えられた時点で、
    終わっていることに気がつかないのかねぇ。

    • 実は、「労働者問題は1965年に解決済だ」だけではなく、「日本が納得する解決策を提示しない限り首脳会談は行わない」についても「一貫した立場」なのですよね、きっと。

  • いろいろなところに書いてあったけど、「嘘をつくな」「約束を守れ」って言われれば、普通は
    『我々はウソをついてないし、約束もちゃんと守っている』
    と返答すると思うのですが、彼らは日本の言葉を無視して、頑なに自分たちの都合だけを押し通そうとする。
    「その案はダメだ」と当時の河野大臣から言われたにも係わらず、何度も何度も何度も何度も・・・(以下リピート100回)同じ案を持ってくる。まるで会話が成立しない。

    おおよそ、人が相手であれり、知能があれば、多少誤解がありつつもその差を埋めつつ、会話が成立すると思うのですが、まったくダメそうです。
    会話が成立しない相手と、会話らしきことをしなければならない外務省には、少なからず同情します。
    彼らに「その案はダメだ」と分からせることはできるのでしょうかね。

  • 【寓話 世界ウソップ物語】

    むかしむかし、とある国に
    山賊一味が住んでおりました。
    青瓦親分が賊のもんに、
    「おいおまえ、次のおいしい仕事させたるわ。
    (自称で)徴用工や言うて インネン付けて
     謝罪と賠償 シコタマもろうてこい。
     なあに、独立しとることになっとる
     大法院にも 有罪の判決出せゆうといたし、
     アサヒさんに今度も応援してや 頼んどいたから
     ちょろいもんや。 ぬからずええ仕事せえや」
    と申し付けました。
    ところが、
    前の自称従軍慰安婦のインネンもバレて
    調子乗りすぎ失敗しかけてるのに
    相手がそうやすやす騙されるはずはありません。
    焦った青瓦親分は、
    「こうなったら、ワシが直談判で丸め込んだる」
    と乗り出しましたが、待ち伏せしても下手に出ても
    なかなか会ってもらえません。
    「100対0やのうても50でも損はないし」
    と弱気になった青瓦親分ですが、子分が
    「そんな弱気なことでは親分あきまへん」t
    ダダを捏ね弱り果てます。
    苦し紛れに、相手に
    「は今払わんとワシが立て替えといたるさかい
     あんたは認めるだけであとでワシに返すだけでええんや
     どや?」
    と、往生際の悪いありさまです。

    はてさて 寓話の世界の結末は
    その後どうなりましたこととやら (^^);

  •  日韓外相会談の外務省発表資料には「朴長官より、旧朝鮮半島出身労働者問題に関する韓国側の立場について説明があり、これに対し、林大臣より、日本側の一貫した立場を伝えました。」とあります。
     「日本側の一貫した立場」を伝えたにもかかわらず、韓国政府が「代位弁済案」を提案してきたことが事実ならば、要するに「(差押財産の)現金化が(対抗措置の)デッドラインだ」という日本政府の警告だけをクリアすれば良いとしか考えていないのでしょう。
     確かに、「代位弁済案」は現金化を回避する方策ではありますが、「日本側の一貫した立場」とは、現金化さえ回避すれば良いというものでは無い筈なんですけどねえ。

    • ただ、現金化がレッドラインだなんて言ってしまってますからねエ。当然そこを突いてきますわ。
      ゴールなんて相手に考えさせれば良いのに、「ここまでならOKですよ」と言ってしまうお人好し振り。
      当時から、そんなことを言っちゃあダメじゃん、って言われてましたね。

      人の良いのもアホのうち、ですわ。

  • 「代位」変な言葉。
    何故、代位する必要があるの?

    自分達が正しいと言うなら、そのまま貫けばいいし、自分達の判決が正しいと思うなら、ご自慢の法治主義に基づき粛々とやればいい。

    「代位」なんて言葉持ち出すのは何の為?
    此方が困るから?此方は、ちっとも困らない。ただ、粛々と、対抗措置を取るだけ。
    そうされると困ることあるの?
    そもそも、此方が必要ないから、ノー・ジャパン、って威勢よくやってたよね。

    やっていることに論理も一貫性も無いね。
    理屈も無い。こじ付け、無理強い、ならある。やればやるだけ、自分の正体晒すだけだよ。

  •  そもそも「現金化」は、安倍内閣が設定したハードルだったような気がします。本来なら「現金化」以前に「資産の差し押さえ」の時点で制裁するというべきだったんですよ。今さら「現金化」以前にハードルを戻すことはできませんし、その意味では安倍内閣からの継続で、菅内閣、岸田内閣で対応に変化はありません。
     最近、外相会談の回数が多いような気がしますが、外務省のページで令和元年以後の会談履歴を見たところ、外相会談の回数が一時的に減っていたのは、半島出身労働者問題よりも、新型コロナの影響が大きいようです。コロナ前も毎月のように外相会談をしています。
     参考までに就任挨拶以外で両首脳が会談したのは、2019年12月24日が最後です。

    日韓外相会談(令和4年9月20日)
    日韓外相会談(令和4年8月4日)
    日韓外相会談及びワーキングディナー(令和4年7月18日)
    日韓外相電話会談(令和4年5月25日)
    林外務大臣の韓国訪問(令和4年5月9日~10日)← 尹大統領就任挨拶
    日韓外相電話会談(令和4年3月25日)
    日韓外相会談(令和4年2月12日)
    日韓外相電話会談(令和4年2月3日)
    日韓首脳電話会談(令和3年10月15日)←岸田総理就任挨拶
    日韓外相会談(令和3年9月23日)
    日韓外相会談(令和3年5月5日)
    日韓外相電話会談(令和3年1月9日)
    日韓首脳電話会談(令和2年9月24日)←菅総理就任挨拶
    日韓外相電話会談(令和2年6月3日)
    日韓外相会談(令和2年2月15日)← この後、新型コロナ発生
    日韓外相会談(令和2年1月14日)
    日韓首脳会談(令和元年12月24日)← 就任挨拶以外の最後の首脳会談
    日韓外相会談(令和元年12月24日)
    日韓外相会談(令和元年11月23日)
    日韓外相会談(令和元年9月26日)
    日韓外相会談(令和元年8月21日)
    日韓外相会談(令和元年8月1日)
    日韓外相電話会談(令和元年7月26日)
    日韓外相による立ち話(令和元年6月28日)
    旧朝鮮半島出身労働者問題に関する金杉アジア大洋州局長による金敬翰在京韓国大使館次席公使の召致(令和元年6月19日)
    日韓外相会談(令和元年5月23日)
    日韓外相電話会談(令和元年5月4日)
    河野外務大臣による李洙勲駐日韓国大使の召致(平成31年4月12日)
    日韓外相会談(平成31年2月15日)
    旧朝鮮半島出身労働者問題に係る日韓請求権協定に基づく協議要請への回答の督促(平成31年2月12日)
    日韓外相会談(平成31年1月23日)

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