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【速報】朝日新聞朝刊部数は8年前と比較して4割減少

株式会社朝日新聞社の最新版の有価証券報告書が出てきました。これによると朝日新聞朝刊部数は455.7万部であり、著者自身が手元データとして保有している2014年3月期のものと比べて296.9万部減少した計算です。減少率は4割でしょうか。

株式会社朝日新聞社の毎年の決算は、売上高が右肩下がりになっている、とする話題については、先日の『朝日新聞社の売上総利益はこの10年間で半分に減った』でも取り上げたとおりです。

ここまでくると、もはや「優良資産を抱え込んだ新聞社」ではなく、「不動産会社が趣味で新聞を刊行しているようなもの」ではないか――。株式会社朝日新聞社の決算を眺めていると、そう思わざるを得ません。売上高や売上総利益は右肩下がりで、リストラで販管費をカットしたものの将来は見えません。最大手の一角を占める同社ですらそうなのですから、同業他社の現状も「推して知るべし」、でしょう。新聞社の経営は謎他人に厳しく自分に甘い新聞業界日本の新聞社のおかしな点は数多くあるのですが、そのひとつが、「他人に厳しく自分に...
朝日新聞社の売上総利益はこの10年間で半分に減った - 新宿会計士の政治経済評論

具体的には、同社の売上高については「つるべ落とし」のように減少する(図表1)一方、人件費の圧縮のためでしょうか、営業利益については「V字回復」を果たした(図表2)、とする決算です。

図表1 株式会社朝日新聞社の売上高(連単)

(【出所】同社の過去の有報、単信等より著者作成)

図表2 株式会社朝日新聞社の営業利益(連単)

(【出所】同社の過去の有報、単信等より著者作成)

2022年3月期の売上高は連結が2725億円、単体が1882億円で、これは最も古い2010年3月期のデータ(連結4703億円、単体3279億円)と比べ、単体ベースでは1397億円、連結ベースでは-1978億円も売上が落ち込んだ格好です。

ちなみに同社の単体売上高が2000億円の大台を割り込んだのは今世紀に入って以降おそらく初めてのことです。

その一方で、営業利益については昨年、連単ともにかなり巨額の赤字を計上しているのですが、今年は営利段階で連結ベースでは95億円と100億円近い利益を計上し、単体ベースでも79億円と、やはり堅調な利益に戻った格好です。

ところで、先日の分析はあくまでも短信ベースに実施していたので、若干、情報量が不足していました。

こうしたなか、EDINET上に本日午前11時、同社の有価証券報告書が公表されています。これで見ると、ほかにも興味深い情報がいくつか公表されています。

本稿ではその「速報」として、こんなグラフを取り上げてみたいと思います(図表3)。

図表3 朝日新聞部数推移(朝刊・夕刊)

(【出所】株式会社朝日新聞社・過年度有価証券報告書等より著者作成)

いかがでしょうか。

著者自身が手元メモとして所持している2014年3月期以降のデータで見くらべると、直近・2022年3月期の部数は朝刊が296.9万部、夕刊が138.4万部減少した計算です。減少率は朝刊が約4割、夕刊が約5割、といったところでしょうか。

このあたり、株式会社朝日新聞社を除く大手新聞社については決算資料等をほとんど公表していないのですが、ただ、昨年の『データで読む:歯止めがかからない新聞の発行部数減少』でも取り上げたとおり、新聞部数の減少は全国的な傾向でもあります。

なお、新聞業界全体の傾向として、夕刊よりも朝刊のほうが落ち込みが緩やかである理由についてはよくわかりませんが、これについては仮説として、次のようなものが考えられるでしょう。

①朝刊の需要が強い(折込チラシ需要)

②夕刊の廃刊が相次いでいる

③押し込み販売・虚偽部数申告

このあたりは今後も継続的なテーマとして議論する価値がありそうです。

新宿会計士:

View Comments (11)

  • 数々の捏造により戦中から日本の国益を天文学的な数字で棄損してきた朝日新聞は、会社ぐるみの犯罪の責任を問われて取り潰されるべきだと思う。

  • 同時期の人口動態と横目に比較してみるのもinterestかも知れないス
    声が大きい連中は静かな消費者をナメてるンデショね
    まー紙媒体消えてもガセ流し元が他ルートにバラマキ続けれてれば大差ないか…

  • >夕刊よりも朝刊のほうが落ち込みが緩やかである理由

    地域によって「朝夕セット」と「朝刊のみ」が選択可能ので、朝刊だけでいいという世帯が増えているのでは?

    朝日は7月1から10%弱値上げするそうです。また部数減らすのではないかと楽しみです。

    • >> 地域によって「朝夕セット」と「朝刊のみ」が選択可能ので
      これは選択可能なのではなく、都市部では「朝夕刊のセット版」、都市部以外での「統合版」の2種がある、ということです。山間部なんかですと朝夕の2回配達するなんてとても採算が合わないので、夕刊の内容(事件報道や連載のコラムとか)を翌日の朝刊にまとめて編集した版を出しているってことです。

    • 急須のお茶 さま

      在学中の購読者数の謎は、10P「朝日新聞の販売数と購読者特性」の頁の右上の「性・年齢別」のグラフを見れば、解けます。
      このグラフは、朝日新聞購読者数N=8,849人の分布だそうですが、おかしな点がいくつかあります。たとえば、
      ① 15〜20歳までの5歳分の購読者数が、30歳代の10歳分の購読者数とほぼ等しい。 そんな馬鹿な!
      ② 20歳代の学生+若い社会人の購読者数が、30歳代の購読者数のほぼ倍である。
      そんな馬鹿な!

      もうお分かりだと思いますが、15歳〜20歳代の購読者数とは、その多くが、親が新聞を購読している家に同居している子供たちである、ということです。彼ら自身が新聞を購読しているわけではありません。そして、それをはっきりと書かないのは、顧客である新聞社に媚びを売っている調査会社のビデオリサーチ社と朝日新聞社の問題です。新聞の購読者数は年代が若いほど減っている、ということを表に出したくないのでしょう。

      真実に近いのは、このグラフで30歳代のデータ、6.5%です。20歳代の以下の%をゼロとおいて%を再計算すると、6.5%⇒8.1%になります。
      今20歳代の人たちが30歳代に入っていくときは、30歳代の数値8.1%は4%になっているものと予想しています。新聞社は火の車です。

      • すごく分かり易い解説有難うございます。この見方だと実際にお金を払っている読者は60代中心ですね。
        PDFはすごく高学歴で高収入の読者に広告どうですか情報ですけど。。
        毎年、読者がかなり減ってる事実は載せないのはここだけの秘密ですね。
        私はてっきり新聞配達している苦学生がたくさんいるのかなと思って見てました。(反省)

        • 急須のお茶 さま
          >実際にお金を払っている読者は60代中心ですね。

          その通りだと、思います。
          今、議論している、性・年齢別のグラフの%は正しくないと思いますが、その数値の間の比率には意味がありますので、それを並べてみると、
          60歳代 22.2%
          50歳代 21.7%
          40歳代 13.2%
          30歳代 6.5%
          この減少比率はすごいですね。50歳代⇒30歳代で ▲70%です。
          この業界の市場は急速に確実に収縮しているということ、若い人たちは新聞を読まなくなっているということを、朝日新聞社が世間に向かって発表してそれを扇動しているのだから、それも驚きです。

  • 日本製紙株式会社の株主通信に掲載されていました。
    新聞の発行部数が減少しているのを売り上げ低迷の理由に?
    他の製紙会社はチェックしてません。

    >日本製紙株式会社 株主通信  2021年4月1日→ 2021年9月30日
    >第98期 第2四半期

    >紙・板紙事業
    >新聞用紙は、発行部数の減少に加え、2021年2月の福島県沖を震源とする地震の影響で岩沼工場の抄紙機の一部が操業を停止したことにより、国内販売数量は前年同期を下回りました。

  • 新宿会計士様

    いつも有用な情報、有難うございます。

    最近気付いたことですが、
    物価高と高齢化で新聞の購読を止めた
    近所のお宅がここ2,3ヶ月で何軒かあります。
    これはいよいよ大手紙、地方紙問わず
    本格的な淘汰の段階に入ったかと・・・

    数年後に残っている新聞社は一体何社なのか?
    気になるところです。