韓国で経常収支・財政収支の「双子の赤字」状況が出現するなか、週末、韓国ウォンが1ドル=1280ウォン前後の水準にまで売られたようです。これが一時的な現象なのか、それとも「なにか」の前兆なのかはまだわかりません。いずれにせよ、「FRBの金融引締め」+「円安」+「資源高」+「家計債務」という四重苦に「双子の赤字」が重なれば通貨危機は再来するのでしょうか?
韓国資産バブルFRB主犯説
当ウェブサイトで以前から何度となく提示してきた仮説のひとつが、韓国でコロナ禍以降に生じた資産バブルが米FRBの金融緩和と密接な関係を持っている、とするものです。これが、いわゆる「韓国資産バブルFRB主犯説」です。
簡単にいえば、「コロナ禍が深刻化した2020年3月以降、米FRBなどの旺盛な金融緩和で全世界の市場にマネーが注入された結果、韓国で発生したのがウォン高と外貨準備の膨張、マネタリーベースと韓国の家計負債の急拡大、そして資産バブルだった」、とするものであり、メカニズムにすれば次の①~⑧です。
【参考】韓国資産バブルFRB主犯説
- ①FRB等、主要国中央銀行による金融緩和
- ②為替市場で韓国ウォンを含めたEM(※)通貨高
- ③韓国の通貨当局が「ウォン高になり過ぎれば輸出業者が困る」と判断
- ④韓国のウォン売り・ドル買い介入(→外貨準備の増加)
- ⑤市中のウォン流通量が増大(→マネタリーベースの増加)
- ⑥金融機関の家計向けローンが増大(→家計債務の増大)
- ⑦カネを借りた家計がリスク資産(株式、不動産、暗号資産など)に投資
- ⑧韓国ウォンがビットコイン取引通貨の第3位に浮上
(【出所】著者作成。なお、「EM」とは “Emerging Markets” 、つまり「新興市場諸国」のこと)
本稿ではこの①~⑧の詳細は割愛しますが、③以外については具体的な統計的裏付けがありますので、詳しく知りたい方は『不動産市場から「韓国資産バブル」を解説する鈴置論考』なども是非ともご参照くださると幸いです。
鈴置高史氏の最新論考によると、米FRBなどの金融緩和政策が韓国における不動産などの価格を押し上げる「資産バブル」を形成した、という説明があります。これについてはそのとおりでしょう。ただ、問題はその「調整のスピード」であり、バブルの崩壊が生じるかどうか、という点にかかっています。そして韓国の場合、バブル崩壊は資本逃避とセットで発生するかもしれません。FRBテーパリングと韓国デレバレッジ韓国の資産バブル「FRB主犯」説昨今は世界経済の一体化が進行しており、ある国における金融政策がほかの国にも大き... 不動産市場から「韓国資産バブル」を解説する鈴置論考 - 新宿会計士の政治経済評論 |
韓国を襲い始めた四重苦:「家計債務」「QT」「円安」「資源高」
こうしたなか、現在の韓国に襲い掛かっている「災難」のうちのひとつが、FRBの金融引締め(QT)による、上記①~⑧の逆回転という動きですが、それだけではありません。ウクライナ戦争などを受けた世界的な原油価格・資源価格の高騰により、韓国で貿易赤字が常態化し始めたことです。
これに加え、日本で20年ぶりの円安水準が実現していることは、韓国経済にとっては潜在的な脅威そのものです。なぜなら、韓国の産業は日本のそれを模倣してきた結果、産業構造としては潜在的には競合関係にあるからです。
韓国ウォン以上に日本円の為替相場が米ドルに対して円安になってしまえば、潜在的な競合相手国である韓国の産業は、非常に大きな打撃が生じるかもしれません。
さらには、上記①~⑧の過程で韓国の家計が巨額の借金を負っていることから、韓国は利上げが困難ですが、利上げをしなければさらなる通貨安・資金流出となる可能性があり、外国金融機関から4000億ドル近い債務を負っている韓国の経済主体にとっては、大変に厄介な状況が生じているのです。
つまり、「FRBのQT」、「原油高・資源高」、「過大な家計債務問題」、「円安」といった四重苦に基づく複合的な要因が、韓国経済に一気に牙をむく可能性には注意が必要でしょう。
中央日報「韓国が双子の赤字に」
こうしたなか、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に週末、こんな記事が掲載されていました。
韓国、財政に続いて経常収支も赤信号
―――2022.06.11 13:33付 中央日報日本語版より(韓国経済新聞配信)
中央日報によると、韓国銀行が10日に公表した経常収支統計で、原油価格高騰に加えて4月の外国人配当金支払などの影響もあり、4月の経常収支が24ヵ月ぶりに赤字になったとしています。
このあたり、韓国の経常収支が毎年4月に赤字になりがちであるというのは、今に始まった問題ではありません。
しかし、最近の韓国では、貿易収支が赤字に転落することもあり、とくに『輸出額は過去最大級なのに2ヵ月連続の貿易赤字=韓国』でも取り上げたとおり、輸出額自体が過去最大規模であるにも関わらず、輸入がそれ以上に膨らんだことで赤字転落、といったパターンをよくみかけます。
ウォン安スパイラルは韓国経済にとって非常に深刻な惨事を招きかねないものであり、韓国にとっては警戒すべき現象のひとつであることは間違いありません。こうしたなか、韓国メディアの報道によると、韓国は先月、「5月としては過去最大の輸出額」を計上したにも関わらず、輸入品価格の上昇などを受けて前月に続き2カ月連続の貿易赤字を記録したそうです。これは何かの始まりなのでしょうか?ウォン安スパイラルの恐怖先日の『韓国貿易赤字化で「ウォン安スパイラル」は生じるのか』では、韓国の貿易統計をもとに、最近、同国が輸出... 輸出額は過去最大級なのに2ヵ月連続の貿易赤字=韓国 - 新宿会計士の政治経済評論 |
実際、この中央日報の記事でも、「経常収支に占める比率が大きい商品収支の黒字減少幅が大きく、安心はできない状況」などとしたうえで、「エネルギー価格急騰などで輸入増加が輸出増加を上回っている」と指摘しています。
さらに困った点があるとすれば、韓国では現在、財政収支が赤字に転落しており、経常収支と財政収支の「双子の赤字」という兆候が出ている点です。しかも、日本円と異なり韓国の通貨・ウォンは国際的に通用する「ハード・カレンシー」ではなく、外国人投資家から赤字をファイナンスすることが難しい状況です。
一方で、韓国の通貨・ウォンは先週金曜日時点で、韓国市場終了後の夜間で1ドル=1280ウォン前後に下落しています。本日以降、韓国通貨当局の為替介入で買い戻されるのか、それとも続落となるのかについては見通せませんが、韓国ウォン市場が不安定な状態にあることは間違いありません。
このように考えていくと、「韓日関係を改善し、韓日通貨スワップを!」といった寝言が再び韓国メディアを賑わす日も近いのかもしれない、などと暫定的に思う次第です(日本がそれに応じるのか、それとも無視するのかは別として)。
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GDPは消費、投資、純輸出、政府支出の合計
家計負債が高水準で消費は今後も抑制されるだろう。
韓国の銀行預貸率100%に近付いている。投資したくても借りられない。
輸出を増やすしかないが、韓国では輸出が増えると輸入も増える。さらに資源高。
ここ2-3か月は貿易赤字。
残るは政府支出。家計債務、銀行預貸率の状況で国債発行して消化できるのか?
いやあ、心の底からウォン安が心配です。
今週、ウォン安のストレスで食べすぎ・飲みすぎで太ったら、隣国に満足のいくまで謝罪と賠償をしてもらわないと!本当、ワクワクします。
韓国では
徳を失った前大統領を斬首し 新たに徳の高い大統領が選ばれます
韓国の大統領は 徳によって選ばれた無謬の存在なのです
国内の大きな問題は 徳の高い韓国大統領が起こした結果のはずがありません
原因は外国です。
解決する責任は外国にあるのです
まあ どういう理屈が来るかわかりませんが、日本の責任になるんでしょうね
四大赤字に家庭負債も加えてくれなきイヤ~ん。
大丈夫です。南国経済は不変・不動です。
ダメだったら、「日本が悪い!!」を連呼すれば
すみますから。
だ~いじょうぶ ♡~(>᎑<`๑)♡
「過大な家計債務問題」→徳政令で解決なのです♪
「円安」→素武装で脱日本を成し遂げたので、問題なんかないのです♪
「原油高・資源高」→原油とか使ってるのは韓国半万年の歴史のなかでごく最近のことなのです♪ 日帝に蹂躙される前の栄光を取り戻すと思えばなんてことないのです♪
「FRBのQT」→良くわかりませんm(_ _)m
そーいえば"マクド本社が韓国での事業を運営している100%子会社の売却先を探している"とかいう未確認情報見た気が…
とりあえず"パートナー"としての"部分的売却"らしいとの…
ルノーもGMも 韓国人労働者という 負債をかかえています。 ”逃げて~!!”