「立憲民主党はブーメラン政党」。最近だと、すっかり人口に膾炙してしまった表現です。こうしたなか、最新の「ブーメラン」事例が、「野党国対騒動」でしょう。14日に日本共産党を外したかたちで野党国対が開かれたものの、15日に立憲民主党は方針を一転し、日本共産党に謝罪したのだそうです。立憲民主党の小川淳也政調会長が岸田文雄政権を「朝令暮改」と揶揄したそうですが、こうした批判がそのままブーメランとして突き刺さった格好です。
立憲民主党のジレンマ
立憲民主党といえば、各種世論調査では政党支持率、「投票したい政党」などで日本維新の会に抜かれることも増えてきている一方、年初からは「CLP/ブルージャパン問題」、菅直人元首相による「ヒトラー投稿」問題を含め、さまざまな不祥事で揺れています。
弱り目に祟り目でしょうか、その立憲民主党が「ジレンマ」に陥っています。
支持基盤の連合から、再三にわたって「日本共産党との選挙協力はあり得ない」と警告を受けている一方で、日本共産党との選挙協力がなければ、事実上、獲得可能議席がさらに減少する可能性があるからです。
個人的には、『連合、参院選で「立憲民主党を支援せず」もあり得るか』などでも述べたとおり、連合が「労働者の味方」なのかと言われれば非常に疑問ですし、労組の組織率も低下しているなかで、将来的に連合も立憲民主党も日本共産党も、「ジリ貧」という点では一致していると思う次第です。
連合が立憲民主党を見放しつつあるというのは、本当だったのかもしれません。先日の『支持率低迷の立憲民主に対し連合が突き付けた「警告」』では、「連合が今夏の参院選に向けてまとめた選挙方針で、支持政党を明示しなかった」とする時事通信の報道を取り上げましたが、朝日新聞が昨日、ほぼ同じ趣旨の内容を報じました。異なるメディアが報じたということは、やはりこの報道は事実である、という可能性が濃厚です。野党勢力に「地殻変動」最近、わが国の野党勢力に「地殻変動」が生じつつあるのかもしれません。最大野党である立憲... 連合、参院選で「立憲民主党を支援せず」もあり得るか - 新宿会計士の政治経済評論 |
ただ、とりあえず今夏の参院選を巡っては、立憲民主党は日本共産党との関係を曖昧にしたままで選挙戦に突入するのか、それとも日本共産党を「切る」という選択をするのかは、喫緊の課題でもあるといえます。
野党国対での「共産外し」騒動
そんな立憲民主党を巡っては、今週、ちょっとした「騒動」がありました。
立憲民主党に続く「野党第2党」である日本維新の会に加え、「野党共闘」から距離を置いている国民民主党、さらには旧民進党系の無所属議員らによる衆院会派「有志の会」が14日、衆院議員会館で会談したのです。
共産除き野党国対 維新参加で枠組み変化
―――2022年02月14日20時26分付 時事通信より
「あれ?立憲民主党は日本共産党やれいわ新選組、社民党との連携を重視していたはずでは?」。
そう思った方も多いでしょう。
時事通信によると、「日本共産党が外され、維新が加わったのが枠組みの大きな変化」であり、また、今国会中は定例化するという方針を示したところ、これに対して日本共産党が反発しており、「参院選に向けた立民、共産両党の関係に影響する可能性もある」、などとしています。
実際、昨年の衆院選前までは、立憲民主党は国民民主党、日本共産党、社民党の各党の枠組みで国対委員長会談を定期的に開催していて、日本維新の会が孤立していたのですが、こうした枠組みの変化は、今夏の参院選に向けた布石かとも思われていました。
朝令暮改の立憲民主党
ところが、その翌日、立憲民主党は方針を一転してしまいます。
「共産外しは誤り」立憲が一転して謝罪・撤回
―――2022年2月15日 14:41付 FNNプライムオンラインより
『FNNプライムオンライン』によると、立憲民主党は方針を一転し、日本共産党に対して謝罪と撤回を伝え、「今後は各党と個別に会談する」と強調するなど、「火消しに躍起」になっているのだとか。
そして、立憲民主党幹部は、この新たな枠組みについては、そもそも「有志の会」側から国会審議日程などについての情報共有を求められたことを契機に発足したものであり、これに日本維新の会、国民民主党が加わったものだ、などと説明しているのだそうです。
しかし、日本共産党の小池書記局長は14日の会見で、「野党共闘でも維新を自公の補完勢力として、共闘の対象にしないことを確認してきた」、「維新を野党として協力の対象とすれば、野党の立場が根幹から問われることになる」などと述べていたのだとか。
維新「お家芸のブーメラン」
また、本件について産経ニュースは昨日、沢田大典氏の署名入りで、こんな記事を掲載しています。
立民「共産外し」波紋 甘い見通し、信頼揺るがす
―――2022/2/15 21:00付 産経ニュースより
沢田氏は「立憲民主党が主導した野党国対委員長代理級の会合が一夜にして暗礁に乗り上げた」格好だと指摘したうえで、日本維新の会や国民民主党などから、「立憲民主党の『朝令暮改』を揶揄する声が続出している」、「野党第一党の権威が揺らいでいる」と手厳しく評しています。
まったくそのとおりでしょう。
そのうえで沢田氏は、立憲民主党側には国会審議が与党ペースで進むのを牽制するうえで、日本維新の会や国民民主党との連携を強めたいという思惑の一方、参院選では32の改選1人区での野党候補一本化が不可欠であるとする事情を抱えていると指摘。
いわば、「今回のドタバタ劇は多方面への配慮を欠かせないという立憲民主党の立場の弱さが露呈した形だ」と述べていますが、こうした立憲民主党の混乱も、「一事が万事」、という気がしてなりません。
ちなみに沢田氏は、立憲民主党の小川淳也政調会長が岸田文雄政権を「朝令暮改」と批判してきたことを念頭に、日本維新の会関係者から、「お家芸の『ブーメラン』が突き刺さった」とする皮肉が出た、などと紹介しているのですが、これにも思わず苦笑してしまいます。
いずれにせよ、立憲民主党が日本共産党との関係をどう整理するのか(あるいはどうにも整理できないのか)を巡っては、まだまだ興味は尽きないところです。
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周辺国全てから「約束を守れ」と言われている国と似ています。
国民、維新からは、交渉相手として信頼出来ないと言われて、「ずっ共」にしか相手にして貰えなくなるのでは。
犯罪者政党共産党に頭下げるとか。大いに失望した。さっさと手を切っておけば良かったものを。
普通に考えればあり得ないですが、泉氏が何(誰)を見てブーメランをあえて判断したのか?
興味が尽きないところです。
やっぱり、統率力はほかに誰かが持っていて陰で操られてるってことですかね。
むしろ、「誰も統率力を持っていない」を露呈したということではないかと
まあ、このあとまたグダグダな揺り返しがあれば確定でせうか??
結局議員になり 美味しい思いをしたいという思いだけの集団だから 党そのものがそもそも野合以外の何物でもない。どうして投票する人がいるのだろう。TVに洗脳された人?昔 大宅壮一が一億総白痴化と言ったとおりになった。でも子供がサンモニ出演とは。まこと子育ては難しい。
全くその通りですね。
だから言わんこっちゃない。立憲は共産党に取り込まれてしまいましたね。昔風に言えば、共産票という毒まんじゅうを食べてしまったのですね。限りある左派票を共産党と立憲で仲良くシェアしてくれたら政治もわかりやすく、安定するかも。立憲共産党が政治ショーを続けてもらって、自民、国民、維新でリアル政治をしてくれたらと期待します。
立憲民主党、党として共産党と連携を続けるのか維新との協力に鞍替えするのか方針が定まらないまま迷走していますね。あと、党としての動きが立憲民主党以外の組織との調整や根回しを全く行わないまま思いつくままに行動していて、そりゃ共産党だって怒るのも当然でしょう。
思いつきで自民党を糾弾していればチヤホヤしてきたマスコミに甘えて、身内の意見や方針の調整する能力すら失ってしまったのか?
素朴な疑問ですが、立憲と維新が組んで上手く行くか?
国民との合併で、数が多い方の言う事を聞けという立憲と、黙っていれば、次期参議院選挙比例区では、野党第一党になるであろう維新。
沈み始めた泥舟に関わりたい人は、ずっ共しかいないと思いますけどね。
工作員同士、仲良くね。
「捨てる決断」ができず、二兎も三兎も追って全部逃がすと思います。
前からそうですが、考えに芯も軸もないし、烏合の衆ですな。
すべての参加者が自分にとって都合のいい党であってほしいと願い、それを隠さない。まとめ役も力がない。
マスコミに見捨てられたらほんとに終わりですよ。
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。
って言葉も、日本にはあるのですけどね。
今後、立民と日共との関係は自民党と公明党との関係の様になって行くのでは無いか? 自民党も立民も足腰が弱い。チラシの全戸配布や街頭演説の聴衆動員、更には電話かけ部隊の動員など、支持者を動かして選挙戦を実行するのには力が足りず、公明党や日本共産党に頼らざるを得ないのです。
よく「支持母体」として労組連合をこうした議論に絡めますけれども、労働組合は選挙戦を戦う組織では元々無いので、「集まって」と言って集まってくれるボランティアは労組からの声かけでは組織動員し難い。多様な組合員の意見の中で労組の組合員のカネである資金を労組の名前で政党政治に寄付する事も考えてみるとおかしな話なので大っぴらにやれない。
こうして曲がりなりにも組織のある日共や公明党との共闘、連立、選挙綱領を締結しての協力関係にならざるを得ません。
ちなみに公明党は何が何でも与党になると言う路線ですから国政では自民党と組んでいる。大阪では表向き自民党と組んだ格好をしながら面従腹背で、実態は維新と組んだ、といくつかの選挙での行動パターンを私が日共党員であった時に党から分析を聞かされました。おそらく東京では都民ファが勢いがあるうちは都民ファと、同様に組むのでしょう。
この「朝令暮改」の言い出しっぺである小川淳也、やってること言ってることの非常識さや見た目から若造のとっちゃん坊やに見えるんですが、あれでもう50過ぎ、泉より年上なんですよねw
政治家という枠組みで考えたら年齢的にも文字通りの若造であると言えなくもないけれど、年齢だけ見れば社会人としてあまりに非常識過ぎます。
こういう年齢不相応な言動や振る舞いを行う輩が、他にも立件共産党には掃いて捨てるほどいる。
普通に社会人として働いたことがない、他人に頭を下げたことがないような人間の集まりが立件共産党なのです。
本当にこれらに日本の政治を任せられるのか、きちんと考えて貴重な一票を投票するようにして欲しい。