「物証による反論」こそが、長い目で見て歴史問題の「根元を絶つ」ことにつながるのではないか――。これは、当ウェブサイトでこれまで何度となく述べて来た点ですが、やっと日本政府が本腰を挙げて根元を絶つことに乗り出すのでしょうか。
今朝の『韓国国会が日本政府に佐渡金山世界遺産推薦撤回を要求』では、日本政府が推進している佐渡金山のユネスコ世界文化遺産登録を巡って、「どうせやるならば、日本政府はファクトをベースに、徹底的にやってほしい」と申し上げました。
韓国が日本に対し、さまざまなチャネルで「佐渡金山の世界遺産登録推薦を撤回せよ」と要求しています。こうしたなか、ついに昨日は韓国の国会までが、日本政府に対して「佐渡金山の推薦撤回」を要求してきました。冷静に考えたら、これはすごいことです。本格的に、「国対国の歴史論戦」が始まるかもしれないからです。そして、そのことは、じつはわが国にとっては歓迎すべき話でもあります。佐渡金山の勘所やるなら徹底的に:3つの守るべきポイント日本政府が佐渡金山の世界文化遺産登録を推進している件を巡って、韓国政府が妨害し... 韓国国会が日本政府に佐渡金山世界遺産推薦撤回を要求 - 新宿会計士の政治経済評論 |
その「続報」でしょうか、韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)に今朝、こんな記事が掲載されていました。
「強制動員」隠し江戸時代に焦点…日本の「佐渡金山」世界遺産登録戦略が明らかに
―――2022-02-15 07:10付 ハンギョレ新聞日本語版より
「日本世界遺産登録戦略が明らかに」、とありますが、記事の内容自体は日本が「江戸時代に時期を限定し」、「佐渡金山は対象限られており軍艦島とは違う」、などと主張するつもりだ、とするもので、「今になって初めて判明した」という項目はほとんどありません。
ただ、このなかで一ヵ所、個人的には大変に良いと思う部分があるとしたら、次の箇所でしょう。
「日本政府は、佐渡金山の遺産的価値を江戸時代に限定する一方、強制動員に反論するために賃金など処遇に関する資料を集中的に収集する方針だ」。
これは、大変に良い傾向です。
そもそも論として、ウソツキは事実を嫌いますし、相手が仕掛けて来るウソに対して反論するための最大の武器こそが、「事実」だからです。そして、日本政府の狙いについて、ハンギョレ新聞はこう述べます。
「日本はユネスコに時期設定について説明を求められる場合に備えて、『プランB』も準備している。朝鮮人の強制動員に反論するために、賃金や手当、福祉などの正当な処遇が行われたという証拠を集める方針だ」。
じつは、世界遺産登録を巡っては、「時代が限られている」とする主張よりも、むしろこちらの方を主体にすべきではないかと思います。
これに対し、韓国側はどう反論するのでしょうか。
ハンギョレ新聞の記事では、こう続きます。
「佐渡金山で1939年2月から約1200人の朝鮮人強制動員が行われた事実と関連しては、具体的な資料と被害者の供述も残っている」。
その具体的な資料が、新潟県が1988年に発行した『新潟県史通史編8近代3』に記された、こんな記述なのだそうです。
「昭和14年に始まった労務動員計画は、名称こそ『募集』『官斡旋』『徴用』と変化するものの、朝鮮人を強制的に連行した事実においては同質であった」。
…。
なかなか、話になりません。史実を裏付けるのは「物証」ですが、「被害者の証言」、「書籍の記述」などは、決して物証としては機能しません。
むしろ、日本政府には当時の賃金台帳や年金加入記録など、「違法な強制労働」など存在しなかったこと自体を中心に、自身をもって、丁寧かつ冷静に議論を進めていただきたいと思います。
くどいようですが、過去に『ユネスコ軍艦島遺憾決議、日本は「根元を断つ」努力を』などでも言及してきたとおり、韓国の「歴史プロパガンダ」に日本が敗北してきた理由は、日本の外務省の怠慢と不作為にあります。
不法行為の全コストを、利息付きで韓国にお返ししよう個人的におそれていた事態が実現しました。明治期の産業革命施設の世界遺産登録を巡り、2015年7月に日本の外務省が切った「空手形」が、ブーメランの形で返ってきたからです。複数メディアの報道によれば、ユネスコ世界遺産委員会は22日、「軍艦島の朝鮮人強制連行・強制労働に関する展示方法や展示内容が不十分」とする趣旨で、日本を非難する声明を全会一致で採択したのだそうです。結論からいえば、これについては「放置」せざるを得ず、かわりに「根元を断つ努力」をしなけれ... ユネスコ軍艦島遺憾決議、日本は「根元を断つ」努力を - 新宿会計士の政治経済評論 |
そして、こうした「物証による反論」こそが、長い目で見て歴史問題の「根元を絶つ」ことにつながるのではないかと思う次第です。
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ファクトはこの際十分に主張したらよいと思いますが、ファクトを主張すれば理解してもらえるという考えは甘いと思います。ないことの証明は、どこまでいっても間接的なものでしかなく、証拠がなくても、いくらでも難クセをつけることができます。
また、日韓の歴史紛争に全く興味のない大半の国(委員)は、事実よりも打算によって動くこともありえます。ナントカ報告者みたいに、人権について仕事した感をアピールするために、韓国の主張に同調する者もいるでしょう。
外務省の主張が消極的かつド下手なこと、変に和解を図ろうとする点も気になります。
KN様
今後、韓国が難クセをつけても「事実は〇〇です」ということで一蹴し相手をしないことを徹底すれば良いと思います。
そもそも、日本は正面切ってファクトを主張したことがありません。
それは、今まで日本が「日韓友好」という幻想に囚われていたためで、韓国の難クセに唯々諾々としてたわけですが、日本がファクトを主張するということは、国の方針としてそれを切り捨てたということで目出度いことだと思います。
外務省は面倒なのか、そのファクトでの反証もしていない。どうしようもないです。
相手の反応は反応として、国際社会に向けても、手を抜かずきちんと仕事をして欲しい。
全く同意です
哨戒機レーダー問題の時は
韓国人に動画でファクトを証明しても無駄でした。
それどころか、その動画に反論を載せて世界に配信する神経の持ち主です
外交努力で…腹を割って話し合えば…
韓国人は、そういう相手ではないと はっきりと区別するべきです
長崎の端島(いわゆる軍艦島)には、戦前より朝鮮人が経営する朝鮮人専用の「吉田」という遊郭もあったそうです。奴隷のようにこき使われていたはずの朝鮮人労働者が、実は遊郭通いもできるほどの収入を得ていた賃労働者であったという厳然たる事実、つまりファクトのひとつでもあります。
https://smart-flash.jp/sociopolitics/10840/1
これらは現代に於いて非常に敏感な問題であろうことは十分理解した上で述べるのですが、こうしたファクトを一つ一つ丁寧に突きつけていくことこそが、現代の韓国人たちが言いつのる大嘘の欺瞞を撥ね除けるに足る大ネタなのにと、いつも歯痒く感じています。
愛知県東部在住様
端島の朝鮮人専用遊郭はネット検索するとたくさん出てきますね。例えばこんなの
https://ameblo.jp/imoseyama/entry-12042747040.html
筆者が赤大文字で書いた「嘘を書くな。朝鮮日報!」に全力で賛成。端島では日本人、朝鮮人の区別無くきついけど同じ労働条件で遊郭通いもできる高給をもらっていたのを「この世の地獄」って開いた方がふさがらない極大嘘!
徴用については2010年と少し古いのですが高市早苗議員が1959年の外務省資料を発掘してもらい全文掲載しています。
https://www.sanae.gr.jp/column_detail415.html
> もしも、この外務省発表資料の記載が正しければ、いわゆる「強制連行」なる事実はなく、「同じ日本国民としての戦時徴用」と呼ぶべきだということになります。
佐渡金山世界遺産登録申請タスクフォースチームはこの資料のエビデンスを集めファクトとして世界に知らしめるべきかと考えます。
百十の王 様
先ほどリンク先を辿って内容を確認させていただきました。
情報ありがとうございます。
これほどの事実を把握しておきながら、相も変わらぬ外務省の愚図っぷりに改めて嘆息する思いです。何というか・・・公家集団と揶揄される所以ですね。(笑)
またこれほどの資料を前にして、今も韓国サイドに沿った偽情報を垂れ流し続ける我が国のメディア(新宿会計士様によればオールドメディア)の偏向ぶりにも、改めて怒りを覚えるところであります。
佐渡金山世界遺産登録申請タスクフォースチームはこの資料のエビデンスを集めファクトとして世界に知らしめるべきかと考えます >
まことに以て仰る通りであると考えます。
愛知県東部在住様
> 佐渡金山世界遺産登録申請タスクフォースチームはこの資料のエビデンスを集めファクトとして世界に知らしめるべきかと考えます
古い資料なので埋もれてしまっている可能性があるかもと思い、タスクフォース所轄の内閣官房の意見募集欄に高市議員のコラムの存在を投稿しておきました。外務省職員も入っているTFなので当然把握しているとは思いますが…
慰安婦は河野談話で、佐渡は新潟県の記録のように、韓国の証拠は「日本が認めた物」になるでしょう。
韓国の反日話は、日本国内の中朝工作員によって作らました。
韓国国内には、証拠らしい証拠は無く、「証言が証拠ニダ」です。
一番良いのは「日韓併合が合法だったので、徴用は合法」と言い切ってしまう事だと思います。
中露は佐渡金山の強制労働で韓国の味方の振りをしていますが、日韓併合の合法性には口出ししないでしょう。
日本政府の初動対応が拙かった事は事実でしょう。
日本政府に対する冤罪の誹謗に対する初期の下手くそな対応と怠慢によって、証明責任が自称被害者の「犯罪が起こった事を実証的に証明する責任」から被疑者の「実在したかも証明されていない犯罪に対する無実の証明の責任」にすり替えられてしまったのです。
一般に実際に「有った事を証明する事」は可能ですが、「無かった事を証明する事」はムリな場合も多いです。
韓国の場合は「実際に有った犯罪の犯人がすり替えられてしまった」事例もあるようですので。
しかし、韓国との対処の仕方は「誰に対して何を証明するのか」、そして「事実認定の判断の基準」をはっきりさせないとダメです。
レーダー照射事件で明白になったように、韓国政府の「風雨高波、嵐の中で漁船をあらゆるレーダーを駆使して捜索中の韓国軍艦」の嘘がばれた後も韓国国民は「晴天下の穏やかな海上での日本の自衛隊機の威嚇飛行の被害者である韓国軍艦」との滅茶苦茶な責任転嫁の言い分を信じてしまうのですから、この論争の究極の判断は「中立の第三者」に仰がねばならないと思います。
「強制労働」を否定する準備だけでは不十分だと思います。相手は分が悪ければ「差別されていた」に話をずらしていくでしょう。
国内の応援団の主張からも垣間見れます。
https://cc.nuis.ac.jp/library/files/kiyou/vol03/3_hirose.pdf より
「朝鮮人の賃金は、「坑内夫二付テハ内地人労務者同様年齢経験等考慮シ業務ノ種類及難易二 依リ予メ査定セル請負単価二依リ其ノ稼高二応ジ支給、
#中略
朝鮮人の賃金には二つ問題が指摘でき る。第一に、元農民である朝鮮人にとって技能が要求される「請負制度」は日本人に比べて 不利だったと思われる。」
未熟な工員の給料が熟練工より低いことが問題とのこと。他にも突っ込みどころは多々ありますが、この手の論理?で声高に唱えられる「差別があった」というプロパガンダも粉砕しなければなりません。
そもそも、当時の内地出身の若者は、徴用されて鉱山どころか、徴兵されて戦地に送られているので、どちらが過酷な目に遭っていたか。
まあ、朝鮮地方の若者を徴兵しなかったのは差別と言えば差別、なんですかね?
ぴよすけ さん
「朝鮮人は日本人と比べて民族的に見て技能習得に難があるので、日本人とハンディキャップ無しの技能給は差別である」位の主張をしないと、技能給を差別に出来ない気がしますね。
で、朝鮮系日本臣民を徴用しなかったのは「差別」ではなく「逆差別」なのではないかと。
私、常々思ってたんですが(久納整みたいですね)、駐韓大使って、外務省ではそれなりに花形ポストだったと思うんです。
もちろん、一番は駐米大使、次が駐中大使とか、駐仏、駐英、駐独とかでしょうか。
かつての日本の優先度からすれば、駐韓大使は、これらのポスト同様、1.5流くらいには位置付けられていたのではないかと。
少なくとも、(比較して申し訳ありませんが)駐エジプト大使とか、駐アゼルバイジャン大使とかよりは、よほど外務省の一線級の人材が最後に着くポストだったと思うんです。
それが今や、首都の大使館の建て替えすら相手国の妨害で、建物のワンフロアを間借りしてる状態。
そんなポスト、上がりにして喜べるんですかね?
私なら、そんな風にこき下ろされた日には、何としてでも相手国の現政権が不利になる情報を仕入れて、敵対勢力が政権を奪取できるように工作するくらいのことはやりたくなりますけど。。。
お久家さんはそういう発想にならないのでしょうか。
不思議です。
今は花形ポストではないから無問題
愛知県東部在住様
> 佐渡金山世界遺産登録申請タスクフォースチームはこの資料のエビデンスを集めファクトとして世界に知らしめるべきかと考えます
古い資料なので埋もれてしまっている可能性があるかもと思い、タスクフォース所轄の内閣官房の意見募集欄に高市議員のコラムの存在を投稿しておきました。外務省職員も入っているTFなので当然把握しているとは思いますが…
上記投稿場所誤りです。削除方法がわからないので言い訳です。
韓国の「歴史プロパガンダ」に日本が敗北してきた理由は、
NHKによる捏造虚報情宣報道
https://ncode.syosetu.com/n8719gt/34/
日本の現在の主張は
「韓国の独自の主張は受け入れることが出来ない」
です。
あくまでも
韓国側の言っていることが「独自の主張」であると打ち返すことです。
韓国は日本の過去の書物の記述を引っ張り出して、それを証拠としようとするでしょう。日本の中ですらそういう意見があるのだから間違えのわけがない。
でもそれはおかしいのです。それはあくまでも意見であり、議論の上確定させた事実ではありません。
繰り返しますが、江戸時代に話を限定して逃げるのは最悪の愚策です。軍艦島の件で失敗、韓国にとっての大成功をもたらしたロジックです。韓国としてはそこに勝負をかけたいので、日本もそういう戦略でくると思い込みたいのです。
韓国の「独自の主張」を受け入れない。現在の外相の発言を維持することを基本戦略にしましょう。決して江戸時代に限定してはいけません。
日本政府は、次のように対応すべきだと思います。
➀世界(文化)遺産については、「当該施設において過去に強制労働が行なわれたことが無いこと」が登録条件になっている訳ではないので、粛々と「佐渡島金山」の世界遺産登録申請手続きを進める。
➁申請の際に、世界遺産委員会から、「2021年7月に世界遺産委員会が『明治日本の産業革命遺産』について、『徴用された朝鮮人労働者をめぐる説明が十分ではないとして、強い遺憾を盛り込んだ決議を採択し、意思に反して、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮人やほかの人たちと徴用政策について、理解できるような方策をとるよう』勧告したことに十分対応するよう」求められた場合には、「佐渡島の金山を含めて適切に対応する。」と回答する。
➂東京・新宿に設置した「産業遺産情報センター」の展示内容に、端島(軍艦島)や佐渡島の金山において徴用に従事した日本人や朝鮮人に関する事実を淡々と表示して追加する。
その際、1930年に国際労働機関(ILO)で採択された「強制労働条約」に違反する「強制労働」は行われていなかったことを明記する。
(なお、日本はこの決議により、今年12月までに勧告の実施状況をユネスコに報告するよう求められており、2023年の世界遺産委員会で進捗状況が審議される予定)。
➃ 端島(軍艦島)や佐渡島の金山において、「強制労働」が有ったか無かったかについて、韓国政府と議論するのは時間の無駄(世界遺産登録の条件ではない)だから、韓国政府を相手にしない。