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東京都で2万人近い新規陽性者が発生も重症者は18人

昨日は東京都で16,538人もの新規陽性者が報告されました。大変な人数です。ただ、新規陽性者が激増しているわりに、重症者数自体は18人に留まっており、少なくとも現時点においては、「重症者が激増している」という状況にはありません。また、新規陽性者の年代を見ると、20歳代、20歳未満などの若年層の割合が増えているのです。

新規陽性者が激増中

日本全体でも、東京都でも、新規陽性者数が激増中です。

当ウェブサイトで「定点観測」しているデータのひとつが、東京都の新規陽性者数などに関するものですが、昨日は新規陽性者数が過去最大の16,538人を記録しています。ちなみにこの水準は、過去最多だった昨年8月13日時点の5,908人と比べ、3倍近い水準でもあります。

ただ、これについて調べていくと、どうも2万人近い新規陽性者が出ているという現状に照らすならば、過去の「感染拡大局面」と比べると、重症者数や新規死亡者数が急速に増えているという状況とは言い切れません。

都内のコロナ動向<1/27(木)時点>
  • 新規陽性…16538人(前日比+2452人、前週比+7900人)
  • 7日平均…9149人(前日比+878人、前週比+4959人)
  • 重症者数…18人(前日比±0人、前週比+9人)
  • 新規死亡…3人(前日比▲2人、前週比+3人)

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

いや、もちろん、重症者数については1ヵ月前と比べれば増えていますし、新規死亡者についても、年が明けてから18人ほど報告されている状況です。

過去の局面と比べ、実際の重症者数の増え方は緩やか

ただ、新規陽性者と重症者を同じグラフに示すと、新規陽性者の急増のわりに、重症者についてはさほど増えているようには見えません。長期的なグラフとした場合には、その傾向がとくに顕著です(図表1)。

図表1 東京都における新規陽性者数と重症者数の推移

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

一方、図表1は少し重症者の増え方がわかり辛いため、もう少し短い期間でグラフ化し、右軸(重症者数)を左軸(新規陽性者数)の100分の1に変更してみると、いちおう、新規陽性者数と重症者数はリンクして増えていることが確認できます(図表2)。

図表2 東京都における新規陽性者数と重症者数の推移

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

ただし、図表1では右軸が左軸の20分の1に設定されている、という点にも注意が必要です。つまり、図表1と図表2では、比較の軸が異なっているのです。

とはいえ、東京都で新規陽性者数が激増していることは統計的事実ですので、タイムラグを伴って、重症者数がこれから増えてくる可能性も十分にあります。これに加え、東京都では厚生労働省と比べ、「重症者」の定義が異なるようだ、という点も重要でしょう。

このあたりは今後の動向に注意する必要があるゆえん、というわけです。

新規陽性者は若年層に多い

もっとも、東京都のデータをさらに分析していくと、やはり、陽性者が若年層に集中している、という傾向が認められます。図表3は、東京都の新規陽性者数を年代別に集計し、その割合をグラフ化したものです。

図表3 東京都新規陽性者数・年代別割合(各月平均)

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』より著者作成)

これによると、1月に入り、60歳以上の割合が急落する一方、20歳代の割合が急増していることが確認できます。また、これに加えて20歳未満の割合が、ジリジリと上昇傾向にあるのも気になる点です。

この点、東京都内にある「慶應義塾」という学校法人で、2022年1月20日の成人の日に、慶應義塾の一貫教育高校の卒業生を中心とした多人数会合、それに関連する二次会、三次会に参加した学生から、陽性者が複数発生しているそうです。

本学における新型コロナウイルス感染症発生について

―――2022/01/17付 慶應義塾HPより

この点、11月頃には日本で陽性者数が激減していたことは間違いないにせよ、やはり、年末年始、あるいは成人式などのタイミングで気が緩み、そこに「感染力が強い」とされるオミクロン株の流行が直撃した、という仮説が成り立つのでしょう。

オミクロン弱毒化?検査増による偽陽性?それともそれとも…

いずれにせよ、現在の新規陽性者の急増は、「コロナ陽性者の8~9割はオミクロン株だ」、「オミクロン株は弱毒化している」、などとする報道に加え、ワクチン接種による重症化の予防効果が出ている可能性、新規陽性者の急増に関しては検査の無料化などの影響で偽陽性が急増している可能性なども考えられます。

ただ、実際の統計で重症者が顕著に増えていかなければ、もしかするとコロナ禍もそろそろ転換点を迎えるのかもしれません(※といっても、このあたりはもう少し見極めが必要かもしれませんが…)。

新宿会計士:

View Comments (16)

  • テレビのスタッフにも陽性者が続出して、番組が立ち行かなくなって、
    「コロナなんてただの悪質な風邪。感染で自宅待機なんてやりすぎ」
    などと主張し始めるのに、1ジンブバエドル。

    • 「オミクロンコロナは風邪と同じだなんて言ってない」に2ジンブバエドル賭けます。

  • インフルエンザは、年に1000万人以上、週に200万人以上の「発症者」が出たこともありました。実際インフルエンザと比べてどうなの?という発想が出てこない(あるいはタブー視している)のが不思議です。感染力がインフルエンザの数十倍とか言っている専門家もいるようですが、ほんまかいなという気がします。年に億単位の発症者が出るというのでしょうか。

    検査は「病院に行くレベルの発症者」を対象にしないと、インフルエンザとの比較ができないと思います。なので、感染抑止につながらない無料検査や接触者の深追いはもうやめるべきでは(少なくとも有床の病院と介護施設だけにすべき)。仮に感染力が強くても、大半が病院に行かないレベルの症状であれば、過剰な対策をとる必要はないでしょう。対策緩和の実証実験を行ない、過剰な対策を段階的に縮小する時期にきていると思います。

    >東京都では厚生労働省と比べ、「重症者」の定義が異なる

    定義が異なることによるいびつな状況は、なぜか誰も指摘しませんね。
    全国:537人
    東京都:18人
    大阪府:317人(全国の過半数)
    兵庫県:7人
    https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

    個人的には、呼吸管理していないICU患者を含めない東京都基準が、コロナの実態を表すものとして妥当と思います。
    (基礎疾患が悪化した患者や、病院の都合でICUに入れている場合を除くため)

  • 厚生労働省から公表されているデータを見ると、新型コロナに関する新規の重症者数(前日からの差分で見ているので、重症から回復した分が考慮されていないので、そのところは正確ではありません)と死者数の直近の推移を見てみると、

    重傷者  死者
    1/24 5人 17人
    1/25 26人 45人
    1/25 67人 34人
    1/25 160人 47人

    となっており、新規で重症になる人より亡くなる人の方が多い日も散見されます。
    このデータを素直に読むと、現在のコロナは性急に死に至る傾向が強くて、重症と判断されるまえに突然亡くなるケースが非常に多いと読めます。

    でも、本当でしょうか?
    本当だったら、煽り大好きのマスコミがもっと騒いでいるでしょう。
    公表されているコロナによる死者数は、何らかの原因で死んだ人にPCR検査をして陽性と判断された場合カウントられる場合もあると聞きました。

    そう考えれば、全体の陽性者数が増えれば増えるだけそのようなケースも増えてくるので、結果として、このような出鱈目な数値が出てくることも納得できそうです。

    せめて、国からの公表資料くらい、もう少し整合性の取れたものにして欲しいものです。

    • 通常は、感染→発症→重症化→死亡という過程をへるのでピークが後にズレるのは不自然ではないでしょう。

      死亡はオミクロンではなくデルタで重症化していた人という可能性が考えられると思います。

      • 感染が収束に向かっている段階なら、時期的なズレで新規重症者数より死者数が多くなることはあり得るでしょう。でも、今は感染が上昇傾向の時期です。ピークのズレの効果は新規重症者数に対して、死者数を相対的に小さくするように働きます。
        また、日本でオミクロン株が流行り出した時には、デルタ株による重症者は殆どいなくなっていました。デルタ株とオミクロン株が混在しているイギリスなどとは状況が違います。日本は南アフリカやイスラエルと似たほぼオミクロン株の状態です。
        他の方もおっしゃっていますが、日本のコロナの統計は、分母の感染者数の定義も出鱈目だし、分子の重症者数や死者数も出鱈目だと言わざる得ないのが悲しいですね。

    • 死者数
      死亡前後に検査陽性であればカウントされます
       直接の原因が老衰であろうが基礎疾患に起因しようが関係ありません
       日本国内に限れば陽性者数・死亡者数はインフルエンザとかわりません

      • コロナで死亡したのではなく、死亡した人間にコロナウイルスが存在、または痕跡があったというだけの事ですね。

      • 感染者数、重症者数、死者数の全てが実態より水増しされているということですね。

    • 例えば死亡者について、実際の死亡日とそれを集計して公表した日が異なります。1/25に死亡者45人というのは、1/25までに死亡した人のうちの集計できた分が45人というだけで、それぞれの人については、例えば1/24なのか1/20なのか1/10なのか、それは判りません。
      なので日々の数字で比較するのは誤解を招くと考えます。

    • >> もう少し整合性の取れたものにして欲しいものです。
      →それって、統計改竄では?

  • コロナが騒がれたのは死亡率が高いから、死亡者数の管理では遅いから重症者数の管理、その先行指標としてPCR検査による陽性者数を管理項目としていたはず。
    それがいつの間に陽性者が感染者数となりその感染者数とやらの増減に一喜一憂し始めた。
    重症化しないオミクロン株でも重症者数なぞどこ吹く風、マスコミは息を吹き返したかのように感染者数ガーの大合唱。
    PCR検査もそう、重症化予備軍をあぶりだすための確定診断として活用し、事前に手当てするための物。
    中国並みのPCR検査をしない限りどんだけしても感染を防げるわけがない。
    今では陽性者をあぶりだすために無症状者までPCR検査をする始末、無症状でも入院するケースがあるという。
    本末転倒、何のためにPCR検査をし、陽性者管理をしているのかわからなくなっているのだろう。
    下手に抵抗してもピークが遅くなり長引くだけ、重症化に対する体制を整え、重症化の備えるだけでいいのではないのか。
    オミクロン株は天が与えた自然のワクチンと思えばよいと思います。

    • 最初はインフルなら耐えられそうな患者さんが、急速に増悪して予後が悪くなるからなんではなかったのではないでしょうか?
      大物コメディアンさんの1件、20代お相撲さん、元ラガーマンで単身赴任先待機中の50代課長さんとか。
      株型違いで騒ぐこと自体、本末転倒のような感じです。

  • 大阪では吉村さんが重症の人がコロナに罹って感染症の2なのでコロナの病棟に入るようで、コロナとしては軽症で数えているが重症病棟をふさいでいるようで、この人数が増えてくるとコロナ重傷者は少ないが、重症病棟の使用率が増えている状態です。感染症のフェーズを2にしている弊害です。重症の人を移動しないとだめなのですから、透析の患者や妊婦さんとかもいるようです
    また死者が急に20人増えたときも、軽症から重症になって死者になった人はいないで、他の病気などで亡くなった人がコロナに罹っていたということで遅れて集計に上がるようです。
    この状態でも重傷者病棟がいっぱいになると緊急事態宣言をするしか方法がないといってます。効果はほとんどないかもしれないがしないよりましといった感じでしょうか、商売はもう上がったりです、これ以上騒がないでほしいです

  • まー、医療従事者でも今のオミクロン株そのものの危険性より、感染者急増による医療逼迫とか社会機能不全とかの影響が大きいと思う方が多いのが全てでしょう。
    反面、上の方でもいましたが、インフルエンザと同レベルとか風邪と同じとか楽観論も蔓延してますが、現場的には明らかに違うように見えます。若い人で軽症でも、自力歩行困難になってる場合もちょこちょこ見受けられます(これでも日本では軽症扱いのはず)。健康な人が肺炎に早々なったりしませんし、ワクチン接種しても悪化して後遺症が一定数残る風邪なんぞありはしません。
    各人出来ることをするしかないでしょうね…

  • 第5波の死亡数は第4波より少ないらしいね