日本の先週の人口100万人あたり陽性者数は5人と、韓国の「100分の1」に過ぎず、また、G7諸国と比べても突出して少ないことが判明しました。これから冬の時期を迎えますが、私たち個人レベルとしては、引き続き、こまめな手洗い、マスク着用などを励行したいものです。
目次
日本の新規陽性者、1週間で666人に急減
「オミクロン株」の流行が世界的に懸念されるなか、コロナ防疫に関連し、日本政府は昨日よりすべての外国人の入国を原則として禁止する措置を講じました。
防疫のためとはいえ、ビジネスを含め、経済活動にも大きな影響が生じるかもしれません。
ただ、これから寒い季節を迎えるという事情もあり、個人的には(岸田文雄首相にしては珍しく)迅速に決断したものだと評価したいとは考えています。
こうしたなか、最新のデータを確認していくと、日本の新規陽性者数が大きく減少していることが確認できます。
厚生労働省『オープンデータ』によると、11月23日(火)から29日(月)までの1週間における新規陽性者数は全国で666人であり、火曜日基準の1週間合計値として1000人の大台を割り込むのは、629人だった昨年6月23日からの週以来、75週間ぶりのことでもあります。
日本の毎週の新規陽性者数(火曜日基準)
- 08/10(火)…119407
- 08/17(火)…160391
- 08/24(火)…151268
- 08/31(火)…109790
- 09/07(火)…*60589
- 09/14(火)…*33552
- 09/21(火)…*16431
- 09/28(火)…**9568
- 10/05(火)…**5674
- 10/12(火)…**3673
- 10/19(火)…**2180
- 10/26(火)…**1860
- 11/02(火)…**1352
- 11/09(火)…**1230
- 11/16(火)…***946
- 11/23(火)…***666
(【出所】厚生労働省『オープンデータ』より著者作成)
最も多かった週と比較すると、じつに「240分の1」(!)という水準です。
どうしてここまで急減したのか、専門家らの間でも確たる答えは出せていないようですが、個人的にはいまや接種完了率が8割近くに達しているという状況に加え、日本人が誰に言われるでもなく、マスクの着用やこまめな手洗いを励行するなど、防疫に努めていることが大きな理由のひとつではないかと考えています。
ドイツでは先週、40万人もの新規陽性者が出る
ただ、「ワクチン接種が進めば新規陽性者が急減する」という仮説については、必ずしも妥当ではないように思えます。
というのも、ワクチン接種状況が良好であるとされるG7諸国と韓国について、新規陽性者の状況を眺めていると、ここ数週間、むしろ新規陽性者数が増えているからです。
とくに状況が酷いのはドイツでしょう。
ドイツの毎週の新規陽性者数と100万人あたり新規陽性者数(火曜日基準)
- 10/05(火)…*58345 / *695
- 10/12(火)…*65235 / *778
- 10/19(火)…*96856 / 1154
- 10/26(火)…133836 / 1595
- 11/02(火)…196904 / 2347
- 11/09(火)…275023 / 3278
- 11/16(火)…357374 / 4259
- 11/23(火)…406310 / 4843
(【出所】データサイト “Our World in Data” データより著者作成)
ドイツの人口は約8300万人で、日本と比べて3分の2程度ですが、そのドイツ全体で、直近データに関しては1週間で40.6万人という新規陽性者が出たというのも驚きです。人口100万人あたりだと5000人近くに達していますし、また、この8週間で新規陽性者数が7倍、というわけです。
大陸欧州の状況は酷い
また、ドイツと陸続きのフランス、イタリアも同様に、新規陽性者数が急増しているという状況が確認できます。この8週間で、フランスは6倍、イタリアは5倍、といったところでしょうか。
フランスの毎週の新規陽性者数と100万人あたり新規陽性者数(火曜日基準)
- 10/05(火)…*35699 / *528
- 10/12(火)…*33510 / *496
- 10/19(火)…*37615 / *557
- 10/26(火)…*42079 / *623
- 11/02(火)…*51357 / *760
- 11/09(火)…*71529 / 1059
- 11/16(火)…129712 / 1920
- 11/23(火)…208343 / 3084
(【出所】データサイト “Our World in Data” データより著者作成)
イタリアの毎週の新規陽性者数と100万人あたり新規陽性者数(火曜日基準)
- 10/05(火)…*18186 / *301
- 10/12(火)…*17661 / *293
- 10/19(火)…*24227 / *401
- 10/26(火)…*31063 / *515
- 11/02(火)…*37811 / *626
- 11/09(火)…*52666 / *872
- 11/16(火)…*66831 / 1107
- 11/23(火)…*83699 / 1386
(【出所】データサイト “Our World in Data” データより著者作成)
英国では高止まりだが、増えていない
その一方、英国では新規陽性者数が高止まりしているのが英国であり、人口は日本の半分少々であるにもかかわらず、毎週30万人前後の新規陽性が報告されています。
英国の毎週の新規陽性者数と100万人あたり新規陽性者数(火曜日基準)
- 10/05(火)…260015 / 3812
- 10/12(火)…305323 / 4476
- 10/19(火)…313454 / 4596
- 10/26(火)…289337 / 4242
- 11/02(火)…238845 / 3502
- 11/09(火)…269947 / 3958
- 11/16(火)…293626 / 4305
- 11/23(火)…302385 / 4433
(【出所】データサイト “Our World in Data” データより著者作成)
ただ、英国の場合はドイツ、フランス、イタリアと比べると「ここ数週間で何倍にも増える」という事態は生じていません。やはり、海を隔てているという状況は、防疫には有効なのかもしれません。
欧州よりはマシ、米国とカナダの状況
さて、人口が日本の3倍近い米国では、ここ数週間、相変わらず50~60万人前後の新規陽性者が出ていますが、人口比で考えたらドイツ、イタリア、フランスなどの「大陸ヨーロッパ」、あるいは英国などと比べ、状況は意外と悪くありません。
米国の毎週の新規陽性者数と100万人あたり新規陽性者数(火曜日基準)
- 10/05(火)…606097 / 1821
- 10/12(火)…594617 / 1786
- 10/19(火)…509093 / 1529
- 10/26(火)…518993 / 1559
- 11/02(火)…514108 / 1544
- 11/09(火)…587520 / 1765
- 11/16(火)…664466 / 1996
- 11/23(火)…549260 / 1650
(【出所】データサイト “Our World in Data” データより著者作成)
いや、毎週数十万人もの新規陽性者が報告されるというのも、日本と比べたら大変な状況ですが、あくまでも「欧州と比べてマシ」、ということでしょう。
ちなみに米国と陸続きのカナダの場合、人口は米国の9分の1程度ですが、新規陽性者数は米国の20分の1程度に収まっています。
カナダの毎週の新規陽性者数と100万人あたり新規陽性者数(火曜日基準)
- 10/05(火)…*19067 / *501
- 10/12(火)…*25355 / *666
- 10/19(火)…*17421 / *458
- 10/26(火)…*15947 / *419
- 11/02(火)…*16606 / *436
- 11/09(火)…*17484 / *459
- 11/16(火)…*17598 / *462
- 11/23(火)…*20095 / *528
(【出所】データサイト “Our World in Data” データより著者作成)
100万人あたりで比較すると、カナダの方が米国よりも状況は良好です。
韓国は人口あたりで日本の100倍
また、ワクチンの接種率の状況が日本とよく似ている国である韓国の状況についても確認しておきましょう。
韓国の毎週の新規陽性者数と100万人あたり新規陽性者数(火曜日基準)
- 10/05(火)…*12811 / *250
- 10/12(火)…*10355 / *202
- 10/19(火)…**9837 / *192
- 10/26(火)…*13619 / *265
- 11/02(火)…*15433 / *301
- 11/09(火)…*16184 / *315
- 11/16(火)…*21359 / *416
- 11/23(火)…*26280 / *512
(【出所】データサイト “Our World in Data” データより著者作成)
韓国の人口は日本の40%程度ですが、直近の週で見て新規陽性者数は日本の40倍ですので、人口比に合わせれば、新規陽性者数はちょうど100倍程度です。
ついでに、同じ書式で日本についてもデータを確認しておきましょう(ただし、情報源が異なるためか、冒頭に示した厚労省の数値とは少し異なっています)。
日本の毎週の新規陽性者数と100万人あたり新規陽性者数(火曜日基準)
- 10/05(火)…**5599 / **44
- 10/12(火)…**3630 / **29
- 10/19(火)…**2092 / **17
- 10/26(火)…**1781 / **14
- 11/02(火)…**1355 / **11
- 11/09(火)…**1185 / ***9
- 11/16(火)…***927 / ***7
- 11/23(火)…***661 / ***5
(【出所】データサイト “Our World in Data” データより著者作成)
こうやって見ると、人口100万人あたりの新規陽性者数が5人というのも凄い話です。
引き続きコロナ防疫を!
上記各国について、2021年11月23日(火)からの1週間における新規陽性者数、人口100万人あたり新規陽性者数をまとめたものが、次の図表です。
図表 各国の新規陽性者数(実数、100万人あたり、2021年11月23日からの1週間)
国 | 新規陽性者 | 100万人あたり |
---|---|---|
ドイツ | 406,310 | 4,843 |
英国 | 302,385 | 4,433 |
フランス | 208,343 | 3,084 |
米国 | 549,260 | 1,650 |
イタリア | 83,699 | 1,386 |
カナダ | 20,095 | 528 |
韓国 | 26,280 | 512 |
日本 | 661 | 5 |
(【出所】データサイト “Our World in Data” データより著者作成)
いずれにせよ、日本もこれから寒い季節を迎え、新規陽性者数が増加に転じる可能性もありますが、私たち一般国民のレベルとしても、マスク着用やこまめな手洗いなどに努めたいところです。
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オミクロン株について今日のニュースをチョロチョロっと拾いました。
EUのオミクロン感染、全て無症状または軽症 ブルームバーグ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-11-30/R3EDADDWX2PS01
モデルナCEO 現在のワクチン“オミクロン株への効果低くなる” NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211201/k10013369111000.html
オミクロン株「重症化を防げる可能性が高い」 独ビオンテックCEO
https://www.asahi.com/articles/ASPD133NYPD1ULFA002.html
1つめはワクチン接種の有無にかかわらず、ということだと思います。
ワクチンの効果はデルタを含む従来株より落ちそうだけど、重症化率は下がりそう、というところでしょうかね。
続報を待ちたいです。
オミクロン株に伴う入国制限のニュースやってましたが、まあひどかったですね。
「他の国はこんな厳しくしてない」とか「過剰ですね」みたいな意見をテロップで色替えで強調して、入国制限がひどいって印象操作してましたね。
まあ、入国制限してなかったらしていなかったで、なんで制限しないのって方向の放送だったかもですが。
どっちをやっても批判すると思います。
原稿も両方用意してたんじゃないですかねぇ。
韓国の感染者は欧州と比べたらマシだが
欧米では、ワクチン接種進めたら一時的にせよ感染者激減したわけだが
韓国はそれがなかったのが痛い
結局韓国は、どれだけ「不活化」ワクチンを打ってしまったかというところですかねえ。
もちろんここの不活化は正しい意味ではなくて皮肉ですwww。
新規陽性者数の比較だけど、その母数となる検査対象者は、日本だと症状がある人だと思うのです♪
手当り次第検査をすれば、症状がない人も新規陽性者としてカウントされるようになるから、新規陽性者は増えると思うのです♪(そのかわり、陽性者率は下がると思うけど・・・・)
どういう人を検査対象にするかで、新規陽性者の数って変わると思うので、国どおしだったら、実数での比較よりも、増加率みたいなもので比較した方が良いのかな?って感じたのです♪
マスク手洗いで第5波が収まったと考えるのはちょっと危険化も。
第5波で陽性者が急増している局面でもマスク手洗いはしていたはず。
したがって第5波の終息はワクチンの効果かと思ったが、ワクチン接種の進んでいる欧州で急拡大しているのを見ると何か別の要因があるのではないか?
急拡大の後の急減はインドネシア、バングラデシュのグラフとそっくり。
共通点は何だろう。
>急拡大の後の急減は
菅総理のオリンピック無観客という荒業に日本は物凄い武漢ウイルスパンデミックだと世界が思い込み、日本へ来る外国人が激減!
トイレで大の後も手を洗わない外国人、
日本に来てもマスクをしない外国人、
トイレに糞尿付きペーパーを流せない外国人等々
兎に角不衛生な外国人が来なきゃ武漢ウイルス入院患者6割7割の外国人がいなくなって
潔癖症の日本人だけになりゃあ伝染病激減は当たり前。
もう一つ、ここで誰かが言っていた紫外線が武漢ウイルスを消滅させる。
日本の高温多湿の多湿で紫外線が弱まる夏から日本では紫外線が最強になる秋になって武漢ウイルスが破壊された。
この二つの相乗効果
元々潔癖症の日本は武漢ウイルスはパンデミックというほどではなかったが、この二つの相乗効果で武漢ウイルス伝染病が、ほぼ鎮静した。
しかし、これからの紫外線の弱い冬、外国人入国禁止は絶対だ!
日本の感染者は、欧米と比べて1000分の1。
近隣国で公称最悪の韓国と比べて100分の1。
中央日報から
【時論】韓国と接種率はほぼ同じなのに…日本はなぜ患者が急減したか
https://news.yahoo.co.jp/articles/6d691ad9c514021dbaa6eed9bab2602d3d802b3e
元々の日韓の衛生意識、環境の違いに結び付ける話は、多分出て来ないでしょう。
>米国ワシントン大学医大傘下の保健指標評価研究所(IHME)は今年5月に世界のコロナ死亡者数が公式統計数値の倍以上になるという研究結果を発表した。日本の場合、コロナ死亡者の公式統計数値は1万390人となっているが、実際の推定死亡者は10万8320人で10倍以上の違いが生じているという。全国的な大規模疫学調査の実施とその結果に基づいてこそ具体的な原因と要因を明らかにできる。
デマを否定して、新たなデマをばら撒いてるような印象です。
オミクロン株検出、WHOテドロス氏「南アとボツワナに感謝を」…渡航制限の各国批判
https://www.yomiuri.co.jp/world/20211130-OYT1T50142/
>この株を検出した南アフリカとボツワナは感謝されるべきであり、罰せられるべきではない
前段はそのとおりだと思うけど、渡航宣言に文句つける前に、医療支援を実施するとか各国からの協力の呼びかけとかは、しないのかな?
って思ったのです♪
と、ここまで書いて、流石に
、そういうことをやった上での発言なんだと思い直したのです♪
・・・・やってるよね??(⑉˙ᗜ˙⑉)??
観光で生きているタイは 隔離なしで外来者を受け入れています。
オミクロン株ののちも その方針にかわりはない とのことです。
経済で死ぬより 自分の命は 自己の生命力で乗り切れ ということでしょう。
韓国もそれに近いです。
無策という策で 高齢弱者を消滅させようということですかね。
高齢化率改善の切り札。
完全に素人の意見なのですが、過去に流行ったロシア風邪やスペイン風邪が2年ぐらいで収拾がついているようなのですが、変異を繰り返すうちに最終的に感染率がすごく強くて、ごく弱毒性のウイルスが流行って、無症状の人がいたり2日ほど頭痛がしたり熱が1日か2日出る人がいたり、まるで自然のワクチンのようなウイルスが流行って全体に免疫ができて2年ぐらいで収拾してきたのでは
今回の変異ウイルスがそうなるような
そしたら世界中が一斉に収まるのでは..
まだその段階ではないかもしれませんが
どちらにしても、集団免疫ができることで終わるのではと思います
国交省が、12月末までの、日本到着の国際線新規予約の停止を要請したとのことです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6c3b76a377d881a47549d1663b3c4aac1433ce16
せめて、海外に居住する日本人の方の、日本への緊急医療搬送とかは例外措置があるといいのですが...多分何かあるでしょうね。
それにしても、いつになったら学会とか会議での海外出張が再開できることやら、来年も厳しそう。
手洗い、消毒、マスクの着用などはいまに始まったことではなくずっとやってきたことですし、接種率が大幅に高いわけでもなく日本の状況はよくわかりません。
J防疫の成果だなどと根拠もなく自画自賛しないところが我が国のよいところですね。
ところでアルファベットのJはKの前にあって永遠に抜かれませんが、そのうちアルファベット順はKを先頭にしろと言ってくるのではと心配です。