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東京都で3ヵ月ぶり300人割れ:ワクチン55%完了

ほんの1ヵ月前、当ウェブサイトは菅義偉政権のワクチン対策を絶賛している、世の中でもごく少数派のサイトだったと自認しています。世の中の圧倒的多数は、「ワクチン接種が遅い」、「感染が拡大している」など、菅政権のコロナ対策を舌鋒鋭く批判していました。しかし、当ウェブサイトで予想したとおり、ワクチン接種は順調に進み、ようやく光が見えて来ました。菅政権を舌鋒鋭く批判していた人たちに一番言いたいのは、「少しは自分の頭で考えたらどうですか」、です。

東京都でついに300人割れ

昨日、ついに東京都における新規陽性者数が300人を割り込みました。

9月21日(火)時点の東京都の状況
  • 新規陽性者数…253人(前日比▲49人、前週比▲751人)
  • 7日間平均値…664人(前日比▲107人、前週比▲580人)
  • 重症者数…152人(前日比▲17人、前週比▲56人)
  • 新規死亡者数…3人(前日比▲1人、前週比▲11人)

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

もちろん、新型コロナウィルス感染症・武漢肺炎を巡っては、新規陽性者数(※メディアが「感染者数」と報じる値)だけをもとに、状況の良し悪しを判断すべきものでもありません。

ただ、重症者数も新規死亡者数も減少を続けていますし、なにより新規陽性者数が前週比でマイナスとなるのは30日連続のことでもあります。

いわゆる「第5波」については一巡したと考えて良いでしょう。

もちろん、コロナは感染の増大と減少を繰り返すのだと思いますし、これで「コロナ問題が終わった」、などと考えるべきではありませんが、それにしても、菅義偉総理大臣が発言されたように、ようやく「光が見えてきた」のではないでしょうか。

ワクチンとコロナ

ワクチン接種完了率は55%に!

では、なぜ新規陽性者数が大きく減ったのでしょうか。

ひとつ考えられる要因があるとしたら、やはりワクチン接種の進展にあります。

「ワクチン接種記録システム(VRS)」のデータ、首相官邸のデータ、厚生労働省のデータ、職域接種などのデータを統合した総接種回数と接種率実績を調べてみると、現時点で手に入る最新データで接種回数は約1.55億回、接種率は1回目で67%、2回目で55%に達しています(図表1)。

図表1 総接種回数と接種率
区分 総接種回数 接種率
全体合計 154,899,690
うち1回目 85,102,780 66.94%
うち2回目 69,796,910 54.90%
65歳以上合計 63,960,586
うち1回目 32,243,293 90.86%
うち2回目 31,717,293 89.38%
高齢者以外合計 90,939,104
うち1回目 52,859,487 57.68%
うち2回目 38,079,617 41.55%

(【出所】VRSオープンデータおよび首相官邸ウェブサイト『新型コロナワクチンについて』データをもとに著者作成。9月22日時点で取得したVRSデータ、9月21日時点で取得した職域接種データ・重複計上データなどを使用。「接種率」とは累計接種数を『令和2年住民基本台帳年齢階級別人口』【※エクセルファイル】記載の人口で割った数値。高齢者接種率は累計接種回数を3548万6339人で、「高齢者以外」の接種率は、接種回数合計から65歳以上接種回数を引いた数値を、9164万2566人で割って求めたもの)

※VRS生データのダウンロード方法
  • 次の文字列をウェブブラウザのURL欄に打ち込むと、その時点の最新データが取得可能
  • https://vrs-data.cio.go.jp/vaccination/opendata/latest/prefecture.ndjson
  • 上記文字列のうちの「latest」以降の部分を「{dt}/prefecture.ndjson」(※)に変えると過去データの入手が可能(※なお、{dt}は「yyyy-mm-dd」形式で日付を入力。たとえば「2021年8月5日時点のデータ」なら、{dt}の部分を「2021-08-05」に変換)

VRS未入力件数は800~1100万回に増える

しかも、「高齢者以外」の区分を見ていただければわかりますが、この層に関しても2回目接種を完了した人が40%を超えて来ました。もともと接種ができないとされる12歳未満の人口(約1200万人)を含めた割合を表示しているにもかかわらず、です。

これに加え、VRSへの未入力問題は相変わらず発生し続けています。

VRSは基本的に、接種した当日に入力することとされているにも関わらず、当ウェブサイトのこれまでの検証だと、「遅れて入力される」という事例が非常に多く、酷い場合だと1~2ヵ月後に800~1100万回分はバックデートで修正入力されています。

したがって、先ほどの図表1では、現在の接種実績について「154,899,690回」(※本日分の職域接種の重複を控除する前のベース)と記載されていますが、現実にはすでに1.6億回を大きく超えていると考えて良いでしょう。

なにより、平日で1日150万回を大きく超える接種は続いています。8月初旬の当ウェブサイトの予想だと、今月末までに1.7~1.9億回の接種が終わるという見立てでしたが、ほぼ予想どおりに推移しそうです。

医療従事者、高齢者の割合が上昇して来たのは当たり前

もっとも、そうなると別の問題が2つほど出て来ます。

これまで、接種が先行していた集団の新規陽性者に占める割合が激減していたのが、徐々にそのような集団の割合が増え始めているのです。

冒頭で紹介した東京都の事例でいえば、新規陽性者に占める医療従事者の割合が6月以降、1%以下に減少していたのですが、これが再び1%を超え始めています(図表2)。

図表2 新規陽性者に占める医療従事者の割合(9月19日まで)

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

同じく、新規陽性者の年齢構成で見ても、高齢者(60歳以上)と未成年(19歳以下)の割合が上昇しています(図表3図表4)。

図表3 新規陽性者に占める49歳以下の割合

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

図表4 新規陽性者に占める40歳以上の割合

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

新規陽性者に占める医療従事者や高齢者の比率が上昇しているのは、「ワクチンに武漢肺炎の発症や重症化を抑止する効果がある」という前提を置けば、とても当たり前の話です。というのも、新規陽性者に占める「医療従事者以外の人」や「高齢者以外の人」の比率が低下していることの裏返しだからです。

事態のコントロール

若年層コロナはコントロール可能

ワクチンの接種ができない若年層へのコロナ蔓延をどう予防していくかについては引き続き大きな課題ではありますが、ただ、年代別に見たら、10歳未満の重症化倍率は30歳代の半分(90歳代の156分の1)、10歳代の重症化倍率は30歳代の5分の1(90歳代の390分の1)です。

30歳代を1としたときの年代別の重症化倍率(ワクチン普及以前)
  • 若年層:10歳未満…0.5倍/10歳代…0.2倍/20歳代…0.3倍
  • 中年層:30歳代…1倍/40歳代…4倍/50歳代…10倍
  • 高年層:60歳代…25倍/70歳代…47倍/80歳代…71倍/90歳代…78倍

(【出所】厚生労働省『新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識』P4より著者作成。「重症化率」は、新型コロナウイルス感染症と診断された症例(無症状を含む)のうち、集中治療室での治療や人工呼吸器等による治療を行った症例または死亡した症例の割合)

このあたりは、社会的に十分コントロール可能な水準と考えて良いでしょう。

ワクチン接種は100%に達しない

こうしたなか、最近になって個人的に気になっているもうひとつの論点があります。

それは、ワクチン接種率が急激に高まっていることは事実ですが、次第にワクチン接種者が飽和し、これ以上進まなくなる瞬間が到来すると考えられることです。

当ウェブサイトにも最近、ごくまれにではありますが、「反ワクチン」的な立場の方がコメントを残されることもあります。これらの方々は、「ワクチンの副作用の問題が深刻だから、ワクチン接種を煽るべきではない」、などと警告を残して行かれるのです。

残念ながら、私たち凡人がこれらの方々のコメントを読んでも、支離滅裂にしか見えないことが多いのですが、ただ、ひとつ間違いないことがあるとすれば、「反ワクチン」的な主張をお持ちの方は、ごく少数派であるとはいえ、間違いなく世の中に存在するということです。

いずれにせよ、さまざまな理由もあって、ワクチン接種率が100%に達することはないでしょう。

図表1の高齢者接種率が1回目で90%を超えているというのには驚きますが、高齢者以外の区分に関しては、接種率は70%か、行ったとしてもせいぜい80%くらいでしょう。ということは、1回目接種は今月末ないし来月上旬に終わってしまうかもしれない、ということです。

ちなみに、「VRS未入力回数」が1000万回(1回目500万回、2回目500万回)だと仮定すれば、高齢者以外の区分の接種回数は100,939,104回、1回目接種率は63.14%、2回目接種率は47.01%と求まります。

そして、今月末までに1200万回(1回目600万回、2回目600万回)と接種が進めば、高齢者以外に対する総接種回数は112,939,104回、1回目接種率は69.68%、2回目接種率は53.56%に達してしまうのです。

これからワクチン接種回数は急減速へ

よって、今月下旬から来月初旬にかけて、ワクチン接種回数が大きく下がってくると予想します。

実際、東京都のいくつかの区では、すでにワクチンの接種予約枠にかなりの空きが生じ始めており、某区の場合でも、今ならどこの会場も比較的「選び放題」です。ただ、この状況が続けば、集団接種も終了するでしょうし、現在の1日150万回というペースも維持できませんし、維持する必要もありません。

間違いなく、コロナはフェーズが変わったのです。

こうしたなか、当ウェブサイトの読者の皆さまを例外として、世の中の多くの人が、ほんの1ヵ月前まで「ワクチン接種が遅れている」、「菅政権のコロナ対策は失敗した」などとしたり顔で論じていたことを、著者は絶対に忘れません。

菅総理がコロナ対策の大成功にも関わらず、自民党総裁選への出馬を見送ったのは、まさにマスメディアの偏向報道と印象操作の賜物であり、私たち有権者がもっと賢くならなければ、次の首相でも同じことが生じるかもしれません。

したがって、菅政権を舌鋒鋭く批判していた人たちには、「新聞・テレビの不正確な情報を盲信するのではなく、少しは冷静になり、自分の頭で考える癖でもくてたらどうですか」、と申し上げておきたいと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (12)

  • 昼前のテレビニュースで(どこか忘れた)
    「ワクチン供給の方針が変わっていて、8月は適切に接種を進めている(登録されている)自治体を優先してたが、9月半ば~10月半ばまでの分は足並みをそろえる為に遅れているところに重点供給することに変わった。そのため先行していた自治体はワクチン不足が起きている。政府の方針が一貫しないので現場は混乱している」みたいな事でした。真面目には見てなかったので、少し違っているかもしれません。
    全国的にほぼ過半数が接種を終わっている状況になったので方向性の修正はアリだと思うのですが、枝葉のトラブルだけにフォーカスするいつものワイドショー報道だと思います。
    暫く、楽しく見守ってあげようと思います。

  • 一般人のワクチン接種2回目は11月で終わるが
    12月からは医療従事者の3回目接種が始まる

  • >新規陽性者に占める医療従事者や高齢者の比率が上昇しているのは、「ワクチンに武漢肺炎の発症や重症化を抑止する効果がある」という前提を置けば、とても当たり前の話です。

    ここのところにちょっと疑問があるのです♪

    ワクチンの効果について、厚労省のHPでは、

    >日本で接種が行われている新型コロナワクチンは、いずれも、新型コロナウイルス感染症の発症を予防する高い効果があり、また、重症化を予防する効果が期待されています。

    >感染を予防する効果については、いずれのワクチンも承認前の臨床試験では確認されていませんが、現在、多くの国又は地域でこれらのワクチンの接種が進められることでデータが蓄積されつつあります。
    と、発症や重症化を予防する効果はあるけど、感染を予防する効果は確認されていないとしているのです♪

    熱が下がらないとか症状があって検査をしてもらうことで新規陽性者が発見されるという流れだったら、感染を予防する効果がなくて発症を予防する効果だけでも、検査を受ける人が減る→新規陽性者が減るってことになるんだと思うけど、そうじゃなくて濃厚接触者とか街角検査所で検査した人とか無症状の人から新規陽性者が発見されているんだったら、直ちに、ワクチンの効果で新規陽性者が減ったとは言えないと思うのです♪
    もちろん、今まさにワクチンの感染予防効果を示すデータが集まり出している状況にあるのかもだけど・・・・

    あたしが怖いなって思うのは、新規陽性者の減少が単に流行に山があるっていうだけの減少だったり、外出自粛とかの感染防止対策の徹底によるものであって、ワクチンの効果はあんまりなかった場合なのです♪
    ワクチンを打てば感染を予防できるってのが誤認だったとき、それを信じた人が無症状のまま感染を拡大させてしまったりしないかな?って、ちょっと心配になっちゃうのです♪

    とはいっても症状がなければ、そもそもお医者さんにかかる必要は無いわけで、そうすると、そんな人がどんなにたくさんいても医療体制には影響もないって考えることができるから、無症状の人がどんなにたくさんいても怖れる必要はないのかも知れないんだけど♪

    ただ、現状では「陽性」と「感染」を区別するように、「感染」と「発症」も区別して考えておくのが無難なのかなって思ったのです♪

    そーすなのです♪
    厚労省HP>>新型ウィルスワクチンQ&A
    Q 日本で接種が進められている新型コロナワクチンにはどのような効果(発症予防、持続期間)がありますか。
    https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0011.html

  • ワクチンの予防効果かなと感じるのは、似たような気候、似たような?コロナ対策(ワクチン除き)の韓国で感染者数が減ってないことからも想像できます。
    多分これから重要なのは「非接種率」の推移なのではと思っています。
    高齢者非接種率と高齢者新規陽性者数、国民全体の非接種率と新規陽性者数、この辺のグラフがよくマッチしてくると思います。

  • うちの息子2人は田舎の市に住んでいて、やっと予約が取れて1回目が、10月中旬です。
    大都市圏に住む姪もようやく予約が取れて、1回目が10月下旬の予定です。
    自治体によっては、10月や11月までかかるのではないでしょうか。
    市町村の仕事ぶりの差が目に見えるので良い機会です。
    それよりも、ワクチンパスポートをはっきり使える形にして経済を回してもらいたいと思います。正直な飲食観光業の人が気の毒です。

    • ワクチンパスポートは飲食業界の9割が反対していますよ
      日本の感染拡大が止まったのはワクチン接種の数が「減って」きたからで、見事に相関しています
      https://cio.go.jp/c19vaccine_dashboard
      アメリカのFDAは、ワクチン接種がコロナより多くの死者を出していることを鑑み大規模ブースター接種を取りやめました
      https://note.com/76598712/n/n9b45c1bf51e8

      • >ワクチンパスポートは飲食業界の9割が反対していますよ

        いつ、誰による、誰を対象とした調査?

        >日本の感染拡大が止まったのはワクチン接種の数が「減って」きたからで、見事に相関しています

        因果関係と相関関係ごっちゃになってない?

        >アメリカのFDAは、ワクチン接種がコロナより多くの死者を出していることを鑑み大規模ブースター接種を取りやめました

        端折りすぎ。ここのブログにも迷惑がかかるから、正確に記述した方がいいよ。
        貼ってたリンクの内容も疑問点が多い内容もあるし。
        https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210918/k10013266051000.html

  • 波と呼ばれるだけあって少しづつ増えた感染者が少しづつ減っていく。
    アレはなぜ?
    行動制限が効いたのは最初の緊急事態制限だけ。2~5波で陽性者が減ったのはなぜ?
    いろいろ理由つけてるけど本当のところ誰もわからないのでは。

    ウィルスに聞いてくれ。

    • 色々言われてますが
      1.緊急事態宣言の効果。
      2.報道によるアナウンス効果、感染拡大につれて人々の意識が変化し、感染対策をしっかりとする。
      3.感染の初期は自己免疫機能が低い人間、感染しやすい行動をとる人間から始まり、感染が進むにつれて、自己免疫機能が高い人間(ワクチン接種者含む)、感染対策をしっかりとしている人間(引きこもり含む)の比率が多くなり収束する(匿名見解)。
      ではないでしょうか。最も1.2は初期の効果は絶大ですが5波では期限切れのように思います。