当ウェブサイトで長らく観測し続けて来たのが、ワクチン接種の進捗状況に加え、東京都における新規陽性者数の状況です。これについては現在、新規陽性者数の増加をワクチン接種が追いかける、一種の「ドッグレース」の様相を呈して来ました。こうしたなか、今週、当ウェブサイトが休刊を頂く可能性も出て来ましたので、あわせてお知らせします。
目次
ワクチンvs新規陽性者
なんだか、ここにきて「ワクチンとコロナのドッグレース」の様相を呈して来ました。
何の話かといえば、東京都などの「新規『感染』者」数が過去最高を記録する一方で、新型コロナウィルス感染症(武漢肺炎)に関するワクチン接種自体は進んでいるようです。
著者自身の手元計算によれば、接種回数は現時点において1.1億回を超過しており、また、65歳上(いわゆる高齢者)に限定すれば、接種率は1回目で9割弱、2回目も8割を大きく超えている状況にあります。
もっとも、日本全体で見た接種率は1回目が5割弱、2回目は4割弱ですが、これを64歳以下の層に限定すると、1回目で35%弱、2回目だと20%未満だそうです。
VRSデータ上、接種実績は低迷:盆休みの影響か?
さらに、先週に関しては盆休みの影響もあったのか、「ワクチン接種記録システム(VRS)」で確認する限り、総接種回数の増加速度は鈍っているようです。普段だと接種回数は平日で150万回前後ほど増えるのですが、先週は平均して120万回ほどしか増えておらず、休日もかなり低調でした(図表1)。
図表1 VRS上の接種実績の増分
(【出所】過去にさかのぼって取得したVRSデータをもとに著者作成)
ただ、この図表1から判明する「データの増分」に関しては、たとえば8月12日(木)に300万回分近い増加を示し、その前後は逆に異常に落ち込むなどしているため、VRSへのデータ登録に何らかのエラーでもあったのではないか、と、個人的には勘繰っています。
もっとも、過去データから判断する限り、職域接種なども含めれば、現在、平日では150万から170万回の接種をこなしています。ワクチン供給が滞らなければ、計算上は9月末までに希望する国民の7~8割が2回の接種を終えるはずです。
VRSの「重複計上」「計上漏れ」:現実には1.2億回も?
参考までに、現時点における総接種回数についても示しておきましょう(図表2)。
図表2 総接種回数
区分 | 総接種回数 | 接種率 |
---|---|---|
全体合計 | 110,092,693 | |
うち1回目 | 62,789,670 | 45.96% |
うち2回目 | 47,303,023 | 35.62% |
65歳以上合計 | 61,069,752 | |
うち1回目 | 31,312,379 | 88.24% |
うち2回目 | 29,757,373 | 83.86% |
高齢者以外合計 | 49,022,941 | |
うち1回目 | 31,477,291 | 34.35% |
うち2回目 | 17,545,650 | 19.15% |
職域接種 | 9,282,019 | |
うち1回目 | 6,577,221 | ― |
うち2回目 | 2,704,798 | ― |
重複計上 | 2,899,381 | |
うち1回目 | 2,215,605 | ― |
うち2回目 | 683,776 | ― |
(【出所】VRSオープンデータおよび首相官邸ウェブサイト『新型コロナワクチンについて』データをもとに著者作成。8月16日時点で取得したVRSデータ、8月13日時点で取得した職域接種データ・重複計上データなどを使用。「接種率」とは累計接種数を『令和2年住民基本台帳年齢階級別人口』【※エクセルファイル】記載の人口で割った数値。高齢者接種率は累計接種回数を3548万6339人で、「高齢者以外」の接種率は、接種回数合計から65歳以上接種回数を引いた数値を、9164万2566人で割って求めたもの)
ただし、日が経つにつれて「重複計上」がさらに増える(らしい)という問題点に加え、そもそもVRSへの未入力が、現時点で少なくとも200~300万回、下手をすると500万回分以上は積み上がっていると考えられるため、かなり不正確なものとなってしまっています。
さらには、最新の職域接種データについては水曜日にならないと公表されないため、これらの影響を勘案するならば、現時点における接種回数は、おそらく「1.2億回前後」、と見ておくのが無難でしょう。
東京都は相変わらず多数の新規陽性者
一方、新規陽性者に関しては、東京都の場合、相変わらず毎日「4桁台」が続いています。
東京都・8月15日(日)の状況
- 新規陽性者数…4295人(前日比▲799人/前週比+229人)
- 7日間平均値…4264人(前日比+33人/前週比+227人)
(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』より著者作成)
昨日は東京都で4295人の新規陽性が報告されましたが、これは日曜日としては過去最多です。
さらに懸念されるのは、重症者数が251人と過去最多を更新していることでしょう(図表3)。
図表3 東京都・新規陽性者数と重症者数の推移
(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)
あえて著者自身の仮説を述べるならば、重症者数が増えている理由のひとつは、やはり、60歳代の新規陽性者がジワリと増えていることにあると思います。実際、重症者数と「60歳代以上の新規陽性者」を重ねてみると、両者の動きはピタリとではないにせよ、ある程度は整合していると考えられます(図表4)。
図表4 東京都・重症者数と60歳代以上の新規陽性者数
(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)
優先接種対象が65歳以上であったこと、新規陽性者に占める70歳代以上の割合が3%に満たないことを踏まえるなら、やはり、新規陽性者は64歳までに偏っているのではないか、という仮説が成り立ちます。
(※もっとも、東京都の新規陽性者に関するデータ上の年齢区分はこれ以上詳しくないため、「60歳代」を「60歳から64歳まで」と、「65歳から69歳まで」に分けることができず、「新規陽性者は前者に偏っている」とする個人的仮説を裏付ける直接のデータはありません。)
新規死亡者数自体は増えていない
なお、ひとつだけ希望があるとすれば、新規死亡者数自体が(いまのところは)非常に低水準で推移している、という点にあります。
図表5 東京都・重症者数と新規死亡者数
(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)
もちろん、新規死亡者数の「波」は新規陽性者数の「波」よりも遅れてやってくるという傾向が認められることに加え、重症者自体が増えているため、これから亡くなる方が増えて来る可能性は十分にあるので、これについては要注意、といったところでしょう。
いずれにせよ、現在の状況は、ワクチン接種と新規陽性者数(+軽症者数、中等症者数、重症者数)の増加との「ドッグ・レース」のようなものですし、また、「ワクチンを打てばそれで問題は解決」、というほど単純なものではありません。
ワクチン接種を終えてもしばらくは「うがい・手洗いの励行」、「集近閉(しゅう・きん・ぺい)の回避」などの基本的生活態度を続ける必要はあるでしょう。
お知らせ:ウェブサイト更新休刊(の可能性)について
こうしたなか、当ウェブサイトの更新について、少しお知らせがあります。
遅ればせながら、ウェブ主自身も8月18日(水)に1回目のワクチン接種予約をしました。2回目はその3週間後、9月8日(水)です。
もしかすると、当ウェブサイトの記事の更新は滞るかもしれませんが、あらかじめご了承ください。
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あたし自身はまだワクチンの接種をしてないけど、終わった人に聞いた話では、特に2回目の後は熱が出たりして大変だったそうなので、新宿会計士様も無理をしないでくださいね♪
モデルナ接種して2週間以上経過した人です♪
1回目は筋肉痛のみ、2回目は筋肉痛&微熱ですが大事をとって1日休暇をとりました。
私の近しい人調べで、モデルナは6割くらい発熱(高熱有)してマス。
まあ、数日後はみんな元気になってますので、正しく恐れれば無問題かと。
ファイザーですが、腕の痛みは一回目の方が強かったです。
あまり動かさないより軽く肩を動かす方が痛みは出ないようで、二回目は腕をグルグル十回ほど回す運動を毎食後にしただけで、ほとんど痛みは出ませんでした。
熱よりも眠気が出て、生活リズムが狂ってしまいました。
そおいうオチでしたか・・・・。驚きましたよ!!!
接種予約完了おめでとうございます。
当方未だ予約取れそうな気配もない状況に鬱々と(ry
ごほんごほん
副反応が日常生活に影響を及ぼさない範囲で収まりますよう祈念いたしております。
はじめまして!
ご近所の病院でも、内科ではなく、整形外科や耳鼻科、皮膚科などでしたら、案外空きがあるかも知れませんので、もしもよろしければお電話してみてくださいね。
私は、家族が掛かっていた整形外科にダメ元で電話をして、私は掛かったことがないけれど、家族がお世話になっている旨を伝えましたら、受けてくださいました。
ご家族の誰も掛かったことのない病院でも、どうしても予約が取れなくて困っている旨をお伝えしたら、受けてくださるかも知れません。
引っ掛かったオタク様も、一日も早くに接種できますように願っております。
新宿会計士様
何かあったのかと思ったら・・・ワクチン接種の予約ができて良かったです。
奥様もご一緒ですか。
私は爺なので7月上旬に2回目接種完了しましたが、1回目は翌日腕が少し痛かった程度で、2回目は翌日腕が痛いのと体温が37度半ばに上がったくらいで済みました。
いつも通り晩酌しているうちに収まりました。
ワクチン予約ご苦労様です。
シルバーウィークまでのしんぼうですね。お気を付けください。
新宿会計士様
タイトル見て一瞬「まさか⁉︎」と思いました。いよいよ更新中断、じゃなくて接種ですね(笑)。8月18日(水)なら、もうスグじゃないですか。ボーッとしましたが、発熱も無く、大した事なかったです。
その代わり、2回目はキツかった(個人差が大きいです)。38度台の発熱、ダルさ、接種した腕にシコリが出来て、水平以上上がらなかった。ま、大した事無いです(爆笑)。
最近の感染拡大、一般人の受け止め方に変化がみられるような気がする。
感染するようなところに行くのが悪い、感染するおそれのある危険なことをするのが悪い。
何といっても新規陽性者の大部分が20代、30代、重症化する、つまり死ぬ恐れがあるのは60代以上。過去の死亡も高齢者に偏っている。
自分は医療機関での大規模接種だったのですが、二回目接種では最初から解熱剤が配布されてました。人によっては40℃くらいまで上がることもあるようなので、解熱剤は用意した方がよいかもしれませんね。
デルタの感染力考えると2回目接種までは安心できないと思われます、ご用心ください。
西欧諸国の感染傾向見てると、最終的にワクチン接種は義務化されるか、非接種者は見殺しになる気がしますね…
集団免疫獲得できるように思えない。
子供の重症化例も以前より増えてきてて、やれない国は医療の負担が大きいままになりそう。
ティザー広告技法ですかね。
急いで本文読んでヤレヤレでした。
前期高齢者の私めは6月に2回目接種済みですが、ほとんど副作用はありませんでした。でも愚息曰く「副作用が少ないのは抗体の出来が弱いから。喜んでる場合じゃない」と憎まれ口を叩かれました。
新宿会計士様は40代?とお若いので結構副作用もあるようですのでご自愛ください。
子供達は職域で打ってもらいましたが、発熱や頭痛で勤めを休んだりしたようです。
私は殆ど反応らしい反応はありませんでした。
高齢者は身体の免疫力が低下してるので、ワクチンにもあまり反応しない、つまり副反応は小さいのだそうです。
歳を取って良い事もあるのです。