これは見事!ワクチン接種が先行する医療従事者で感染がわかりやすく減少
短期的な新規陽性者数・感染者数の増減に一喜一憂すべきではないというのは、あたまではわかっていても、どうしても気になってしまうのが人情というものです。東京五輪を前に、昨日は小康状態とはいえ、東京都の新規陽性者数は依然高止まり中です。ところが、最新データに含まれた医療従事者等のデータを見ると、驚くことに、「目に見えて激減中」なのです。
どうしても気になる、東京都の新規陽性者数の推移
「短期的な指標に一喜一憂すべきではない」、というのは至言だと思います。
ただ、そうはいっても、どうしても気になるのが、東京都における新規陽性者数の推移です。
グラフなどで見る限り、とくに新規陽性者数の「7日間平均値」については、6月16日ごろを境に増加に転じました。メディアや一部の論者が大好きな表現を使えば、「第5波」がやってきたのか、ということが懸念されます。
昨日・月曜日に関しては、新規陽性者数は前日比176人減少して342人と、多少の「小康状態」だったかにも見えます。しかし、前週比で見たら依然として+25人と増えていますし、7日間平均値も決して減ってはいません。
東京都における7月5日時点の状況
- 新規陽性者数…342人(前日比▲176人/前週比+25人)
- 7日間平均値…586人(前日比+4人/前週比+106人)
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータより著者作成)
これをグラフ化しておきましょう(図表1)。
図表1 東京都における新規陽性者数の推移(直近15週間分)
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータより著者作成)
新規陽性者に占める高齢者率もジワリ上昇
さらには、『急低下する東京都重症化危険指数』でも提示した、「東京都感染危険指数」――年齢階層別に重症化率を掛け合わせて求めた加重平均値――についても、昨日は少しリバウンドしているのが気にかかります(図表2)。
図表2 東京都重症化危険指数(2月中旬以降)
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータに「30歳代と比べた重症化倍率」を乗じて著者作成)
というのも、昨日に関しては、新規陽性者に占める80代以上の人の割合が4倍に跳ね上がり、結果として新規陽性者に占める高齢者率自体も上昇した(図表3)からです(もっとも、図表4で示すとおり、「7日間平均値」についてはさほど上昇していませんが…)。
図表3 東京都の新規陽性者に占める高齢者の割合
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータより著者作成)
図表4 東京都の新規陽性者に占める高齢者の割合(7日間平均値)
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータより著者作成)
医療従事者の割合が急降下!
さて、こうしたなか、『東京都の新規陽性者数を職業別・年齢別にグラフ化する』でも報告したのが、新規陽性者の「職業」欄をもとにした、「医療従事者が新規陽性者全体に占める割合」の分析です。
東京都のオープンデータ上、しばらくこの「職業」欄がアップデートされていなかったのですが、昨日は久しぶりに、7月3日(土)までのデータが更新されていました。
さっそく、これをグラフ化しておきましょう(図表5)。
図表5 東京都の新規陽性者に占める医療従事者の割合
(【出所】『東京都 新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』オープンデータより著者作成)
まさか、自分自身でもここまで露骨に「右肩下がり」のグラフが描けるとは思っていませんでした。
新規陽性者に占める医療従事者の割合(とその7日間平均値)、そして新規陽性者の絶対数をグラフ化してみたのですが、ここまで見事に低下しているとは、驚きです。現在のところ、ワクチン接種が最大の対策であるということは、このグラフが証明しているように思えてなりません。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
もっとも、例の「ワクチン接種記録システム(VRS)」の入力遅れ問題も含め、ワクチンの側に少し気になる話題もあります。
こうしたなか、本日は火曜日であるため、医療従事者等に対する土・日・月の接種データが夕方ごろまでに公表されるのではないかと期待しています。
間に合うようであれば、その最新状況についてもレビューしてみたいと思う次第です。
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医療従事者で2回接種完了の方でも、感染者が出たという事を聞きました。それ以上は不明ですが、感染者に接する機会が多い為、事実なら怖いですね。変異種なら効かないという事でしょう。
下のコメントに関連しますが発表されたのは感染者なのか検査陽性者なのかで事情は変わると思います。
もう、単なる「感染」であたふたするのはやめたほうがいいのではないでしょうか?発症して重症化するのが抑えられればそれでいいのでは?毎年のインフルエンザだって相当数「感染」してるはずですよね。
そもそもの疑問なんですが、ワクチンって、「感染」を防ぐモノなんですか?
いや、ワタシ個人的に、ワクチンは「感染」ではなくて「発症」「重症化」を防ぐモノだという認識でしたので、経済を立て直す局面では「感染者数」ば増えて当たり前だと考えていましたが…
そこの辺り、どうなんでしょうか?
感染しても症状が出なければ、検査しないので感染者数には入らないでしょう。
症状があるなしに関わらず、クラスターや濃厚接触者には検査をするのでは。
また、昨今は安心の為や陰性証明の為の民間PCR検査が増え、陽性反応がでた場合は保健所に連絡し、公的PCR検査を受けるのではなかったでしょうか?
ウイルスの死骸や欠片にも反応するらしく陽性者=感染者でもなさそうです。
症状が出た患者に確定診断する使用方法なら陽性者=感染者と言えそうです。
古典的なワクチン接種は生ワクチンと言って弱らせた本物の菌やウイルスを用います。すると原理的には「その時点で感染します」。種痘やBCGなどはそうです。家畜の感染症に家畜にワクチンを与えると「感染症清浄国」から除外されてしまうのはそのせいです。
だがワクチン接種をすると普通の意味ではかなりの確率でその感染症に罹らなくなります。体内の抗体がウイルスを攻撃するからです。「抗体による攻撃」は体外に対する「敵基地攻撃能力」があるわけではないので「体内にウイルスが侵入」は勿論するわけですがやはり「病気症状は寄せ付けない」わけです。で、「病気症状」の中にウイルスの再生産があります。ウイルスはターゲットの宿主の細胞内で無ければ再生産増殖出来ないのです。これを「ワクチン接種者の壁」と言い、壁が増加するに連れてウイルスの再生産増殖が封じ込められて理論上根絶やしも可能です。ちなみに家畜の感染症の場合、家畜は殺傷の上消石灰などまぶして埋却。感染個体だけで無くその畜舎の全量が埋却処分です。畜舎自体が殺菌されます。これが迅速かつ徹底した家畜ウイルス封じ込め策。「ワクチンはウイルス対策にならない説」はこの家畜の感染症対策との混同があるのではないか。
(元)北の酔いどれランナー様
>そもそもの疑問なんですが、ワクチンって、「感染」を防ぐモノなんですか?
私は医療関係についてはずぶの素人ですが、厚生労働省の「新型コロナワクチンQ&A」サイトにて、感染症専門医の忽那医師が、第二段落の「新型コロナワクチンの効果とは?」で次のとおり説明しています。
<引用開始>
感染そのものを防ぐ効果
当初、mRNAワクチンは「発症を防ぐ」のであって感染そのものを防ぐかどうかは分かっていない、と言われていましたが、感染を防ぐ効果も分かってきました。
発症を防ぐことと、感染を防ぐことと、別に本人にとっては同じで何が違うのか、あまり大差ないのではと思われるかもしれませんが、ワクチン接種者が感染しにくくなる、ということは、接種者がその周りの人に感染を広げる可能性が低くなる、ということです。
<引用終わり>
このように、もともとこのワクチンは新型コロナウイルスの感染そのものは防ぐことより、感染症の発症(とその重症化も??)を防ぐ効果が期待されていました。
ところが、忽那医師の説明によると、「感染症の発症」だけでなく「感染を防ぐ」効果もあることがわかってきたようです。
この引用先を見ていただくと、ファイザー製のmRNAワクチンの接種率が高いイスラエルにおける研究(感染予防効果と発症予防効果に関する表)が紹介されています。
男性の場合、感染予防効果(91%)、発症予防効果(88%)と、極めて高い結果がでているようです。
まだわからないことが多いのは事実ですが、もし本当に感染予防効果が期待できるなら、これは朗報と言えますね。
出所:厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A
感染症専門医が解説! 分かってきたワクチンの効果と副反応
国立国際医療研究センター 感染症専門医 忽那 賢志 氏
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/column/0001.html
その忽那氏が挙げているイスラエルの論文は100万人規模の凄いものなんですが、実はデーターベースでちゃちゃっとやったものなのです。イギリスからも似たような大規模研究が出ていて、いいなぁと思います。
残念ですが、日本じゃこれほど大規模な研究は当分(永久に?)できないでしょうね。
感染も防ぐし、発症も防ぐし、重症化も防ぎます。
現様
時折現様の新型コロナウイルスに関するブログを拝見しています。
引用先の英語の論文等の難しいことはスルーしていますが、わかりやすく納得のいく説明がなされていて、とても参考になっています。
>感染も防ぐし、発症も防ぐし、重症化も防ぎます。
ご回答ありがとうございました!
いろいろ教えていただき、ありがとうございました!
大変勉強になりました!
毎日の更新ありがとうございます。
感染者数でなくて陽性者数です。
CT値上げれば、鼻くそにウイルスが付いているだけで陽性です。
年齢別にリスク係数で加重するのと同様にCT値別の検査数や陽性者数も
公表して欲しいですね。 国別のCT値の一覧とかありますでしょうか?
ファウチはワクチン接種者のPCR検査のCT値下げると言っていた記事を見た記憶があります。 作為的ではありますが、ある意味合理的ですね。
私が勤める会社の職域接種に関する説明資料に、こんな一文がありましたので紹介します。
<引用開始>
◎接種当日に接種者にご用意いただくもの
・接種券(接種当日に自治体から届いていない場合には無くても接種可)
(中略)
※ご提出がない場合には、政府が管理するVRS システムに登録ができませんので、ワクチン接種した記録が残らない可能性があります。
<引用終わり>
この注釈にある「(ワクチン接種日当日に接種券の)提出がない場合には、政府が管理するVRS システムに登録ができません」が気になりました。
ということは、
・自治体が順次発送している「接種券」が、ワクチン接種日までに届かなかった
↓
・職域接種でワクチン接種をしたが、VRSシステムにしばらく登録できない
↓
・○月×日のワクチン接種者としてカウントされない
↓
・後日、接種券を職域接種主催者に提出
↓
・VRSシステムに「○月×日のワクチン接種者(バックデート)」として登録される
↓
・過去の日付の接種者数が、なぜか日を追うごとに増えていく(?!)
ということになるのでしょうか??
陽性者数の推移に比べ重症者数があまり増えないですね。
まあ、陽性者数の増加に遅れるといえば遅れるんでしょうが、最近はあんま酷い肺炎見ないんですよね。
病床使用率もあまり高くなってない、やに聞いておりますが、実際のところどうなのでしょう?
ワクチン接種進み始めた頃から急にマスメディアで病床使用率取り上げなくなったような気がして
気になってます。