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東京都議選で「4年前の勢力」の回復に失敗した自民党

本稿は、メモ書きです。東京都選挙管理委員会の『投開票速報』のウェブサイトに掲載された、2021年7月5日午前2時25分時点のデータで作成された「候補者別得票数」というエクセルファイルをもとに、党派別の全127議席の獲得状況について集計しています。端的に言えば、都民ファーストはそれなりに健闘し、自民党は前回の大敗から議席を回復することに失敗した、ということでしょう。

2021/07/05 13:30追記

図表2、図表3の「増減」欄に誤植がありましたので修正しております。

昨日、東京都で都議会選挙が行われました。

これについて東京都選挙管理委員会の『投開票速報』のページに、「候補者別得票数」というエクセルファイルが掲載されています。毎度のことですが、東京都選挙管理委員会が公表する資料は大変にわかり辛く、加工もし辛いのですが、これをなんとか党派別に集計したものが、次の図表1です。

図表1 党派別獲得議席数(2021年7月4日執行分)
党派 獲得議席数 改選前議席数 増減
自由民主党 33 25 +8
都民ファーストの会 31 45 ▲14
公明党 23 23 0
日本共産党 19 18 +1
立憲民主党 15 8 +7
日本維新の会 1 1 0
東京・生活者ネットワーク 1 1 0
欠員 0 1 ▲1
無所属 4 5 ▲1
合計 127 127 0

(【出所】東京都選挙管理委員会発表資料等より著者作成)

改選前は25議席に過ぎなかった自民党が33議席を獲得し、45議席から31議席に減らした都民ファーストを抑え第1党に浮上。その一方で、日本共産党が1議席、立憲民主党が7議席を積み増しました。

東京都の場合、前回の選挙で「都民ファースト旋風」が吹き荒れた反動で、同会が議席を減らすであろうことは想定されていたとおりでもありますが、個人的印象を申し上げるなら、「よく31議席も獲得できたな」、といった感想を持ちます。

これについて、2017年7月2日の都議選の結果を再掲しておきましょう(図表2)。

図表2 党派別獲得議席数(2017年7月2日執行分)
党派 獲得議席数 改選前議席数 増減
自由民主党 23 56 ▲33
都民ファーストの会 49 5 +44
公明党 23 22 +1
日本共産党 19 17 +2
民進党 5 18 ▲13
日本維新の会 1 0 +1
東京・生活者ネットワーク 1 3 ▲2
欠員 0 1 ▲1
無所属 6 5 +1
合計 127 127 0

(【出所】東京都選挙管理委員会発表資料等より著者作成)

図表1と図表2を合算してみましょう(図表3、ただし2017年改選前の「民進党」については2021年改選後の「立憲民主党」と比較しています)。

図表3 党派別獲得議席数(2017年改選前と2021年改選後)
党派 獲得議席数 改選前議席数 増減
自由民主党 33 56 ▲23
都民ファーストの会 31 5 +26
公明党 23 22 +1
日本共産党 19 17 +2
民進党→立憲民主党 15 18 ▲3
日本維新の会 1 0 +1
東京・生活者ネットワーク 1 3 ▲2
欠員 0 1 ▲1
無所属 4 5 ▲1
合計 127 127 0

(【出所】東京都選挙管理委員会発表資料等より著者作成)

なんのことはありません。

自民党は今回の選挙で33議席を獲得し、第1党に浮上したとはいえ、圧勝とはいえません。惨敗に終わった2017年7月の都議選における改選前議席数である56議席には遠く及ばないからです。

一方で、前回選挙で18議席から一気に5議席に減らした民進党が、立憲民主党に看板を掛け替えたうえで、今回は15議席に回復した、ということでもあります。その意味では、「立憲民主党が躍進した」と見るのは微妙な気もしますね。

そして、都民ファーストの会は議席を減らしたとはいえ、依然として第2勢力を維持しているわけですから、個人的には「大したものだ」と思ってしまった、というわけです。

いずれにせよ、この選挙戦に関しては、もしかしたら近日中にどこかで改めて触れるかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (23)

  • 図表3 党派別獲得議席数(2017年改選前と2021年改選後)

    日本維新の会 0 0 ▲18
    合計 4 127

    になってます。
    何らかの齟齬が有ると思いますので、訂正されては如何でしょうか。

  • 今の逆風の中でよく頑張ったと思います。

    1、コロナ対策へのマスコミのミスリード記事の多発。
    重症者と死亡者が激減している現状は伝えず、新規患者が増えた事のみニュースにする。
    全国の重症者は500人をきりましたし、死亡者も10人以下になって来ています。
    また、ワクチンの不足など起きていないのに、自治体の手続き不備による需給バランスの乱れを政府の対策が悪いとニュースにする等。

    2、直前の小池知事の入院騒ぎ
    日本人は判官びいきのところがありますので、小池さんに同情票が出たことは間違いないと思います。

    私はこの状況下では大敗するのではないかと思っていましたので、善戦したと思っています。

    ※選挙は腐ったミカンが入った箱から何とか食べれるミカンを選ぶようなものと思ってます。

  • 地方選挙と国会議員選挙とは根っから違う、というのは理解していますが、正直言って立憲民主党が+7の15議席、日本共産党が+1の19議席というのが、都民さんらは「なんともない」出来事なのでしょうか?今どき、日本共産党が議席増やす自治体があるとは(嘲笑)!

    2党足せば自由民主党を上回ります。立憲民主党も倍増とは、私にはちょっと理解出来ません。都民ファーストの会は、もっと落とすと思ってました。う〜ん。ま、他に言いたいネタもありません。失礼します。

    • >今どき、日本共産党が議席増やす自治体があるとは(嘲笑)!

      東京は反政府組織の巣窟なのでしょう。京都もかな?

    • そもそもは東京には左翼・反社会勢力が根強く生き残っているということだと思います。前回は都民ファ・小池知事にしてやられたが、苦節4年で。。。
      選挙的には、議会には大した目玉は無くて盛り上がらない、立民は共産党の傘下に入って調整したので生き延びた、ということだと思います。
      併せて、反自民マスコミの戦略として、まず公示前に自民圧勝という報道で非自民の警戒心を煽り、小池知事の過労とコロナ拡大報道(医療的には問題ないが目先の感染者数増加で危機を煽る手法)で都ファと反自民に流れを作った、枯れてもマスコミの努力成果だと思います。
      或いは、強い政治的思考は無いが投票はすべきと考える良識的人が、何となく上手くバランスを取った成果のように思います。

      • 星のおーじ様

        そうですね。左翼・反社会勢力と言えば、あの代々木とか代々木とか代々木とか、西早稲田とか西早稲田とか西早稲田とかですね。よく分かります。

    • >都民さんらは「なんともない」出来事なのでしょうか?

      残念ながら、これが東京都民の民度を表しているのかもしれません。
      私の周囲に限っても、テレビやYahooニュースの一面だけしか見ていないとしか考えられない様な発言を平気でする方は周囲に少なくないです。しかもそういった方々は得てして中高年世代に多いですね。

      わが自治体でもワクチン接種会場の拡大に奔走したのは自民党系議員であったのに、結局当選したのは立憲共産党等でした。皆一体何を見て投票しているのか(苦笑)
      百田氏やテリー伊藤の「東京都民はバカなのか」といった発言を残念ながら否定できないのが辛いですね・・・

      • 某都民様

        いやいや、「都民はバカなのか」と百田氏やテリー伊藤氏には言われたく無いですね(キッパリ!)私は東京都民が日本で一番民度は高いと思います。日本人のトップ層が集まるのですから、収入も多く、高等学歴を受けるのも有利。お上がソバに居るから、尚更でしょう。

        しかし、都民(今は住みかを求めて首都圏かな)ほど地方出身者が多い(笑)。山手線内は根っから江戸っ子かもしれませんが、遠い所は地方出が住み、どういう訳か地方出はコンプレックスが強い(私はまるっきりありません。何処でも神戸弁で喋ります。 笑)。

        出来るだけ波風立てずに暮らす。平穏が一番。黙っていればギューギューの満員電車に乗れて本社に居れる、地方に居ては叶わないし、サラリーマンの頂点は東京だ〜!老後も帰る気は無いヨ〜。

        ーーではないでしょうか。つまり、田舎都市や町村選挙なら高い投票率ですが、お互いに関心の無い首都圏の地区内(地方出にはカンケーネー)選挙には行かない人が多いと思います。

  • KAZUYAさんは、「ネットと世間一般の見方のズレを再認識した、広い視野で見ないといけない」というようなことを仰っていました。
    https://www.youtube.com/watch?v=-Fmq-_JniUg

    このサイトも先進・先鋭な言論空間でありますので、恐らく世間一般の十年先くらいに位置しているのではないでしょうか。「永遠の十年」かもしれませんが。

    自分で情報を集め、自分の脳みそを使ってものを考える人はそれ程多くないということでもあると思います。

  • 投票率は42,39%。過去2番目にの低さとのこと。
    素朴な疑問ですが、投票に行かなかった57,61%、つまり意思表示を行わなかったサイレント・マイノリティの人たちは、これだけ様々な行政批判(国政・都政)があふれかえる中でも現状(現状のコロナ対策・ワクチン接種体制・オリンピック関連・小池都政全般等々、あいまいな表現ではありますが)で構わないと思っていると考えてよいのでしょうか。

    自分は東京ではない首都圏の県民ですが、居住地では市長選挙も地方議員選挙も例年投票率はやはり50%にも全然届いていません。
    ここにおいでの識見高い皆様も、地方選挙はスルーしておられたりしているのでしょうか。

    • すみません。訂正いたします。

      ×サイレント・マイノリティ
      〇サイレント・マジョリティ

    •  地方選挙が盛り上がらないのは構造的な理由があります。

       まず地方の首長や議員が何をしているのかよくわからない。特に政令指定都市に選挙区がある県議会議員は。
       「あなたにとって県議会とはどんな存在ですか?」というアンケートに、「税金の無駄」と書かれた回答もあったくらいです。
       地方のテレビ局や新聞も、首長の活動をニュースで報道する事は多くなく、県議会議員に至っては皆無です。また、政治家の関係者でなければ議員の活動を積極的に知ろうとする事もありません。

       次にはっきりした争点があまりない事。
       ありがたい事に、今の日本は地方でさえ十分なインフラが整っており、生活に不自由する事がありません。それは戦後に官公庁がインフラ整備を行ってきた事、民間企業がサービスの拡大に努めて来た事が大きいです。だから大抵の事は現状でも何とかなります。政治家を動かして無理に現状を変えようとする必要性が乏しいのです。
       
       県知事選挙は立候補者が与野党相乗りの現職と共産党新人候補の一騎討ち、実質は現職知事の信任投票になる事が多く、道府県議会議員も現職の多くが無投票当選します。
       市町村も市町村長が4期以上も無投票当選しているところがありますし、市町村議会議員に至っては無投票どころか定員割れのところもあります。
       裏返せば、日本の地方は変える必要がない程に平和であるという事でしょう。

       地方の選挙が盛り上がるのは何らかの争点が起きた時です。パターンは概ね次の通り。

      1、現職のスキャンダル

       横山ノック氏辞任後の大阪府知事選挙、当時の市長のトラブルをめぐる鹿児島県阿久根市長選挙、公共事業の談合や裏金が発覚した後の宮崎県知事(ここで当選したのがそのまんま東こと東国原英夫氏)

      2、大型施設をめぐる問題の発生

       柏崎刈羽原子力発電所の稼働を巡る新潟県知事選挙、米軍基地が毎度争点になる沖縄県知事選挙、人工島のあり方やオリンピック招致を巡った福岡市長選挙、新幹線の新駅設置を巡る滋賀県知事選挙

      3、近隣自治体の合併、既存の自治体からの分離

       久留米市合併派と八女市合併派と合併反対派が乱立した福岡県八女郡広川町議会議員選挙、嘉穂郡合併協議を離脱した村長の信任を巡る福岡県嘉穂郡桂川町長選挙、大阪都構想と特別区設置を巡る最近の大阪府知事・大阪府議会・大阪市長・大阪市会議員・堺市長・堺市議会議員選挙

      4、国政選挙における候補者対立が持ち込まれた場合

       奄美群島選挙区における保岡興治・徳田虎雄両氏の後援者が激しく争った鹿児島県奄美郡伊仙町長選挙、福田派と中曽根派の確執が長く残っていた群馬県議会議員選挙、岸田派・石原派・県連が推す現職と麻生派が推す新人の争いで票が割れた前回の福岡県知事選挙(あまり盛り上がりませんでした)

       地方の場合は選挙の関心が高まり過ぎる事、選挙戦が激しくなる事は必ずしも良い事ではありません。顔見知りの多い町村では選挙によって人間関係が分断され、後々まで相当なしこりを残す事があるからです。

       先の例に挙げた徳之島の伊仙町では保岡派と徳田派による激しい争いが起こり、選挙違反で多くの逮捕者が出る、選挙結果が裁判で無効になる、支持者同士のけんかが多発する、と言った事から、選挙が終わった後もしこりが残りました。
       余談ですが、伊仙町長選挙にて徳田虎雄派の候補だった盛岡正博氏(沖縄徳洲会湘南鎌倉病院立ち上げ時の院長、現在は佐久大学理事長)は選挙中に父と絶縁し、弟を脳出血で失くし、選挙後は徳田虎雄氏からも切り捨てられ、精神的にもズタボロの状態で徳洲会を追われるように去っています。

       福岡県若松市(現・北九州市若松区)では憲政会・立憲民政党の衆議院議員で「日本一の大親分」吉田磯吉に従うやくざ者と、従わない人達の仲が非常に悪く、市会選挙は抗争が起こる程に荒れていました。この辺の話は吉田磯吉に従わない側の市会議員であった玉井金五郎(ペシャワール会の故・中村哲医師の祖父)の長男・火野葦平が「花と龍」後編で書いてます。
       一方、吉田一家の側も反対派をやくざ者と批判してました。吉田磯吉の息子・吉田敬太郎は戦後に牧師、そして最後の若松市長となったのですが、その時の若松市長選挙について、現職・井上安五郎(元は立憲政友会の福岡県会議員、玉井金五郎の盟友)を支持する乱暴なやくざ者の姿を手記に残しています。
       火野葦平は反吉田派である自分達を「やくざではない」と言い張ってましたが、第三者から見るとどちらもやくざだったのですね。
       若松市が合併し、吉田敬太郎が臨時の北九州市長となり、引退して牧師に戻った後、吉田派と反吉田派の争いは徐々に廃れていきました。

       村の分裂としこりを避けるため、選挙前に村人が協議して候補者を一人に絞り、無投票当選という形を取って来た大分県東国東郡姫島村のようなところもあります。最近はNHKの元アナウンサーが対抗で出馬しては敗れているようですけれど。

       そういう訳で、地方選挙は国政選挙や都議会選挙のように盛り上がらない背景があるのです。しかしそれは決して悪い事でもなく、日本の地方が平和である事(よそ者や若者に取って住みやすいとは言えませんが)、地方が争いを避けようと努力してきた結果でもあるのです。

      • > 日本の地方は変える必要がない程に平和である
        確かに,地方に不満がある若い人は都会に出て行ってしまうので,地方の有権者の主役は現状を変えたくない高齢者でしょうね。問題は,平成の大合併の結果,学校の統廃合が進んで,自分が卒業した学校がなくなってしまった人とか,地元の集落が消滅しそうな人とか,平穏な死を待つのが容易でない人も増えていることでしょうか。
        後半の「地方では無投票当選が無難」の話は味わい深いです。

  • 東京都医師会と東京都病院なんとかが、都ファ候補を推薦していたのには笑ってしまいました。
    東京都のコロナ対策が上手く行くわけだ。(皮肉です。)

    それにしても共産党と立民を合わせると、自民党を凌駕する勢力になったと言うのは驚き。

    これが、衆議院選挙に吉と出てくれることを祈ります。
    其れとも公明党にすり寄って墓穴を掘るか。

  • 都民ファーストの会は保守政党と言っても良いので、負けようが勝とうがまあどっちでも良いかと。。
    立憲民主と共産が伸びたのが残念。
    過半数を取った政党がないので、都政運営に大きな影響はないでしょう。

    それより、今にして思えば、静岡知事選で自民が負けたのは痛かったと思います。

  • 自民党内の空気として「次の衆議院選挙で公明党と合わせて過半数の議席を取れるか」という線まで後退しているように感じます。過半数割れした場合どうなるか,全然予想がつきません。今後,党内の動きが活発化してくると思います。

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