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武田総務相「放送法改正視野」=フジの外資規制違反で

本稿は、「ショートメモ」です。例のフジ・メディア・ホールディングにおける放送法違反に続報があったようです。

放送法では、基本的には放送局やそのホールディング・カンパニーにおいて、外国人の議決権割合を20%以下に抑えることが求められています(いわゆる「20%ルール」)。

実際、総務省は先月、東北新社について、この「20%ルール違反」があったとして同社の放送法上の認定を取り消すと発表。これにより同社のBS放送サービスが4月末で終了することが確定しています。

ただ、その一方で、2012年から約2年間、この「20%ルール」の抵触が続いていたフジ・メディア・ホールディングスに対しては、放送法上の認定取消がなされず、総務省担当者が口頭厳重注意で済ませたという話は、先日の『フジの外資規制違反を「口頭厳重注意」で済ます総務省』でも取り上げたとおりです。

参考『フジの外資規制違反を「口頭厳重注意」で済ます総務省

こうしたなか、日経新聞に本日掲載された次の記事によると、武田良太総務相は13日の衆院総務委員会で、外資規制の審査強化を巡り、「放送法改正も視野に入れている」と述べたのだそうです。

総務相「放送法改正も視野」 外資規制の審査強化で

―――2021年4月13日 12:56付 日本経済新聞電子版より

日経が報じた武田総務相の発言の概要は、次のとおりです。

  • 審査体制の強化が必要と考えており、定期的に把握できる制度に改めることや担当部署を設置するなど審査体制の強化に早急に取り組みたい
  • (フジHDの20%ルール抵触を総務省が公表しなかったことについては)当時の担当者の認識は甘かったと言わざるを得ない

ちなみに、呆れたことに、総務省の省内でも本件は局長への報告に留まり、当時の高市早苗総務相には報告されていなかったのだとか。

これは、明らかに官僚機構の腐敗という問題に直結する論点でしょう。

今回の20%ルール抵触は基本的には認定取消事由のひとつに挙げられており(放送法第166条第1項第1号、ただし例外あり)、当たり前の話ですが、本来ならば官僚機構が政治家(大臣、副大臣、政務官)に報告しないということは許されません。

日経が報じた「放送法改正」云々が何を意味しているのかは定かではありませんが、この際、放送法の仕組みのうち、時代に合致しなくなった部分(とくに第4条第1項や第64条第1項)を精査して改廃し、あわせて電波オークション制度の導入まで一気に進むべきではないでしょうか。

国民的議論の高まりを期待したいところであり、また、当ウェブサイトでも近々、これについてあらためて論点整理を行ってみたいと考えている次第です。

新宿会計士:

View Comments (9)

  • [放送法の規定が、「認定時の要件」とする穴(万引して捕まっても返品すれば無罪のような)があったなんてコメントもあったが甘いと思う。最初から骨抜きにするため仕組んであったと思う。放送法改正も電波入札をするなら本気。そうでなければ 抜け穴だらけの改悪しか無さそう。

  • > 明らかに官僚機構の腐敗

    「腐敗」ではなく、「怠慢」と評するべきであると思います。
    金品等を受け取り、故意に報告しなかったのであれば「腐敗」で間違いありませんが。

    • 怠慢とは劣化したということかしら、法改正されるということは、もともとが甘い認識で運用されていたのかと思ってしまいました。

  • 再発防止だけなら、認定の要件に「過去5年間、外資規制をクリアしてること」って入れれば、次の認定時にフジを認定しないようにできると思うのです♪

  • 法の公平性の為には、フジの電波取り消しは必要だと思います。
    その上で、取り消される迄の間にその電波をオークションして、フジに取ってもらったら良かったのでは?
    そして、BSの電波を楽天に生贄に出せば、大き過ぎて潰せない問題を回避出来たのでは?
    まぁ、そんな上手いこといくかどうかは別にして。

  • 外為法上のコア業種「通信業」に準じて、外資規制の事前届出〔1%〕を適用するくらい厳しく対処して欲しいですね。

    国の根幹を揺るがし兼ねない「ものを言う株主」は厳密に管理して欲しいと思います。

    • 同感です。
      外資規制が1%以内に決定されているのに、tvだけ20%とはこれ如何に?

  • 続報ありがとうございます。そういう顛末なんですね。
    結局お茶を濁して終わりでしょうね。政府もやってるフリだけ。
    野党は、こういう時こそ頑張って欲しいのに、何やってるかわからないし、、、

  • 総務省は解体すべきです。
    正確に言えば、武田総務相を始めとする現在の菅内閣は総務官僚をコントロールできていません。
    何しろNHKの受信料の支払い拒んでいた者に対しては割り増し受信料とするなどというNHKという特殊法人不要論が国民の間で賛同を増やしている時代に逆行する放送法改悪案を閣議決定してしまうような体たらくなのですから。

    NHKからの要望に応じてこういう改悪案を平気で上げてくる官僚の巣窟である総務省は速やかに解体して、NHKの民営化あるいはスクランブル化による完全な自由契約化や、外資規制に関しても実効的な支配力を反映した厳格でより厳しい(子会社・孫会社等を介した放送局への多段間接出資の場合の外資保有率の計算に用いる子会社・孫会社への出資比率を子会社・孫会社に対する実効的な支配力に基づき1/2以上2/3未満は66.6%に、2/3以上は100%に切り上げる事および外資保有比率の上限値をどんどん減らす事など)ルールへと改正する放送法へと改めることが放送メディアに対する喫緊の課題です。

    また中韓朝による放送局への強い影響の現状から脱却し、日本国民による日本国民のための放送局を取り戻すために、外国籍の人間の放送局の経営陣や報道部門への就任を厳しく制限・排除することも放送法改正によって進めねばなりません。