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90年代の韓国が「強いおわび」表明を要求=共同通信

「天皇訪韓」は千年経っても実現しないと見るべき

共同通信に本日、なかなか強烈な記事が掲載されていました。本日公開された1990年頃の韓国の外交文書では、盧泰愚(ろ・たいぐ)韓国大統領(=当時)の訪日に際し、「具体的で強いお詫び」を日本政府に求める方針が記載されていた、というのです。今になって振り返れば、この時期の日本外交は、後世の歴史に残る汚点だったという言い方もできるのかもしれません。

「1度でも謝れば許す」のウソ

長年、ウェブ評論をやっていて「良かった」と思うことがあるとすれば、自然と情報の「裏」を読むことができるようになる、という点です。少し嫌な言い方ですが、「相手の言い分を鵜呑みに信じることが、ときとして自分自身にとって仇なすこともある、ということに気付くようになる」、と言い換えても良いでしょう。

とくに、金融評論業のかたわらで「韓国ウォッチャー」をやっていると、韓国の「あと1回だけ謝ってくれたら良いから」、「とにかくウソでも良いから謝ってほしい」、という言い分が日本の国益を徹底的に損ねて来たという点に関しては、嫌というほど目に入ってくるのです。

いわゆる慰安婦問題など、その典型例でしょう。

これは、「戦時中、日本軍が組織として朝鮮半島で少女20万人を拉致し、戦場に連行して性的奴隷として使役した」とする明らかな与太話であり、とくに自称元慰安婦の証言は「日本は幼女だった私を連れて行った」など、矛盾だらけです。

それなのに、日本を除くほぼ全世界で、「慰安婦=日本軍による性的奴隷」というウソが罷り通っている現状があります。その理由のひとつこそ、まさに「日本はほんのちょっとだけで良いから韓国に譲歩し、謝罪してほしい」という韓国側の言い分を、日本が呑んできたことにあるのです。

その意味で、1990年代の政治家(とくに宮澤喜一と河野洋平)の罪は、極めて重いと言わざるを得ません。あるいは、いまになって振り返れば、この時期の日本の外交は、後世に残る汚点だったという言い方をしても良いでしょう。

「ゼロ対100」の土俵に乗っかるな!

ちなみに、以前から当ウェブサイトで何度も繰り返して指摘し、先月刊行した拙著『韓国がなくても日本経済はまったく心配ない』にも転載した論点が、「ゼロ対100理論」です。

ゼロ対100理論

自分たちの側に100%の過失がある場合でも、インチキ外交の数々を駆使して「相手にも落ち度がある」などと言い募り、過失割合を「50対50」、あわよくば「ゼロ対100」に持ち込もうとする、韓国や北朝鮮に特有の屁理屈のこと。

そして、日本は間違っても、この「ゼロ対100」の土俵に立ってはなりません。なぜなら、下手にこの土俵に立ってしまうと、基本的には損をするからです。これについて、次の得失表で考えてみましょう(図表)。

図表 ゼロ対100理論における得失表
ケース 韓国の得失 日本の得失
100%、韓国が勝った場合 100の利得 100の損失
日韓が引き分けた場合 50の利得 50の損失
100%、日本が勝った場合 ゼロ ゼロ

(【出所】著者作成)

いかがでしょうか。

日本からすると、100%勝ったとしても、得るものはゼロです。韓国からすると、100%負けたとしても、失うものは何もない、ということです。しかし、日韓「引き分け」に持ち込んだ場合、韓国は50を得て、日本は50を失います。韓国が100%勝てば、韓国が100を得て、日本が100を失います。

だからこそ、韓国が仕掛けてくる「ゼロ対100」ゲームには絶対に乗っかってはなりません。

ことに、現在のように100%韓国が悪い局面で、日本が1ミリでも韓国に譲歩することは、日本が一方的に韓国に譲歩したことになります。韓国が100の不法行為のうち50を是正したとしても、50の不法行為が残っているならば、「不法行為を働いている」という事実は消えないからです。

くどいようですが、日韓関係の落としどころは、①韓国が法や約束を守るか、②日本が韓国に譲歩するか、③日韓関係が破綻するか、の3つしかないのです。

共同通信が報じた30年前の韓国の外交文書

こうしたなか、共同通信に本日、こんな記事が掲載されていました。

韓国、「強いおわび」表明求める/90年、天皇訪韓招請に絡め

―――2021/3/29 10:06 10:13付 共同通信より

これは、韓国外交部が29日に公開した1990年頃の外交文書に関するものです。

これによると、盧泰愚(ろ・たいぐ)韓国大統領(=当時)が訪日するに際し、「植民地支配」に関連し、畏れ多くも当時の天皇陛下(つまり現在の上皇陛下)が「具体的で強いおわび」をご表明されるよう、日本政府に要求する方針を立てていた、というのです。

この「具体的で強いお詫び」とは、1984年に当時の全斗煥(ぜん・とかん)大統領が訪日した際、昭和天皇がご表明になられたお言葉と比べ、さらに踏み込んだお詫びの表現、という意味です。無礼極まりない話です。

(※どうでも良い話ですが、引用に当たっては、共同通信の元記事に含まれる敬語表現を二重敬語に修正している部分もあるほか、あまりに酷い誤用についても修正しています。共同通信を含めたマスメディアはもう少し敬語の使い方を勉強した方が良いのではないでしょうか。)

しかも、共同通信の記事には、こんな記述もあります。

内容に満足できた場合、盧氏が日本滞在中に陛下の訪韓を招請することも計画していた」。

いったい何様なのかと言いたい気持ちでいっぱいになってしまいますね。

「天皇侮辱発言」の罪は千年経っても消えない

さて、あくまでも理論上の話ですが、万が一、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領(あるいはその後継者)が日本政府に対し、天皇陛下のご訪韓を招請した場合、いったいどうなるでしょうか。

それを考えるヒントは、2012年8月14日にあります。

当時の李明博(り・めいはく)韓国大統領はこの日、「日王が韓国に来たければ独立運動家に謝罪せよ」、「何カ月悩んで『痛惜の念』だとか、こんな単語一つなら、来る必要はない」、などと述べました。韓国メディア『中央日報』(日本語版)のリンクがこれです。

李大統領、独島上陸に続き天皇に謝罪要求…日本「悪影響、数年続く」

―――中央日報/中央日報日本語版2012.08.15 09:24

ちなみに記事タイトルに、日本側の反応として「(李明博発言の)悪影響は数年続く」とのコメントが紹介されていますが、現実には数年どころか、日韓関係が悪化することはあっても好転する兆しは見られません。

【参考】日本人の対韓感情

(【出所】内閣府『外交に関する世論調査』より著者作成)

なぜなら、日本はわが国統合の象徴である天皇陛下を侮辱された「被害者」、韓国はれっきとした「加害者」だからであり、その加害者である韓国がいまだにその加害の事実を謝罪していないからです(そういえば、2019年には当時の国会議長も天皇陛下を侮辱しましたね)。

しかも、その発言から半年後に政権を発足させた朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領(=当時)も、「3月1日の記念演説」で「加害者と被害者という歴史的な立場は千年の歴史が流れても変わらない」との発言を残しました。

朴大統領が三一節演説「日本、歴史を直視して責任ある姿勢を」

―――中央日報日本語版2013.03.01 11:04

この発言、「日本が何度謝罪しても無意味である証拠」として引用されることもあるのですが、当ウェブサイト的には、「当時の韓国の大統領自身が述べた言葉であり、それなりに重みがある」と考えています。

つまり、韓国にとって、「被害者と加害者の関係は千年経っても変わらない」のです(もっとも、ここでいう「加害者」は韓国であり、「被害者」は日本ですが…)。

いずれにせよ、この「日王謝罪発言」と「千年変わらない」発言を合わせるならば、おそらく天皇陛下のご訪韓は、数年どころか「千年経っても実現しない」、とでも考えた方が良いのかもしれません(千年も経たないうちに韓国という国が消滅してしまうなら話はべつですが)。

新宿会計士:

View Comments (26)

  • 更新ありがとうございます。

    偽慰安婦の件をでっち上げた朝日新聞の報道に勢い付いて、嘘を世界中に言いふらし、日本政府に謝罪を求める韓国。

    チョットデイイ。アヤマルポーズダケデイイ。コレデサイゴダ。テンノウヘイカカソウリダイジンカラノシャザイガホシイ。ホントニニドトイワナイ。オトナドウシ、ダマシハシナイ。リンコクデナカヨク、ニホンハアニダ。

    こんな言葉に騙されましたね〜。宮沢、河野洋平だけでなく、あの頃の首相、派閥の領袖は「関わりたくない」か「親韓派」ばかりです。野党は、半島出身者や媚中派も既に居た。

    盧泰愚の場合、朴槿恵と似た発言です。つまり朴槿恵は訪韓時に安倍総理に「日本がもうすこし譲歩したら昼飯を出す」とバカにした発言をした。「在韓大使館員と食う」と安倍総理が言って席を立ったのは、猛烈に腹が立ったのでしょう。

    盧泰愚は「具体的な謝罪を」。誰にモノ言ってんのか!韓国とは切れても、何にも困りませんヨ。三流国が更にランク外になりますな〜(笑)。で、滅亡すると。

  • 今の状況で韓国政府が90年代の内情暴露を行ったのは「過去に君主である天皇がこうして謝罪しているのに、今頃になってお前たち臣民が韓国に逆らう姿勢を見せているのは一体どういう了見だ!」ということでしょうか。
    いったん謝罪すれば上下関係が固定されて永続すると考えている韓国人らしいムーブですが、それだけ反感を露にする日本側への不満が韓国側に燻っている証左でしょう。

  • 楽韓さんが韓国への謝罪は無意味つまり効果はゼロと書いておられますが、よりきちんと言えば、韓国への謝罪の効果はゼロどころか「ほら見たことか、やっぱり日本が悪いんだ」と韓国民を傘にかからせて更なる謝罪しかも前回の謝罪よりも更にエスカレートした内容の新たな謝罪を求めて来るというマイナスの増幅にしかなりません。

    日本政府はそろそろ、「日本は併合時代の韓国にこれだけ施してあげた(道路などの有形の社会インフラや奴隷制度の廃止や教育制度や医療の整備という無形の社会インフラ)し、韓国が独立後も現在ならこれだけの巨額に相当する莫大な資金と主な無償技術供与としてもこれこれがあるから我が国には感謝して当然だ」ぐらいははっきりと言って「それにもかかわらず虚偽を並べて我が国を国際的に誹謗中傷し、更には国際条約や国際法を守れないのが現代の韓国である。そのような無法な国とは最低限のお付き合いしか出来ないので留学生に対する奨学金は出さないし、日本国内への就職のための就労ビザも新規発行はしない。韓国の若者は自国内で仕事を探したまえ」ぐらいの言葉で韓国民の横っ面を張り倒すのはやるべきですね。

    それで韓国民が「やはり日本には勝てない」と白旗を上げて反日を鎮めるならば(自己評価が肥大化している韓国民の大多数はそんな殊勝な発想を決してしないと私自身は予測していますが)それで良し、更なる反日へと暴走して韓国自ら韓日断交という断崖絶壁への一本道を突っ走ってくれればそれも良し。

    どちらに転んでも長い目で見た場合には日本にはプラスになります。

    北の首領だった金日成は「韓国はアメリカと日本という2本の紐で西側に結び付けられている帽子だ」というのが持論だったようですが、現実にはその2本の紐のうちでより重要なのは日本という紐なのです。つまり韓国は日本という紐1本のお蔭で西側国家で居られるのです。

    何故ならば、日韓が対立すれば地理的に見てアメリカは日本を選ばざるを得ないからです。アメリカが韓国を選び日本を捨ててしまったら、中露北に囲まれた韓国だけをユーラシア大陸の共産主義への反攻の橋頭保としてアメリカは維持できません。

    その結果、日本を捨てればアメリカの台湾防衛も不可能になり、ユーラシア大陸東側が全て共産主義に席巻されるだけでなく西太平洋にも共産主義が溢れ出て遠からずフィリピンや西太平洋の島嶼国家も共産チャイナに支配されてしまい、以前、人民解放軍の海軍参謀総長だったかがハワイで米太平洋軍司令官に「日付変更線によって中と米とで太平洋を分けて支配しよう」と傲慢にも述べた提案が実現してしまいます。

    他方、日韓対立で韓国を捨てて日本を採った場合、アメリカにとっての大陸への橋頭保が無くなりユーラシア大陸東側が共産主義で席巻されてしまうのは甘受せねばなりませんが、日台を維持することで西太平洋へと共産主義が溢れ出てくるのは阻止可能です。

    つまり韓国が西側に留まるための紐としてのアメリカという紐は、あくまでも日本という紐がしっかりしていることが大前提なのです。

    ですから資本主義と民主制に基づく国家としての韓国の繁栄は日本との繋がりこそ不可欠なのですが、自己評価が肥大化した韓国民はそれ(意識の高い人々は金日成の2本の紐理論は知っていても、実は1本の紐が特に重要で実は韓国にとっての命綱だということ)を理解していませんし、理解して認める気もないでしょう。

    韓国に自らの繁栄のための命綱を切らせれば、我が国の産業構造のコピペで成立している韓国産業の衰退分を我が国の同業種が頑張れば奪い返すことも可能でしょう。(但し、日本企業が油断したり投資を躊躇したりすれば、韓国の産業が衰退しても共産チャイナというトンビにアブラゲを攫われて終わりになりますが)

    韓国の産業が日本のそれのコピーで成立した以上、日韓両国の産業はゼロサムゲームを戦っているのであって原理的に共存共栄など有り得ない、韓国の産業を潰すことは日本の産業が繁栄するチャンスを得ることだ、と日本政府も日本の国民も正しく理解して韓国産業を如何にして潰すかの戦略・戦術を立てて躊躇せず実施すべきなのです。

    • 迷王星様

      文字通り、韓国は"赤い輪っか"の抜け止め〔リンチピン〕、日本は逸脱に備えての車止め〔コーナーガード〕。

      で、リンチピンは腐食が進行し、深刻な赤錆びに侵されてる現況なんですよね。

      *米国による日韓に対しての見識は、それ以上でもそれ以下でもないのかもですね。

  • これは韓国の「公共機関の情報公開に関する法律」にもとづく
    30年経過した外交文書の情報開示か

    • 特に意図的に当該部分を開示したというわけではなく、ということでしょうか?

      • 来日は90年5月、事前交渉はそれ以前ですから、ほぼ31年前の内容をいま公開したことになりますね
        公開に何らかの意図を持たせているとの疑念は払しょくできません

      • 知ってる人には一般常識だったかもしれませんが私もうろ覚えでして
        外交文書の情報開示法をもつ国は慣習的に30年を原則としており
        アメリカがたしかそんな法令だったはずから韓国もそうかなと
        調べたら韓国は3,4月に個人情報にかかる所以外は外交文書を一般公開するとの事

        日本ではこの原則30年がまともに機能しだしたのはここ10年とのことで
        昨年も12月末に30年前の外交文書を公開しているそうなので
        いい年こいたおっさんには隔世の感がありますねえ

  • >千年も経たないうちに韓国という国が消滅してしまうなら話はべつですが

    元々中国の一地方ですもんね…。

  •  名前を見るたびに思うのですが、盧 泰愚…

    泰=落ち着いた・とても大きい・おごりたかぶった
    愚=愚か

     …ということでよろしいのでしょうか。他国の元首を無暗にコケにするのは憚られますが、どうしても……漢字文化がまだ残ってる世代じゃないのかなぁ。
     朝鮮人名ではしばしば愚の文字を見るのですが、日本でのそれと意味が違ったりするのでしょうか。音が優先で漢字の意味は考慮しないとか。

    • 農民 様へ
       韓国人の名前については、私も良く知りませんが、多くの人から「良寛さん」と呼ばれて親しまれている越後出身の有名なお坊さんの名前「良寛」は「諱(いみな)」で、「号」は「大愚」、併せて「大愚良寛」です。
       この場合、「大愚」の「大」は「偉大」の「大」の意味です。したがって、「大愚」は「偉大な愚かさ」という意味になります。お坊さんの名前には、他にも「(鈴木)大拙」などがあります。

      •  単純に謙遜で名乗った号であったりだとか、驕った賢人よりも柔和な愚人であるべしというような思想であるとか、あえて邪悪な文言を加えることにより魔を退けるという発想もありますね。
         逸れますが、長子が夭逝しがちな時代、真田信繁(通:幸村)は源"二"郎を称し、長兄信幸が源"三"郎を称したりといった文化的な例もあります。前田利益(通:慶次)などは変人として、大"武辺"者→不便斎と洒落てみたり。

         なんかそういう背景があるのかなーと気になります。

         ……無かったらナントモ。

      • 名無しの権兵衛 さま

        良寛さんの場合は、謙遜。
        泰愚の場合は、文字通り。
        以上の理解でよろしいのでは。(棒)

  •  「加害者と被害者という歴史的な立場は、千年の歴史が流れても変わらない」
    ⇒この朴槿恵前大統領の言葉は、実際は、韓国人の潜在意識を反映した言葉だと解釈できると思います。
     すなわち、「韓国という国は、独立から千年経っても、『被害者という立場』以外に、日本に対して優位に立てる(自慢できる)立場を獲得することは難しいだろう。」という潜在意識(劣等感)です。
     千年以内に、「被害者という立場」以外に、日本に対して優位に立てる立場を獲得することができる見通しがあれば、いつまでも「被害者という立場」にこだわる必要は無い訳ですからね。

    •  仰る通りと思います。
       同じアジア地域でも、独立心の強いベトナム、フィリピンなどは日本帝国軍「被害者」であるという立場をむしろ忌避しますしね。
       世界中見ても、支配からの独立を成し遂げた国は、どこも屈辱の時代を否定せずにバネとして、誇りを持っているように見えます(実情が苦しくとも)。韓国は優秀な民族性で自力で独立を成し遂げたと自己催眠をかけているはずなのですが、やはり自覚しているのでしょうか。

  • お分かりと思いますが、「被害者と加害者の立場が変わらない」というのは、「日韓の上下関係は、韓国が上、日本が下で変わらない」という意味です。

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