新年あけましておめでとうございます。本年も当ウェブサイトでは、既存メディアに報じることができないような議論を積極的に取り上げて参りたいと思います。新年最初のコンテンツである本日は、評論家で拓殖大学客員教授でもある石平氏が執筆した「なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか」という書籍を紹介したいと思います。
目次
日本の正月を楽しもう!
本日から新年です。
日本では、大晦日(12月31日)から1月3日までの4日間が「正月休み」です。私は、この日本独特の「正月」の雰囲気がとても好きです。年賀状を受け取り、初詣をして、新年の目標を立てるという人も多いでしょう。
これに対して欧米諸国の休日は、通常、1月1日のみです。また、中華圏(中国本土、香港、台湾、韓国)には、「旧正月」(例年1月末から2月初旬)を祝う習慣はあるものの、「新暦」に基づく年末年始を日本のように大々的に祝う習慣などありません。
いずれにせよ、新年というタイミングは、心静かに過ごすちょうど良い機会でもあります。「正月はまとまった時間が取れる」という方も多いのではないかと思います。もっとも今年は日並びが悪く、大晦日が土曜日でしたので、年末年始休暇は4日間(12月31日~1月3日)に限定されています。ただ、それでも公務員や会社員の方であれば、多くの場合、4日間の休みは貴重です。
では、この貴重な休みをどう過ごせばよいのでしょうか?
私は以前、正月に主要全国紙(読売、朝日、毎日、産経、日経)と東京新聞の6紙を買ってきて、社説を読んでいたのですが、最近、これらの社説のレベルが低すぎ、今や読むに堪えられない状況です。したがって、残念ながら既に私は社説を読むのをやめてしまいました。
私はこの年末年始休暇を使って、じっくりと普段読めないような書籍を読むなどして過ごしたいと思うようになりました。ただし、昨年の正月は会社設立直後もあり、「初仕事」をこなすので精一杯で、正月もあってないようなものでした。また、今年を含めた最近の正月は、「読書」ではなく、ひたすら「専門書の執筆」をして過ごしているような気がします(泣)。
いずれにせよ、多くの「組織人」にとって、年末年始は貴重な休みですので、ゆっくりと楽しみましょう。また、小売業に従事される方など、年末年始は「書き入れ時」で休めないという方もいらっしゃるかもしれませんが、どうかお体にご自愛くださいますよう心よりお願い申し上げたいと思います。
興味深い書籍を紹介します
石平氏の名著
ただ、「年末年始をゆっくり過ごそう」で終わってしまっては、せっかく当ウェブサイトを訪れてくださった方にとってもがっかりです。そこで、せっかくですから、評論家で拓殖大学客員教授でもある石平氏が執筆した「なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか (PHP新書)
あとがきまで含めて212ページの書籍ですが、新書サイズであるため、比較的すんなりと読めます。書籍の構成は次の通りです。
- 序章 安倍外交が示唆する「国民的常識」の過ち
- 第1章 なぜ平安・江戸時代は繁栄を極めたのか
- 第2章 「赤い夕日の満州」がもたらした日本の破滅
- 第3章 靖国参拝中止から始まった戦後の外交敗北
- 第4章 ウルトラ・ナショナリズムに走る習近平政権
- 終章 二十一世紀の「新・脱亜入欧戦略」を構築せよ
この書籍、ざっくりと内容を要約すると、
弥生時代から近現代までの日中関係史を解析した結果、中国に近付いたときに日本は失敗し、離れたときにうまくいく
ということです。
問題提起
石平氏は1962年に中国四川省成都市で生まれ、幼少期に両親が勤務先の大学から追放され、農場に下放される、という衝撃的な体験をされました。その後、留学のために1988年に来日され、それ以来日本に在住。2007年に日本国籍を取得されたという経歴をお持ちです。
つまり、石平氏は中国のことをよく理解しており、かつ、「日本」という立場から中国を客観的に分析することができる、稀有な人材でもあります。この著書も、石平氏「ならでは」の視点が随所に盛り込まれており、これで「税抜760円」は明らかにお買い得でしょう。
では、日中関係の根源的な問題点は、どこにあるのでしょうか?
私の理解ですが、日本人の目から見て、中国が「身近」であるように思えて、実は日本人は中国のことをきちんと理解していない、という点にあると思います。そして、石平氏も、随所でそのようなことを指摘されています。石平氏は、議論の出発点において
「中国や韓国は重要な近隣国である。したがって、彼らとの関係づくりが何よりも大事だ」という「国民的常識」は、ほんとうに妥当なものなのだろうか?(同P13)
と問題を提起。
本書が刊行される2013年11月時点で、いまだに中国首脳との会談を行っていない安倍首相だが、国民の支持を失うこともなく、むしろ長期政権の大宰相となる道が開かれている(同P36)
とのくだりを読むと、思わず、石平氏の慧眼(けいがん)に驚いてしまいます。
これ、2013年の書籍ですよ?
何より驚くのは、この書籍、執筆されたのが2013年である、という事実です。
しかし、石平氏が指摘した内容は、今になって読み返しても、どきりとします。
タイトル(小見出し)だけ抜粋してみると、
- 「敵は日本にあり」は規定の政策路線(P173)
- 日本企業が直面する「日中関係のリスク」(P176)
- はたして「無法国家」でビジネスができるのか(P178)
- 「中国抜き共栄圏」の構築とTPP参加の重要性(P190)
- 「日本・東南アジア安全保障体制」を主導せよ(P193)
- 注目されるロシアとの「補い合い関係」(P201)
と、よくぞ3年前の時点でここまで鋭く予測していたものだと驚かされることしきりです。
石平さんvs毎日新聞
ちなみに石平氏は、インターネット番組「真相深入り!虎ノ門ニュース」の昨年11月15日放送回で作家の百田尚樹氏とともに出演された際に、毎日新聞を「読む価値がない」と批判。これに対して毎日新聞社側が「毎日新聞に対する名誉棄損である」として、配達証明文書を送りつけて謝罪を求めるという、前代未聞の事件が発生しました(詳しくは昨年の『先鋭化したメディア人らが暴走する!』をご参照ください)。
毎日新聞社は自社を「言論機関だ」と自画自賛しているくせに、その「言論機関」(笑)である自社を批判する意見を、恐喝文書により圧殺しようとするとは、呆れて物も言えません。ただ、今のところ「虎ノ門ニュース」側に、毎日新聞社からの返答はないようです。
おそらく、私の予想では、毎日新聞社は「抗議文書」を送りつけたこと自体を後悔しているのではないでしょうか?同社の抗議文書では、
- 百田尚樹氏と石平氏の毎日新聞社への謝罪
- 番組のウェブサイトからの削除
- この抗議文書自体を公表しないこと
などを求めていたのですが、「虎ノ門ニュース」側がこれをいずれも拒絶。それどころか、毎日新聞社に「無断で」、この文書を公開してしまったのです。また、虎ノ門ニュースのおかげで、毎日新聞社が「言論に対して法的措置をちらつかせるような会社である」ということが一般に公開されました。
その意味でも、私は「虎ノ門ニュース」、百田尚樹氏、そして石平氏には、日本国民の一人として、深く感謝申し上げたいと考えています。
ご挨拶:本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
いずれにせよ、当ウェブサイトは今年も、既存メディアが報じないような記事(あるいは不勉強なメディア人らには論じることすらできないような記事)の発信に努めてまいりたいと思います。
本年も当ウェブサイトをご愛読下さいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
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日経ビジネスオンラインに次のコメントを投稿しました。
「暴走」しているのは民主主義ではない。マス・メディアの方だ。「民主主義の暴走」とは有権者をバカにした発言であり、到底容認できない。
今までだったら簡単に世論誘導できていたのに、インターネットが普及したせいで、自分たちの思うように世論誘導ができなくなったマス・メディア側が、危機意識を感じている、というのが実情だろう。
日経ビジネスオンラインに、次のコメントを投稿しました。
一読して、ついに日経という「大メディア」の名を冠したウェブサイトに、「日本がどううまく韓国を見捨てるべきか」などという議論が堂々と掲載される時代がやってきた―。そのことに、ある種の「感動」を覚えました。言葉を変えるならば、「日韓断交」です。
私の感覚ですと、李明博(り・めいはく)前大統領が島根県・竹島に不法上陸して天皇陛下を侮辱し、さらに朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領が就任直後から「反日」を全開にしたくらいから、日本の世論のマジョリティも、「日韓友好」から「日韓停滞」そして「日韓断交」へとシフトし始めているように思えます。
こうした中、この連載「早読み深読み朝鮮半島」シリーズは、鈴置先生の慧眼(けいがん)が余すところなく発揮された議論を読むことができるため、私も以前から相当に注目してきたところですが、議論はついに「韓国を見捨てる方法が重要だ」、にまで到達してしまったのですね。
いずれにせよ、今年、「後任大統領」が選出されます。韓国大統領選は、早ければ今年3月、遅くとも12月には実施されます。いっそのこと「反日」を全面に押し出した人物が選出され、一気に米韓同盟破棄が実現するのが望ましいのかもしれません。
日経ビジネスオンラインに、次のコメントを投稿しました。
この記事を執筆した福島香織氏は、極めて優れた取材力を持つジャーナリストだが、それだけではない。私たち日本人に対して、非常に力強いメッセージを提供してくれる、稀有な存在だ。
彼女が現状を淡々と分析する能力が高いことはいうまでもないが、彼女の優れているところは、それに終わらず、この記事のように「日中の緊張の高まりを、むしろ日本の国力増強のチャンスにすべきだ」と、ご自身の意見を付記するところにある。そして、本当の付加価値は、まさにこの「意見」の部分にあるのだ。
「中国が軍事的に台頭する」。そんなことは当の昔にわかっていたことだ。重要なことは、「それを踏まえて私たちがどうするか」、であり、それに対する答えは福島氏の記事に含まれている。国を憂う日本国民であれば、是非、この記事を読んで欲しい。そして、自身で考えてほしいと思う。