予定外ですが、昨日に続き、本日ももう一本、英語メディアが相次いで、安倍晋三総理大臣の訪米について取り上げている、という話題を紹介します。
WSJ、CNN、ロイター等々
昨日、英FTが電子版の「トップで」安倍晋三総理大臣とドナルド・トランプ氏(次期米国大統領)がニューヨークで会談するという話題を取り上げましたが、次の通り、錚々たるメディアが一斉にこの話題を取り上げています。
Japan’s Shinzo Abe to Address Security Alliance at Meeting With Donald Trump(米国時間2016/11/17(木) 17:45付=日本時間2016/11/18(金) 06:45付 WSJオンラインより)
Japan’s Abe on US mission to ‘build trust’ with Donald Trump(2016/11/17(木) 17:35付 CNNより)
Japan’s Abe to get hastily arranged meeting with Trump in New York(2016/11/17(木) 16:42付 REUTERより)
私も、最初の報道をベースに、安倍氏とトランプ氏が会談するのは米国時間の昼食時(つまり正午過ぎ)だと思っていたのですが、これらの記事が公表されている時間はいずれも「11月17日(木)午後5時前後」、つまり日本時間で「11月18日(金)午前7時前後」です。ということは、これらの記事が公表された時点で、まだ安倍氏はトランプ氏と会談していない、ということです。
また、日本国内のメディアによると、両氏は現地時間の夕方6時から会談するそうですが、これは当初トランプ氏が提案していた「ディナー会合」になる、ということでしょうか?非常に興味深いところです。
これらのいずれのメディアも、「安倍(晋三総理大臣)はトランプ(氏)が会う初めての外国首脳だ」として大々的に報道。米国メディアはトランプ氏が掲げる「アジア戦略の見直し」「TPP破棄」などに批判的ですが、安倍総理にとっては、「米国メディア」という「思わぬ応援団」を得た格好になっていると言えなくもないでしょう。
08:30 追記
時事通信はこの「安倍・トランプ会談」について、先ほど、速報を出しています。
安倍首相、トランプ氏と初会談=日米同盟に理解促す=TPP意義強調(2016/11/18 07:23付 Yahoo!ニュースより【時事通信配信】)
記事の冒頭では
安倍晋三首相は17日夕(日本時間18日朝)、米ニューヨークでトランプ次期大統領と初の会談を行った。
と過去形になっていますが、具体的な内容については一切触れられていません。おそらく、「初の首脳会談を『行った』」ではなく『行っている』の間違いでしょう。非常に紛らわしい記事です。
なお、「安倍・トランプ会談」については、日本経済新聞やNHKなど、日本の他のメディアも相次いで「速報」を出しており、現在、会談が続いている模様です。
各種報道をまとめると、
- 会談が始まったのは現地時間木曜日夕方5時過ぎ、つまり日本時間の本日午前7時頃
- 現時点(少なくともこれを執筆している日本時間8時半)でも会談は続いている
ということです。ここまで長時間、会談が続いているということは、「軽いあいさつ程度」に留まらず、それだけ、安倍総理とトランプ氏の間で深い意見交換がなされているという証拠でしょう。
安倍総理はこれからペルーで開催されるAPECに参加しますが、「初めてトランプ氏と会談した外国首脳」としても、強い存在感を発揮することは間違いありません。また、ロシアのウラジミル・プーチン大統領などと会談をしますが、これも安倍総理にとっては交渉力を高めることに寄与するのではないでしょうか?
9:00 追記
安倍・トランプ会談が終了した模様です。
トランプ氏が提案していた「ディナー」は実現しなかったものの、会談時間は1時間半に及んだとのことであり、おそらく相当に幅広く意見交換がなされたのではないかと考えられます。
Japan’s Abe, Trump conclude hastily arranged meeting in New York(2016/11/17 18:53付=日本時間2016/11/18 08:53付)ロイターより
ロイターによると、
- トランプ事務所は会談時間が90分だったと述べた
- 安倍氏は会談後に記者会見に応じる見通しである
とのことです。ただし、日本語メディア側では、現在のところこれを報じているのは、残念ながら朝日新聞の記事しかありません。朝日新聞といえば「慰安婦問題を捏造した」メディアであるため、当ウェブサイトの品性と信頼性を維持する観点から、朝日新聞の記事のリンクをこちらに引用することは差し控えたいと思います。
10:00 追記
安倍晋三総理大臣とドナルド・トランプ次期米大統領の会談内容について、日本経済新聞電子版に、概要が紹介されています。
トランプ氏会談後の安倍首相質疑内容(2016/11/18 9:44付 日本経済新聞電子版より)
ただし、安倍総理によると、今回の会談はあくまでも「非公式」のものであり、中身について具体的な話はなかった、とのことです。しかし、会議の時間が1時間半と長時間だったこと、事前の打ち合わせ等もなかったことなどを考えるならば、「大統領就任前のこのタイミングで会っておく」ことは非常に大きな意味があります。
ちなみに、現職の米国大統領は、現在、ドイツを訪問しており、アンゲラ・メルケル独首相との共同記者会見に臨み、「米独の価値観の一致」を確認しあったようです。
Obama, With Angela Merkel in Berlin, Assails Spread of Fake News(2016/11/17付 ニューヨークタイムズより)
メルケル首相といえば、当選直後のトランプ氏に対し
「人権と尊厳は、出身地、肌の色、宗教、性別、性的な嗜好、政治思想を問うことなく守られなくてはなりません」
などと言い放ったそうですが、通商問題、価値観の問題などを巡り、米独対立が深化するとみられる中、非常に象徴的です。