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現役高校生が司法試験合格する時代にお勧めの免除狙い

こんなときにはちょっと明るい話題を提供したいと思います。産経ニュースが昨日配信した記事によれば、現役の高校生が司法試験に合格したのだそうです。高校生としての合格事例は3人目、女性の合格者としては初めての事例だとか。ただ、こうした話題を見ていると、もうひとつ気になるのが他の資格試験における科目免除という仕組みです。

ちょっと良い話題:現役高校生が司法試験合格(3例目)

何といいますか、人間、気力が落ち込んでいるときは頭が回らないのか、「とある事情」があって著者自身は現在、とくに税制などに関する冷静な議論ができそうにありません。やはり、少しでも期待していた相手に裏切られるときは、ガックリくるものです。

ただ、政治経済に関する話題はちょっと気力があるときにガッツリと議論することとして、本稿ではさわやかで明るい話題をひとつ取り上げておきたいと思います。

産経ニュースが18日に配信した記事によると、都内の私立高校に通う3年生の生徒(18)が今年、司法試験に合格したのだそうです(記事では学校名が「慶応女子」と記載されていますが、同校の名称は「慶應義塾女子高等学校」ではないと思います)。

また、産経によるとこの生徒は女性として初の現役高校生合格者だそうですが、驚いたことに、男性だと現役高校生ではこれまでに灘高等学校3年生、筑波大学附属駒場高等学校2年生もそれぞれ司法試験に合格した実績があるのだそうです。

法科大学院が一般的だが…費用と時間がかかる

著者の持論ですが、司法試験であれ、国家総合職公務員採用試験であれ、公認会計士試験であれ、資格試験はそもそも人間が作っている試験であり、人間が作っているものである以上、しかるべき準備をすれば誰でも合格できるはずだと考えています。

ただ、それにしてもやはり、高校生のうちに試験に合格するのは飛び抜けて優秀です。

法務省のパンフレット『司法試験の仕組み』によると、司法試験は現在、受験するためには①法科大学院課程を修了するか、それとも②司法試験予備試験に合格するか、のいずれかのルートがあります。

このうち①の法科大学院(俗にいう「ロースクール」)については、法学履修者については2年、未履修者については3年とされ、ロースクールを卒業した人(※)は最大で5回まで司法試験を受験することができるそうです(※卒業していない場合でも一定の条件を満たせば在学中でも受験可能であるそうです)。

また、①については、大学/大学院によっては、大学在学中から「法曹コース」と呼ばれる、さらに短い期間で司法試験の受験資格を得るルートもあるそうです(詳しくは文科省ウェブサイト『法曹コースについて』等をご参照ください)。

予備試験は受験制限がなく誰でも受験可能

しかし、この①のルートだと、やはり費用も時間もかかります。

学費が高いこともさることながら、大学入学から司法試験合格までは最短でも5~7年の期間が必要であり、法曹資格を得るまでにはさらに約1年の司法修習を受ける必要があることを考慮すれば、判事・検事・弁護士としてい働き始められるのは24~26歳、ということです。

途中で浪人(大学受験失敗、ロースクール入試失敗、司法試験失敗など)があれば、下手をすると新人として働き始めるのが30歳、ということもあり得るのではないでしょうか。

これに対し、②の予備試験ルートだと、年齢制限などが一切ありません。法務省のQ&Aによると、予備試験は基本的に誰でも受験可能です。産経記事にあったように、優秀な高校生が試験に合格し、そのまま司法試験をも突破する、ということは、当然に想定されているのです。

もちろん、難関試験は突破することが目的ではありません。

試験に合格するということは、それだけ深い専門性を身に着けているということであり、その専門知識を生かしてそのまま法曹に進むも良いですし、さらには研究者を目指す、起業する、政治を目指すなど、さまざまな選択肢が生まれます。

公認会計士/不動産鑑定士試験は科目免除が効く

こうしたなかで、もうひとつ、もしも著者自身が「高校生司法試験合格者」の立場になれたらやってみたいことがあるとしたら、やはり「合格資格の拡大」ではないかと思います。

たとえば公認会計士試験の場合、5つの試験科目のうち、司法試験合格者は2つの科目(企業法、選択科目中の民法)が免除されます。ということは、理屈の上では、残り3つの科目に合格すれば公認会計士試験にもいちおう合格できる、という話です。

また、不動産鑑定士試験の場合も4つの試験科目のうちの1つ(民法)が免除されるほか、もしも司法試験合格者が公認会計士試験にも合格していれば、さらに会計学の免除も受けられます。ということは、受験科目は2科目で済む、という話でもあります。

あるいは公認会計士試験を受験する際、選択科目であえて経済学を選択すれば、合格しなければならない科目は4つに増えますが、その分、不動産鑑定士試験では4科目中、3科目(民法、会計学、経済学)の免除が受けられる、ということです。

したがって、司法試験合格後に科目免除の特例を活用して公認会計士試験に合格し、さらにダブルライセンス状態で不動産鑑定士試験にも挑戦すれば、文系3大資格(?)をすべて制覇できることになります。

もちろん、実務家になるためには、試験に合格するだけではやはり不十分です。弁護士も公認会計士も不動産鑑定士も、試験に合格するだけでなく、何らかの研修などを経なければ開業できません(弁護士は司法修習、公認会計士や不動産鑑定士は実務補習)。

ただ、これらの試験に合格していれば、法律、会計、不動産などの最低限の実務知識があるという証明になるわけですから、やはり合格できるものであれば合格できるうちに受験しまくる、というのはひとつの見識かもしれません。

それに法制度はわりと頻繁に変わりますし、冷静に観察していると、免除科目の要件が拡大されるなど、受験しやすくなるケースも発生するかもしれません。

いずれにせよ、自戒を込めて申し上げるならば、1度きりの人生ですので、人間、遊べるうちに遊び、勉強できるうちに勉強しておかないと、やはりもったいないと思う次第です。

新宿会計士: