高市総理率いる首相官邸や自民党が記者会見の様子などを全文書き起こすなどし、国民に対してわかりやすく伝え始めたことは、当ウェブサイトでもこれまでに何度か取り上げて来たとおりです。ただ、これに対し、こうした政府・自民党の対応が、新聞、テレビなどオールドメディアにおける「報道しない自由」への侵害だ、などとするインチキな論説が出て来たようです。あるいはトンチキ論説、とでもいうべきでしょうか。
目次
高市快進撃が気に入らない旧宿会計士
久しぶりに、インチキ論説の登壇です。
高市早苗総理大臣の「快進撃」(?)を受け、当ウェブサイトにごく稀に登場する「旧宿会計士」なる者が、「どうしても言いたいことがある」と言い出したのです。
あまり気は乗りませんが、まぁ、せっかくなので掲載します。どうせ大したことは言っていないと思いますが…。
高市首相の「報道しない自由」侵害を許すな!
全然嬉しくない「史上初の女性首相」
最近、高市早苗氏なる人物が首相の座に就いた。
なんでも憲政史上初の女性首相だそうだが、私は正直、この人物を史上初の女性首相とは認めたくない。
それにはいくつかの理由があるが、そのひとつは、この人物が本当の意味での女性として努力した人物とはいえないからだ。
そもそもこの世間の秩序を作ったのは男性であるにも関わらず、こうした男性が作った秩序に参入してトップに上り詰めたとしても、うれしくないと感じる国民が圧倒的多数だろう。男社会に参入してトップに上り詰めたからといって、いったい何が偉いのか。
とにかく、私はこの高市氏という人物が憲政史上初の女性首相として偉そうな顔をすることが気に入らないし、おそらくごく一部のネトウヨを除いて聡明な日本市民の皆さまならば、こうした私の考えることは十分に理解していただけるだろう。
ネトウヨに支持される首相
ただ、懸念材料は、それだけではない。
外交的にも国粋主義を推し進め、経済政策的には弱者切り捨てを断行しようとしていることが、強く懸念されている。
たとえば高市首相は安倍晋三元首相の盟友であるともされており、極右的な性向で国際社会にも何かと懸念を与える言動を取ってきたことを忘れてはならない。
たとえば、戦後、わが国は加害国としての歴史を反省し、せっかく被害国である中国や韓国などの信頼を勝ち得ようかという段階にあるにも関わらず、高市首相はこうした加害の歴史を否認し、あろうことか軍拡路線を取ろうとしていることは有名だ。
また、経済政策としてみれば、この人物が弱者を敵視していることは明白だ。
たとえば、高市首相は2012年5月、当時の民主党政権で野党としての自民党議員だった時代に、こんなことを発言している。
「さもしい顔してもらえるものはもらおうとか、弱者のフリをして少しでも得をしよう、そんな国民ばかりになったら日本国は滅びてしまいます」。
端的にこの発言を見るだけで、高市首相が「危険な人物だ」ということは、もう証明の必要もないくらいに明らかだろう。まさに「L.E.D.」だ。
マスコミは権力の監視役だ
ただ、本稿で特に問題視しておきたいのが、マスメディアの機能を否定するかのような高市自民のふるまいだ。
いうまでもなく、マスコミ(とくに新聞やテレビ)は、国民の代表であり、権力の監視役であり、なにより情報のプロである。
日本だと少し前までマスコミ記者らの給料は非常に高かったのだが、これはマスコミ記者が権力者である政治家や官僚らと対等に話をするために必要なものだったと考えられるし、実際、マスコミ記者はこれまでじつによく権力の監視を行ってくれていた。
とくに2009年にはマスコミの角度を付けた報道なども功を奏し、長らく政権を担っていた自民党を下野させることに成功したが、残念ながらそれによって誕生した民主党政権も、たった3年3ヵ月で崩壊してしまい、それ以来、自民党政権が続いてしまっている。
ただ、それ以上に残念なのが、最大野党である民主党、民進党、立憲民主党が、自民党を凌駕(りょうが)するだけの議席を得られないでいることだろう。
これはマスコミの権力監視役としての機能が年々低下し、自民党の独裁に歯止めがかかっていないことを意味するが、それだけではない。インターネットが発達し、これにより新聞は部数を激減させ、テレビも若年層を中心に視聴者が減っているのだ。
正直、インターネット上に流れているのは、何も知らない素人らが適当に発信した情報ばかりであり、これらのなかでネトウヨを喜ばせるような極右的で歪んだ情報が圧倒的な支持を得ているのだ。しかも、ツイッター(現X)で大量の「いいね」を獲得するような投稿の多くは低レベルなネトウヨ的コンテンツである。
おそらく大量の「いいね」はネトウヨの組織票ないし自民党の工作であるということは明らかだ(※ただ、私がこう主張すると、ネトウヨは決まって「エビデンスを出せ」などと言い出す。社会学などの専門的な学問を修め、専門家としての合理的な確証に基づいて「こうに違いない」と断言しているのだから、それがエビデンスだ)。
「支持率下げてやる」もマスコミの矜持
そして、こうしたネトウヨが扇動することで、マスコミの社会的権威が不当に貶められていることも忘れてはなるまい。
たとえば高市総裁が就任した当日、自民党本部で高市氏が登場するのを待っていた記者団が雑談で、次のような発言をしていたのがマイクに拾われた。
- 「支持率下げてやる」
- 「支持率下げるような写真しか出さねえぞ」
- 「裏金と靖国なんでしょ」
- 「麻生さんからイヤフォンで指示聞いたりして」
どれも、マスコミ関係者の当然の認識を示した、ごくあたりまえの発言だし、むしろマスコミとしての矜持(きょうじ)のようなものだが、これらがネトウヨらによってSNSやまとめサイトなどで拡散され、結果的にマスコミに対する不当な攻撃につながってしまった。
もちろん、たしかに言い方としては少々まずかったかもしれないが、角度を付けた報道で一般大衆の投票行動を導くべき立場にあるマスコミに対し、誹謗中傷ともいえる書き込みが殺到したことは、このネット社会の異常性を示しているとはいえまいか。
報道しない自由を侵害する高市首相
ただ、それ以上に嘆かわしいのが、高市政権や高市自民による、マスコミの機能を否定するかの対応だ。
高市氏はまず10月4日に自民党総裁に選ばれ、続いて21日に首相に選ばれたのだが、この順番で、まずは自民党広報が、続いて首相官邸が、マスコミに無断で勝手な内容を垂れ流し始めたのである。
たとえば自民党広報は高市総裁が就任した直後あたりから総裁など党幹部のぶら下がり会見の模様などの動画をXにポストするとともに、あろうことか、質疑を行った記者の所属社名とともに、すべてを明らかにし始めたのだ。
これは形を変えた検閲であり、民主主義に対する脅威である。
質問を行ったメディアの記者の社名も含めてネトウヨを中心とするネット民に対して晒すことで、メディア記者を委縮させ、自由闊達で自民党幹部らを追及するような質問をさせ辛くするからだ。
さらには、高市首相就任後は、首相官邸ウェブサイトなどがこうした流れに追随し、記者会見の模様に加え、マスコミ記者が報じていなかったような高市首相のふるまいなども含め、マスコミに無断で勝手にホームページへの公開を始めたのである。
しかも、それらの動画、写真などは、いずれも高市氏らへの支持率を不当に高めるようなものが選ばれており、これによってマスコミによる正しい情報発信が阻害されているのだ。
そもそも、マスコミ業界には報道の自由に加え、報道しない自由が保障されなければならない。
国民の代表者たるジャーナリストらは、それぞれの良心に従い、己の信じる政治家の支持率を高め、そうでない政治家の支持率を下げるような情報を出す権利を持っているのだ。
官邸や自民党の「すべての情報を正確かつ詳細かつ迅速に公表する」という姿勢は、一見すると民主主義に適っているかにも見えるが、その実態はマスコミに対する圧力であり、報道しない自由を封殺する態度であり、ひいては高市独裁とファシズムにつながる危険な道なのである。L.E.D.
読後感
L.E.DってQ.E.D.の間違いでしょうか?
…。
はぁ…。
最後の方はグダグダで何を書いているのかご自身にもわかっていなさそうですが、いちおう簡単にツッコミです。
高市総理が憲政史上初の女性宰相であることは論をまたないですが、その一方で「私は史上初の女性総理(=高市総理)誕生を嬉しいとは思わない」などと述べたくだりは、じつはネット界隈では非常に有名なとあるポストを参考にさせていただいたもので、「旧宿会計士」のオリジナル論考ではありません。
それになんですか、文中に2箇所出てくる「L.E.D」って…。発光ダイオードの事ですか?(笑)それとも「証明終わり(Quod Erat Demonstrandum)」の略語「Q.E.D」の言い間違いでしょうか?
というか、この文章自体、「インチキ論説」というよりも、「トンチキ論説」とでも言った方が正確かもしれません。
これ以上突っ込む気力はありません
なお、この論考(「論考」といえるのかなぁ…?)で述べている、「政府・自民党が正確・詳細・適時に情報を発信することはマスコミの『報道しない自由』を侵害している」とする指摘は、じつは、当ウェブサイトにおいてもまったく同じ内容をこれまでも掲載しています。
ただし、当ウェブサイト側では、それを「オールドメディアの腐敗利権の終了」という観点から取り上げており、その一例は『マスコミ腐敗権力を駆逐するのは「徹底した情報公開」』などでも指摘した通りでもあります。
そして、本稿の一番怖いところは、じつはこの「旧宿会計士」の論考、著者自身が現実にXなどで目撃した主張に基づいているところでもあります。
「政府発表ばかりで新聞やテレビがなくなったら大本営発表でミッドウェー海戦(のような大敗北とその隠蔽)が生じるぞ」、といった指摘などがその典型例でしょう(この指摘、何度読み返しても意味不明ですが)。
いずれにせよ、高市総理体制となったことで、オールドメディア権力の自壊は加速するのだとは思う反面、正直、高市体制とならなかったとしても(極端な話、石破体制が続いていたとしても)、オールドメディアの崩壊は不可避だったのではないでしょうか。
なお、「旧宿会計士」の論考にツッコミがあるという方は、読者コメント欄で、あるいはXなどで、どうぞご自由に展開してください。
また、新聞社、テレビ局などの皆さまも、本論考についてはどうぞご自由に、引用でも転載でも何でもしてください(なお、当ウェブサイトのクレジットをお忘れなく)。
View Comments (15)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1 2 次へ »日本の夜明けは近い。
悪の結社、悪の産業は亡びる運命にある。
時事通信社が身売りを検討しているとの記事が FACTA から出ました。昨日11月4日午後6時半の公開だそうです。ログインしないと全文は読めません。
外交の行には「現地妻の如き媚びた振る舞い」も入れてほしい
毎度、ばかばかしいお話を。
オールドメディア:「「報道しない自由」は、我々の既得権である」
これって、笑い話ですか。
ついでに
オールドメディア:「我々が(仲間うち以外から)批判されないのも、我々の既得権である」
まー“仲間うち”が批判するコト自体稀っぽいスけど
ヨホド燃え上がらんとたいてい“報道しない自由”が…
知らんけど
旧宿会計士なる人物は真面目にこの文章を書いているのだろうか?
なんだかパロディ(それもできの悪い)を見せられているようで理解に苦しむ。
本気で書いているとすると、そこまで偏向した考えを持てることにうそ寒さを感じる。
マンガのツッコミではないが「それはギャグで言っているのか?」と真剣に聞きたい。
まー云うて“報道しない自由”は別段侵害も規制もされてへんのとちゃうけ?
オールドメディアズがスルーした話題なんていくらでもあるやろ?? 知らんけど
“報道しない自由”と“情報が拡散してゆくコト”は次元が違うハナシやで、知らんけど
報道しないとPV稼げないから、自滅する方向へのビルトインスタビライザーみたいな。
他に選択肢がない時代なら、それでも我慢して売れたんでしょうけども。
あえてポジティブな見方をするなら、高速道路サービスエリアの食事かな。
昔の公団時代はひどいものでした。
他に選択肢がないから遅い高い不味いものを我慢して食べてました。
今のネクスコのサービスエリアはかなりよい。
他に選択肢がないけど、それにあぐらをかかず自分自身で変わる気になれば、やればできる好例かと。
まだ圧倒的に影響力があるので、生き残りたいなら今のうちですよ。がんばれ~
味の悪いレモンを、毎月4千円なり5千円なりの、法外に高い値段で売り付けていた新聞産業が、自滅に向かっている。
おいしい桃を探して、誰もがネットをきょろきょろしている。今こそ起業ブーム。勝ち残り競争こそ{燃える|萌える}ではありませんか。転職上等、新しいボス、強い上司、構想力・前進力・突破力を探せ。
「見ておれ
渋谷築地大手町の三本部を破壊されても
この紀伊半島の南端に、必ず、ショッカー基地を再建してみせる」
「もっと輝きたいだけだ」
「タイミングさえあれば」
転職上等
>政府は「報道しない自由」侵害するな
言い得て妙ですね。自民党ダイレクトの本質は、「報道しない自由封じ!」なのかと。
マスコミの是は、『(権力に非が)無くて難癖。あっても始終難癖!』なんですものね。
マスコミは、自称「権力の監視役」
S N S は、実質「報道の監視役」
*自覚して欲しいのは、自由の謳歌には責任が伴うってこと。(炎上を他責にするな!)
>証明の必要もないくらいに明らかだろう。まさに「L.E.D.」だ。
照明ですよね。
というか、このネタ知りませんでした。結構ほじくられてるんですね。(笑)
"japan is back" を"日本が後退"と訳した売れない芸能人がずっといじられるのに似た構図。
批判がほとんどお気持ち表明のレベルなんで、この辺いじって遊ばれるんじゃないでしょうか。
T-800「I'll be back」
正規翻訳版
警察官「待ってるならベンチでどうぞ?」
T-800「……また来る」
誤翻訳版
警察官「待ってるならベンチでどうぞ?」
T-800「……あ、帰ります」
証明と照明が偶然かかったり、シュワちゃんが可愛くなってしまったりと、いちいち面白いですからね彼ら。
japan is backを安倍総理も発言(2013)したそうですが(高市氏が覚えていてのことなら、後継をはっきりと意識してのことでしょうか)、我ながら暇なもんですがその際にもヤフー知恵袋で「英語がおかしいのではないか」取り上げられたりしているのを発掘しました。
英文の観点(backが動詞ではない)から答える者は「正しい」、事例から答える者は「米大統領もAmerica is backは決まり文句」などなど。対して安倍総理憎しで答えた者(backは絶対に動詞)は「英語をわかっていないネトウヨ」「政治家の英語なんて~」といった哀しいものばかり。
既に12年前に踏んだ轍、目的のために感情のままに現実を無視し、調べて確認することを怠る姿勢……何も進歩していませんでしたとさ。
「自動車は男性名詞だからフェアレディなんておかしい!」
「英語ではCDなんて略しない!受け入れられるわけがない!」
英語に詳しい日本人が"ルール"に基づいていろいろご主張なさる現象は昔も今も不滅のようですが、仮に間違いがあったとしても意味が通じりゃOKとしか思いません。(笑)
>既に12年前に踏んだ轍、
失敗したと思ってないみたいなんですよね・・・
政府発表のみになると、所謂大本営発表の如く都合の良い情報だけを発信するようになるという懸念は、一応は正しいとは思います。
しかし、太平洋戦争時にSNSはありませんでした。どころかマスメディア自身も大本営発表を伝えただけで、正義の突撃取材で闇を暴くなどという事はしませんでした。今は違います。SNSは存在し存分に機能しており、マスメディアは火のないところに突撃しては煙を立てています。政府が下手に大本営発表などしようものならあっというまに不正が漏れ、無い方が良いハズの火を渇望していたマスメディアは大喜びでさらに盛り盛りにデコって報じることでしょう。そしてそんな発表をする政権は、選挙であっというまに倒されます。石破政権など選挙を待たずに引っ込まされました。
上記の中で余計な動きをしている者は、マスメディアのみです。もっといえば、不正を暴く時であれば盛って良いなどという事もありません。何であろうと事実をそのまま、大きくも小さくもせずに報道すべきです。
現在、大本営の性質に最も近いのはマスメディアだということを、流石にそろそろ自覚していただきたいものです。更にもっと言えばミッドウェーの敗因は大雑把に言えば戦力ではなく「情報」です。情報を捻じ曲げる者は味方に要りません。
偵察に出ずに憶測で敵艦隊の位置を常に間違え、「爆弾攻撃が良いぞいや魚雷攻撃だやっぱり爆弾だいやいっそ非武装だ」などとわけのわからない情報ばかりを寄越し、挙げ句に敗北後に「敗因は独断将軍の暴走のせいです。証拠はさっき創りました。」などとやっているのが今のマスメディアですから。ミッドウェーどころじゃない。