「成人同士が同居しても、うまく行く事例は夫婦やパートナーなどに限られる」―――。これは著者自身の持論です。まれにそれ以外のケース(たとえば親子、嫁姑など)でも同居していることがありますが、その場合も親と子がお互いに自立していることが前提であり、そうでない場合は同居はうまくいきません。自立心旺盛な妹と自立できていない兄のように、兄妹であっても同居が失敗するケースもあります。こうしたなか、とある女性が親御さんとの同居で悩んでいるとする話題を発見しました。
目次
成人同士の同居でうまく行く事例は限られている
あくまでも個人的な体験から出てきた、個人としての感想ですが、著者自身は成人同士が同居するのは難しいと考えている人間のひとりです。成人同士が同居してうまくいくのは、夫婦、パートナー(同棲、事実婚など)などに限られると考えているのです。
まれに親子(または親世帯・子世帯)でも同居できる場合がありますが、その場合も親と子がお互いに自立していることが前提でしょう。ましてやそれ以外の関係(恋人同士でもない友人同士など)だと、何らかのトラブルに発展することだってあるのです。
このうち同居がうまく行っている事例としては、先月の『【速報】サイフを忘れて出かけても「愉快」で済む時代』でも論じた、「サイフを忘れたことが愉快だ」と豪語する女性を中心とする、東京都世田谷区の平屋一戸建てにお住いのご一家のケースなどはわかりやすいでしょう。
このご家族、同居している7人のなかで成人は4人いますが(世帯主夫妻と長女夫妻)、世帯主夫妻はお互い夫婦、長女夫妻もお互い夫婦で世帯主夫妻と長女が親子関係にあります。
このご一家にはあと3人が同居していますが、世帯主から見た長男(小学生5年生)と長女(小学3年生)、そして孫の3歳児はいずれも未成年であり、想像するに、長男が同居できるのはせいぜいあと10年少々ではないかと思います。
成人した兄弟同士の同居はうまく行かない?
また、静岡県清水市(現在の静岡市清水区)にお住まいの姉妹のケースも、やはりご両親、父方の祖父母と合計6人で同居していますが、同居家族のうち成人4人は夫婦か親子(あるいは配偶者の親子)という関係にあり、残り2人は未成年(小学生)です。
いずれにせよ、あくまでも個人的な見解ですが、成人同士が同居するならば、その成人同士には▼夫婦またはパートナー、▼血のつながった親子、といういずれかの関係が必要であり、たとえば結婚後に同居するという場合も、血のつながりのない他人同士(例:嫁・姑)の同居はお互い気を遣います。
こうした考えが正しいのだとすれば、いわゆる「子ども部屋おじさん」、「子ども部屋おばさん」と俗称される、成人後も親と同居するというパターンはどうでしょうか。
じつは、著者調べでは最も破綻する確率が高いのが「成人した兄弟同士の同居」というパターンではないかと思います。
血を分けた兄弟で、幼いころから一緒に育ってきたわけですから、一見すると同居するとうまく行きそうにも見えますが、実際はそうではありません。
とくに、親が元気である間はそこまで問題とならないのですが、親が介護施設に入ってしまうなどしたときに、あるいは親が他界してしまったときに、成人した兄弟だけで同居が続くかどうかという問題が浮上するケースも散見されるのです。
(ちょっとフェイクを入れますが)とある兄妹の事例
個人的に存じ上げているものとして、とある兄妹の事例があります(とある事情もあり、ちょっとしたフェイクを入れます)。
この兄妹、兄の方は実家から一度も出たことがありませんでした。
進学も自宅から通える距離の大学に通い、就職も自宅から通える職場を選ぶなどして、ずっと実家に住み続けたのです。その一方、妹は東京の大学に進学するために実家を出て行き、そのまま東京で就職。ずっと独り暮らしを続けていました。
この兄妹が再び同居するようになったきっかけは、親の病気です。妹が親の看病の都合で仕事を辞めて実家に戻って来ざるを得なかったのです。早い話、親が重病を患った際、同居していた兄が「自分には看病ができない」として、妹にSOSを出し、自宅に戻るよう懇願したのです。
ただ、親御さんは結局、1年あまりの闘病生活のすえ他界してしまい、妹はその間、介護に専念していたため、キャリアも中断してしまい、親が亡くなった後も相続やら片付けやらの都合でしばらく実家に暮らさざるを得なかったのですが、やはりこの期間、兄妹関係は円滑とは言い難かったようです。
そもそも兄が家事を何もしないため、妹が戻ってきたときは実家が荒れに荒れていたそうですが、親の闘病期間中も、親が亡くなった後も、兄はあいも変わらず何もせず、親の介護・看病に加えて家事全般を妹が一手に引き受け、大変な不満を抱えていたのだとか。
しかも兄は兄で、折に触れ、「この家で働いているのは俺だけだ」などと威張り散らし、看病と家事に専念する妹をあからさまに下に見る態度をとるなどしていたそうです。生活費を妹に渡していたわけでもないにもかかわらず、です(親の看病期間中の生活費は親からもらっていたそうです)。
兄が幼すぎ、妹は自立心旺盛だった
おそらく妹としては、「本来ならば自分も東京でもっと働きたかったのに、こんな兄のせいでキャリアを中断して実家に戻らざるを得なかった」という気持ちもあったのでしょう。
結局、妹は再び東京でキャリアを積むことを決断。
幸いにも再就職活動はうまく行き、親の葬儀から半年ほどで再び実家を出て、それ以来、法事や親戚の結婚などを除けば、基本的に帰郷すらほとんどしていないのだそうです(その後妹は東京で順調にキャリアを積みながら結婚し、現在では家庭を持っています)。
残された兄は、家を出て行く妹に対し、「お前に何ができる」などと捨て台詞を吐いたわりに、相変わらず家事全般の生活力がなかったためか、独り暮らしをしつつも実家はあっという間に荒れ果て、ゴミ屋敷のようになってしまったとのことです。
この兄妹の場合は、幼すぎて生活力もない兄の面倒を妹が見ざるを得なかった、というものですが、血のつながった兄弟でも人間力に差があり過ぎると、やはりうまく暮らせないのかもしれません。
逆に、ある程度の自立心があれば、よほど特殊な理由(たとえば「生活費の高い東京で家賃を浮かすために姉妹で同居する」、「メチャクチャ仲が良い」など)でもない限り、たとえ血のつながった兄弟であったとしても、成人同士が同居するというのは、考え辛いところです。
親子も別人格…自立心は小学生くらいから芽生える
また、親子関係にあったとしても、同居がうまく行かない事例はあります。
そもそも親子は別人格である、という大前提を忘れてはなりません。
『ベネッセ教育情報』というウェブサイトの『子どもの自立心の芽生えと上手な子離れ【前編】』というページによると、人間に自立心が芽生えてくるのは女の子で小学3年生くらいから、男の子で小学5年生くらいからだそうで、子どもは心身の成長に伴い自己形成を行います。
早ければ中学生、そして高校生くらいになると、だいたい男女ともに十分な自立心が発達します。
子育て期の親御さんは、子どもが小さいうちは、公園だ、動物園だ、遊園地だ、プールだ、スキーだ、とあちこちに連れて行ってあげて、ヘトヘトになりながらもじつは子どもと一緒に楽しんだりしているものですが、子どもが大きくなると、子どもは自分で勝手に遊びに行きます。
首都圏にお住まいの方であれば、東京にある某巨大プール施設に行ってみるとわかりますが、親子連れは子どもが乳幼児か、大きくてもせいぜい小学生くらいであり、中学生以上になると親ではなく同性の友達同士で、高校生以上になると男女のカップルでやって来ているケースが圧倒的に多いです。
これもあくまでも個人的な感想ですが、やはり子どもは一定以上の年齢になると実家を出た方が良いのかもしれません。親がいない空間で独り暮らし(または学友との寮生活)をするというのは、自立心の涵養につながるだけでなく、人格形成にも大きな影響があります。
そして、心身ともに十分に成長し、自立してこそ、親子でもうまくやっていけるのではないかと思うのです。
誰かに依存する?それとも自立心がある?
ところで、自立心という関連でいえば、成人同士が同居してうまくやっていくためには、一定程度以上の生活力と自立心は必要でしょう。
先ほど紹介した兄妹の事例だと、兄の方に自立心(というか責任感)がまるでないのですが、(他人様のご家庭を詮索するのもおこがましいですが)想像するに、兄は独り暮らし経験もなく、親御さんと常に同居していたことが、「誰かに依存する」行動につながっていたのかもしれません。
この場合の「誰か」とは、親であり、妹でもあるのでしょう。
ただ、この兄妹の事例でもわかるとおり、本人の性格、あるいは独り暮らし経験の有無などにより生活力に格段の違いが生じてしまうこともあり、そのような場合、成人同士の同居の継続はなおさら不可能に近いです。
最近、YouTubeなどでは「大人同士の同居生活」というテーマでの動画なども見かけますが、これも「動画投稿のネタとしてわざとやっている」か、あるいは「とある理由でおカネがなくて仕方なしに同居している」など、やはり何らかの特殊な理由があるようです。
生活リズムの違いも生じてくる
もっとも、たとえ十分な自立心があったとしても、独り暮らしの期間が長くなると、今度は他人と暮らすのが難しくなる可能性があります。血のつながった親子同士であっても、それは同じです。生活のリズムというものができてくるからです。
こうしたなかで、ちょっと気になった話題があるとしたら、これかもしれません。
「いい加減にしてよ…」月収20万円・実家暮らしの長女、年金暮らしの両親と〈家庭内モラハラ戦争〉が勃発したワケ
―――2025/09/10 13:01付 Yahoo!ニュースより【THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)配信】
『ゴールドオンライン』が『Yahoo!ニュース』に配信した記事ですが、表題からもわかる通り、いったん家を出たものの「数年前に職場の人間関係に疲れ、心身の不調から一人暮らしをやめ」、実家に戻ってきた長女が、年老いた両親(とくに母親)との関係に悩んでいる、というものです。
どういう点に悩んでいるかについてはリンク先の記事で直接にご確認いただきたいいのですが、正直、違和感を覚える記事です。記事は娘さんの視点が中心であり、ご両親の考えがよく見えないからです。
もちろん、「心身の不調」を抱えている娘さんのお立場からすれば、お母様はもう少し娘さんの状況に配慮してほしいと思うかもしれませんが、それと同時にご両親の立場としては、37歳の娘が実家に戻ってきたことで、むしろ負担に感じている可能性はないでしょうか。
不満がある?ならば家を出たらよいではないか
ただ、個人的に覚える最も大きな違和感は、「不満があるなら、なぜ家を出ないのか」、です。
心身に不調を抱え、仕事も十分にできないのは確かに気の毒ではありますが、(少なくとも記事から判断する限りは)それはご本人の問題であり、ご両親の責任ではありません。たとえ子どもでも、成人した以上、自分のことは自分で責任を持つのがスジでしょう。
実際、記事ではこんな発言も出て来ます。
「両親も高齢になってきたし、家賃の負担がなくなることで少し気持ちにも余裕ができるかな、と思っていたんです」。
要するに、実家に暮らすのは純粋に自分自身の都合ではないでしょうか。「両親も高齢になってきたし」云々は「自分が同居することで親にもメリットがあるだろう」と自分を納得させるための言い訳にしか見えません。
しかも、記事によれば娘さんは毎月手取り20万円の収入がありながら、家に毎月3万円しか入れていないとのこと。家賃がかからない分、手取り20万円の収入があれば、3万円を差し引いても17万円残りますし、毎月数万円使ったとしても年間100万円少々は貯蓄に廻せます。
同居にはこれだけの経済的メリットがあるわけですし、親に住まわせてもらいながら親からの「モラハラ」に腹を立てるというのも理解ができません。「家族なんだから」という甘えと「私に干渉するな」という自立心は両立しないからです。
いずれにせよ、こうした事例を目にすると、やはり著者自身としては、成人同士が同居してうまくいくのは、夫婦やパートナー(同棲、事実婚など)などに限られるという持論の正しさに確信を持たざるを得ない、という次第です。
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経済力、生活力、どちらも独立できる大人同士は普通同居しない。同居するとしたら同居したいから、あるいは何か必要があるからで、そのどちらでもない単なる依存は言葉通り同居相手が手を差し伸べることが必要。
親子はだいたいの場合依存関係でずるずる続いたものが多いだろうから、支えが無くなれば単独で生活できないという論外な状況で介護などできるはずもない。兄弟に置き換わった依存関係も愛想が尽きれば続くはずもない。
そもそも自発的にやろうとすれば日々生活力が鍛えられてそのうちできるようになるだろうから、これは依存する側の精神的な問題という結論でFinalAnswer。
家は家内と猫が二匹と私です。子供達は自立しました。家内は私に自立して欲しいようです。
ブログ主様が時々取り上げるこのGOLD ONLINE。
以下URLはじめてアクセスしてみました。
https://gentosha-go.com/
キャッチフレーズは「富裕層の資産防衛メディア」。。。
うむ。自分は関係ないな。
ザクッと見出しを眺めてみました。
プレジデントオンラインとほぼ同じ胡散臭さを感じました。
どれも読む気にはならずページは閉じました。
やっぱり自分には関係ないメディアのようです。
ただ日頃マスコミ・メディアの製品である記事の品質について問題提議されるブログ主さまにしては、随分と程度の低そうにみえる、しかも真偽も怪しげな記事を真に受けたような論評をされるのは如何にも不思議です。
一体全体どうしたの?と思ってしまいました。
やっぱ東スポでしょ。
ネタとして取り上げてるんでしょ、知らんけど。
まーホモサピエンスの個体差に社会規範の地域差や文化的多様性なんぞ鑑みるに『同居が成立するのは奇跡的な組み合わせです』ナンテ云ふておいたほうが同居者へのリスペクトが…ゲフンゲフン
誘導してどーするヨ
知らんけど
なんだか納得がいきました。今は娘夫婦と孫とで住んでいますが、玄関は共通なものの風呂トイレ台所は別、もちろん家計も完全に別。私たち夫婦は既に引退済みで孫の生活の面倒を見ています。娘夫婦は二人とも総合職で毎晩遅く出張も多々ありますが、所謂パワーカップルで稼ぎはとても大きく毎月それなりの小遣いを「御礼」として貰っています。こんな家庭ですが婿殿が良い人で実に仲の良い家庭であると、ご近所や友人、娘の知人からも羨ましがられています。家庭の構成員全員が自分の役割を持ち、孫も大きくなってきて、彼等の生活を見る以外は没交渉。それ以外はたまに外食や家庭パーティくらい。双方が独立しているからこそ上手くいっているんだと実感しました。
訓練してないからできない。
それだけかと。
昔は磯野家みたいに、みんなでワチャワチャと
同じ時間
同じ空間
同じ話題
同じ番組
同じ食卓
を共有していましたが、徐々に失われています。
そりゃ家族ですら共有してないものを、他人と共有しようとすれば、難易度は高くなりますよね。
でも、慣れの問題だとしか僕には思えませんけどねえ。
慣れるまでが大変だからいやいやなんじゃい!という意見はわかります。
何においても慣れればどうということはありませんわな。
それにあたり慣れるためのモチベーションをどう得るのか…というところが難しさですかな。
ただ、それ以前に慣れる必要があるのか、という疑問に気づいて様々な回答を出した人達が多くなったのが現代なのでしょうね。
磯野家なんかはその時代そういう形が当たり前だった、と皆が思っていたのでそのまま過ごしていたのでしょうが、書籍→マスメディア→ネットと世界の情報により多く触れられるようになって、他の在り様を知れるようになって先述の疑問に思い至ることで多様化がどんどん進んでいるのだろうと思います。
これからは生成AIに人生の進路を尋ねて導いてもらうようになるのでしょうか…
今のような土地と建築費の高騰具合では、親子等で二世帯住宅を建てる方が効率的なように思います。また私たちの世代のように父親が働けば一家が立ちいくというものでもなく、女性もフルで働くほか有りませんよね。当家でも私から婿殿に「二世帯住宅にした方が良いのでは?」と提案し、それに賛同してくれたので実現したものです。Giveは孫の面倒見、Takeは多少の小遣いでしょうかねぇ。別段自宅介護じゃなきゃいやだとも思いませんし、女房とは「体の自由が利かなくなったら施設で過ごす」ことにしています。もちろん人生は多種多様で、親子仲が悪いならこんな事は出来ませんが、人生設計の一つの形だと思っています。
この手の記事を読むと、一定方向に偏った事例ばかりなのが気になります。
自分も所謂実家暮らしですが、自分の場合
身体的な事情で30過ぎまで職歴空白
本格的に働けるようになったのは30代後半
10年後の今は年収1000万(個人事業主なので、青色申告控除前の額が1000万越えたり越えなかったり。多分今年は越える)
ですが、
こういったケースが出てこないのが気になります
どちらかというとレアなケースなのかもしれませんが、世の中にはいくらでもあるでしょうし、色んなケースがあるはずなので、一定方向の事例だけでなく、色んな方向の事例を取り上げて欲しいものです。
>色んなケースがあるはずなので、一定方向の事例だけでなく、色んな方向の事例を取り上げて欲しいものです
ならばご自身の事例を読者投稿してはどうですか。
たしかこのブログって読者投稿?っって言うのを受け付けてませんでしたっけ。
言葉足らずですみません。
このサイトに限定した話でなく、
実家暮らし全般の記事として特定方向に偏った事例ばかり取り上げて
訳ありで長い間働けなかったけど、そこから社会復帰した人間とかは存在しないかのようなところが気になるのです。
もしかしたら、そういった人間は存在していてはいけないのかもしれませんが。
個人ブログに何注文付けてんの。
そんなに鳥揚げてほしけりゃ自分でブログでも作れっつーの。
X 鳥揚げ
O 取り上げ
家に主人が二人いるようなもんですからね
うまくいくはずがありません
男の子を育てるには手がかかりますね
特に長男には、帝王学張りのリーダー教育が必要なように思います。