叔母夫婦の介護問題直面の「私」さんが見る高齢化社会
少子高齢化の影響でしょうか。子供のいないご夫婦、あるいは生涯結婚しない人などが増えてくれば、高齢化したときに誰がその手助けをするのかというのは大きな問題となり得ます。こうしたなかで、『婦人画報』というウェブサイトに、ちょっと気になる記事が配信されていました。
目次
出生数が初の70万人割れ
「少子高齢化」。
この表現、ニューズサイトに掲載されない日はないというほど、社会的な関心が高まっていることは間違いありません。
なんといっても先日、厚労省から公表された『人口動態統計月報年計』で、2024年を通じた出生数が68万6061人と統計がある1947年以降で見て初の70万人割れを起こし(図表1)、過去最低を更新したことで、一部メディアは「社会保障の持続可能性」を巡る疑義を提起しているほどです。
図表1 出生数
このあたり、あくまでも個人的感想を述べると、生まれてくる赤ちゃんを「社会保障」、すなわちその多くは高齢者の福祉の労働力として期待しているというのはおかしな発想だとは思いますが、それでもこの日本社会を維持していくことが、これまでと比べて難しくなるであろうことも、また間違いなさそうです。
これについて著者自身は、年金にしろ健保にしろ、賦課方式を前提とした制度設計自体が行き詰まっているのではないかと考えており、とりわけ年金については『年金国債発行で積立方式に移行し厚生年金は廃止すべき』でも述べたとおり、積立方式への速やかな移行が必須だと考えている次第です。
このあたり、あまり時間的な余裕はありませんが、政治家の皆さんにメッセージは届くのでしょうか?
気になるところです。
AI化やロボット化が助けてくれる…かも?
いずれにせよ、現在のようなレベルでの社会保障は持続できなくなる可能性が高いものの、著者自身は、じつはそこまで悲観的ではありません。人口減少社会になれば、たしかに働き手も減りますが、介護などのサービスを受ける対象者も徐々に減っていくからです。
うまく技術進歩が間に合えば、AIやロボットといった労働力軽減技術の導入が進むでしょうし、そうなった場合には社会は崩壊せず、「ソフトランディング」が望めるかもしれません。
重要なことは、現在の制度をいかに破綻させず、円滑に移行させるか、という点ですが、そのための障害となり得る要素(抵抗勢力)をいかに除去していくか、あるいは国民的なコンセンサスの円滑な形成を妨害する不正確な情報源をいかに論破していくか、だと思っている次第です。
子どものいない叔母夫婦の面倒を見ることになった「私」
さて、こうした「将来の社会像」については他稿にてまた改めて議論するとし、本稿では普段と少しだけ趣向を変えて、私たち個人というレベルで、いかに「エンディング」に向けて準備していくかが大切だ、という点を考えてみたいと思います。
ここで紹介したい、ちょっと気になる記事がありました。
子なし叔父叔母夫婦の介護「なぜ私が?」家の名義人は40年前に亡くなった大叔父、“負の遺産”となりうる住宅の諸手続きに奔走
―――2025/06/08 19:01付 Yahoo!ニュースより【婦人画報配信】
記事は途中までしか転載されておらず、また、転載元の『婦人画報』ウェブサイトの記事も有料会員登録しないと最後まで読めないようです。
ただ、無料で読める文字数は3000文字弱、といったところですが、それでも少子化社会がもたらすであろう問題点が示されているという意味では、なかなかに興味深い事例です。子供がいない夫婦の生活支援や介護といった役割を、甥や姪といった親戚が担う事例が出てくると考えられるからです。
記事の事例は「私」(おそらくは女性)さんが子どものいない叔母夫婦の面倒を見ざるを得なくなった、というものです。記事の前段が省略されているのか、「私」さんが彼らのとにかくさまざまなトラブルに巻き込まれていく、というストーリーです。
ところどころよくわからない点もあるが…なかなかに大変
「私」さんから見て、叔母は「実母の妹」とのことであり、血縁関係はあるのですが(三親等)、その配偶者である叔父に至っては、血のつながりはありません。
叔母さまが先に亡くなるような事態が生じれば、、「私」さんは「一度も会ったことのない叔父側の親族」を訪ねて歩くなどの手間までかかるのだとか(※このあたりのくだりについては、著者自身はいまひとつよく理解できませんでした。「私」さんに相続権が発生しているなどの事情でもあるのでしょうか?)。
いずれにせよ、記事の中では運転免許証の更新ハガキを含めたさまざまな重要郵便物が放置されている、健康保険証、定期預金・保険会社・投資信託などの通知などが放置されている、不動産の名義が古いままで放置されている、といった具合に、本当にさまざまなトラブルに巻き込まれていく、というのです。
やはり、誰にも訪れる老化という現象で、体が動かなくなる、認知機能が衰えるなどしてくれば、徐々にさまざまな人の支援がなければ手続ひとつできなくなっていきます。
行政の効率化と円滑化は必要だが…
このご時世、お子様がいらっしゃらない夫妻、あるいは生涯結婚しない人(図表2)も増えていることなども踏まえると、社会制度として、行政の効率化・円滑化は必要です。
図表2 生涯未婚率の推移
(【出所】内閣府男女共同参画局)
とりわけ不動産の所有権に関する登記、銀行預金の名義変更など、さまざまな手続が煩雑です。
ただ、いくら行政手続を円滑化したとしても、結局は個々人がどのような意思表示を残すかが重要でもあります。
このあたりも、「結婚して子供をたくさん作る」のがある意味で当然だった時代と比べ、さまざまな法制度が整っていないことの実害が生じはじめているといえるのかもしれない、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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うちも似たケースですね。
田舎暮らしをしている私の嫁の母の姉夫婦(伯父伯母)がおりますが子がなく、先年伯父が亡くなりいろいろと影響がありました。私らとは血縁のない伯父方の親類は少なく甥が一人当地近くの都市部におり、亡くなった際の葬儀や登記の整理をしてくれましたが、残った伯母とは血縁が無いため今後はなかなか頼ることもできず、今後は遠く離れた私ら夫婦で何かと支援が必要になりました。
今後、子のいない伯母が突然亡くなれば、全国に散らばる法定相続人(伯母の兄弟とその子)との遺産分割協議が必要になります。相続放棄はしても現実的には結局放置するわけにも行かなさそう。当の伯母にもその認識はあるものの認知機能の衰えもあって遺言書の用意など話がなかなか前に進みませんでした。
まあそこでいろいろ考えた結果、伯母も了承の上で養子縁組をして私の嫁が叔母の娘となることとしました。伯母の死後はたった一人の子である私の嫁が独断でほとんどの手続きを処理できるようになりました(はず)。
養子縁組は婚姻届と同じく、役所に紙一枚提出するだけなんですよね。放置しないことを覚悟するならそれが一番早いと思います。
そう言う私ら夫婦にも子がいないので、甥姪たちとは良好な関係を保っています。いや、決して打算的にというわけではなく。(笑)
まず、学校が気になりますね。
このグラフに相関する形で、学校数、教員数、関係官庁数は減っているのかな?
昔は無かった塾、予備校、スポーツ教室、なんかもあるし、こども家庭庁なんてのもあるし、仕事が無いんだからさぞかし劇的に減っているような。
え?減ってない?
分子は減ってるのに分母はそのまま?
なんて生産性が低いんだ!(笑)
「しおん」様のコメントが読めないようです。
何か規制に引っかかっているのでしょうか….
戸籍離脱すればなんとかなるのではないかと思うしだいであります。
さっさと相続放棄するのが吉でしょうが、それはそれで『アイツは”負動産”から逃げやがった』と親類縁者が謗ってくるかもで、一筋縄ではいかないところかと。