せっかくのインタビューだが…見えぬ石破氏の経済政策
トランプ関税に物価高…。人々の生活が苦しさを増す中で、もともとわが国の税・社保が高すぎるという問題があるわけですが、こうしたなかで石破茂首相に対し、島根県のテレビ局が独占インタビューを実施したようです。ただ、せっかくの記事ですが、全文読んでも肝心の石破首相の経済政策とやらが、ほとんど見えてきません。少なくとも減税をするつもりはなさそうですが、自民党がここまで減税を拒絶するのを見ると、却ってすがすがしいほどです。
目次
今年のゴールデンウィークの連休ぶり
いわゆる「ゴールデンウィーク」も本日でいちおう終了です。
といっても、一般的な会社員や公務員などのように土日祝がカレンダー通りに休みになるという事例だと、7日から9日まで有給休暇を取れば、11日までさらに休みが続くため、そういう人のなかには、「まだゴールデンウィークだよ」、という例もあるのかもしれません。
つまり、今年に関しては4月28日(月)、30日(水)~5月2日(金)、5月7日(水)~9日(金)の合計7日間の休みを取れば、4月26日(土)~5月11日(日)、と、ほぼ2週間以上の休みが取れた計算です。
一部の金融機関や役所などでは従業員や職員に対し、年1回・1週間連続の職場離脱を義務付けていることが一般的ですので、こうした事例だと、まさに休みの取り方をうまく考えれば、かなり長期間の休みを取ることができる、ということでしょう。
その気になればまとまった休みを使って海外旅行を楽しむ、といったことも(スケジュールの上では)十分に可能です。
旅行に行かない?最近の人たちの年収の使い道
ただ、最近だと残念ながら円安に加え、海外(とくに米国など)では物価高の影響もあり、決して旅行がしやすいという状況にもないのかもしれません。
というよりも、著者自身が若いころと異なり、最近の若い人たちは多くの場合、給料やボーナスで車を買ったり、旅行に行ったりするわけでもないようです。ちょっと調べてみたのですが、年収600万円・独身・扶養親族なしなどのケースだと、もらった年収の使い道は次の通りです。
年収600万円の人の使い道
- 1位:厚生年金 549,000円
- 2位:住民税 305,300円
- 3位:健康保険 297,300円
- 4位:所得税 197,000円
ちなみに広義の社会保険料(厚年、健保、介護の3保険に雇用保険を合計したもの)は927,000円、所得税、住民税(※森林税含む)、復興税の合計が506,437円ですので、合計すると1,433,437円ほど天引きされ、手元には4,566,563円しか残らない、という計算です。
また、この「年収600万円」の人のために、雇用主(会社など)は社保を別途927,000円支払っていますので(いわゆる「社会保険料の雇用主負担分」)、「年収600万円」と言いながら、この人が実質的に稼いでいるのは6,969,600円、実質的な天引き額はなんと2,403,037円(!)なのです。
そりゃ、これだと旅行に行く気をなくしますね。
なお、「いつものアレ」を貼っておきましょう(図表1~図表4)。
図表1 人件費と年収と手取りの関係(年収300万円の場合)
図表2 人件費と年収と手取りの関係(年収600万円の場合)
図表3 人件費と年収と手取りの関係(年収1200万円の場合)
図表4 人件費と年収と手取りの関係(年収2400万円の場合)
(【出所】当ウェブサイト作成。試算の前提は本文参照)
石破首相がテレビ局のインタビューに応じたが…
さて、ゴールデンウィーク中といえば、政治家の皆さんも国会日程がとりあえず休みとなるため、メディアのインタビューなどを受ける機会も増えるという傾向にあるようですが、こうしたなかでちょっと珍しいと思ってしまったのが、こんな記事です。
【石破総理単独インタビュー】トランプ関税など難局どう乗り越える…「安易に妥協しない」慎重に交渉続ける
―――2025年5月5日17:45付 FNNプライムオンラインより【TSKさんいん中央テレビ配信】
『TSKさんいん中央テレビ』(島根県松江市)というメディアが、なんと、石破茂首相ご本人に対して直接、インタビューを行ったのです。石破首相自身は鳥取1区の選出であるため、島根県に本社を置く同局は、石破氏にとっては地元のメディア、ということなのでしょうか。
リードによると石破氏が同局の単独インタビューに応じたのは2日付で、リード文にはこうあります。
「外交ではトランプ関税、国内では政治改革や物価高騰対策などへ対応を迫られ、『内憂外患』とも言える状況の中で、どのような打開策を描くのか直撃しました」。
これは、個人的には非常に興味深い論点です。
トランプ関税や物価高対策と来れば、やはり最も即効性が高いのは、なんといっても減税、あるいは税・社保の減免だったりするわけだからです。
石破さん、結局何が言いたいんですか?
ただ、結論からいえば、石破氏の経済政策については、この記事の全文を読んでも、なんだかよくわかりません。
トランプ関税については赤沢亮正・経済再生担当大臣が先日、2回目の日米交渉を終えたばかりというタイミングであり、具体的な中身については現時点でなかなか言及が難しいところではありますが、その一方で政府が先月25日に決定した緊急対応策については、こんな記述があります。
「地方経済への影響も懸念される中、政府は4月25日に緊急対応策を決定。/影響を受ける中小企業の相談体制の強化や、資金繰り、雇用維持と人材育成などの支援強化策を盛り込みました。」
「石破総理:/『短期的に資金繰りが厳しいこともあることは予想されるわけで、そうすると融資のいろんな要件を緩和します、あるいは撤廃しますということもあります。ありとあらゆる相談に乗る体制は即座に整えて参りました』」
インタビューの中で言及した経済政策っぽい記述といえば、実質的にはこれだけです。
このうちのとくに、「融資のいろんな要件を緩和・撤廃しました」、のくだり、思わず「はぁ?」と反応した人も多いのではないでしょうか?
ちなみに『TSKさんいん中央テレビ』の記事の末尾は、こんな具合です。
「石破総理は、関係閣僚に対し、地域のニーズを拾い上げ、政府と共有するよう指示。今後、地域の実情にあった支援策を的確に打ち出していけるか、その実行力が問われています」。
なかなかに驚く認識です。
現在は、「実行力が問われる」とかいう段階ではないと思われるからです。
正直、税や社保に持って行かれ、可処分所得がゴリゴリ削られてしまっているなかで、さらにその可処分所得から消費税や自動車税、ガソリン税、再エネ賦課金、NHK受信料などが徴収されていくなかで、物価高にいかに対応するかが悩みどころ、というわけです。
正直、石破首相には国民の物価高にどう対応するのかという具体的なビジョンが見えてこないなかで、口の悪い人に言わせれば「無為無策」との表現も口を突いて出てくるところでしょう。
すがすがしいほどに減税を拒絶する現在の自民党
もっとも、著者自身は最近、個人的には「何事も考え様」だと思っています。
自民党にもさまざまな考えの政治家がいるなかで、逆に石破首相が党総裁として、宮沢洋一税調会長あたりに権力を握らせ、頑なに減税を拒絶しているのを見ると、故・安倍晋三総理大臣の時代に自民党を支持していたような層は、ある意味「安心して」(?)自民党以外の政党に投票することができるかもしれません。
現在の自民党がここまですがすがしいほどに頑なに減税を拒絶するのを見ていると、やはり自民党内でも現在の石破体制を支えている人たちが基本的には非ネット層をターゲットにしていて、ネット層、勤労層からの支持を獲得するのを諦めているようにしか見えません。
その一方で、国民民主党が旧民主党系の政党でありながら「手取りを増やす」を引っ提げ、岩盤保守層にも支持を伸ばそうとしているのを見ると、やはり「SNSありき」「政策ありき」がこれからの時代の選挙の戦い方のスタンダードになっていくのかもしれません。
あるいは今夏の参院選は「SNS層・現役勤労層」対「テレビ層・非勤労者層」というのがひとつの対決軸に浮上するのではないでしょうか。
この見立てが正しいかどうかは、おそらくは遅くとも3ヵ月以内には判明していると思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
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石破政権退陣後の日本政界=「アフター石破」
これを織り込み済みで近未来予想を建てながら国内も近隣国も動いている気がします。
>「アフター石破」
アフターは、た抜きオヤジの ゆめのあと
*「アたフター石破」現在進行中・・!
なのかと。
・・・・・
>石破さん、結局何が言いたいんですか?
延々と抽象論を聞かされたであろう記者の心中を察します。涙
ダメ、絶対
支持率20%台を忘れるな
岸田ノー、ノー岸田
口内炎を「アフター」っていうんですよねぇ。
あれ痛いです。
望みもしないのに勝手に出現し宿主に苦痛を与える。
でも2〜3日で快方する。
石破政権もはよアフター石破となり、その際に多少の混乱はあろうともその後はスッキリ快方に向かってほしいものです。
>参院選は「SNS層・現役勤労層」対「テレビ層・非勤労者層」というのがひとつの対決軸
3年おきの参院選、間にはさまったり同時にあったりする衆院選。何回かの選挙を経て、前者の勝ちかかなと思います。2025/2028/2031年の参院選を経たころまでにはと期待してます。
数年以内かな?
欧州のような連立政権の時代になるのか?
財務省主導の立憲–自民党だけはごめんだ。こんのなの国民に対する官僚のクーデターみたいなものだと思う。
参院選千葉は、自民2、立憲1の構図。今回、国民民主党候補があるので自国立が1人づつになりそうな気がします。
今回も期日前投票!
この単独インタビュー、TV局の元記事を読みましたが、実際はどの位の時間だったのか、記事に載っていないところでは何をかたっていたのか、気になります。
なお、島根県と鳥取県の民放は2県共通となっていますので、山陰中央テレビは”隣県の放送局”ではなく地元の放送局となります。
山陰中央テレビから配信されているニュース、大半は動画付きなのですが(「GW最終日の山陰地方はいったん天気回復」ですら動画有り)本インタビューは画像と文章のみです。
鳥取県出身では初、島根鳥取両県あわせても3人目の首相への、地元テレビ局の単独インタビューにしては何とも薄味な感じがします。いちおう、長時間(かどうか判りませんが)にわたるインタビューから、内容の濃い部分を抽出した記事なのでしょうかね….
石破総理は、地元の島根県テレビとのインタビューが、ネットで全国放送(?)されるとは、思っていなかったのではないでしょうか。(石破総理は、地元メディアだけなら分かってくれる、と思っていたのではないでしょうか)
(邪推すれば)総理としての資質を欠く不見識・想像力の欠如、ですわ
信頼できるブレーンがおそらく官僚だけで 本人は上位下達をお好みの様子
官僚や幹事長、前総理の傀儡に見えているなど ゆめ気づいてもいないでしょうなあ
石破総理は常に何がしたいのかわからない、おそらくは責任をとらずに済むようにボカして無為な時間で任期を全うするのが優秀な政治家だと考えているクチかと推測していますが。
氏で唯一、「政治家としてこれをやりたい」と聞いた覚えのあるのが、国防軍構想でしょうか。たしかに防衛庁長官などではなく総理にでもならなければ不可能でしょうし、安倍総理も成せなかった大変革です。自衛隊員の待遇改善をしろというのはよく聞かれますが、報酬や装備だけでなく、社会的・法的地位も問題ですし。
でも総理になってから表立ってこれに向かっている形跡はなく。ましてや自衛隊を国防軍にするには
・複雑な制度変更手続きどころか下手すれば憲法改正が必要で
・何よりもとにかく財源が無い
・無責任な人気とり
・周辺国への配慮がなんたら
と、かたっぱしから何にでも効く立憲の名手達もビックリな威力のZブーメランを投擲済みです。上記の万能言い訳をしてしまうと、万能故に本当になーんにも出来なくなる。(軍事だと中韓への配慮はむしろどうでも良いが、米軍他との協調をどうするかが関わってきて、そこで石破-トランプの信頼の無さが痛すぎる。)
今回のインタビュー、いつも通りに「長々丁寧に語るけどその実何も具体性が無い」で行ってむしろ正解なのではとすら思います。「財源無いんでしょ?」「手続き複雑で無理なんでしょ?」等々と絶対にツッコまれるので。
元から総理としてやりたい事がない「なりたかっただけの人」ですしこんなもんですよ。
石破って昔から何言っているかわからない人だったので平常運転()
NHK受信料は半減。いや30%迄削減してよい
Eテレと防災関連だけでよい
先日のクルド人フェイク番組で完全に見放しました
ひだりの人になっていますね
職員家族にもどのように説明しているのかしら
サラリーマン(ウーマン)の宿命なのよ。
でしょうか
家族としては恥ずかしいでしょうねえ
「総理、経済対策はどのように実行されますか?」
「ええ、それは後任の岸田君に一任してあります」
「石破」という個人においては「総理大臣」と云う肩書を手に入れた今となっては特段に何かを頑張る必要はないはずです。
「石破」という個人は、安全保障目的でフィリピンあたりまで出かけて行ってばら撒きをやったまでは良いものの、尖閣は支那共産党の領土宣言を受ける格好になっています。つまりは、国家すら満足に守れない「石破」という個人が、この国を率いているのでありますが、オールドメディアで放送された 「石破」という個人は、「総理大臣」の格好がTVに写し出されて、その点において「有意義」であったと云う氏の発言程度には至極単純な思考の持ち主だと考えます。
「経済政策」においても、抑々が「石破」という個人が経済についての考えを持っているのでは無いのですから、何がやりたいのか見えなくて当然です。
「石破」という個人でなくとも、自民党の政治は増税に増税を重ねては理由をつけて浪費するというものですから、「石破」という個人の経済政策が全く見えないのも当然といえば当然のことであって、つまりは、「自民党、公明党の浪費政治」に支配されていると考えるのが妥当でありましょうから、この点においても「石破」という個人の経済政策が見えないのは当然の事であります。自民党は増税と浪費が持続可能である人物を選んだと、こういうことです。
「増税をしては浪費を重ねる」、「国の借金を爆増させる」、「馬鹿の壁を作る」程度の知恵の持ち主である自民党と公明党を据えておいて我々の暮らしがどうなるのかといえば、我々の手取りが増えない点を考えても、最早、外国からの信用なども得られなくなるでしょう。
稼ぎ出せない国家の国民を誰が信用するのかとうことです。
>稼ぎ出せない国家の国民を誰が信用するのかとうことです。
以下へ訂正します。
稼ぎ出せない国民が揃っている国家を誰が信用するのかということです。