「厚生年金は欺瞞」…この表現を謹んで撤回いたします
年金制度の問題点は、二重負担(雇用主負担)や応能負担、給付制限など、さまざまなものがあります。当ウェブサイトでは先日、厚生年金という仕組みを「欺瞞」、などと称してしまいましたが、本稿において謹んでこの「欺瞞」という表現を撤回します。「欺瞞」だと表現として生ぬるいからです。現実には官僚機構が作り上げた国家的ネズミ講、あるいは詐欺の仕組みと称した方が正確ではないでしょうか。
目次
給与明細に何が掲載されているか
当ウェブサイトでこれまでに何度かお伝えしてきたとおり、わが国は知らぬ間に重税大国となっているようです。
そのポイントのひとつが、社会保険料の会社負担分という論点です。
会社で働いている方であれば、多くの場合、毎月の給与明細を見ていただくと、こんな項目が目に付くはずです。
- 総支給額
- 厚生年金
- 健康保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 源泉徴収
- 特別徴収
会社によって微妙に用語が違うこともあるかもしれませんし、人によっては「組合費」「財形貯蓄」「厚生年金基金」など、上記以外の項目が天引きされているケースもあるかもしれませんが、世の中の一般的な勤め人であれば、たいてい、上記の項目は控除されているはずです。
現実の制度は非常に複雑
このうち総支給額とは、「給与、賞与、諸手当、通勤費、出張手当」など、名目のいかんをとわず、あなたに支払われるおカネ全般のことをさします(ちなみに通勤費や出張手当は多くの場合、非課税ですが、通勤費は社保の計算上の「標準報酬月額」の計算には含められるという、なかなかに意味不明な制度です)。
これに対し、厚生年金、健康保険、介護保険(※40歳以上)の3者は標準報酬月額に応じて決まる「保険料」とされる部分であり、また、雇用保険は総支給額の0.6%が一律に徴収されるという仕組みです(※ただし、会社役員などは雇用保険には入れないこととされています)。
また、源泉徴収税額は所得税と復興税、特別徴収税額は住民税ですが、源泉徴収税額がその月の総支給額から社会保険料を除いた額をベースに決まるのに対し、住民税は前年の所得に応じ、その年の6月から翌年5月にかけて徴収される、という仕組みです。
しかも、社保の標準報酬月額は毎月の給与にきれいに連動するわけではなく、毎年4~6月の給与に基づいて改定されるため、監査法人のスタッフのように「毎年4~6月の給与が残業代で上昇する」という人の場合、年収と比べ、無駄に高い社保を負担させられることになります(著者自身がその被害者でもあります)。
すなわち、社保(厚年、健保、介護、雇用)と源徴(所得、復興)、特徴(住民)はそれぞれがその人の月収と完全にうまく連動しているわけではなく、残業代が計上された時期などによっては、同じ年収なのに「4~6月の給料が高かった人」ほど損をする、といった仕組みでもあるのです。
このため、当ウェブサイトで年収と社保、諸税のめやすを掲載することがあるのですが、その掲載した「めやす」と自分自身の手取りに大きな差があると思われる方は、まずはこの「残業代などが付く時期が偏っていないか」、といった点を調べてみることをお勧めする次第です(経験者談)。
「厚生年金は欺瞞」の表現、謹んで撤回します。
さて、それはともかくとして、日本の社保システムのうち、とりわけ厚生年金について、当ウェブサイトでは先日の『議論の「可視化」はSNSの功績』のなかで「欺瞞」と述べてしまいました。その理由は、次の通りです。
厚生年金が「欺瞞」といえる理由
- 応能負担…高収入ほど支払額が増える(※上限あり)
- 給付制限…高い保険料を負担するほど還元率が落ちる
- 強制加入…会社員は脱退できず事実上強制徴収される
- 二重負担…雇用主が本人負担分と同額以上を負担する
- 情報隠蔽…雇用主負担分は年金定期便に記載されない
ただ、これを「欺瞞」と呼んでしまったのは、冷静に考えて、やはり不適切でした。謹んで撤回します。
その理由は、「欺瞞」だと表現としてあまりにも生ぬるいからであり、現実には「欺瞞」というレベルではないからです。正しくは厚生労働官僚や財務官僚らによる国家的ネズミ講、いや、国家的詐欺の仕組み、とでもいうべきでしょう。
以前から何度となくお伝えしている通り、著者自身は「累進課税」や「応能負担」などの考え方を、無碍に否定するつもりはありません。同じ公共サービスを受けるならば、負担力が高い人ほど、そのコストを余分に支払うというのは、べつにおかしな考え方ではないからです。
これが行き過ぎれば社会主義、あるいは共産主義と類似してくるわけですが、あまり極端にならない程度の累進課税であれば、高所得者でも多くの人は納得することでしょう。
日本年金機構の事務能力処理の欠如はピカイチ
しかし、わが国の年金、健保などの場合は、私たち従業員の目から見えないところで、雇用主が同額以上を支払わされている、という問題点があります。すなわち、あなたの目から見て、会社が支払った保険料は完全に隠蔽されており、たとえば「ねんきん定期便」などを見ても、会社負担分の情報が完全に隠蔽されています。
いや、「隠蔽されている」のではなく、単純に年金事務所の怠慢で記載が漏れているだけ、という可能性もあります(会社経営をしている人ならばわかるかもしれませんが、なにせ、旧社保庁、今の「日本年金機構」の職員の事務レベルの低さは数ある公務員のなかでもピカイチです)。
いずれにせよ、労働者から見て、日本の社保負担は、少なくとも給与明細に記載されている額の2倍以上である、という事実については、もっと知っておくべきではないでしょうか。
しかも、わが国の年金や健保などの社会保険の大きな問題点は、それだけではありません。
累進課税や応能負担とともに、所得制限や給付制限を実施することにあります。
先日の『年金は保険料と受給額が反比例する高年収層からの搾取』などでも指摘したとおり、厚生労働省が公表している「公的年金シミュレーター」で年収ごとの将来受給額を試算してみると、年収が上がる(=支払う保険料が増える)ほどに、受け取れる額の割合が減ることがわかります(図表)。
図表 年金保険料と受給額の関係
(【出所】受給額は『公的年金シミュレーター』、年収ごとの支払額は東京都政管健保・2024年3月以降適用料率を使用して試算)
これは、さすがに酷い話です。
累進課税と応能負担に所得制限と給付制限を加える愚
もちろん、これに対しては、「公的年金の存在意義は最低限の給付を保証することにある」、といった擁護をする人もいないわけではありませんが、かなりの無理があると断じざるを得ません。所得の再分配は「保険」ではなく「税」で実施するのが筋であり、これを「保険」と呼ぶこと自体がすでに論理破綻です。
厚年の負担は労使折半方式であること
給与明細に表示されているのは社保の労働者負担分のみであり、雇用主負担分は見えないが、実質的には雇用主負担分も本来ならば労働者に対する給与となり得た額であること
積立方式ではなく賦課方式であること
各人とその雇用者が支払った額が運用されて将来還って来るのではなく、各人と雇用者が支払った額は基金に収納されてしまい、混同(コミングル)されてしまうこと
応能負担と給付制限が強すぎること
生年によっては支払った保険料よりも受け取る年金額が多い一方、上記で確認したとおり、生年と年収区分によっては支払った保険料に対し受給額が低くなり、保険料が還って来る見込みはほぼないこと
強制加入が義務付けられていること
厚年は一定要件を満たした場合の強制加入が義務付けられており、脱退が許されず、金額も収入に応じて一律に決められてしまうこと。このため、「厚年から脱退して国年に加入し年金額は自分自身で運用する」などの選択審がないこと
ほかにも、「後出しで制度が変更されること」など、様々な問題点があるわけですが、端的にいえば持続不可能な制度をむりやり継続するために、現時点でも額面給与の18.30%というメチャクチャな料率が徴収されていることの不合理を今後も続けるのか、といった論点ではないでしょうか。
いずれにせよ、この年金問題も、健保問題(高額療養費の上限大幅引き上げ)や「年収の壁」問題と同様、現在の制度自体が「取れるところから取る」を官僚機構が追求し続けたことの弊害そのものであり、もはや持続することは許されません。
国民的議論に発展してほしい
ただ、この「社保の取られすぎ問題」にここまで多くの人が注目するようになったのも、結局のところは昨年秋の衆院選で、(ややもすれば泡沫政党に近い存在だった)国民民主党が「手取りを増やす」を旗印に選挙を戦い、勢力を一挙に4倍増させたことがきっかけといえるかもしれません
国民民主党の現在の主張は、どちらかといえば基礎控除の引き上げなど所得税や復興税、地方税の議論が中心ですが、しかし、入口段階として「年収の壁引上げ」を実現すれば、次に必ず出てくる論点が、「社会保険料の取りすぎ問題」です。
保険料を多く支払ったからといって、将来、多く受け取れるわけでもない(むしろ多く支払った人が払い損になる)年金、健保といった仕組みは、すでに保険の体をなしていませんし、保険と名乗る資格すらありません。
なにより、中間層が累進課税、応能負担、所得制限、給付制限のコンボにより低年収層と実質的な可処分所得があまり変わらないという状況は、国民の勤労意欲を著しく削ぎますし、現役層の可処分所得を積極的に減らすことで将来の成長の芽を摘んでいるのと同じ状況が生じているのです。
この構図に、ひとりでも多くの日本国民が気付くことを願ってやみません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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社会保険料も、NHK料金も、法律で義務付けされているから、ごたくはどうあれ納税者からすれば要するに「税金」ですよねえ。
そういう意味では、玉木がいう
「手取りを増やす!」
(=名前は違うけど納付必須の支出を差し引いた残額を、増やす!)
というキーワードはタイムリーなのかも、ですね。
そもそも税金や保険などの徴収を税務署、厚労省、地方自治体、などバラバラで行っていること自体おかしいですよね。これは早く歳入庁と歳出庁にわけてシンプルにしないと、保険料が足らない、年金が足らないと省庁の都合でアップしていきます。即、財務省を解体する必要が迫ってきています。
その上、政治家の実績を増やすためだけに作った子供家庭庁のようなところもお金が欲しいと増税していきます。
政府は国民はお金の成る木と勘違いしていると思います。
Wikiではこうなってる。
賦課方式:現役世代が払った保険料をそのまま高齢者に支給する方式
積立方式:現役時代に払った保険料を積み立て、老後にそのお金を受け取る方式
年金積立金がある状態でこの2つの違いは何なんだろうといつも疑問に思う。
実際に年金基金に入っているカネと出ていくカネに別の色がついているわけではない。
在庫の評価で先入先出と後入先出があるが現実の在庫の流れとは無関係だ。これと同じような概念的なことを言っているのだろうか。
賦課方式を仮定すると私が長年払ってきたカネは私の上の世代に使われ、今もらっている年金は現役世代の払っているカネをもらっているということになる。であれば年金基金に現在あるカネはだれの払ったものなのか。
この仮定は到底受け入れられない。なんで私が見ず知らずの上の世代のために安くない年金保険料を払わなければならなかったのか。なんで現役世代のカネを使わなければならないのか。
sqsqさま
厚生労働省サイトで説明されています。
https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/manga/05.html
いろいろと説を並べて厚生労働省は「賦課方式をベースにした現行モデルが正しい」と説明しているわけですが、人口減少している日本において賦課方式は制度疲労を起こしていると思います。
積立方式を基本として、賦課の考え方(相互扶助)は税金で行う方がすっきりします。
>年金基金に現在あるカネ
運用益では。
去年の残高で219兆円あるそうです。
平均年収を500万円として、元が取れるのが20年(以前の記事https://shinjukuacc.com/20250121-02/)~85さい~凡そ寿命から、支払総額4000万円と考えるとざっくり500万人分ですね。
老人の人口は年6万人くらい増えているようですが、
年金の運用利回りを物価上昇+1.2%くらい実現できると、老人人口の増加分が利回りだけで吸収できてしまう・・・実は破綻しないのでは?
https://www.gpif.go.jp/operation/the-latest-results.html
年金運用は運用益が153.6兆円あるんですね。219兆円の少なくとも3/4は運用益ですね。年間の社会保険料収入(支出)が70兆円くらいなので、残りの60兆円のある程度は出入りの時間差かな。デフレの期間を含み年平均の利率は4%を超えるので年間20万人分の支払いの元手が増えているんですね。
>年金運用は運用益が153.6兆円あるんですね。219兆円の少なくとも3/4は運用益ですね。
運用を始めた2001年時点にあった年金資産はどこ行ったのかな?
元手なしで運用始めたわけではないと思うけど。
期首残高+累積運用益+年金保険料収入ー年金給付-年金事務費=残高ではないのか
https://www.gpif.go.jp/operation/succession-fund/
その近くのページの表の中に書いてありますよ。
(参考)承継資金運用勘定の推移 より
2001年時点の資産(借入残高)は24兆3006億円
だそうです。
失われたデフレの20年の間にすごく増やしましたね。
すなおに賞賛を送りたいと思います。
24兆円の元手から20年で153兆円の運用益。
事実ならすごいことだね。
匿名様がおっしゃる年間の年金給付が70兆円なら2001年のスタート時に4か月分(21/70 x 12)の年金を給付できる積立金しかなかったということか。
すいません
年金積立金そのものは147兆円@2001年ですね。
24兆円は、その当時の運用部で持ってた運用分。
その後運用部で一部だけ運用するのでは無く全部運用する様になったので、153兆円の運用益の種銭は147兆円が正しそうです。
なお、2001年の支給総額は40兆円くらいですね。
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/18-2/kousei-data/siryou/xls/sh1100-01-b3.xls
応能負担、何にも負担しないのに同じサービス受けてるの逆。
週何回かゴミを集めに来るが、住民税を払わない家のゴミももっていく。
いささか危険な香りがしまするナ
幸いにして当方未だ住民税非課税に陥るコトなく納税の義務を果たし続けておりマスが、人生イツナンドキナニガドウナルカ判ったモンではアリマセンから
一寸先は闇デスぜ…知らんけど
憲法上保障された権利にリンクしたセーフティネットが有るコトが常日頃可視化サレテイルのもまた社会生活上の安全保障
に寄与しているモノデハナカロウカと愚考イタシマス
知らんけど
「社会生活上の安全保障」
マイルドに表現されていますが、あけすけに言うと「治安維持」ですね。
怪我か病気で119番したとき、税金を他の10倍払っていても救急車が10台来てくれるわけもなく。
「日本年金機構」の職員の事務レベルの低さは数ある公務員のなかでもピカイチ、、というのは本当にそう思います。
私は新卒で就職して昨年定年を迎えるまで、全ての給与明細をエクセルに入力保存していますが、そのデータを機構から送られてきた納付額明細と付合わせると、彼らのテキトーさが見えてきます。彼らが持っているのは「納付額として受取ったはず」の金額で、実際に天引された額とは微妙に違います。殆どの月は合致していますが、1円2円の差がある月が散見されるだけでなく、突発的に千円以上の食違いが出る月もあります。ポンと7,700円の違いがある月があったり、1,735円の差がほぼ1年続いたりした例もあります。といってもその差の殆どは私にとっての黒字(通算28,051円)ですけど。
今まで何気なく搾取されてきた金がこうやって可視化されるといかに無知だったかが分かる。声を上げるぞ。これらに切り込んでくれる政党を支持する。
まーアレだ、『一億総中流』を制度上にも顕現させた名残?遺構?イヤイヤしっかり現役か…
知らんけど
知るも知らぬも、「一億総中流」の根幹をなす制度であると思います。
内閣府のサイトに社会保険料率(従業員負担分)の推移がありました。
https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/20151019_27zen23kai6.pdf
平成2年は8.95%、平成26年は14.92%。25年程でざっと6%増。年収700万の人なら42万円の負担増=手取り減です。そしてこれは従業員負担分のみですから、雇用者負担分を入れると80万以上の負担増と言えるかもしれません。
それだけでなく、最近、年収798万円(賞与除く)以上の「高所得者」の厚生年金の負担を月額1〜3万(年額12〜36万)増やす案も検討されています。
更に、見送りになったとはいえ、基礎年金に厚生年金を流用することも検討されていました。
取り易いところからの貪欲な取りっぷりといい、集めたお金を目的外に流用する厚顔っぷりといい、厚労省のやることはもっとオープンに議論されるべきだと思います。
ぴよすけさま
興味深い情報をありがとうございました。
ぴよすけさまの情報を基に自分も調べて、ざっくり計算してみました。
A平均給与 B社会保険料負担割合 C社会保険料実額(A*B)
①1990年(平成2年) 463.6万円 8.95% 41.4万円
②2014年(平成26年) 419.1万円 14.92% 62.5万円
③差(②-①) ▲44.4万円 5.97% 21.0万円
④伸展率(②/①) 90.4% 166.7% 150.7%
1990年から2014年の24年間で
平均給与は44.4万円減少し、1990年比で90%水準に減りましたが
社会保険料は21.0万円増加し、1990年比で1.67倍に増えました。
負担割合は5.97%増加し、1990年比で1.5倍に増えています。
雑な計算ですが上記が導かれました。
ちなみに消費者物価指数も比較してみると
消費者物価指数(基準年2015年)
①1990年(平成2年) 91.2
②2014年(平成26年)99.2
③差(②-①) 9.0
④伸展率(②/①) 108.7%
物価も上がってますね。
これだけ違えば(給与は減少、社保負担額・割合共に増加、物価も上昇)世代間格差を声高に叫ぶのも無理はないと思います。
現役世代が不満を表明してもバチは当たらないかと思いました。
【参考】平均給与(平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者 厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-02.html
【参考】長期経済統計 物価(内閣府)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2017/0118nk/n17_7_data05.html
言いたいことが全部書いているので、是非多くの人に読んで欲しいですね。
そもそも、「保険料」であれば、生命保険でも何でも金額に応じて保証が充実しなきゃおかしいでしょう。収めた金額に反比例するならば、今の社会保険は「保険税」と言うべきです。
あと、会社負担分を知らない人も多いと思ので、最低限、年金定期便には載せるべきでしょう。経営者は会社負担だろうが自己負担だろうが実質負担額は変わらないから、やっぱりこの隠蔽は悪質だと言ってもいいと思う。法律を盾に、国家が国民に詐欺みたいなことをやって、官僚は恥ずかしくないのかと本気で思う。
本当に社会保険のせいで給与が上がらない。
改革は絶対に必要だと思う。
基礎年金は半分が国庫負担だったと思うのでコスパ高いとは思いますが、厚生年金はコスパ悪いですよね。なので基礎年金部分を含めるて考えると保険料高い人ほどコスパ悪くなりますね
それでも負担率と所得代替率の面で見ればドイツの厚生年金と同程度のコスパにはなってたような覚えはありますが。ドイツは支給開始年齢が伸びるだけな分選べるだけ日本の方が良心的な可能性もあるかも?まあだいたいの先進国で支給開始年齢はどんどん上がっててますが
支給開始年齢が一定年齢時の平均余命で決まる国とかで、日本の数値当てはめると支給開始年齢72歳とかになるんですよね
イギリスなんかは負担率日本と同じくらいで所得代替率めちゃくちゃ低かった覚えありますが、その代わり一定要件を満たした年金制度に加入すれば保険料払わなくてよかった覚えもあります。ただ、一定所得以上の人は事業者負担で保険料が発生して、低所得者や障碍者向け年金の支給に使われてたかな
イギリスの年金制度は政治マターから切り離されて客観的なエビデンスを基に運営されてるみたいな感じだったと思うのでそういうとこは参考にできるかもですね
厚生年金(退職年金)は先進国のうち代表的な国では労使折半のとこが多いと思いますが他国ではどういう伝え方してるんでしょうね