石破氏「年収の壁引上げ」表明へ

石破茂首相が29日の所信表明演説で、「年収103万円の壁」について引き上げることを盛り込む方向で検討しているといくつかのメディアが報じました。この問題はすでに自公国3党で合意されているものではありますが、政府内(財務省などでしょうか?)を中心に、やれ「税額控除には所得制限を設ける」だの、やれ「年収の壁引上げは国税のみで住民税は現在の壁を維持する」だのといった姑息な抵抗も出ているようですが、来夏の参院選に向けて議論が加速するのを期待したいところです。

衆院選から早くも1ヵ月

自民党が惨敗し、自公連立与党が過半数割れした衆議院議員総選挙から、早くも本日でちょうど1ヵ月が経過しました。

当ウェブサイトではしばしば言及しているとおり、著者自身はとある政党の支持者であり(その具体名についてはバレバレですが、いちおう公式には明らかにしません)、少なくとも国民民主党を含めたいくつかの政党の支持者でありません。

先日の衆院選の小選挙区と比例代表で、2年前の参院選の選挙区と比例代表で、それぞれどの候補者、どの政党に票を投じたかについては言明しませんが、少なくとも国民民主党の公認候補者や国民民主党には票を投じていません。

ついでに申し上げておくと、著者はいままで当ウェブサイトを通じ、特定政党への投票を呼び掛けてきたつもりはありませんし、(たぶん今後も)そのようなことをする予定はありません。あくまでも選挙は、個々の有権者が自身の判断において選挙権を行使すべきものだからです。

したがって、先月の衆院選の結果についても、当ウェブサイトとしては「民意のあらわれ」としか考えていませんし、「正しかった」、「間違っていた」などと論評するつもりはありません。ただその現実に合わせて、各政党の動きなどを粛々と論評するだけの話です。

石破首相は所信表明で「所得の壁」引き上げに言及へ

ただ、やはり注目したいのは、選挙では「手取りを増やす」を公約に掲げた国民民主党が躍進し、勢力を公示前の4倍となる28議席にまで増やしたことであり、また、衆院側で少数与党状態となっている自公が国民民主党との政策協議を行わざるを得ない状況に追い込まれたことです。

逆に、国民民主党も、与党側との協議を通じてこれらの公約の実現を図る構えであるとみられますが、こうした是々非々で政策の実現を図るという動きは憲政の常道でもあるため、素直に歓迎したいと思う次第です。

こうしたなかで、衆院選からたった1ヵ月で、こんな話題が飛び込んできました。

きょう石破・玉木会談…「103万円の壁」引き上げを所信表明演説に盛り込む方向で調整 国民民主への配慮にじむ

FNNなどの報道によると、石破茂首相は29日の所信表明演説で、「年収の壁103万円の引き上げ」を表明する方向で調整をしているのだそうです。

といっても、すでにこの年収の壁問題は、自公国3党で来年度の税制改正において引き上げることとされており(『減税に関する3党合意を「マスコミ抜きで」読める時代』等参照)、その具体的な金額については今後詰めると考えられるにせよ、国民民主党の主張が政策に織り込まれるのはほぼ確実です。

政府内の姑息な抵抗も…議論は深まるか?

もちろん、報道等によれば、政府内(財務省などでしょうか?)では抵抗も出て来ているようです。やれ「税額控除には所得制限を設ける」だの、やれ「年収の壁引上げは国税のみで住民税は現在の壁を維持する」だのといったもので、正直、どれも「姑息」というほかありません。

この点、(著者自身の理解に基づけば、ですが、)国民民主党の主張はあくまでも「取り過ぎた税金を返す」というものであり、現実に一般会計には毎年のように巨額の剰余金が生じているなかで、シンプルに税額控除を増やして税金を国民に返すというやり方が、いちばん理に適っています。

もちろん、現在の所得税制・社会保障制度・地方税制などに関しては、すでにかなり複雑であり、著者自身としては時代に合致していない部分を含め、トータルに見直す作業は必要だと考えています(たとえば年収の壁には社保や国保などの加入義務が生じるポイントなどもあるからです)。

さらには、高くなりすぎた消費税も問題です。

紙製品(乳幼児用おむつ、生理用ナプキン、トイレットペーパー、キッチンペーパー、学習参考書、絵本など)に10%の税率が適用されるというのもおかしな話です(ついでにいえば、一定の新聞に8%の軽減税率が適用されるというのも不可解です)。

ただ、新聞、テレビを中心とする既存マスコミの社会的影響力が急落するなか、「減税」を掲げた政党が大躍進したというのは、わが国の民主主義にとっては成功体験そのものでもあります。

その意味では、来年の税制改正の議論を見守りたいとも思いますし、成果が出なければ私たち国民の側も、来夏の参院選の投票行動で答えを出すのみでしょう。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. セクシー〇〇 より:

     今月の給料が支給されたとです。
    社会保険料と介護保険料、合わせて1万2000円弱、増えとるとです。

     手取りは減ったとです。生活保護を考えとるとです。

     〇〇です。〇〇です。

  2. taku より:

     誰かが、「落しどころのイメージ」を持って、走っているのでしょうか?それとも、みんなが「ワーワー騒いでいれば、なるようになる」と考えて、動いているだけなのでしょうか。さっぱり見えてこない。
     前者ならいいんですけど…。後者なら、あの「悪夢のような民主党政権」の再来かな。
     財政規律主義を放棄するなら、バンバン国債を増発すれば事足りますが(そういう学説もある)、そうでないなら、このつじつま合わせは、容易ではない。 
     これに「社会保障の壁」まで議論に入れるなら、更に混迷しそう。

    1. 匿名 より:

      >「落しどころのイメージ」

      それはやり方が確立しているときの考え方。
      誰もが何がどうなるかわからないのに落とし所もあったもんじゃないです。
      みんな全力勝負してるんですよ。頭堅い?

      1. 匿名 より:

        民主党政権も、一生懸命やってましたよね。
        小さな会社だって、会議でわーわーやってて、具体策が決まることなんてない。
        誰かが、たたき台作って、根回しして、会議で了解取って、進めるもの。人はそれを実務能力と呼ぶ。
        現実に、大きな組織を動かしてきた経験ある?

        1. 引っ掛かったオタク より:

          まー「税制」については“ほぼほぼ鉄板イヤサ鉄塊の叩き台”を「大蔵→財務」の官僚機構が用意して「自民党税調インナー」に“根回し”し「自民党税調→政府税調」と“了解”廻してカタチ「国会」通過サセル、でキマシタからねェ
          状況変わったら従前のやり方ぢゃあ巧く行かんコトもアリマスわい
          ソモソモ“叩き台”は叩いてコソなし、シャンシャン立法から法案作成提出過程が少しでも透明に近付くなら民主主義社会トシテハ歓迎するのもヨシ!ではでは??
          知らんけど

  3. はるちゃん より:

    自民党は、立憲民主党の取って配るほうの案を採用して与党側に取り込む方が簡単ではないかと思うのですが。
    財務省も取って配るほうなら恒久減税ではないので歓迎すると思います。
    多くの国民が激怒して来年の参議院選挙も面白くなりそうですし。

    1. 雪だんご より:

      いくら石破政権と言えども「立憲民主スタイルを採用したらどうなるか」くらいは
      さすがに分かっていそう……と思うのは過大評価でしょうか?

    2. 引っ掛かったオタク より:

      来夏参院選を控え立憲側が“対立(してる風)姿勢”を維持したがりそうなので、国民民主より「合意」づくりが難しそうにも思えマス
      知らんけど

    3. 宇宙 より:

      来年の参院選は楽しみだな
      10年後には自民党は少数政党になっているよ
      仮に高市さんになったとしても自分はもう自民党に入れる気はしない
      不純物がまざりすぎていて自民党はもうダメ
      国民民主、維新、日本第一党、参政党このあたりに頑張ってもらいたい

  4. foo より:

    1つだけ思いますのは、何重にも際限なく重税を課す方向にありますが、その割には財源、財源と五月蠅いほど喚き散らします。しかしながら、「肝心要の本当の財源」原資には全く目もくれません。何故なんでしょうね。財務省あたりにすれば、個々の国民は徴税システムを構成する要素に過ぎないと考えていることが見てとれますが、この徴税システムはいつまで耐えることが出来るのでしょうか。原資が耐えられなくなったら、重税は誰に課すのか? 
    そんなことは絶対に起きない?
    裕福な外国人をかき集めて大量に住まわせる? 
    経済成長もなにもないのに、重税を課してただ集めるだけ? 
    あとは少々のばら撒きをやっておけば全てOK?
    地方の行政が抱える問題は、解決しなくても良い問題に変質していまっているから、ばら撒きがありさえすれば良い?
    なんでしょう、こんなことを考えてしまいます。

  5. CRUSH より:

    一票の格差問題と似てる感じがしますね。

    議席数配分してから何十年間も何にもしてこなかったから、経年変化で当初の設定からずれまくり。
    「それダメ」
    と最高裁に言われてもなお
    「困る」
    と腰が重い。困るかどうかなんか有権者からすれば知ったことではないから、直ちに是正せよ。
    再発防止(議席数配分の是正のシステム化)ができない理由なんかないからすぐやれ。
    今の議席数で恒久的固定したいなら、その議決をすればよいだけなので、無理や意地悪を言ってる訳ではありませんからね。

    103万円の壁も、29年ぶりに物価スライドさせろというだけで、要するに議決された当初の姿にリセットですわな。
    増税したいなら、きちんと議決を経てそう決め直したらよろしい。

    そのために解散総選挙してみたらよいのですよね。

    そもそも足りぬ足りぬは工夫が足りぬ。
    colabo問題みたいに領収書ないの公金支出を認めてるとか納税者をバカにしてる現状を叩き直すことすらせずに、どの口が言うのかなあ。

  6. 普通の日本人 より:

    国会議員が逆らわないもの
    ・財務省:選挙区へのバラマキを認めてほしいから(民主党政権は酷かった。隠しもしなかった)
    ・メデア:嫌なことは言われたくない。煙が無くても火を付けられる
         逆に言えば。おべんちゃらは得意。火が燃えても消し去ることが出来る
    これでメデア規制は無いと同じに。
    同様にスパイ防止法が全然進まないのはメデアにとって都合が悪いから

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