【速報】韓国銀行の利上げ幅は「0.25%ポイント」

本日の「速報(?)」です。韓国銀行が0.25%ポイントの利上げを決定し、その旨発表しました。正直、「速報」にする価値があるのかどうか悩んだのですが、今朝も取り上げたばかりの話題でもあるため、やはりごく簡単に触れておきたいと思います。

最近、当ウェブサイトでときどき取り上げる話題が韓国の金利・債券市場の混乱に関するものですが、今朝の『韓国消費者信用の伸びは鈍化するも「商業信用」は急伸』でも取り上げた「消費者信用」に関する統計も、そのひとつです。

【参考】ウォン金利市場

(【出所】韓国銀行データをもとに著者作成)

このなかで、現在の韓国が利上げをしすぎれば金融危機の、利上げを渋れば通貨危機のリスクにそれぞれ直面している、というジレンマを取り上げたのですが、いちおう、その暫定的な答えが出てきました。

通貨政策の方向【※原文韓国語】

金融通貨委員会は、次の通貨政策の方向を決定する時まで、韓国銀行基準金利を現在の3.00%から3.25%に上方調整して通貨政策を運用することにした。高水準の物価上昇が続いており、物価安定のための政策対応を続ける必要があると判断した。引き上げ幅は、景気鈍化の程度が8月の見通しに比べて大きくなると予想される中、外国為替部門のリスクが緩和され、短期金融市場が萎縮した点を総合的に考慮し、0.25%ポイントが適切だと判断した。<<…続きを読む>>

―――2022/11/24付 韓国銀行HPより

長々と書かれていますが、結論的には0.25%の小幅な利上げにとどまりました。

表向きの理由は「高いインフレに対応するため」ということではあるのですが、冷静に読んでみると、「外為部門のリスク」、「家計ローンと不動産市場」という2つの判断軸で、苦肉の策としての0.25%の利上げに落ち着いたものと考えて良いでしょう。

いちおう、現時点では韓国ウォンは米ドルに対して上昇し、1ドル=1330ウォン割れを目指しているようにも見受けられるのですが、その理由が韓国銀行の金融政策決定を受けたからなのか、それとも韓国銀行による為替介入なのかについては、現時点ではよくわかりません(後者の可能性もありますが…)。

ただ、正直、0.25%ポイントの利上げだと、すでに1%ポイント近くに達している米韓金利差を再逆転するのはかなり難しいといえます。12月のFOMCでは0.50%ポイントの利上げが市場コンセンサスとなりつつあるからです。

むしろ今回、0.25%という中途半端な利上げに踏み切ってしまったことで、韓国の金利が全般的に上昇するだけでなく、すでに生じている債券市場の混乱がいっそう加速するという可能性はないのか、注視する価値はありそうです。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. カズ より:

    ”実行金利=法定金利上限(20%)” で始まるな動脈硬化な未来。
    借りたくても借りられぬ家計と貸したくても貸せない金融機関。

  2. 古いほうの愛読者 より:

    ドル・ウオンチャートと円・ウオンチャートを眺めるだけで,韓国経済の今後は大体予想できます。中央日報などの韓国メディアが騒ぐほど悪いことにはならないでしょう。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告