とある中小企業「売上高が5年間で40%減少」の衝撃

「あの中小企業」が引き続き実質債務超過状態にある、という疑いが濃厚です。とあるツイッター・ユーザーの方が貴重な150円という大枚と引き換えに、某中小企業とその親会社の決算公告画像をツイッターに投稿したのですが、これで読むと、繰延税金資産と子会社株式の過大評価で見た目の債務超過状態をまぬかれているという可能性が浮上したのです。

「ゆめゆめ拡散したりしないでくださいね」

ことしもけしからん行動を取ったツイッター・ユーザーが登場したようです。

りぼー」(@_rtiobboitr_)氏というアカウント名のユーザーが、あろうことか貴重な150円と引き換えに某中小企業とその親会社の決算公告画像をツイッターに投稿したのです。

まことにけしからん行動です。

しかもこのユーザー、「ゆめゆめ拡散したり分析等はせずにそっとしておいてあげて下さい」と付言しています。ということは、やはり「大々的に拡散したり分析したりしないであげる」というのが礼儀というものでしょう。

よって、本稿でも具体的な社名を伏せたうえで、某中小企業(資本金1億円)とその親会社(資本金500万円)の状況について、簡単にコメントしておきたいと思います。

売上高は5年間で43%減少;販管費は5年前の3分の1に!

まずは、子会社の方の売上高の推移です(図表1)。

図表1 この中小企業の売上高

(【出所】毎日新聞に掲載された某社の決算公告より著者作成)

これによると某社の年間売上高はこの5年間で約43%減少していることがわかります。実額でいえば477.28億円ですが、これはちょうど2017年3月期における同社の販管費(468.70億円)にほぼ等しい金額でもあります。

一方で、同社の販管費については、もっと強烈です(図表2

図表2 この中小企業の販管費

(【出所】毎日新聞に掲載された某社の決算公告より著者作成)

同社の販管費は2017年3月期に468.70憶円でしたが、これが昨年度は359.47億円に圧縮され、今期はさらに進んで一気に171.48億円に圧縮されました。5年前と比べ、販管費がおよそ3分の1に減少した格好です。

ただし、不思議なことに、売上原価についてはさほど減少していません(図表3)。

図表3 この中小企業の売上原価

(【出所】毎日新聞に掲載された某社の決算公告より著者作成)

いろいろ不思議です。

この点、同社の売上高の減少は深刻ですが、とりあえずそれ以上に経費の圧縮を行ったことで、同社はかろうじて利益スレスレという状況になったようには見えます。

純資産の部は順調に減少中

しかし、それと同時に同社の経営危機が収まったようにも見えません。貸借対照表に目を転じてみると、純資産の部が順調に目減りしているからです(図表4)。

図表4 この中小企業の純資産の部

(【出所】毎日新聞に掲載された某社の決算公告より著者作成)

2022年3月期において、同社の純資産は前年同期比5.55億円減少の34.29億円であり、その内訳は資本金が1億円、資本剰余金が40.5億円、利益剰余金がマイナス26.54億円、評価・換算差額等が19.34億円――、なのだそうです。

しかし、バランスシートの左側に目を転じてみると、固定資産の部に繰延税金資産が47.86億円も計上されています。

  • 同社の純資産の部…34.29億円
  • 繰延税金資産の額…47.86億円

ちなみに同社は2020年3月期以降、「純資産の部」の合計額を繰延税金資産の額が上回ってしまっているという状態が続いていますが、もしも同社の繰延税金資産の資産性が否認された場合には、同社はただちに債務超過状態に陥ることになります。

親会社の経営状態は健全…なのか!?

その一方、同社の親会社(ホールディングス)についても決算を出しているのですが、こちらの親会社に関しては、子会社と比べれば、財務内容ははるかに健全(?)です。

2022年3月期決算でいえば、負債合計が533.93億円であるのに対し、純資産の部が152.09億円であり、負債資本比率は低めですが、それでもいちおうは債務超過状態とは遠いようにも見えるからです。

ただ、ここで注意しなければならないのは、同社の資産の部の内訳です(図表5)。

図表5 この中小企業の親会社の資産の部(2022年3月期)
項目金額備考
短期貸付金193億57百万円子会社向けの債権?
投資有価証券149億82百万円子会社株式?
長期貸付金313億99百万円子会社の長期借入金と一致
現金及び預金24億72百万円
その他26百万円
資産合計686億02百万円

(【出所】毎日新聞に掲載された某社の親会社の決算公告より著者作成)

これで見ると、短期貸付金や長期貸付金などが計上されており、とくに長期貸付金の金額は、子会社の側で計上されている長期借入金と金額がピタリと一致しているほか、短期貸付金についても子会社の短期借入金(182億23百万円)とほぼ一致しています。

このように考えていくと、そもそも子会社自体が実質債務超過状態であること、子会社株式の価値が無価値に等しいことなどを踏まえるならば、グループ会社全体としてみても実質債務超過である疑いが濃厚でもあります。

子会社株式が100億円以上過大評価されていませんか?

実際、ホールディング側で計上されている投資有価証券の貸借対照表価額は149億82百万円であり、少なくともここ3年間で変化がないことから、このホールディングにとっての投資有価証券の保有目的区分は「子会社・関連会社株式」である可能性が非常に高いといえます。

この点、149億82百万円のうちの全額が当該子会社に対する投資なのかどうかはよくわかりませんが、かりにそうだったとしたら、これは明らかに過大計上です。なぜなら、図表4でも確認したとおり、子会社の純資産は34.29億円しか存在しないからです。

これについて、ホールディングと子会社を合算した「疑似連結貸借対照表」で考えてみましょう。

  • ①ホールディング側の純資産の部は152億09百万円
  • ②資産のうち子会社株式は149億82百万円
  • ③しかし子会社の純資産の部は34億29百万円に過ぎない
  • ④よって②-③より、子会社株式は115億53百万円の過大計上が疑われる
  • ⑤ホールディング側の純資産の部は、①-④で36億56百万円程度とみるべき
  • ⑥もしも子会社の繰延税金資産47億86百万円の資産性が否認された場合、⑤の資本も消し飛ぶ

このあたり、日本の会社法制上、株式会社には有限責任の原則があるため、親会社としては子会社だけを「計画倒産」させることができなくもありませんので、子会社の債務超過を親会社が負担しなくても良いではないか、といった議論があることは事実でしょう。

ただ、ここで重要なのは、親子会社を一体としてみたときのグループ会社としての財務健全性と収益力の議論です。

いずれにせよ、販管費が一気に半分以下に圧縮されるという経費節減の速度は尋常ではありませんし、このこと自体、同社グループが倒産の危機にあるという証拠なのかもしれません。

貴重な150円をゴミと引き換えたりぼー様には心の底より感謝申し上げる次第です。

読者コメント一覧

  1. sqsq より:

    wikiによると、この中小企業は「西〇事件」で世間の批判を浴び発行部数が激減、1977年に債務超過に陥り、会社を新旧に分離して存続していた。
    2度目の債務超過があるとどうなるのかな?

    宗教団体Sは機関誌の印刷を請け負わせてるから、そわそわしてるかも。

  2. ちょろんぼ より:

    6/23日付マネーポストWEB記事
    「自民党一強」状態から抜け出せない日本の政治、最大労組「連合」の
     怠慢も要因か

    記事の現状分析
    1.自民党が占拠に強いのではなく、野党陣営が離合集散し「自滅」していると
     見るほうが正しい。
    2.サイレントマジョリティ(ここでは、サラリーマン・パート・アルバイト等
     を指す)の為の 対策立案は日本最大の労働組合「「連合」しかない。

    記事の対策案
    1.組合員の増大、その為の法律制定
    2.非正規労働者の組合組織化

    と、野党支持者らしい、現実を直視できない人達に共通する提案内容である。
    現状1は正しい。 野党が現実を直視できず、妄想満点の意味の無い事だけを
    口走っている状態で、野党に票を投じる事はできない。 まともな野党が
    欲しいのです(他国・差別団体の指揮下にない)。
    現状2でサラリーマン等に対する政策立案を連合に求める事自体間違えている。
    連合は、一般組合員で構成する組合の「集合体」であり、パート・
    アルバイトの事を考えていない現実が見えていません。
    (注:パート・アルバイトは組合費を支払していない事を忘れてます)
    さらに、日本で何十年もの間給料が上昇していないとされる問題に目を背けて
    来た野党は、今何をしている。 何もしていないではないか?
    国会でやっているただ一つの仕事は、週刊誌の講読会ではないか?
    「給料上げろ」と会社側にお願いしているのは、政府ではないか?
    連合の仕事とは何か? 賃上げ・雇用の安定等「労働者の待遇改善」である。
    野党が自分の仕事に目を向けず、自民党が目を向けて行動している現実を
    見れば、連合の行動が自民党と近いものにならざるを得ないのです。
    連合に野党がやらない問題を押し付けてはいけません。
    対策立案するのは、野党自体であり、連合ではありません。
    野党を支持する人達が自由に集まり、現実を見据えた提言が出るか
    どうかが問われているのです。

    対策案1の組合員の増加・非正規労働者の組合結成化も間違えています。
    会社側に組合組織を作る積極的な理由がありません。
    現在多くの会社では人員が多過ぎる問題を抱えているのです。
    組合員だからクビにできない、ただそれだけの問題なのです。
    対策案2.の非正規労働者の組合化といっても、長期に渡る雇用契約無しに
    組合化はできません。 単なる絵空事でしかありません。
    無駄な提案をする前に、先ず自身や仲間の会社で社員を全員組合員化し
    非正規労働者の雇止めを廃止し、組合結成させたらどうでしょうか?
    大勢の人達を説得するのは、口先だけではいけません。
    先ず実践が問われます。 成功事例無しに、意味の無い改革を
    行えば、電力逼迫問題と同じようになる事は、明白です。

    1. ちょろんぼ より:

      読者投稿欄の間違えちゃった。 ゴメン

  3. がみ より:

    中小企業毎日新聞もこういう名前は伏すが某社の調査報道をさせるとなかなか優秀なんだなぁ!

    あそこらへんに望むことといえばZepp東京として親しまれていたものを屁みたいなネーミングライツで改名させて就職説明会場みたいにするのはやめてね…

    くらいではあるんですが…

    1. りょうちん より:

      何ができるんだと思ったら、トヨタ系のトヨタアリーナができると書いてありましたが、違うところの話ですか?

      1. がみ より:

        伏せっぱなしでわかりづらくてすいません。

        あの辺りやらから横浜を経て横須賀やら湘南方面やらには芳しい一見一般社会では偉そうな実はズタぼろの穢れ多き裏世界が広がっておりまして、かつてそっち世界に苦汁沢山飲ませてもらったもんで…
        ごにょごょ…

  4. カズ より:

    「信託銀行に大阪本社を譲渡し、210億円を調達」って話はどうなったんでしょうね。

    1. トシ より:

      実際に調達されました。
      報道ではこれで数年は持つと。

      毎日新聞はあと東京本社(パレスサイドビル)を保有しています。
      この譲渡も併せるともうしばらく存続するのではと思います。

      1. カズ より:

        タコの足食い〔自食いは再生しない〕を見てるみたいですね。

        情報をありがとうございました。

      2. sqsq より:

        毎日新聞のパレスサイドビル持ち分は竣工時より100%ではないと聞いています。

        いまでも持ち分あるんですかね?

  5. 断韓主義者 より:

    毎がこれなら
    産やら東やらがどうなのかも気になりますね

  6. レッドバロン より:

    この某中小企業の倒産危機なんて80年代からあるような気がしますが、本社は都心の一等地だし、某学生野球のイベントは開催してるし、系列のテレビ局は影響力はともかく、未だに優良企業みたいだし、どうして、こんなにしぶといのか?がようわかりません。。

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