大切な友人・台湾との単月貿易額が1兆円の大台に乗る

貿易はサプライチェーンの相互依存でもありますが、こうしたなか、2022年4月における台湾との貿易額が、単月で1兆円の大台に乗せました。台湾は日本にとっての貿易相手国として、韓国を抑えて3番手に浮上することも増えていますが、日本と基本的価値を共有する数少ない相手国のひとつである台湾が、そうでない国よりも経済的に重要な相手国に浮上すること自体、間違いなく、日本にとって好ましい変化です。

貿易相手国10選

財務省税関が公表する『普通貿易統計』に基づき、年初来、日本の鉱物性燃料の輸入額が急増しているとする話題は、『日本経済の足を引っ張る「鉱物性燃料」の輸入額の急増』でも詳しく触れたとおりです。

ただ、この『普通貿易統計』を使った分析は、ほかにもさまざまなことに応用が利きます。

改めて、2022年1月から4月までのデータをもとに、日本にとっての貿易相手国上位10ヵ国について列挙しておくと、図表1のとおりです。

図表1 日本にとっての貿易相手国(2022年1-4月)
相手国貿易額備考
1位:中国13兆0197億円(輸出:5兆8148億円、輸入:7兆2049億円)
2位:米国8兆8640億円(輸出:5兆4187億円、輸入:3兆4453億円)
3位:韓国3兆6120億円(輸出:2兆2887億円、輸入:1兆3233億円)
4位:台湾3兆5943億円(輸出:2兆1521億円、輸入:1兆4422億円)
5位:豪州3兆4781億円(輸出:6625億円、輸入:2兆8157億円)
6位:タイ2兆3939億円(輸出:1兆3206億円、輸入:1兆0733億円)
7位:サウジアラビア1兆7777億円(輸出:1910億円、輸入:1兆5867億円)
8位:UAE1兆7652億円(輸出:3228億円、輸入:1兆4424億円)
9位:ドイツ1兆7378億円(輸出:7940億円、輸入:9439億円)
10位:ベトナム1兆7104億円(輸出:7257億円、輸入:9847億円)
その他22兆3050億円(輸出:10兆3665億円、輸入:11兆9385億円)
合計64兆2582億円(輸出:30兆0574億円、輸入:34兆2008億円)

(【出所】財務省『普通貿易統計』より著者作成)

激しく争う台・韓両国

資源国である豪州(5位)、サウジアラビア(7位)、UAE(8位)などが入っていますが、やはり上位は中国、米国、韓国、台湾の4ヵ国であり、この構図は基本的に日本の近年の貿易構造を議論するうえでは大変に重要な前提条件でもあるのです。

こうしたなか、ただ、韓国と台湾は、日本にとっての3番目の貿易相手国の地位を巡って、激しく競り合っていることも事実です。

日本にとっての貿易相手国(2022年1-4月)
  • 3位…韓国:3兆6120億円(輸出:2兆2887億円、輸入:1兆3233億円)
  • 4位…台湾:3兆5943億円(輸出:2兆1521億円、輸入:1兆4422億円)

この点、以前の『「日本の友人」である台湾が3番目の貿易相手国に浮上』などでも述べたとおり、貿易面だけで見れば、日本にとっての2021年の1年間を通じた貿易高(輸出高+輸入高)については、韓国が僅差で4番手に転落し、台湾が3番手に浮上しています。

つまり、要因で、両国の順序はすぐに逆転するかもしれない、という状況です。

輸出額では台湾が韓国に追いつきつつある

この点、過去から一貫して、韓国が3位、台湾が4位だったことは間違いないにせよ、近年、その差が縮まっている点も見逃せません。図表2は、日本から見た輸出額で台湾と韓国を比較したものです。

図表2 台湾・韓国 輸出比較

(【出所】財務省『普通貿易統計』より著者作成)

これで見ると、2016年から2019年にかけての時期は、韓国が台湾をずっと上回っていましたが、2019年頃から台湾と韓国の「逆転」が生じ始め、2021年においてはとくに後半以降、輸出高は台湾が韓国を上回っていたのです。今年に入って再逆転が生じていますが、以前、僅差であることがわかります。

輸入額では「台湾>韓国」の基調が続く

次に、輸入に関していえば、「台湾>韓国」の基調が続いていることがわかります(図表3)。

図表3 台湾・韓国 輸入比較

(【出所】財務省『普通貿易統計』より著者作成)

個人的には最近、台湾パイナップル(通常、本体価格は698円前後)を近所のスーパーで見かけることも増えました。もちろん、台湾からの輸入品目に占めるパイナップルは、金額的に見て僅少ではありますが、私たちの国・日本にとって、台湾が輸入相手国で韓国を上回ったというう統計的事実は、興味深いものでもあります。

貿易額では単月1兆円の大台超過

図表2、図表3より、貿易額(つまり輸出+輸入)についても示しておくと、図表4のとおりです。

図表4 台湾・韓国 貿易額比較

(【出所】財務省『普通貿易統計』より著者作成)

貿易額に関しても、やはり台湾と韓国は激しく競っており、2022年1月から3月までは「韓国>台湾」でしたが、4月は両国の関係が再逆転し、「台湾>韓国」となっています。とくに、台湾との貿易額については、この5年間で初めて、単月で1兆円を超えています。

このあたり、日本にとって韓国、台湾は、生産財、中間素材といった「モノを作るためのモノ」(韓国語でいう「素部装」=「素材・部品・装備」)の輸出先の市場でもありますし、また、両国からは中間加工品の逆輸入も見られます。

その意味で、日本の産業構造にとって、両国は似たような位置づけにあることは間違いないのですが、それでも人口規模で倍以上の差がある両国(韓国は5178万人、台湾は2340万人)との貿易額がほぼ同額であるというのは興味深い現象といわざるを得ません。

台湾との関係強化は日本の国益

このあたり、日本政府は台湾のことを、公式には「国」として認めていませんが、それと同時に、今年版の外交青書(P43)には台湾について、次のようにハッキリと記載されていることも事実です。

自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人である」。

やはり、サプライチェーンは両国経済にとって大事であり、裏を返していえば、大事なサプライチェーンを構築すべき相手こそ、わが国と基本的価値を共有していることが必要でしょう。

その意味で、日本が国として、「基本的価値を共有する相手国」を大切にしようとするなかで、日本と基本的価値を共有しない国ではなく、日本と基本的価値を共有している台湾が、3番目の貿易相手国に浮上しつつあること自体、結果的に日本にとっては非常に好ましい影響をもたらすのではないかと思う次第です。

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