中国はIPEF参加の韓国を「スワップ中断」で脅せる

韓国は中国の反対を押し切り、米国が主導する「インド太平洋経済フレームワーク」(IPEF)に参加しました。はたして何が起こるのでしょうか。過去の歴史をひとつ取り上げておくと、中国は韓国に対し、通貨スワップで揺さぶりをかけたことがあります。2017年10月のことです。実際、当時の韓国政府が「三不の誓い」を中国に立てているという事実を、どう考えるべきでしょうか。

「通貨スワップをくれ」

韓国で相次ぐ米韓通貨スワップ待望論

よっぽど困っているのでしょうか?

「韓国が現在、国を挙げて、通貨スワップ(とくに米ドル建てのもの)を欲しがっているらしい」とする話題については、ここ最近、当ウェブサイトでは頻繁に取り上げている論点のひとつです。

では、韓国がどの程度困っているのか(あるいは大して困っていないのか)については、どう判断すれば良いのでしょうか。

取り急ぎ、客観的な統計データを確認ししておくと、『韓国の外貨準備が急減:韓国でいま何が起きているのか』などでも触れたとおり、韓国銀行が発表した2022年4月末時点における韓国の外貨準備高は、前月比85億ドル減少し、4493億ドルでした。

単月での減少高としては、コロナ禍が深刻化した2020年3月のマイナス90億ドルに続くものでもあります。言い換えれば、韓国の通貨当局が通貨防衛に外貨を溶かした間接的な証拠、というわけです。

ただ、国際金融の常識からすれば、いちおうは「先進国」を名乗っている国が、こうも毎月のように外貨準備を気にするというのも、なんだか不思議ですし、自国通貨の変動に一喜一憂する報道が相次ぐというのも奇妙な気がします。

このあたり、韓国は日本や米国と同様、本来ならば「資本移動の自由」と「金融政策の独立」を追求する国であるはずであり、したがって、「国際収支のトリレンマ」の鉄則に従い、「為替相場の安定」という政策目標については捨てなければならないはずです。

韓国は為替変動に極端に弱い?

ところで、長年のコリア・ウォッチングの結果、どうも韓国は許容される為替相場のレンジが非常に狭いのではないか、という仮説に行き当たりました。ウォン安になり過ぎても、ウォン高になり過ぎても、韓国経済にはわりと深刻な打撃が生じる、という仮説です。

まず、韓国は輸出立国ですので、自国通貨・ウォンが米ドルや日本円などに対し、上昇し過ぎれば、輸出競争力が損なわれ、企業業績が悪化してしまいます。

しかし、それと同時に韓国の企業などは外国の金融機関からおカネを借りています。国際決済銀行(BIS)の『国際与信統計』(CBS)に基づけば、韓国の企業などは外国の銀行から3761億0200万ドルのカネを借りていますが、そのうち2019億9100万ドルが、外貨での借入です(図表1)。

図表1 韓国の外国銀行からの借入(2021年12月末時点)
区分合計債務うち外貨
合計3761億0200万ドル2019億9100万ドル
 うち、米国1020億2900万ドル562億5200万ドル
 うち、英国1091億9100万ドル301億9700万ドル
 うち、日本513億9700万ドル275億9500万ドル

(【出所】 the Bank for International Settlements, Consolidated Banking Statistics を参考に著者作成。なお、合計債務は「最終リスクベース」、外貨建債務は「所在地ベース」の数値を使用)

しかも、この2019億9100万ドルのうち、その半額以上の1129億5900万ドルが、1年以内に返済期限を迎える短期債務です(図表2)。

図表2 韓国の外国銀行からの借入(2021年12月末時点、所在地ベース)
区分外貨建債務うち1年以内の短期債務
合計2019億9100万ドル1129億5900万ドル
 うち、米国562億5200万ドル532億4400万ドル
 うち、英国301億9700万ドル139億8900万ドル
 うち、日本275億9500万ドル103億1400万ドル

(【出所】 the Bank for International Settlements, Consolidated Banking Statistics を参考に著者作成)

つまり、韓国は外貨建ての短期資金を借り換えるという資金調達構造を続けているのであり、もしも自国通貨・ウォンの価値が下がり過ぎれば、韓国の企業などは外国の銀行からカネを借り換える(=ロールする)ことができなくなるおそれもあります。

だからこそ、ウォン高よりもウォン安の方が、韓国社会にとっては深刻な悩みなのかもしれません。

韓国が欲しているドルスワップは500~1000億ドル

ちなみに、先日の『韓国が500億ドル以上の日韓スワップを欲しがる理由』では、「韓国の通貨・ウォンはオフショア取引が認められていないNDF通貨である」、「韓国が常に500億ドル以上のドル建ての通貨スワップを欲している(かもしれない)」、などとする話題に振れました。

ここでいう「500~1000億ドル」という金額は、図表2でいうところの「1000億ドルを超える短期債務」という論点と、非常に整合的でもあります。

要するに、市場に何らかのトラブルかあってリスク許容度が低下したときに、韓国が米銀かどから短期債務の借り換え(ロール)ができなくなり、韓国企業が連鎖倒産する、といった懸念を、韓国の通貨当局が持っている(かもしれない)、という仮説ですね。

このあたり、通常の先進国であれば、自国通貨を国際化することで、マーケットの激変に備えるものです。

たとえば、韓国の通貨・ウォンも国際化し、金融市場(とくに債券市場、外為市場、デリバティブ市場)を先進国なみに発展させていけば、企業にも使用可能なさまざまな為替ヘッジツールも開発されてきますし、極端な話、自国通貨・ウォンでおカネを借りれば、為替変動のリスクを負うことがなくなります。

それに、『韓国金融学会長「実益のため韓日通貨スワップ再開を」』などでも取り上げたとおり、米国側からも先日の米韓共同宣言で、韓国における為替介入などの「市場を歪める慣行」を「やめろ」といわれてしまいましたが、これも韓国が為替変動に弱い証拠です。

結局のところ、韓国が通貨スワップを欲しがるのも、為替相場の許容変動レンジが極端に狭いのも、すべては韓国自身が自国通貨・ウォンの国際化を怠ってきたことと、密接に関わっているのでしょう。

1000億ドルを超えるスワップを有しているはずが…

ところで、韓国メディアの報道を眺めていると、ときどき、「わが国は外国と1353億ドルもの通貨スワップ協定を締結している」、「カナダとは無制限の通貨スワップを締結している」、などと誇る記事に出会うことがあります。

これについてファクトチェックをしておくと、たしかに韓国が外国と保有しているスワップは、米ドルに換算すれば1353億ドルに達しています(図表3)。

図表3 韓国が外国通貨当局と締結している通貨スワップ、為替スワップ
相手国と失効日相手通貨とドル換算額韓国ウォンとドル換算額
マレーシア(2023/2/2)150億リンギット ≒ 34.2億ドル5兆ウォン≒39.6億ドル
オーストラリア(2023/2/22)120億豪ドル ≒ 85.4億ドル9.6兆ウォン≒76.1億ドル
インドネシア(2023/3/5)115兆ルピア ≒ 78.5億ドル10.7兆ウォン≒84.8億ドル
中国(2025/10/10)4000億元 ≒ 601.8億ドル70兆ウォン≒555.1億ドル
スイス(2026/3/31)100億フラン ≒ 103.4億ドル11.2兆ウォン≒88.8億ドル
トルコ(2024/8/11)175億リラ ≒ 11.1億ドル2.3兆ウォン≒18.2億ドル
UAE(2027/4/12)200億ディルハム ≒ 54.5億ドル6.1兆ウォン≒48.4億ドル
二国間通貨スワップ  小計…①968.8億ドル114.9兆ウォン≒911.1億ドル
多国間通貨スワップ(CMIM)…②384.0億ドル
通貨スワップ合計(①+②)1,352.8億ドル
カナダ(※常設、為替スワップ)金額無制限

(【出所】各国通貨当局ウェブサイト等を参考に著者作成。なお、ドル換算は国際決済銀行 the Bank for International Settlements ウェブサイトの “US dollar exchange rates” に掲載されている5月23日時点のものを使用。該当する日付の為替レートが存在しない場合は直近のものを使用)

中国はかつて、スワップで韓国を脅した

「ドルスワップがない」&「対中依存が強すぎる」

カナダとの為替スワップを「通貨スワップ」などと称しているのはご愛敬、といったところでしょう。

しかし、この図表3をしげしげ眺めていると、2つの事実に気付きます。それは、①チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化協定(CMIM)を除けば、米ドル建ての通貨スワップ協定が1本もないことと、②二国間通貨スワップ協定のうち金額で60%を中国とのスワップが占めていること、です。

韓国の通貨スワップの特徴
  • ①CMIMを除くと、米ドル建てのスワップが1つも存在しない
  • ②二国間通貨スワップ(ドル換算額)のうち60%を中国とのスワップが占めている

とくに2番目の論点は、非常に重要です。

そもそも論として、人民元のスワップを通貨防衛に使うことはできません。中国の通貨・人民元は2015年以降、国際化への動きがピタリと止まり(『数字で読む「人民元の国際化は2015年で止まった」』等参照)、現時点においても人民元は、とうてい「国際通貨」とは呼べないからです

このあたり、『月刊Hanada2022年3月号』に掲載された『デジタル人民元脅威論者たちの罠』でも指摘したとおり、中国は通貨の国際化を本心では望んでいないフシも見られるのですが、いずれにせよ、韓国が4000億元を受け取ったとして、それを米ドルに換える術はほとんどありません。

ちなみに日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏は、日本経済新聞社編集委員時代の2017年1月30日に『日経ビジネスオンライン』に寄稿した『中国が韓国を「投げ売り」する日』の2ページ目で、人民元スワップを「張り子の虎」と指摘していますが、慧眼といわざるを得ません。

鈴置氏の記事が執筆されたのは今から5年前ですが、当時も現在も、人民元のオフショア外為市場は非常に規模が小さく、4000億元もの人民元を米ドルに両替するのは非常に困難です。

もっとも、「わが国にはこれだけのスワップがあるから大丈夫だ」などと言えるための材料が欲しいのだとしたら、「張り子の虎」であっても大差ないのかもしれませんね。

中韓通貨スワップの始まりと更新

すなわち、人民元建てのスワップが、現実には「ほとんど使い物にならない」、という論点もあるのですが、問題はそれだけではありません。現在の中国の目から見て、「通貨」という側面から、韓国を「脅す」材料が存在するのです。

とくに、韓国がIPEFに参加する意思を表明したことを受けて、中国が今後、韓国に対しどのような「揺さぶり」をかけるかについては、ちょっと興味深い点です。実際、中国は過去に「通貨で韓国を揺さぶった」という経験があることを忘れてはならないでしょう。

中韓通貨スワップの起源は、リーマン・ブラザーズの経営破綻(2008年9月15日)が発生した年の12月12日、中国人民銀行と韓国銀行が締結した、上限1800億元・38兆ウォンのローカル通貨スワップにあります。

中韓、通貨スワップ協定を締結

―――2008-12-14付 中国網日本語版より

当時の為替相場でいえば、人民元については約264億ドル、韓国ウォンについては約276億ドルに相当します(同じころ、日韓通貨スワップが130億ドルから一時的に300億ドルに増額され、あわせて米韓為替スワップについても300億ドル分が提供されました)。

その後、米韓為替スワップは2010年2月に、日韓通貨スワップについては2015年2月に、すべて終了。このうち米韓為替スワップについてはコロナ禍の発生を受け、2020年3月に上限600億ドルに増額されたうえで時限的に復活しましたが、これも2021年12月末で失効しています。

しかし、人民元建てのスワップに関しては3年契約とされ、その後も更新され続け、2011年10月26日には上限3600億元に増額され、2014年10月10日にも、さらに3年延長されました。

中韓通貨スワップ(ローカル通貨スワップ)
  • 2008/12/12 上限1800億元/38兆ウォンで通貨スワップスタート
  • 2011/10/26 上限3600億元/64兆ウォンに増額
  • 2014/10/11 上限3600億元/64兆ウォンで更新

(【出所】著者調べ)

3年ずつ更新されているということは、この次の更新は、2017年10月10日、というわけです。

2017年のスワップ「更新」は韓国の一人芝居だった

ところが、ここで不思議な現象が発生しました。中韓通貨スワップが更新されるはずだった2017年10月10日に向けて、中国側からは、なんにも音沙汰がなかったのです。

これを受け、韓国国内は、かなり動揺しました。韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された次の記事によれば、10月10日に満期を迎える中韓通貨スワップを巡って、韓国が「秋夕連休」に入ったにも関わらず、9月末時点で中国側から更新に関する確約がなかったからです。

10月10日に満期を迎える韓中通貨スワップ、結局このまま延長なし?

―――2017.10.04 14:18付 中央日報日本語版より

当時、中央日報は次のように記しています。

韓中通貨スワップは3600億人民元(約6兆840億円)に達する。これは韓国が現在結んでいる通貨スワップ全体規模の45.8%、自国通貨(LC)スワップの67%で最大だ。したがって韓中通貨スワップの満期延長が失敗に終わった場合、通貨危機の時に使える外貨資金が半減することになる」。

要するに、当時からそれだけ韓国は中国に通貨スワップで依存していた、ということでもあります。そして、結局のところ、10月10日時点では通貨スワップについて更新するという発表は中国側からなされず、通貨スワップ自体がいったん終了してしまったかに見えました。

ところが、韓国側からは、「通貨スワップについては延長で合意した」とする報道ないし発表が相次ぎました。そして、10月13日になって、韓国銀行などから、「韓中両国は韓中通貨スワップの延長で合意した」とする発表が出てきたのです。

中韓通貨スワップ、協定を3年延長 中国側が貸しを作ったかたち

―――2017/10/13 18:43付 産経ニュースより

しかも、異例なことに、中国側からは、通貨スワップに関する発表はなされませんでした。いわば、韓国側が一方的に、「両国が合意した」と発表したのです。

中国はスワップで「韓国を脅せる」

このあたりは、かなり狡猾なやり方といえます。もしかしたら本当に中韓両国が通貨スワップを更新していたのかもしれませんが、中国がわざとそれを発表しないことで、中国側が「そんな協定など存在しない」と韓国側の発表を覆す余地を残したからです。

その理由は、おそらくは「THAAD」、つまり高高度ミサイル防衛システムの朝鮮半島配備に対する、中国としての韓国に対する制裁にあるのでしょう。

韓国の康京和(こう・きょうわ)外交部長官(当時)がいわゆる「三不政策」――つまり、▼THAADの追加配備、▼米国のミサイル防衛システムへの参加、▼日米韓連携を軍事同盟に発展させること、の3点を行わないという確約――を表明したのは、10月末のことでもあります。

中国はもしかすると、韓国に対し「中韓通貨スワップ破棄」をチラつかせて「三不の誓い」を立てさせたのかもしれません(今となっては真相はわかりませんが…)。

もちろん、韓国がIPEF参加を決めたことを巡って、中国がいかなる手を講じて来るのかはわかりません。ただ、無法国家・中国のことですから、2020年に取り交わした協定を巡っても「もはや無効」などと一方的に宣言することができなくはありません。

何より重要な点は、過去において中国が通貨スワップを使って韓国を「揺さぶった」という実例があることでしょう。

ちなみにこの通貨スワップは、2020年10月の更新時には、中国側からも発表がなされ、しかも今度は3年ではなく5年に延長されたうえ、金額も4000億元/70兆ウォンに増額されています(※増額されたとはいえ、使い道がないという点については変わりませんが)。

そして、この4000億ドルという金額は、中国が外国と締結している通貨スワップ協定のなかでも、とくに巨額です。『【資料】中国が外国と締結しているスワップ協定の一覧』で指摘したとおり、中国が2018年10月以降締結した27本の通貨スワップのなかで、香港(5000億元/5900香港ドル)に次いで多いからです。

もしかすると、現在の中国は韓国のことを、「香港に準じた扱い」にしているのかもしれない、などとも思う次第です。「張り子の虎」で韓国を思い通りに操れるのだと仮定したら、中国にとって4000億元のスワップという「見せ金」は安いものでしょう。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. クロワッサン より:

    スワップで韓国を操るにあたり、米国に比べて中国の方が韓国を意のままに操れるのは何故だろう?と感じてしまいます。

    地理的に近いとか、米国の方が中国よりは紳士的な振る舞いをしてるとか、中国はキッチリ韓国への躾を行ってるとか、色々あるとは思いますが。

    宗主国や大国はしたい事よりやらないといけない事を優先し、従属国や小国はやらないといけない事よりしたい事を優先出来る、という訳でもないでしょうし。

    義務を最小化し権利を最大化するタダ乗り精神、朝貢精神故になのか。

    1. カズ より:

      クロワッサン様

      >スワップで韓国を操るにあたり、米国に比べて中国の方が韓国を意のままに操れるのは何故だろう?

      個人的には、ウォンと人民元の換金性の違いにあると思っています。
      中国側のスワップ行使で、ウォンが市場で売られると韓国はアウト。
      韓国側の対抗措置(通貨防衛としての人民元売り)は機能しません。

      つまり中国側は、スワップの”中断でも行使でも”韓国を脅せるってことなのかと・・。

      韓国が日米に望む500億ドル超の通貨スワップは、短期債務決済能力の補填であるとともに、潜在的には対中スワップ(限度額600億ドル?)の実力行使を牽制したい側面もあったりするのかとも。

      彼らにとっての対中スワップは、自らを繋ぎとめる”首輪やリード”として「無くてはならぬが在っても困る」ものなのかもですね。

      1. クロワッサン より:

        カズ さん

        ありがとうございます(o^_^)

        って事は、米国も韓国とはスワップを結ぶかどうかで操縦しようとするより、結んだ後で使えるかどうかで操縦しようとする方が良いのでは?ってお話しが出てきそうですね。

        「為替操作の疑いがあるので、行使する際は米国議会の承認を都度要する」みたいな条文を入れて、「米国の意向に逆らうなら使わせないぞ!」と脅すのが肝要って事で。

  2. 引きこもり中年 より:

    すみません。教えてください。
    要約すると、韓国はアメリカと何を約束しても、「中国様が反対しているから」といって無かったことに出来る、そして「アメリカは、そうしても許してくれる」と思ているということでしょうか。だとすると、アメリカは最初から韓国ではなく、中国と交渉した方が早いのではないでしょうか。

  3. はにわファクトリー より:

    中国は韓国を香港化したいのではあるまいかとは、うそ寒い光景が目に浮かぶようです。
    米国が半島操縦法を中国から学び、両国が極秘の手打ちをして彼ら頭越しに半島未来を決めてしまう。そんな日が実現してしまうのかも知れません。『202Z年半島動乱』発生でしょうか。

  4. より:

    確認が取れていませんが、韓国新政権の高官がどこやらの懇談で「三不の誓いの廃棄」と「THAAD運用正常化(*)」を明言したという情報が流れています。いずれも、ブルーチームに属するのであれば当然と言える措置なんですが、果たして尹錫悦政権が本当に実行できるのか、新政権の行く末を占う上で一つの大きなポイントになるかと思います。IPEF参加に加え、上記が実行に移された時、中国が黙って見過ごすとは考えられません。これが日本相手ならば「激烈な非難」くらいで済むでしょうが、韓国相手となると、相当な痛みを伴う報復に出る可能性が高いと思います。おそらく、スワップ協定の廃棄などは序の口で、もっと野蛮な報復に出てくる可能性も十分にあります。

    尹錫悦政権がブルーチームへの回帰を意図していることは明らかだと思いますが、国内の有象無象をちゃんと抑え込めるかどうか、非常に不透明です。左派は猛反対するでしょうし、右派ですら「アメリカから代価を貰えるのでなければ」などと言い出しそうです。というのも、韓国的発想では「中国を怒らせてまでアメリカに付くことを決めたのだから、それに見合う代価をアメリカから貰えて当然だ」となるからです。三不の誓い廃棄もTHAAD運用正常化も、ブルーチームに属する主権国家として、あるいはアメリカの同盟国として当たり前のことであり、賞賛に値することでも何でもないのですが、韓国人はアメリカに対する恩恵くらいに考えているようです。話が噛み合うはずはありません。
    いずれにしても、三不の誓い廃棄とTHAAD運用正常化に踏み切れるかどうか、とりあえず尹錫悦政権の一つの試金石となるでしょう。

    (*) 念のために説明しますが、THAADは星州基地に3基すでに配備されています(当初予定では6基)。しかしながら、星州基地は「市民団体」に完全に包囲され、基地に通じる道路はすべて封鎖されています。電力供給もかなり怪しいです。しかし、文在寅政権は「市民団体」を放置し、排除を試みようともしませんでした。
    米軍は致し方なく食料などをヘリで空輸しているとのことですが、「同盟国に対する扱いではない」と在韓米軍司令官や国防長官が何度も抗議しているとのこと。そりゃそうだ。

    1. トシ より:

      ・米軍の戦略資産の韓国配備と米韓統合軍事演習の拡大
      これが米韓首脳会談で公式にリリースされた。

      ・文在寅の3不の誓いは政権終了と共に終了で遵守する必要もない
      中央日報がこう記事にして報じている。

      よってこれから
      THAAD運用正常化、THAAD追加配備、ミサイル防衛網参加は確定的。
      米軍の真の狙いは韓国へのミサイル配備だとされている。

      THAAD配備も名目は北朝鮮への備え(もちろん実際は中露を対象とするもの)
      ミサイル配備も名目は北への備えだが中露を対象にするのは間違いない。

      これは中国にとって決して許せるものではない。
      韓国の対米傾斜に応じて現在の限韓令の強度を引き上げていく。
      具体的には中国内からの韓国製の排除と原材料供給の削減、中止。

      また、韓国社会は左派革新・運動圏勢力が広く深く根を張っている。
      ありとあらゆる手を使ってこの対米傾斜の動きを妨害してくる。

      韓国は米中の股裂き状態にあり保革の分断がより一層進んでいく。
      現在の韓国は実は大変に危険な状況にある。

      だが彼らそんなことがが理解できるはずもなく

      ・米中から韓国に熱いラブコール
      ・そんな韓国がうらやましい日本

      などと楽観的に考えていると思われるw

      何度も言うが日本は韓国保守と適度な距離を取って放置するのが良い。
      かつてのトランプが韓国に向けた「もう少し様子を眺めてみよう」が正解となる。

      1. より:

        > THAAD運用正常化、THAAD追加配備、ミサイル防衛網参加は確定的。

        問題は、尹錫悦政権がそれを実行に移せるかどうかです。言うまでもなく、韓国政府の「意向表明」など信用するに値しません。実行されてこそ、ようやく評価対象となります。おそらく、実戦部隊による米韓合同演習実施までは行われるだろうと思いますが、政権基盤が盤石からほど遠い尹錫悦政権がそこまで踏み込めるものなのか、さしあたりはお手並み拝見としか言えませんが。

        > 米軍の真の狙いは韓国へのミサイル配備だとされている。

        アメリカ軍としては、開発中の中距離弾道ミサイルを朝鮮半島南部に配備したいと考えているものと思われます。新疆の軍事施設まで射程に入れるのであれば、朝鮮半島南部が最適と考えられるからです。

        > THAAD配備も名目は北朝鮮への備え(もちろん実際は中露を対象とするもの)
        > ミサイル配備も名目は北への備えだが中露を対象にするのは間違いない。

        THAADミサイル自体の射程は200Kmほどですので、実はソウル防衛にすら役立ちません。あくまでも在韓米軍基地を守るためのものです。
        しかし、付随して配備されたXバンドレーダー(AN/TPY-2)は半径1000Km以上を探査可能で、中国要部をカバーすることが可能です。中国やロシアが嫌がっているのは、THAADミサイルそのものよりもこのレーダーのほうで、自分たちの行動が丸裸になるのが嫌なんでしょう。
        というわけで、中ロを対象とするのであれば、射程3000-5000Km程度の中距離弾道弾の配備が必要と思われます。

        1. トシ より:

          >問題は、尹錫悦政権がそれを実行に移せるかどうかです。

          トランプは在韓米軍の撤収を真剣に検討していた(一説には撤収寸前だったともされる)

          革新はともかく保守政権ならこの事態の深刻さを理解しているはずで、中国と国内左派の妨害の中でもここは実行に移すと思う。

          そこは米軍もしばらくは様子見となるでしょう。

          >開発中の中距離弾道ミサイルを朝鮮半島南部に配備したいと考えているものと思われます。

          >射程3000-5000Km程度の中距離弾道弾の配備が必要と思われます。

          これは中国にとっては完全にレッドラインを超えること。

          もし尹錫悦がこれをやろうとしたら

          中国は韓国への原材料供給を中止して社会を混乱させる。
          併せて左派運動圏勢力を利用してのクーデターで尹錫悦を引きずり下ろす。
          そして革新左派政権が樹立される。

          朴槿恵と同じことが再現されるだろう。

          いずれにせよ日本は適度な距離を取っての「戦略的放置」が正解。

  5. 愛知県東部在住 より:

    中国はスワップで「韓国を脅せる」 >

    そういえば、スワップを介してという形ではありませんが、過度の対中依存という罠に嵌まり込み、主要港湾を99年という長期に亘って差し押さえられた国家が、インドの周辺にありますね。

    その国は現在、最悪の経済危機に見舞われ医療崩壊をはじめとして過度のインフレに陥っているそうです。

    https://news.yahoo.co.jp/articles/b72b1f3af50339006a99a6c02e08f4ef7d7e2738

    日本も緊急措置として300万ドルの医療援助を行ったそうですが、この先どうなることでしょうか。

    まさか現在の韓国が、直ちにスリランカのようになることはないでしょうが、なにやら象徴的な出来事のようですね。

  6. Naga より:

    韓国からすると、中国に脅されるとますます日本とのスワップが必要になりますね。
    相互に取っての利益ということで。
    さすがに今時スワップを結んでやる、という態度は取らないし、万一そんな態度を取ったらさすがに岸田&林でも検討すらしないと思いますが。(希望的観測)

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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
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