鈴置論考の文在寅氏「ストーカー」説と韓国の「狙い」

心配で心配で…ハッピーセットしか喉を通らない?

英国のG7サミットから1週間少々が経過しましたが、その間、韓国側からは「韓日首脳会談を日本側がキャンセルした」だ、「日本の小児病的な癖は直しておかねばならない」だといった発言が韓国側から聞こえてきます。こうしたなか、ちょうど良いタイミングで、待望していた鈴置論考が出てきました。なんと、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領が菅義偉総理に対する「ストーカー」だというのです。

2021/06/21 07:22 追記

誤植を訂正しています。

G7から1週間が経過

G7から引きずる「会談キャンセル」

英国・コーンウォールでのG7首脳会合(サミット)が閉幕してから、もう1週間以上が経過しましたが、韓国メディア、あるいはわが国のメディアの韓国に関する記事を拾っていくと、依然として出て来るのが、「日韓(韓日)略式首脳会談のキャンセル」に関する話題です。

以前から当ウェブサイトを読んでいただいている方にとっては「またか」という感想しかないと思いますが、それでも辛抱し、少し寄り道しつつも経緯を振り返っておきましょう。

英国で6月11日から14日にかけて開催されたコーンウォールサミットでは、菅義偉総理大臣は主催国である英国に加え、ドイツ、フランス、カナダの各首脳、ゲスト国である豪州の首相、と、5ヵ国の首脳とそれぞれ会談し、さらに米国のジョー・バイデン大統領とはG7会議場で打ち合わせをしました。

しかし、ほかの参加国――G7のうちのイタリアのマリオ・ドラギ首相、ゲスト国のうちの南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領、そして韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領――とは、略式を含め、首脳会談が実施されませんでした。

この点、G7のような会合だと、参加国すべての首脳同士が個別で首脳会談を持つことが可能とは限りませんが、それと同時に、せっかく各国首脳が一堂に会しているのなら、可能な限りスケジュール調整をして会談を実施すべきだ、というのが原則的な発想でしょう。

ただ、ドラギ首相やラマポーザ大統領との会談が実施されなかった理由については、よくわかりません。

イタリアの場合は「首相がころころ変わるから、わざわざ会っても意味がない」という判断でしょうか?それでもドラギ氏はユーロ危機の際、欧州中央銀行(ECB)総裁として危機をハンドリングした実務家でもあるため、個人的には、金融政策の知見を得るという意味でも会談してほしかったと思います。

また、南アフリカは日本から遠く離れた国ですが、アフリカ諸国と日本の会議(TICAD)は安倍晋三総理がとくに力を入れた仕事でもありますし、安倍総理の後継者たる菅総理としては、是非、南アフリカの大統領に会っておいてほしかったところです。

さらには、せっかく米国、豪州、日本の3ヵ国首脳がそろい踏みしたのですから、「日米豪3ヵ国首脳会合」を対面で実施する良いチャンスだったはずですが、それが実施されなかったのも心残りではあります。

(なお、インドのナレンドラ・モディ首相はG7にそもそも対面で参加しなかったため、日印首脳会談、日米豪印クアッド首脳会合は「またの機会」、ということでしょう。)

日韓、日米韓が見送られたG7

もっとも、このG7では、一部メディアにおいて事前に「実施される」と予想されていたはずの「日米韓3ヵ国首脳会合」と日韓首脳会談が実施されませんでした。

この点、個人的にも「日米韓3ヵ国首脳会合」くらいは実施されるのではないかと踏んでいたので、少し意外感がありましたが、それよりも強烈だったのは、日韓首脳会談です。

報道等によれば、文在寅氏は会議場で、少なくとも2回は菅総理に歩み寄ったのだそうですが、菅総理は挨拶(あいさつ)には応じたものの、その場をすぐに立ち去り、結局「プル・アサイド」と呼ばれる略式会談自体が実施されませんでした。

これについて、日経電子版に14日付で掲載された次の記事によると、菅総理は現地で記者団に対し、文在寅氏とのやり取りについて、「(文在寅氏が)挨拶に来られて私も失礼がないように挨拶した」と述べています。

日米韓首脳会談「環境にない」 首相、元徴用工など挙げ

―――2021年6月14日 1:50付 日本経済新聞電子版より

意訳すると、「挨拶だけ返したから最低限の礼は尽くしたぞ」、という意味でしょうか。

菅総理はまた、記者団に対し「国と国との約束が守られていない状況」で日米韓首脳会合が行われる「環境にない」と明言。日韓首脳会談についても、実施する前提として、文在寅氏自身が「指導力を発揮し、問題をしっかり整理」することが必要との見解を示しています。

これも意訳しておくならば、よほどのことがない限り、菅総理が文在寅氏と会談をすることはない、という意味でしょう。

その文在寅氏にこじれた日韓関係を解きほぐすだけの政治家としての実務能力ないし責任感があるとも思えませんし、なにより残り任期はもう1年を切り、これからレームダック化が急速に進むと想定されるなか、下手をするとあと1年少々は日韓首脳会談が行われない可能性もある、ということです。

(※個人的には、日本の政治家が韓国の大統領と会って何か意味があるとも思えませんが…)。

韓国側の異常な反応①政治家編

ただ、常軌を逸していたのは、ここから先の韓国側の反応です。

代表的なものを3つ挙げましょう。

まずは、『韓国与党議員「日本の行動は小児病的」、自己紹介か?』で取り上げた、韓国国立外交院の金峻亨(きん・しゅんきょう)院長の発言です。

同氏は15日、ラジオ番組に出演し、日本が「1965年の条約をそのまま受け入れよ、慰安婦合意をそのまま受け入れよ、強制徴用で譲歩せよ」という3つの条件を出していることを「外交的無礼」と呼び、日本を批判したそうです。

このあたりは、なかなか衝撃的です。なにせ、日本が「約束を守れ」と言ったら、韓国側が「それは無礼だ」と「逆ギレ」したようなものだからです。

これがどんなにおかしな話なのか。こんなたとえ話を持ち出しましょう。

どこかの店で無銭飲食をする。店主が『代金を払ってくれ』と要求したら、無銭飲食者が『それは無礼だ』と逆ギレした」。

自称元徴用工判決問題、自称元慰安婦に関わる主権免除違反判決問題などは、いずれも国際法に照らし純粋に「違法」であり、容認できませんし、日本に譲歩する余地はありません。この問題を解消するためには、まずは韓国が「違法な」判決を無効化する以外に方法はないのです。

「小児病的」の典型例

次の話題です。

同じく『韓国与党議員「日本の行動は小児病的」、自己紹介か?』でも取り上げたのですが、与党「ともに民主党」の尹建永(いん・けんえい)議員は17日、「日本の態度は小児病的だ」、「日本の悪い癖を直すために東京五輪不参加を検討すべきだ」という趣旨の発言をしました。

他国を「小児病的」とは、本来ならばじつに無礼な発言ですが、正直、ここまでくると逆に思わず吹き出してしまいますね。

なぜなら一般に「小児病的だ」という形容詞には、「思考が幼稚で単純である」という意味が込められているからです。思考が全般的に幼く、また、複雑な考察に耐えられないという意味では、まさに現在の文在寅政権に対する形容表現としてピッタリじゃないかと思います。

そして3つめは、『韓国与党代表「国の品格上がり事実上のG8構成国に」』でも取り上げた、同じく与党「ともに民主党」の宋永吉(そう・えいきち)代表の発言です。

宋栄吉氏は18日、国会で開かれた最高委員会議で、「日本の反対でG7への韓国の追加は実現しなかったが、今回のG7では、韓国が事実上G8の役割を果たしたという評価を得た」、とする趣旨の内容を述べたのだとか。

「日本が妨害したからG7には入れなかった」とする議論こそ、まさに先ほどの表現を使うならば「小児病的」という形容詞がピッタリでしょう。

韓国側の異常な反応②外交部編

もっとも、韓国の異常な反応は、こうした政治家の発言だけではありません。韓国側ではG7直後、「韓日両国はG7のサイドラインで略式首脳会談の開催で合意していたのに、日本側が一方的にキャンセルした」とする言説がまことしやかに流れているのです。

といっても、これは特定の政府閣僚の発言ではありません。おそらくは「韓国の外交部当局者」が複数の韓国メディアに流した情報と思われ、その実物については、たとえば6月14日付の『聯合ニュース』(日本語版)や『中央日報』(日本語版)などで確認可能です。

G7での韓日会談開催合意 日本が一方的に取り消し=韓国当局者

―――2021.06.14 11:52付 聯合ニュース日本語版より

日本、G7韓日略式首脳会談に合意しておきながら一方的にキャンセル

―――2021.06.14 14:38付 中央日報日本語版より

これらのメディアの報道は、だいたいこんな感じです。

韓国の外交部当局者は、両国が11~13日に英南西部のコーンウォールで開かれたG7首脳会議の期間中、略式会談を行うことで暫定的に合意していたが、韓国が例年実施している東海・独島の領土守備訓練を理由に、これを一方的にキャンセルしたと明らかにした」。

複数メディアが同時に報じたということは、これらのメディアの言うとおり、韓国外交部の「当局者」が匿名でこのように述べたということは、おそらくは間違いないのだと思います。

もっとも、『「日本が首脳会談キャンセル」報道を官房長官が即否定』や『「日本が韓日首脳会談を一方的に取消」説が流れる意味』などでも報告したとおり、これについて日本政府側は、加藤勝信官房長官や茂木敏充外相ら閣僚クラスが、スパッと明快に否定しています。

ただ、もとの出所が韓国メディアの報道に過ぎないにもかかわらず、また、日本政府がちゃんと否定しているにもかかわらず、一部の韓国メディアでは、なぜかこれが「事実」になってしまったようです。

このあたり、国を挙げて、「基礎的な読解力」がないのではないかという懸念を抱かざるを得ません。

なぜわが国のメディアが日韓首脳会談を主張するのか

ただし、その一方で、わが国のメディアにも不可解な主張ないし社説がチラホラと出てきました。

当ウェブサイトではこれまで何度も繰り返してきましたが、日韓関係が破綻寸前の状態に追いやられている理由は、韓国が違法行為をやめないからです。責任のすべては韓国側にあるのであって、日本にはいっさい責任がありません。

ところが、「韓国が違法行為をしている」という事実を丸ごと無視し、「日韓両国は対話すべし」とする主張があるのです。

それも、いちおう日本国内では「クオリティ・ペーパー」を騙る日経新聞に6月15日付で掲載された、次の社説がその典型例でしょう。

[社説]日韓は地域安定へ対話探れ

―――2021年6月15日 19:00付 日本経済新聞電子版より

この社説の問題点については、『「日韓対話」呼びかける、的外れかつ無責任な日経社説』でもすでに詳しく説明したつもりなので、あえて繰り返しません(というよりも、それを繰り返す価値もありません)。

ただ、この手の言説が日本国内でも出てきたというのは、日本国内にも「韓国に配慮してやろう」とする勢力がいるからなのか、韓国政府がスポンサーになってそのような記事でも書かせているからなのかは、よくわかりません。

いずれにせよ、このインターネット時代、この程度の社説で私たち一般国民を欺けると思っていること自体が、むしろ新鮮な衝撃でもあります。

(※余談ですが、日経が「クオリティ・ペーパー」というのは、当ウェブサイトの意見ではありません。個人的に日経新聞については、優秀な書き手もいないではないにせよ、基本的には「経団連の広報紙兼財務省のプロパガンダ紙」くらいにしか感じていません)

鈴置論考「文在寅=ストーカー」

鈴置氏、文在寅大統領が菅総理に「粘着」

ただし、その日本経済新聞社の出身者のなかで、群を抜いて優秀な書き手がいます。

それが、当ウェブサイトでもしばしば(勝手に)引用させていただいている文章の執筆者で、日本を代表する優れた韓国観察者の鈴置高史氏です。

じつは、当ウェブサイトで日経の記事を批判する際も、「日本経済新聞社を批判しても鈴置氏ならば許してくれるであろう」と勝手に思い込んでいるというわけですが(笑)、その鈴置氏が昨日、『デイリー新潮』にこんな記事を寄稿しています。

菅首相に粘着する文在寅 ”蚊帳の中”にもぐりこみたい韓国、「左派政権駆除」に動く日米

どんなにすげなくされても、菅義偉首相に纏わりつく文在寅(ムン・ジェイン)大統領。その心の内を韓国観察者の鈴置高史氏が読み解く。<<…続きを読む>>
―――2021年6月21日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より

今回の記事も7000文字近くに達する長文です。

しかし、韓国問題に関心がある方であれば、毎度のことながら、豊富な事例と軽妙洒脱な語り口調で読者を一気に議論に引き込んでしまい、あっという間に読み終えて、むしろ「もっと読みたい」という欲求不満を抱くのではないかと思います。

(ちなみに鈴置論考の唯一の欠点は、長文でありながらあっという間に読了してしまい、「もっと読みたい」という欲求不満を読者に抱かせることでしょう。昭和時代の子供たちが人気アニメ番組でテレビにかじりつき、次回予告で「もっと見たい」と不満を抱いたようなものだと思えばわかりやすいでしょう。)

「韓国大統領はストーカーですね」

そんな鈴置論考、今回は「G7で日韓首脳会談を開こうと画策」、「G7が不発なら東京五輪で首脳会談を開こうとしている」、といった行動を、まるで「菅総理へのストーカーだ」と喝破します。

――韓国の大統領の行動が異様です。

鈴置:菅義偉首相へのストーカーですね。

冒頭から、ずいぶんと攻めた表現ですね(笑)

ただ、これは鈴置氏の表現が誇張なのではありません。文在寅氏の行動こそ、まさに菅総理を「ストーカー」のように追いかけているようなものというべきでしょう。

ちなみに余談ですが、この「ストーカー」という表現を見て、個人的に真っ先に思い出したのが、こんな写真です。

【参考】トランプ氏と1人置いて横に座る文在寅氏

(【出所】米ホワイトハウスHP)

2017年11月に当時のドナルド・J・トランプ米大統領が訪韓した際、予定を無視してトランプ氏の訪問先である米軍基地に勝手に押し掛けた実績が、文在寅氏にはあります。

ちなみに小見出しにある「G7が不発なら東京五輪で」、とは、当ウェブサイトでは『「東京五輪で文在寅氏の来日を調整中」、官房長官否定』でも触れた、「文在寅氏が7月の東京五輪にあわせて来日する」という読売新聞などの観測報道です。

これについて鈴置氏は次のように指摘します。

もし、韓国政府が大統領訪日をまったく計画していないのなら、頭から否定するはずです。日本が首脳会談に応じれば、五輪に合わせ訪日するつもりと思われます」。

与党関係者や首相関係者からは「東京五輪ボイコット」説が唱えられ、文在寅氏自身は訪日を検討しているという支離滅裂さ――。

あくまでも個人的感想ですが、このあたり、本当に不思議な国だと思わざるを得ません。

監獄?天国?必死になる文在寅氏

ではなぜ、文在寅氏が「ストーカー」状態なのか。

鈴置:身の安泰が目的です。文在寅氏は何か大きな実績を残さないと、2022年5月に大統領を退いた後、刑務所行きとなる可能性が高い。

文在寅氏の行き先、正確には刑務所(監獄)だけでなく、地上の楽園や楽園なども含まれているのではないかという気がしてなりませんが、この点はとりあえず脇に置きましょう。

鈴置氏の議論の恐ろしいところは、誰にも否定できない「事実」を次々と指摘していくことにあります。

李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)という保守の元・前職の大統領を文在寅政権は起訴しました。2人は今も収監中です。保守政権当時の最高裁長官や官僚らも多くが牢屋に入っています」。

たしかに、李明博(り・めいはく)元大統領、朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領は、いずれも文在寅政権下で起訴され、収監されていますし、梁承泰(りょう・しょうたい)前大法院長(※最高裁長官に相当)らも起訴されているようです。

自称元徴用工判決のころ、「韓国は三権分立国家だから、司法に行政は関与できない」などとするセリフを嫌というほど韓国政府関係者から聞かされましたが、実態は司法府すら政権の意向を伺うような国が韓国だ、ということです。

ちなみに、文在寅氏が日本にやってきたとしても首脳会談が開催される保証などないというのに、どうして東京五輪で日本にやって来ることが文在寅氏の「身の安全」につながるのでしょうか。

それが、「ブラックスワン」論です。

――日本の首相と会えば『ノーベル賞級の実績』になるのでしょうか。

鈴置:もちろん、それだけではなりません。狙いは金正恩(キム・ジョンウン)総書記です。東京五輪を理由に金正恩総書記が訪日し、日米と和解劇を繰り広げる可能性がある、と韓国政府は見ている。

なんと、文在寅氏は北朝鮮の独裁者である金正恩(きん・しょうおん)が東京にやってくる可能性に賭けている、というのです。

逼迫する北朝鮮の食糧事情

このあたり、突拍子もない話に見えますが、ただ、北朝鮮が国家的な危機の際、きまって日本にすがって来ていたという事実を思い出すと、あながち突拍子もない話ではありません。

実際、『北朝鮮で食糧危機?トウモロコシの価格が倍との情報も』でも報告しましたが、『アジアプレス・ネットワーク』というウェブサイトの北朝鮮物価情報によると、コメ、トウモロコシといった基本的な食糧品の価格が、6月15日時点で突如として跳ね上がっていることが確認できます。

コロナ禍の最中であっても安定していたはずの食糧品価格が、なぜこのタイミングで急騰したのかについては、よくわかりません。

ただ、為替レートの動きから判断しても、「金融政策」(たとえば「北朝鮮政府が紙幣(北朝鮮ウォン)を刷り過ぎた」、など)が原因の価格変動とは考え辛く、やはり純粋に、食糧品が不足しているのが原因と見るべきなのでしょう。

鈴置氏は、こう述べます。

文在寅政権としては何とかしてその場に参加し、自分が仕切ったかのように見せて『ノーベル賞級の実績』としたい。そのためにまず、菅義偉首相との関係を改善せねばならないのです。退任後がかかっているだけに、藁をもつかむ思いでしょう」。

そんなにノーベル賞が欲しいなら、似た名前の別の賞でも目指せばよいのに、といった冗談は、ここでは控えましょう。「金正恩訪日」が本当にあり得るのかどうかを巡っては、鈴置氏自身も非常に懐疑的ではあるのですが、これについて次のように指摘します。

文在寅政権にとってそれは『ブラック・スワン』――起こる可能性は低いものの、もし起きたら大惨事――なのです」。

菅政権、じつは拉致事件での動きも?

さて、優秀な論者の文章にはいくつかの特徴があるのですが、そのひとつが、ディテイル(細部)の描写の巧(うま)さにあります。

本稿を読んでいて、ちょっと気になったのが、次の記述です。

案件の性格上、大声では表明しませんが菅義偉首相は拉致問題の解決に意欲的です。首相に就任するや真っ先に訪問したのは、北朝鮮と関係の深いベトナムとインドネシア。両国を通じ、金正恩総書記に拉致問題の解決を呼びかけたと見られています」。

非常に気になります。

個人的には、文在寅氏が来年、監獄に行こうが天国に行こうが、好きになさったらよいと思っているクチですが、北朝鮮にとらえられたままの日本人拉致被害者の皆さまの身が案じられますし、拉致事件の一刻も早い全面解決と全容解明が必要です。

個人的な持論ですが、菅総理自身、安倍総理と共通点があるとしたら、北朝鮮に対してタフな姿勢を取ってきたことにあると考えます。北朝鮮の貨物船・万景峰(まんけいほう)号の本邦への入稿を禁じた「特定船舶入港禁止法」の議員立法に菅総理が深く関わったからです。

菅総理は見た目の「派手さ」には欠けますが、コロナ対策でもわかるとおり、実務を着々と取り仕切る能力を持っています(ちょっと菅総理のことを褒め過ぎでしょうか)。

菅総理自身、拉致問題の解決で北朝鮮の「弱み」に付け込み、拉致事件を一挙に解決するチャンスを探っているのかもしれません。

妨害に動く韓国には黙っておくべき

もちろん、金正恩が東京五輪で来日するかどうかはわかりませんが、その際、韓国と歩調を合わせるものでしょうか。

これについて鈴置氏はこう指摘します。

日本が北朝鮮と関係を改善する時は、もちろん米国と歩調を合わせます。ただ、妨害に動くであろう韓国には黙って進めるのが常道です」。

ここで重要な事実がもうひとつあるとしたら、韓国はこれまで、日本人拉致事件の解決のために動いてくれたことがない、ということでしょう。

拉致事件といえば韓国人被害者も多く、また、自分たちと同じ民族が作る北の片割れ国家による犯罪であるにも関わらず、この拉致事件を巡って、韓国は常に他人事を貫いてきました。文在寅政権の韓国は、とくにそうです。

少し厳しい言い方をすれば、韓国は拉致事件の解決に何ら協力してこなかっただけでなく、それを「妨害」する「共犯者」のようなものでもあります。もし日朝対話のチャンスがあるなら、米国とは緊密に連携しつつも、その場から韓国を除外するのは当然です。

ただし、これを韓国の側から見れば、どうなるか。

朝鮮半島の地殻変動をもたらす外交交渉に韓国が主要プレーヤーとして参加できなければ、文在寅政権は『ノーベル賞がもらえない』どころではありません。『国民に大恥をかかせた売国奴政権』と認定され、監獄行きの可能性がさらに増します」。

だからこそ、文在寅政権の対日姿勢には、一見すると融和的でありながら、その本心は「南北関係の改善」のとっかかりとして、何とか日本を利用できないか、といった思惑が垣間見えてしまう、というわけでしょう。

韓国政府「外交部vs大統領府」

その際に見ておきたいのが、韓国の対日関係「改善」には、こんな思惑がある、という解説です。

北朝鮮の食糧事情は悪化の一途をたどっていて、日本との関係改善が日増しに重要になっています。文在寅政権からすれば、いつ『寝耳に水』の日朝交渉が始まるか、不安でしかたがない。せめて、その匂いでも嗅ぎたいのだと思われます」。

正直、韓国政府が考えていそうなことでしょう。

もっとも、韓国が日本に対して仕掛けてきた不法行為・違法行為の数々を放置し、それらに対する抜本的な解決策を何ら示さないままで、「わが国は韓日関係改善の意思がある」、などと言われても、正直、困惑する限りです。

その一方で、今回の鈴置論考にも、こんな指摘が出てきます。

米国の目的は『文在寅をシカトする』ことではありません。2022年5月の政権交代後も韓国で反米左派政権が続くのを阻止するのが目標です」。

このあたり、「米国は韓国の左派政権を容認しないだろう」というのは、鈴置氏の一貫した見方ですが、今回は日本もこれに噛んでいる、というのが今回の鈴置論考のもうひとつのポイントでもあります。

――菅政権も『左派政権の続投阻止』が目的ですか?

鈴置:その通りです。昨年末、官邸筋から『次の大統領選挙で反日政権が登場しないよう動く』との対韓基本方針が漏れてきました。実際、『まともな政権ができるまで相手にしないぞ』とのメッセージを韓国人に送り続けています。当然、米国と調整済みでしょう」。

この情報が正しいとして、日本政府に本当に「左派政権の誕生を阻止する」ことができるのかどうかは、個人的には疑問ではありますし、また、もし次に「保守政権」が立ったとして、それが日本にとって好ましい政権であるという保証などありません。

もっとも、こうした疑問について、鈴置氏の論考には、こんな答えも用意されています。

――韓国が保守政権に代われば、首脳会談に応じるのでしょうか?

鈴置:それは分かりません。韓国の裁判所が自称徴用工判決で日韓国交正常化の際に取り決めた枠組みを壊しました。次の政権が完全に修復しない限り、日韓首脳会談の開催は容易ではありません」。

それに、韓国がやっている違法行為は、サンフランシスコ条約の戦後秩序体系を揺るがしかねないものでもあるため、米国が日韓の仲裁の労を取るかどうかは微妙でしょう。なにより、2015年12月の慰安婦合意を韓国は一方的に破った実績もあるのですから。

なお、日韓首脳会談を巡り、「日本が一方的にキャンセルした」とする韓国国内の報道に関しても、鈴置論考では言及があります。

韓国の外交部が『政府間で首脳会談を実施するとの約束があったのに、日本が破った』とメディアに説明。すると日本政府がこれを完全に否認したうえ、韓国政府に抗議したからです」。

すなわち、韓国政府・外交部は大統領府から日韓首脳会談の設営を命じられたものの、それに失敗したため、その責任を取らされるのを恐れて「日本の約束違反」とウソをついた、というのが、鈴置氏の見立てです。

しかも、この「事件」について、韓国の保守系メディア(中央日報や朝鮮日報など)が政府の対応を批判する論陣を張っていることについても、鈴置氏は「日韓が揉めている時に、韓国紙が自分の国の政府を批判するのは極めて珍しい」などと指摘しています。

それだけ、韓国が追い詰められている、ということなのでしょう。

あるいは、文在寅氏がレームダック化するなかで、大統領府と外交部の姿勢が大きく異なっている、というべきでしょうか。

読後感

さて、鈴置論考はいつもどおり、非常に論理的でありながら本質をえぐり取る鋭さを持ち合わせていて、長文でありながら(良い意味での)「物足りなさ」を感じるという、非常に珍しいタイプの論考です。

ただ、それを読むもっと大きな楽しみは、鈴置論考では語りつくされていない「背景」についても読み解くことにあると思います。とくに、鈴置氏の論考をベースに、自分なりにさまざまなシミュレーションを考えてみるのも、知的好奇心を刺激するという点からは、極めて魅力的な知的営みでしょう。

正直、追い詰められた文在寅氏が、ブラックスワン狙いで東京五輪にノコノコやって来るというシナリオとともに、「ハンバーガー・ハッピーセット」シナリオ(※)というのも捨てがたいところです。

具体的には、韓国も「日本の悪い癖を躾けてやる」とばかりに北朝鮮と歩調を合わせ、五輪をボイコットする、というシナリオですね。

なぜ「ハンバーガー・ハッピーセット」シナリオと呼ぶのかといえば、「そのようなシナリオが実現するのが怖くて怖くて、心配のあまり、某ハンバーガーチェーン店の夜限定肉2倍ビッグハンバーガーとナックマゲット15ピースとポテトLとハッピーセット」くらいしか喉を通らなくなるほど食欲が著しく減退するからです。

あるいは、夜中もせいぜい10時間くらいしか寝られませんし、昼食には某有名チェーン店の「こってり特盛りラーメン」と唐揚げ・チャーハンのセットくらいしか食せない気がしてならないからです。

いずれにせよ、「文在寅氏の五輪参加」と並んで、「文在寅氏の五輪ボイコット」楽シナリオについても、実現するかどうかが本当に楽本当に心配で楽ならない今日この頃、というわけです。

読者コメント一覧

  1. 理系初老 より:

    お疲れ様です。いつもありがとうございます。実は、まともではない韓国の数々の行動の中でも特に「日本がキャンセルした」というくだらない言い分の意味が分かりませんでしたが、以下でよーくわかりました。
    >>すなわち、韓国政府・外交部は大統領府から日韓首脳会談の設営を命じられたものの、それに失敗したため、その責任を取らされるのを恐れて「日本の約束違反」とウソをついた。
    では、これから鈴置氏論考にシフトします(いつものパターンになりました)。

  2. めがねのおやじ より:

    朝鮮半島が南北とも五輪をボイコットするのは願ったり叶ったりです。しかし、コトはそう単純ではなくて、北朝鮮の拉致被害者問題を、菅義偉総理は一気に片付けたい思いがあると思う。

    その際、ストーカーの文大統領は間違いなく来年、監獄行きか地上の苦園行きか、飛び降りか、逃亡しか選択はありません。今は日本にすがって来るが、何の修復案無いので塩対応。

    菅総理が北朝鮮とパイプのあるベトナムとインドネシアを訪問したのは拉致された問題に狙いがあるとは、鈴置氏、誠に慧眼です。

    危機的な食糧不足の北朝鮮を揺さぶり、拉致解決に繋げる、コロナ禍ワクチン提供をエサにすると言うのは、可能性としてあると思います。しかし、行動計画は「東京五輪で日米韓北が相互に出会う」なんて、お花畑文大統領の政治ショーでは無いと思う。ハッキリ言って五輪が舞台に使われるのは日本としても汚点を残す。また文大統領は除くのが当然です。

    彼が入ると潰れてしまう。邪魔だ。別の機会に菅氏、バイデン氏、金氏が合うのが理想。会談場所は絶対に中国は不可。日本かベトナムかインドネシア。日本は拉致被害者を返して貰う代わりにこの際、北に食糧とワクチンを供与、米国は核問題で直接協議、IAEAも中に入ってもらい、廃絶の道筋をつける、と言うほうが可能性はあると思います。

  3. 月長石 より:

    >>2015年12が鵜tの慰安婦合意

    12月
    の誤記ではないでしょうか。

    1. nanoshi より:

      万景峰号の入稿、も誤字のようですね。

  4. はにわファクトリー より:

    大韓民国産炭酸カリウムに対する不当廉売関税問題はどう関わってくるのでしょうか。

  5. だんな より:

    >2015年12が鵜tの慰安婦合意を
    12月ニダ。修正するニダ。

    日米政府の目標が、『左派政権の続投阻止』となると、文政権の残り期間は、冷やし韓国が続く事になるでしょう。

    北朝鮮の食料危機から、日朝関係改善に繋がる話は、新しい可能性だと思います。
    昨日、日米韓局長級協議が行われ、「アメリカが無条件で対話を呼びかける」という報道があります。
    産経新聞
    https://news.yahoo.co.jp/articles/f9fd1864f94ead2355c29bd84c0021316dd09998
    一方で
    韓日米の北核協議控え…中朝大使「戦略的協力」で口をそろえる
    https://s.japanese.joins.com/JArticle/279904
    中国は、米朝対話を邪魔する為に、北朝鮮を支援する事が予想され、文大統領の思惑通りに中国は、動きそうにありません。
    全体的に周辺国の対応は、レームダックを見越した動きになっているように思います。

    また、アメリカが左派政権の継続を阻止しようとすれば、中国はそれを邪魔しようとするでしょう。
    韓国国内への米中の影響力が、これから見えて来るように思います。

  6. masa より:

    ノーベル平和賞が牢屋行きを免れる手段になるという視点は新鮮でした。
    最近の韓国(文政権)は明らかに焦ってますよね。
    その主な理由として、年内の米国金融バブル崩壊が囁かれはじめた事が原因かなと思ってました。
    そうなるとその余波は韓国の不動産バブル崩壊まで及ぶだろうし、脆弱な韓国の金融機関は不良債権で押しつぶされ、ほぼ確実に金融危機に発展するでしょうから。
    米韓の為替スワップも年内いっぱいとの事ですし、何としてでも早期の日韓通貨スワップを締結しておきたいと。

  7. めたぼーん より:

    話はズレますが、やはり丁寧に無視の戦略は素晴らしいと実感します。今までゴールポストを動かす韓国に付き合っていた日本が愚かだったとも言えますが。ゴールポストを動かしてもおかわり貰えないと、勝手に崩れる韓国は、最早国でも何でも無いと感じます。

  8. イーシャ より:

    拉致問題解決を目指すなら、「拉致被害者返還が先で援助は後」でないと、食い逃げされる恐れがあります。

    ところで、”世界食糧計画「今年11月までに、対北食糧支援の資金 568万ドルが不足」” (WwoW! Korea 2021/06/19 12:23) には、
    「世界食糧計画(WFP)は今日(19日)、今年の11月までに 対北食糧支援に必要な資金のうち、568万ドルが足りないことを明らかにした。」
    とあります。
    これに関連して、WFP から寄付依頼が届いていました。
    私が学生の頃の古い名簿を利用して送りつけられてきたもので、WFP の活動が如何に胡散臭いかを示しています。
    食糧不足に対する寄付をするにしても、寄付先の国は選びたいですね。

  9. より:

    今回のコラムは、長年鈴置氏のコラムを読んできた人からすると、「まあ、そうだよね」という内容で、特に瞠目すべき目新しい見解が示されたというほどではありませんでした。G7とその後の韓国の言動についても、言い回しは違いますが、他の韓国ウォッチャー、例えば、武藤元大使や朝日の牧野記者と、見解にそれほど大きな違いはありません。ということは、視点がどこに置かれていても、結論はほぼ一致しているということです。「文在寅の最後のあがきが始まった」と。

    さて、拉致被害者全員の帰還と引き換えにCOVID-19ワクチンを供与するという案は、けして悪いものではないと思います。当然、アメリカとの事前調整は必要ですが、確か「人道上の医療物資」は制裁の対象外だったと記憶しているので、安保理制裁決議にも反しないはずです。

    もしも実行されるとしたら、こんな流れでしょうか。

    1. 電撃的に菅総理の訪朝が発表される – 「明日から菅総理が平壌を訪問する」
    2. 平壌での首脳会談で、拉致被害者全員の帰国が発表される – 「人道上の観点からの決定」
    3. 生存する拉致被害者、羽田に到着。平壌へのリターンフライトにワクチンを積み込み

    1.のタイミングはパラリンピック終了直後の9月でしょう。そして、3の完了直後に衆議院の解散総選挙に打って出るのです。地滑り的な大勝が見込めるでしょうね。
    もちろん、上記ストーリーは菅総理や自民党にとってあまりにも都合の良いものです。長年の懸案であった拉致問題は解決できる、総選挙には勝てる、ついでに韓国の従北左派には深刻なダメージを与えられます。美味し過ぎる展開ですね。
    当たり前の話ですが、上記ストーリーの実現のためには、アメリカの諒解が得られるか、北朝鮮が乗ってきてくれるか、そして菅総理がこんなスタンドプレー染みたことに乗れるかといういくつかの懸念があり、正直に言えば、それほど実現可能性が高いとは思えません。
    でも、一考の価値は十分あるように思えます。こんなに美味しいチャンスはそうそうあるものとは思えないので。

    1. 農家の三男坊 より:

      龍 様

       ぜひこのように進めていただきたいと思います。

      鍵は、

      >3. 生存する拉致被害者、羽田に到着。平壌へのリターンフライトにワクチンを積み込み

      ですね。間違っても、先にワクチンを送らない様に。

      「人道支援なのに条件を付けるとは・・・」と言うような勢力に対しては、

      「非人道的な行動をとっている相手に対して、軍事侵攻で正すほか無くなっているが、平和国家の日本に出来ることは、今はこれしか無い。」

      と言いたいところですが、ここは黙って無視ですね。

  10. しきしま より:

    個人的には北朝鮮が食料問題で日本に泣きついてくるというのは無いと思っています。
    南朝鮮なら経済危機に陥ったらメンツを捨てて泣きついてきそうな気がしますが。

    あと、これを言うと怒る人がたくさんいそうですが、あえて言うと拉致問題は解決しなさそうな気がします。
    当事者の大半はすでに亡くなっているのではないかと。
    だから、北も拉致被害者返還を食料支援のカードにしたくてもできないのでは。

    1. 農家の三男坊 より:

      しきしま 様

       >当事者の大半はすでに亡くなっているのではないかと。

      可能性は否定できませんが、可能性のあるうちは諦めないのが国家の責任かと。
      (たとえ、無能な国家であるとしても。)

      と、同時に親北勢力(政治家、学者、他)の責任追及もしないといけません。
      社会党を潰しただけでは不足です。ね×みはいろんなところに逃げ込んでいます。

      1. 農家の三男坊 より:

        言葉足らずで、判る人にしかわからない表現になってしまいました。
        下記()内を補っていただきたく。

        (その)可能性は否定できませんが、(生存者の散在する)可能性のあるうちは・・・

        1. 農家の三男坊 より:

          タイポ修正します。

          誤:散在
          正:存在

          何をしているやら。

      2. しきしま より:

        農家の三男坊 様
        そうですね。
        可能性があるうちはあきらめてはいけませんね。
        ただ、帰せるなら小泉政権のときに返していると思います。
        誤解のないように言っておきますが、私は決して北を許せとかどうせ無駄だから放置しろなどというつもりはありません。

    2. タナカ珈琲 より:

      しきしま様

      拉致被害者は最後のひとりまで取り戻さなければなりません。とは、思いますが、日本は憲法で武力の行使を禁止して居ては、其れも無理なんでしょう。で、私なりに考えましたが、解放は無理です。上で龍様農家の三男坊様の書込みを見て、先に解放、後から援助……。もちろん、先に解放ですが、この方法でも北朝鮮は首を縦に振らないでしょう。日本の場合は……、打つ手がないと、思います。プエブロ号の時はUSAでも何も出来ませんでした。結論が判れば安倍晋三さんも菅義偉さんの苦労はしないんでしょうが……。お恥ずかしい、結論のない駄文になってしまいました。

  11. 阿野煮鱒 より:

    鈴置先生の鋭い分析・洞察の中で、次期政権に対する認識だけは新宿会計士様の考察の方が深いのではないでしょうか。

    韓国の左右は、「左=進歩派」と「右=保守派」と呼ばれます。進歩派は親北・反日、保守派は親米・用日であり、韓国に親日政権が誕生することはありません。そして、わかりやすい反日よりも、日本に抱きつきゆすりたかる用日の方がタチが悪いというのは、新宿会計士様の持論であり、ここに集う論客の皆様のコンセンサスになっています。(極一部に例外の方はいらっしゃいますが。)

    アメリカ合衆国にとっての韓国は、北朝鮮核廃棄対策と、対中包囲網の陣営に加わるか否か関心事であり、反日か用日かはどうでもよいことです。日本にとっては、進歩派であれ保守派であれ、日本の国益に叶う政権は韓国に誕生しないのですから、進歩派政権を阻止する甲斐はありません。

    現在の自民党の政治家のどこまでがこの認識に至っているかはわかりません。管総理並びに次期総理候補と言われる人々も、米国と同じように韓国保守政権に期待しているかもしれません。そうであれば、その期待が叶う可能性は限りなくゼロです。

    あるいは既に自民党の主要政治家も用日の悪質さを認識して、保守政権の誕生を懸念しているかもしれません。その場合は日米は同床異夢の状態にあります。

    この辺りの分析は、どうも鈴置先生も甘いと思います。

    1. 匿名 より:

      鈴置さんは「アメリカの認識がまだその程度である」と言いたいのかと思います。
      新宿会計士さんやここの読者の視点のほうが正しい認識に近いというのは同意致します。

    2. 重箱住人 より:

      「菅」総理ですよね?些末なことでどうでも良いのですが、それでも人名ですので気になりました。

      1. 阿野煮鱒 より:

        仰るとおりです。人名は細心の注意を払うべきです。失礼いたしました。

    3. より:

      あくまでも印象論でしかありませんが、ここ数年の鈴置さんのコラムを読む限り、「文在寅政権は特別に異常な政権であって、政権が変われば少しはマシ(それでも十分オカしいが)になるかもしれない」と考えておられるような雰囲気がそこはかとなく感じられていました。武藤元大使のようにあからさまにそうとは書いてませんでしたし、戻るべき立ち位置にも随分と違いはありましたが、「まだ引き返し得る余地がある」と見做している(らしい)点では大きな差はないとも言えるかもしれません。少なくとも、こちらに集う方々の大方の認識である「文在寅政権の異常性は、ただ単に韓国人の本性が露わになったに過ぎない。従って、たとえ文在寅政権が変わっても、異常性の発露具合が多少変わるかもしれないが、本質的には何も変わらない」とは、かなり距離があるように思えます。

      ちょっと気になっているのは、このところの武藤元大使のコラムでは、「文在寅政権さえ退けば、事態は間違いなく好転する」といったことを明言しなくなったことです。そのためか、冷静な現状分析は相変わらずではあるものの、全体としてもう一つ熱量が感じられない文章になっています。何かあったのか、なかったのか、裏事情はわかりませんが、基本的スタンスに響くような何かがあったのかもしれませんね。

    4. 名無しのPCパーツ より:

      > 北朝鮮核廃棄対策と、対中包囲網の陣営に加わるか否か関心事であり

      アメリカは北朝鮮政策しか期待しないんじゃない?
      中国の軍事パレードに行った大統領は保守なわけで
      「保守派でも対中は役に立たない」ことは理解してるかと。

  12. りょうちん より:

    >日経が「クオリティ・ペーパー」

    日経は新聞界の「鼻セレブだ!」という意味ではないでしょうか。
    実際そんな紙質なのかどうかは知りませんが。

    1. 枯れたアラサー より:

      その発言に差し上げたい座布団とかけまして、
      鼻セレブとときます。
      その心は、どちらも3枚重ねです。

  13. ぶるうすまん より:

    また出た!
    ナックマゲットwww

  14. なんちゃってギター弾き より:

    目下の最大の懸念事項は、新宿会計士様の睡眠時間と食事量です(汗)

  15. H より:

    〉『まともな政権ができるまで相手にしないぞ』

    まだ日本政府の中ではこのような考え方が主流
    なのでしょうか、日本が考えるまともな国や
    政権は朝鮮半島では生まれません。
    まあ、まともじゃなければ用日、反日関係なく
    永久に相手にしないでいいんですけど
    これから、それが日本に出来るのか試されます
    結局、日本次第ですね

  16. チキンサラダ より:

    今回の鈴置さんの論考は決して短かったわけではないのですね。「続きがもっと読みたい!」と思ってしまうせいか、毎回「短すぎる」と感じてしまいます。まさに昭和時代に好きなアニメ番組にかじりつく小学生の気分ですw

    さて、今回私が気になったのは韓国外交部によるでっちあげです。日本と首脳会談したいのならば、日本の政府や外務省を怒らせるのはあまりに下策です。なぜこういう自己矛盾したことをおこしてしまうのか、鈴置さんが新たな視点をみせてくれた気がします。

    1. 韓国外交部は文政権を見切っており、文政権が成果を出させないようにしている。 (鈴置さんの主張)
    2. 道徳的下位にある日本は、しかりつけた方が言うことをきくと思っている。
    3. 何も考えず、責任逃れの発言を脊髄反応的にしてしまっただけ。

    私は、2, 3 の可能性を考えていましたが、同時に韓国外交部もバカではなく、2, 3 だけでは説得力に欠けると思っていました。

    1. の要素は納得です。そういえば日本でも民主党政権担当時、少なからぬ官僚たちが緩やかなサボタージュや情報リークをしていたのを思い出します。

    1. だんな より:

      チキンサラダさま
      韓国外交部は、文大統領の身内人事のため機能不全に陥っていますので、成果を出す事そのものが無理だと思います。
      一方韓国の世論調査では、保守系大統領候補が1番で、政党支持率も野党が与党より高くなっています。
      外交部は、文大統領と心中する訳にはいきませんので、自己保身の為の責任転嫁で、正しいと思います。

      1. より:

        韓国外交部の機能不全はかなり深刻だと思います。
        今回もオーストリアでやらかしましたが、相手国の国旗を間違えたり、酷い時には国名さえ間違えたりなど、文在寅政権発足以降、酷いミスがいくつも発覚しています。儀典関係なんて、外交部としては初歩中の初歩でなければならないのに、ミスが起き、しかもチェックもされなかったというのは、相当深刻な状態でしょう。

        もっとも、文在寅政権では、外交部は外交政策の決定に全く関与させてもらえず、安保室の使い走り、あるいはそれ以下という扱いを受け、そのくせ何かあれば責任だけは取らされるという状況だったとかで、士気もダダ下がりだったとか。現外相は安保室長からの横滑りですが、政権から見てちっとも働かない(働けない)外交部にカツを入れるつもりだったのかもしれません。ところが、政権初期に有能な外交官を片っ端からパージしていたため、どれほど怒鳴ろうがどうにもならないということではないかと思われます。

        なので、「ドタキャン」が外交部官僚の責任逃れの言い訳という観察はおそらく正しいだろうと思いますが、そもそも彼らが本当に調整しようとしていたのか、それだけの能力があったのか、まずはそこから疑うべきでしょうね。

        1. チキンサラダ より:

          龍様、

          おっしゃるとおり、国旗や国名のミスは外交上あってはならないミスです。それは礼儀の問題ではなくて、メッセージの問題になるからです。
          国旗や国名を間違えるのは、韓国がその国を軽んじていてわざとやっているというメッセージを送りかねないからです。

          外交とは非常に些細なことでメッセージを送りあうものなので、外交官はこういったことには恐ろしく気をつかっています。
          そこで、これだけのミスが出てるのは、人材の枯渇もあるでしょうし、一人当たりの負担が物理的にも精神的にも相当なものになっているのだろうと思われます。

          そう考えれば、確かに彼らが今回の日韓首脳会談を本気で調整しようとしてたかは怪しいとも言えますね。本気で調整していれば、pull aside くらいはできたようにも思いますから。

      2. チキンサラダ より:

        だんな様、

        韓国外交部の士気も人材枯渇も深刻だとは聞きますね。彼らとしては、この政権さえ終われば、と思い耐えているのでしょうね。

    2. はにわファクトリー より:

      思いつきや理解不足、朝令暮改のダメ幹部たちに無茶振りを喰らい続けて、ついにはサボタージュで抵抗するのは官僚組織の基本行動です。
      だからダメに決まっているだろう、分かっていたことじゃないか、失敗を俺たちのせいにするのはいい加減にしろ。日本のせいと言い放ったのは計算づくと思われます。失敗させる、意図的に。まるで彼らの舌打ちが聞こえてくるようです。近ごろ日本でも起きているような …

  17. 匿名 より:

    >> そんなにノーベル賞が欲しいなら、似た名前の別の賞でも目指せばよいのに
    イ○ノーベル賞?ダー○ィン賞?
    おっと口がすぎました。

    1. 名古屋の住人 より:

      匿名様
            (孔☆平和賞・・・?!)
            〇
                 。
                 。
      ふ~ m(-。-).._旦~~゜

      1. HNわすれた より:

        いずれも「実質的」にノーベル賞ということで ...

  18. 伊江太 より:

    >それが、「ブラックスワン」論です。
    >なんと、文在寅氏は北朝鮮の独裁者である金正恩(きん・しょうおん)が東京にやってくる可能性に賭けている、というのです。

    ひとつ前のエントリーでも気になった点です。この「ブラックスワン」という言葉には、起きる可能性がほとんど無いほどのまれなできごとという意に加えて、しかし起きてしまったなら、途方もない災厄を招くという意味を併せもつと思います。

    記事の流れから行くと、文在寅は、東京五輪を機に金正恩の訪日という、ほとんど無いに等しい可能性に、一縷の望みを掛けているというふうに、鈴置氏の論考を紹介されていると受け取れるのですが、氏はむしろ、金正恩訪日などいうことが仮に起きるならば、それは文政権にとっては途方もない災厄になるという方に力点をおいて、妨害できないとしても、そうなったとき、せめて首だけでも突っ込んだ振りをするほかないという、切羽詰まった焦りに駆られているとの見方をされているように読めました。

    キタの体制危機がどの程度差し迫ったものか、また日朝、米朝間でどのような水面下の交渉がおこなわれているかも、憶測するしかないのですが、金正恩の訪日などはまずあり得ないにしても、菅訪朝という青天の霹靂はいつ起こっても不思議とは言えないのかも知れません。拉致問題の解決と食糧+ワクチン支援のパッケージがセットくらいの内容であれば、キタの決意次第では可能性なきにしもあらずとも思えます。

    もちろん、あるとすれば、米国との周到なすりあわせのもとに進んでいるでしょうが、そこに韓国の出番はない、というか、徹底的に排除されているはずです。そして、もしその気配を嗅ぎつけているとしたら、実現すれば文在寅にとっては一発KOの大ダメージとなる展開です。韓信の股くぐりをやってでも、もう1ヶ月に迫った東京五輪はおろか、残り任期一杯まで、I L♥VE SUGAをつづけるほか道はないのかも知れません。

  19. 匿名 より:

    最近の毒舌感がUPしてますます絶好調な筆者が(笑)

  20. ラスタ より:

     話題に乗り遅れているとは承知ですが、どうしても指摘しておきたいので書きます。

     鈴置氏による記事から引用します。

    「なぜなら朝鮮日報や中央日報など、政府と距離を置くメディアは「日本側の否認と抗議」をかなりのスペースを使って報じたからです。韓国外交部の言い分に疑問を持たない限り、こういう紙面にはならない。」

     ここに鈴置氏が南朝鮮を観察する際の要点があるように思いました。
     「かなりのスペースを使って」「こういう紙面」。
     鈴置氏は日経の元ソウル特派員ですね。
     たぶん現在とは全く逆の立場からの理論で記事を書いていた。
     つまり、なぜそのような記事を書いて紙面に掲載するのか、その経緯というか、マスコミが時勢批判にかこつけて自己主張を差し込む力学、これを身をもって経験してきた知見がベースになっているのではないかと思うのです。

     なぜそのマスコミ(日本マスコミも含めて)がそのような主張をするのか、記事を批判するだけでなく、もう一歩踏み込んで分析することで、いろいろなことが図式化できるよと。
     マスコミの裏を読め。
     鈴置氏はそこを指摘しようとしてるんでないかなと、そう思ったりもするのです。

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