かつての「二大政党」が「政党要件死守」を言い出した

社民党という政党があります。その前身である日本社会党は、かつては「二大政党制」の一翼を担う政党として、一部メディアからもてはやされていましたが、不思議なことに政権を担うたびに党勢が退潮し、いまや所属国会議員が2人という泡沫政党に成り果てました。その社民党が昨日のオンライン会議で、「次期衆議院議員総選挙で2%の得票2%と4議席を獲得する」ことを目標として掲げたようです。

政権を握ったら党勢が削がれる不思議

一時期、「二大政党制」、つまり2つの大きな政党が交互に政権を担うという社会の在り方がもてはやされたことがありました。「もてはやした」のはもちろん、一部のマスメディアです。

1980~90年代に学生だった方ならば何となく記憶にあると思いますが、「自民党の一党独裁にはさまざまな弊害がある」、「過度に中央集権的な体制は改め、地方分権を進めるべきだ」、「大きな政府より小さな政府が望ましい」、といった議論が、一部メディアでは活発になされていました。

なにより、米国にせよ、英国にせよ、ドイツにせよ、主要国ではこの「二大政党制」が根付いているのに、どうして日本ではこれが根付かないのか、といった議論がありましたし、また、マスメディアが二大政党制を是としていたことは間違いないでしょう。

こうした空気の中で、いわゆる「1955年体制」下では自由民主党と並ぶ「2大政党」の一角を占めていたのが、日本社会党です。ただ、社会党は自民党の不満の受け皿として、たまに国政選挙で躍進することはあっても、結局、単独過半数を取ることはできませんでした。

社会党に政権担当力がないから選挙で勝てないのか、それとも政権を担ったことがないから政権担当能力がないのかはわからないのですが、いずれにせよ、社会党が初めて政権の一角に入ったのは1993年の政権交代で細川護煕連立内閣が誕生したときのことでした。

しかも、その細川連立政権は1年ももたず、わずか263日で崩壊。わずか64日の短命政権である羽田孜内閣を経て、社会党の村山富市委員長を首班とする「自社さきがけ連立政権」が発足し、自民党は再び政権与党に戻りました。

「1955年体制」下で社会党が関わった内閣
  • 細川護煕内閣…1993年8月9日~翌年4月28日(263日)
  • 羽田孜内閣…1994年4月28日~同年6月30日(64日)
  • 村山富市内閣…1994年6月30日~1996年1月11日(561日)

その後も社会党は単独で政権を担当するに至らず、それどころかほかの政党にぶら下がって政権の一角に食い込んだだけであり、しかも政権入りしたにも関わらず、むしろ「沈む船からネズミが逃げ出す」かのごとく、社会党からは離党者が相次ぎました。

結局、社会党はさまざまな選挙での党勢の退潮にも歯止めがかからず、1996年1月の村山政権終了後に党名を「社民党」に変更したものの、当時の「民主党」に大半の議員が移籍し、また、民主党が「排除の論理」を持ち出したことで、弱小政党へと転落していくことになります。

ワン瑞穂は認識違い

今年は、その社民党の発足からちょうど25年の節目、というわけですが、『福島瑞穂氏は社民党を食い潰すことで日本に貢献した』でも報告したとおり、昨年秋には事実上の「分党」を決定。12月24日には吉田忠智幹事長(参議院議員)、吉川元副党首(衆議院議員)の離党を承認しました。

社民党、吉田・吉川両氏の離党承認 所属議員2人に

―――2020年12月24日 17:10付 日本経済新聞電子版より

現在の社民党に所属する国会議員は、福島瑞穂党首(参議院議員)と照屋寛徳衆院議員の2人に過ぎません。かつては自民党と並び立つ「二大政党」を目指した政党の成れの果てが、これです。

(※この状態を巡り、よく「ワン瑞穂」と揶揄する人がいるのですが、これは間違いです。いちおう照屋寛徳氏は、衆議院議員の残り任期中、社民党に残る方針だと述べているからです。もっとも、照屋氏自身は今期限りで引退されるそうです。)

こうしたなか、産経ニュースに昨日、こんな記事が出ていました。

社民、政党要件の死守目標 次期衆院選

―――2021.2.21 21:50付 産経ニュースより

産経ニュースによると、社民党は21日、リモート開催した「全国代表者会議」で、「次期衆院選で4議席を獲得するとともに、全国を通じた得票率2%を目指す」との方針を採択したそうです(ちなみにこの数値は、「3%・5議席」を掲げた昨年2月の党大会の目標からは縮減しているのだとか)。

いちおう、簡単に補足しておくと、総務省ウェブサイト『なるほど!政治資金 政党助成関連』のページによると、「政党助成法」で定める「政党交付金が交付される対象政党」は、次のとおりです。

  1. 所属国会議員が5人以上の政党
  2. 所属国会議員が1人以上であり、かつ、次の選挙における全国の得票率が2%以上の政党
    • 前回の衆議院議員総選挙(小選挙区選挙または比例代表選挙)
    • 前回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙または選挙区選挙)
    • 前々回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙または選挙区選挙)

この点、社民党は2019年の参議院議員通常選挙(つまり「前回の参議院議員通常選挙」)で、比例代表選挙区における得票率が2.09%だったため、少なくとも2025年の参議院議員通常選挙が行われるまでは、「政党」としての要件を満たすことが確定しています。

ただし、2人の議員の離党と立憲民主党への入党などにともない、産経ニュースによると、昨年10月以降、約2200人の党員が離党したそうです。「現在の党員は1万人強」だそうですが、その反面、宮城、山形、福井の3県連がすでに解散しているのだとか。

野党の正体は利権政党

世の中に、「自民党のことは気に入らない」、「可能ならば自民党以外の政党に票を投じたい」と考えている人は相応にいらっしゃるのではないかと思います。

ただ、それと同時に、やはり社民党(あるいはその前身の日本社会党)が少しでも日本のためになることをしてきたのかと問われると、それはそれで大きな疑問でもあります。

というよりも日本社会党自体、自民党と並ぶ「二大政党」の一角を占めていながらも、その実態は「万年野党」であるとともに、「自分たちが政権を担うことは絶対にない」という慢心のもとで成り立つ「最大野党としての特権を享受するだけの利権政党」だったのではないかと思えてなりません。

わが国の国会においては、最大野党にはかなりの特権的地位が与えられています。その典型例が、質問時間でしょう。

質問時間の配分は衆議院で与党4対野党6、参議院で与党2対野党8といわれていますし、また、最大野党であれば、事実上、野党全体に配分された質問時間の配分の一切を取り仕切る権限を握っているようです。

現在の最大野党は立憲民主党ですので、立憲民主党はその気になれば、自分たちの党にとって「気に入らない」弱小野党から質問時間を奪うことだってできるはずです。日本維新の会に配分される質問時間が短いとする指摘を耳にすることがありますが、これも野党利権のひとつでしょう。

いずれにせよ、このように考えていくならば、社民党という組織自体、1955年体制の悪弊の象徴といえるかもしれませんし、その社民党が緩慢な形であるとはいえ、党勢の退潮に歯止めがかからないというのも、ひとつの時代の終焉を意味するのかもしれません。

また、かつての日本社会党は、国会で「改憲阻止ライン」である3分の1超の議席を保持していたはずですし、民主党は2009年の政権交代により、3分の2を超える議席を得たこともありますが、それらの政党の成れの果てであるところの立憲民主党は、政党支持率一桁台を記録しています。

コロナ禍のため、今年行われるであろう衆議院議員総選挙では自民党の獲得議席が減るかもしれませんが、少なくとも立憲民主党を中心とする連立政権が誕生する可能性は非常に低いと考えて良いでしょう。

もっとも、最終的には私たち日本国民がこの国の主権者として、責任を持って投票をしなければならない、という点については、改めて強調しておきたいと思う次第です。

読者コメント一覧

  1. イーシャ より:

    復習しておきましょう。

    【動画】福島みずほ議員が拉致問題質疑から逃亡?有本恵子さん母の死去を悼む青山議員をガン無視→ついには席を立つ
    https://www.youtube.com/watch?v=hJQJp9unpAI&t=40s

      1. 天の川 より:

        だんな様

        情報ありがとうございます。
        先月ごろから「従軍慰安婦」問題に興味を持ち始めました。
        スマラン事件からわかるように「強制連行」は一部であったでしょう。
        この事件に関しては、聞いた事があります。が、加害者は軍事裁判で裁かれています。
        一方、金学順さんの場合は、「強制連行」があったのでしょうか。親に売られていったのが事実で、「強制連行」はなかったのではと思っています。
        そして、李 容洙(イ・ヨンス)の場合は、これはパロディです。「強制連行」はもちろん、
        日本軍慰安婦ではなかったのでは思っています。米軍慰安婦かもしれません。
        数年たてば、年齢を詐称していることが明るみに出て、「パンドラの箱」を開けた状態になるのでと思っています。

      2. イーシャ より:

        だんな 様
        情報ありがとうございます。
        このおばはんがシナリオ書いてたっていうのは、いかにもありそうですね。

    1. イーシャ より:

      拡散波動砲、発射準備。

      1. りょうちん より:

        それは負けフラグw

  2. だんな より:

    社民の政党要件維持は、前回の参議院選の時からですよね。
    次は、無いと思います。

  3. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    社民党の黄緑色のペラペラのパーカー着た人達、2年ぐらい前迄、駅前でビラ配り、集会をたまにしてました。私が言うのは気の毒ですが、かなり年配でしたね。でもまだ死んでないと思う(笑)。なかなか2議席が0議席にならないのは75歳以上の爺婆さんが生息しているからでしょう。

    かつては、
    日本社会党=労働組合の代表、弱者の味方(但し大手企業、名門企業を中心に参加)。ベア◯%+ボーナス4か月!闘争勝利!

    自由民主党=企業経営者らが支援している悪い奴の集団。労働者を搾取する人がサポート、日本のワル!献金パーティーで億単位集金。

    だがしかし、日本社会党は庶民の味方ではない事が徐々にバレました。昔っから結局、インテリ学生(古っるう〜)、一部医者、左傾弁護士、日教組教員、一部看護師、現業公務員(エリートで無いヒト)、大手企業組合員、3公社5現業職員、農協・漁協等の専従ら。中小企業労働者は、組合費取られるだけ。美味しい思いは無し!

    日本人が北朝鮮に「拉致されてるらしい」とマスコミで言われ始めた頃、土井たか子氏は何と言ったか。「そんな事はないだろう。初耳だ。日本人を連れ去るとは考えられない。親、兄弟は何故そんな有りもしない事を言うのか。断じて無い」(嘲笑)。

    その時、師匠と思っているように付いていたのが、小池百合子氏。党派は違うが、同選挙区で、いつも土井たか子氏に遅れる2位当選だから、大人しくしてた。

    日本社会党は、万年2位だ。しかし1位を奪う気は無かったと思う。奪っても運営出来ない。能力ナシ。今の立憲民主党と同じ。右社、左社に別れた時、右社は民社党という超中途半端な政党になった。主に東海地方が中心です。繊維業、機械産業がありましたからね。春日一幸や佐々木良作ら、クチだけ達者な人が集票してた。

    私は生意気にも子供のクセに、「こら、アカンな」と思った。学校の弁論大会で「自民は駄目だが野党も分裂して情けない」というような説を話しました。同級生は興味無い人が大半でしたが、教師が嫌そうな顔をしてたのを覚えている(笑)。

  4. 福岡在住者 より:

    先日の立憲民主党の投稿で、「そういえば、福島さんはどうしてるかな?」と思い検索している内に、立憲ではなく「政党ひとり」で御健在だと知りました。 

    彼女が死のうが殺されようが、どうでも良いと思っているのですが、よく考えてみると彼女は「捏造慰安婦」を作り上げた組織の一員です。

    選挙で、共産党や立憲や山本太郎に行く票ならば、「捏造犯の生き証人」として飼っておくのも面白いかなと思います。
    実現可能か分かりませんが、「自称慰安婦問題」で、国会の証人喚問とか、、、。 暗黒歴の生き証人として、闇を引きずり、とんでもないヤツとして歴史に残って欲しいですね。

  5. とある福岡市民 より:

    > かつては「二大政党制」の一翼を担う政党として、一部メディアからもてはやされていましたが

     実際には自民党の半分くらいしか議席を取れませんでしたから、「1と1/2大政党制」と言われてましたね。

     社会党の候補者は党の看板に頼った選挙戦が多く、自分自身を全面に出した集票にはあまり積極的ではありませんでした。そのため中選挙区制では各選挙区で1人しか当選できず(旧兵庫2区のように2名当選したところもありますが)、衆議院の1/3を占める事がほとんどできませんでした。それなのに党本部が党勢拡大に失敗している事に危機感を持っていた話はなく、社会党の候補者も選挙協力をして1選挙区から2人以上の当選者を出そうと尽力した形跡もあまりありません。
     同じ選挙区の違う派閥の候補と激しく争い、2人以上の当選者を出していた自民党の候補者とは対照的です。
     それは社会党の候補者に、党の公認を受ければ労組の組織票により自分の当選は確実といった「甘え」があり、自党の候補者をより多く当選させようとする意識が低かったからではないでしょうか?言ってしまえば「自分さえ議員になれたら党勢はどうでもいい」といった態度です。

     福島みずほ氏が他の党員に参議院議員の議席を明け渡し、自ら衆議院議員総選挙に打って出なかった事を批判した人がいましたが、その姿勢の根っこには社会党時代からの甘えがあるように思えます。

    1. より:

      当時の日本社会党の議員というと、大方は労組貴族の上がりポスト、または一握りの左巻き文化人のあり、ゴリゴリの「主義者」というと、社会主義協会の一部くらいだったでしょう。
      でも、社会党所属議員が外遊の度に内閣官房に「お小遣い」をねだりに行くのが慣例になっていたことが明るみになり、「激しい国会論戦」などというものが所詮はプロレスに過ぎなかった(注)ことが暴露されて以来、すっかり一般国民の信用を失いました。まあ、だいたい同じ頃、無条件に「社会主義は正しい」などという風潮が薄れつつあったので、党勢衰退は必然だったとも言えるでしょう。

      今なお残党が存続していること自体が不思議と言わざるを得ませんが、時間の問題でしょう。そして、日本社会党~社民党の消滅こそが、日本の「戦後の終わり」を明確に示すものであるように思えてなりません。

  6. 羊山羊 より:

    プレバトファンなので発想を飛ばしがちですが、米国ではトランプ新党の噂があって共和党員へのアンケートでは70%が新党入党又は考える、だったそうですが結局残りました。共和党内でのトランプ人気は凄まじく、歴代共和党で最も偉大な大統領アンケートで2位のレーガンにダブルスコアで1位だったそうです。干支ひとまわり前に民主党内閣になり、その後復活した安倍総理の如くトランプ大統領の復活を願っています。

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