中央日報「昨年、韓国から撤収した外国企業が3倍増」

韓国メディア『中央日報』(日本語版)の記事によると、2019年に韓国から撤収した外国企業が173社と、前年と比べて3倍近くに増えたのだそうです。これについては、韓国における非合理・理不尽な判決により、ある日突然、日本企業が損害を被る可能性が高まっていることを嫌気したものだ、という仮説については、ひとつの可能性としては成り立ち得るでしょう。ただし、冷静に考えると、理由はそれだけでもないような気がします。

本日は当ウェブサイトを構築している「ワードプレス」と呼ばれるソフトウェアのアップデートに巻き込まれ、いきなりコメントが表示されなくなってしまい、やむなく緊急でウェブサイトのレイアウトを変更することと相成りました。

「新宿会計士」は金融規制の専門家ではありますが、ウェブサイトの専門家ではありません。この手の緊急のエラーが生じた際には、どうしても後手後手に回ってしまいます。

取り急ぎ、本日のアップデート以前に表示されていた項目(トップページなど)については復元できましたが、細かいレイアウトなどについてはまだまだ不満が残ってしまっていますし、おそらく完全に元どおりにすることはできないでしょう。

このあたり、やはりろくにウェブの知識もないくせに、自前でウェブサイトを所有していることの弊害でしょうか。

いずれにせよ、読者の皆さまには大変にご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げる次第です。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、こうした当ウェブサイト内の混乱に対処しているうちに、非常に重要な記事をひとつ発見しました。

韓国から撤収した外国人投資企業 昨年3倍増…日本企業が最多

昨年、韓国から撤収した外国人投資企業は173社であることが分かった。前年(68社)比で3倍近く増えた。<<…続きを読む>>
―――2020.08.12 15:56付 中央日報日本語版より

韓国メディア『中央日報』(日本語版)の記事によると、韓国の国会立法調査処が10日に公表した報告書上、2019年において韓国から撤収した外国企業が前年比約3倍に増えた、というのです。

韓国から撤収した外国企業
  • 2016年…68社
  • 2017年…80社
  • 2018年…68社
  • 2019年…173社

(【出所】中央日報記事)

ひとつの仮説としては、昨年を通じた日韓関係の悪化が経済にも悪影響を及ぼしているという可能性が考えられます。いや、もう少し正確にいえば、「わけのわからない判決でいきなり企業の資産が差押を喰らう可能性」を嫌気した、という可能性ですね。

もっとも、これは説明としてはそれなりに合理的ではありますが、中央日報の記事を読んだだけで、そう決めつけるのは尚早です。というのも、企業というものは単純に、新規進出することもあれば、撤収することもあるからです。

たとえば、

  • 進出先国の経済成長率が低迷し、消費地としての魅力が低下する
  • 進出先国の労働コストが上昇し、生産拠点としての魅力が低下する
  • 単純に進出企業の都合で、リストラクチャリングを実施した結果、撤退を決める

などの事情があるため、シンプルに日本企業が日韓関係の悪化だけを理由に撤収するというものでもないはずです。つまり、日韓関係の悪化だけでなく、単純に「韓国に進出しているだけの理由がなくなってきた」、という可能性もあるでしょう。

ちなみに撤収した企業のなかで最も多かったのは日本企業で45社だったそうですが、それに次いで米国(35社)、香港(17社)、ケイマン(10社)、オランダ(8社)などが続いているそうです(詳しくは中央日報の記事をご参照ください)。

このように考えていくと、現時点でリンク先記事を読んだ印象を申し上げるならば、「韓国における非合理的・非友好的な動きを原因とした日韓関係の悪化」が日本企業撤収の大きな要因ではあるものの、それだけではない、という可能性が見えてきます。

もし「日韓関係悪化」が日本企業撤収の主要因なのだとしたら、米国企業が35社、香港企業が17社も撤収したことの理由の説明が付きづらいです(※もっとも、日本企業が理不尽な判決で不当な不利益を蒙っている姿を目撃した外国企業が韓国を嫌気している、という可能性もありますが…)。

いずれにせよ、このあたりについては、少し前から温めていた記事がありますので、近日中にまとめて分析したいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. より:

    かなり単純化した図式ですが、企業が海外に生産拠点を置く場合、「生産コスト+運搬コスト」が最小化され、利益の最大化が見込める場合であると思います。
    「生産コスト」はその生産拠点で製品一つを生産するのにかかるコストで、原材料費、人件費、電気代その他からなります。
    「運搬コスト」とは、原材料を製品生産拠点に運搬するためのコスト、及び製品を納入先に納入するまでにかかる運搬コストの合計です。
    これらのコストの合計が十分に小さく、利益を最大化することが見込めるとなった場合に初めて進出の検討に入ることができます。
    その上で、管理コストなどの間接費の見通し、さらにはカントリーリスクを測った上で進出・撤退を決断することになるのでしょう。(とりあえず、企業の資金調達力はここでは見ないことにします)

    これらを踏まえた上で、生産拠点設置先としての韓国を考えた場合、まず生産コストですが、すでにけして安いとは言えない人件費がさらに増加傾向にあります。大きな利点であった安い電気代も上昇傾向にあります。韓国人労働者の生産性の低さを計算に入れなくても、生産コストという点ではすでに韓国は決して魅力的とは言えません。
    次に運搬コストですが、原材料を生産拠点に運搬するまでのコストは国内と大差ないと仮定しても、韓国国内市場の小ささから、よほど大口で安定的な需要家がいない限り、安定的に運搬コストが安くなるとは言えません。最悪の場合、製品を韓国国内で捌ききることができず、輸出せざるを得ない可能性もあります。当然そうなれば、運搬コストはさらに上昇することになります。
    管理コストに関しては、なにぶん距離が近く、時差もないので、海外としては小さく済む方でしょう。また、道路などの基本インフラに関しても、比較的良好な部類に入ると思います。
    問題はカントリーリスク、韓国国内政治の不安定さ、北との関係などをどのように見積もるかです。おそらくこれには絶対的に正しい解などないのでしょうが、文在寅政権、左派政権が続く限り、リスクは増大する一方であると見るのが一般的だと思われます。

    以上は相当単純化し、多くのポイントを捨象した分析に過ぎませんが、それでも生産コストとカントリーリスクの増大は多くの企業にとって進出を躊躇わせる、あるいは撤退を考えさせるには十分でしょう。特に日本企業にとっては、政治的リスクが他国よりも大きく乗せられてしまうため、進出中止や撤退決断が他国よりも増えてしまうというのはごく自然なことだと思います。

    後はこのあたりの専門家にお任せということで(^.^;

  2. たつぼん より:

    最低賃金の大幅な上昇と過激な労働組合。
    そして現左派政権は労働組合を支援しているような状態。
    地元大手企業も海外に逃げ出しているし、韓国内に工場を作ろうとしていない。
    次期政権も左派になると予想されるなど、今後韓国での企業活動はデメリットばかりで、中国との取引も縮小の一途でしょう。
    営業・生産の拠点としてもはや韓国に置く理由が無いと思います。

  3. イーシャ より:

    他には、韓国が米国に見放されるという地勢学的リスクがありますね。
    もちろん、文大統領の知性学的リスクも。

    理由はともあれ、韓国市民は文大統領について行けばいいのです。
    韓国市民なら経済の「天才」文大統領を理解できるでしょう。
    紙一重なのですから。

  4. win10 アップデート 2020 may
    netframework関係の不具合では?

    netframeworkを最新にする、又はアップデート前に戻す

    1. りょうちん より:

      いやいや、さすがにサーバーはLinuxの仮想コンテナでしょうw

  5. カズ より:

    河野大臣の古巣である富士ゼロックスをはじめ、彼の地での事業継続に妙味を感じない企業が増えたのでしょうね。
    旭硝子のように惰性で存続してた企業は現地にしがみつく理由はありません。
    日産自動車なんかも、ある意味「撤退の理由」を貰いました。

    三菱UFJも禍の地からフェードアウトすればいいのに・・。

  6. 七味 より:

    素人考えだと、最低賃金がどんどん上がったり、労働組合が無茶したりとかで、事業環境があんまし良くないって事かなって思うのです♪

    そうじゃなくて、撤退企業が増えても、進出企業とか起業が多いってことなら、実は経済構造が製造業からサービス業に移っていく過程で、入れ替わりが激しくなってることなのかもって想像したりもするのです♪

    あたしには、いまひとつ良くわかんないので、
    >近日中にまとめて分析したいと思います。
    に期待なのです♪

    “((ヘ(*’∀’ヘ)カモォ~ン♪”

  7. たい より:

    「君はいい友人だったが、君の国の大統領がいけないのだよ」
    「ウリの後頭部を殴ったなあ!」

  8. masa より:

    TPP11と日欧EPAかなと思ったけど米国企業も相当数撤退してるんですね。

  9. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。
    ネットでの投稿が上手く掲載されなかったのて、ヒヤヒヤしました(大した文章でもあるまいに。グチグチ言ってるだけです 笑)。会計士さんに申し訳ないです。

    さて、韓国から撤収した外国企業が2019年…173社。前年68社。2019年はそのうち45社が日本企業だった。米国とタッグを組めば日米で80社?もう完全に終わっているやん(嘲笑)。新規進出企業はあるのかね?(笑)在日韓系は除くよ。

    一方的な罵詈雑言による、日韓関係の悪化が経済にも悪影響を及ぼしています。ハッキリと言えば「元から韓国との商売は小さい。あんな恣意的な判決で、いきなり資産が差押えを喰らうなら撤退だ」という判断をトップがした。

    これからも、まだ遅い組の日本撤収は続くでしょう。ある程度片付いたら、邦人の安全優先です。もう韓国が大好きッ。日本は理由アリで帰れない人以外は、最終便1日1本を1週間ぐらい掛けて帰国して貰いましょう。次いでに在日さんを引き取らす(爆笑)。

    1. わんわん より:

       撤退企業もあれば進出企業もある

       撤退企業のみでは片手落ち
      撤退企業と進出企業の差(社数)や影響(輸出入の増減・韓国での雇用影響)等総合的評価が必要なのでは?

  10. 自転車の修理ばかりしている より:

    経済的理由の他に軍事的リスクというものもあるかもしれません。北からミサイルは飛んでくるし、米中が殴り合いをはじめたら戦場となりかねないこの地で、落ち着いて生産活動に励む気にもなれないでしょう。生産企業の国籍にかかわらず、韓国製品はいつ非常事態によって供給がストップするかわからないので、大口取引で依存するわけにもいきません。メリットは減りデメリットばかり増していく。そりゃ撤退となりますとも。

    そう言えば、韓国企業自体がどんどん国外脱出しているのではなかったでしたか?

  11. 団塊 より:

    あれっ、今度はブロクをオープンした最初の画面が、面倒なことになってるぞ!

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